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マイ フィロソフィ3   作者: 名草宗一郎
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最後の恋 8

 2章 恋の成長。




 朝の染められたシルクが窓から差し込む。

 今日も明るいな。まあ、良い朝で何よりだ。

 そんな清明さのある朝に僕はじっと椅子に座っていた。周りに光たちが適当に話していた。

 そんながやがやと話してるなかで、しかし、僕はある人を目でおっていた。

「…………………」

 知らず知らず、その百合の白の可憐(かれん)な後ろ姿を見てしまう。今日もしとやかなウェーブの髪をじっと知らずに僕は見つめてしまった。

「そんなに彼女が気になる?彼女のことを目でおうなんて純愛だね、一樹」

「うわあ!」

 いきなり声をかけられて僕はびっくりして立ち退いた。いきなり声をかけた美春は邪心のない、しかし、純粋ないたずら好きな(たぬき)がクスクス笑うように手で口元を押さえた。

「別にお前には関係がない」


 そうそっぽを向いたら、しかし、おばはん(たぬき)の好奇心の灯油を燃やしてしまった。

「またまた!そんなこと言っちゃってさ!そういう粋がる所もかわいい!」

 それで美春は僕の(ほほ)を人差し指で突っつきながらナメコのようにべったり近寄った。

「それでさ、どうなの?彼女のことが好きなの?あのヴァイオリンを弾く姿を見てさ、一樹のハートにずきゅん!と来たんじゃないの?好きなら、まず友達同士から始めないとね!友達から初めて、そしてじわじわと親しくなって、月の下の公園で告白。そして!そして付き合うのよ!きゃっ!そんな、そんなことは早いわ!一樹!もっと順序を踏まえてするべきよ!」

 そう言って、顔を赤らませたバカがいたが、それは無視することに決めた。

 その時、ちくりとのどに引っかかる氷の針が刺さった。見るとキャサリンがこちらをなんも表情を写さずにただ、露悪(ろあく)性を風化させた好奇心で僕を見ていた。

 キャサリンは僕のすぐ横の席を座っていたのだが、美春がバカ丸出しに噴出している最中に冷静な目で僕を見てくる。


東堂院香澄(かすみ)のことが好きなの?一樹?」

「……………ああ」

僕がそういったら次の瞬間シルバーグレイの酸が窓をとかした。

「ふ」

 キャサリンが唇を少しゆがめた。それは言葉が少なかったが、感情を酸化させ、心の柔らかい所を傷つける硫酸(りゅうさん)をまき散らした。

「良い趣味ね」

「……………………」

 それを聞いた瞬間、自分の中の何かが白い炎が噴出(ふきだ)させた。白い炎は荒れ狂い、座ってるように僕に命じた。僕はその白の炎をあまり扱ったことが無くて、なすがされるままにしていた。

 がらら。

「おーい、お前ら席に着け、ホームルームを始めるぞ」

 がやがやとしていたニワトリがやがて、秩序よく自身の手で整理されていった。

 それが全てを終わったら先生が教卓に乗り出して言った。

「ええ、そろそろおまえらもわかっていると思うが、体育祭が6月にあるのは知っているな?その体育祭のリレーなどの選手を選んでくれ。今日の午後のホームルームで選べばいいだろう。さて、ホームルームで知らせることは以上だ。授業を始める」


 それから先生は黒板に向かって文字を書いていた。僕は中身が無くなったさなぎの空のように顔を俯けた(うつむけた)。そして、ちらりと東堂院さんの方向を見る。

 東堂院さんは左前方の席にいた。僕から見て前方の方向にある。ちらっと見た東堂院さんは涼しげな顔で授業を一身に聞いていた。

 東堂院さんも勉強が好きなのか?はぁ、マジで分からんな。僕は勉強が虫酸が走るほどきらいだが、東堂院さんも授業を聞いても苦痛ではないのか?

 こういう数学の授業が好きな人は嫌だなぁ。他の教科もたいていきらいだけど、数学は相当きらいだな。そういえば光は数学が苦痛じゃないって言ったけど、ひたすら平凡な問題を解かされるこの苦痛感はいかんともしたがたいし、高校に入ってからますます、難しくなった。

 う〜む、しかし、受験生なんだからなんとかせんといかんか。仕方ない、何とか集中してみよう。

 だが、さっぱり数学の授業が耳の右から入って、左の耳に素通りしていき、空を飛ぶトンボのように授業は進んでいった。





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