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マイ フィロソフィ3   作者: 名草宗一郎
29/42

最後の恋 29

 タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ。

 ジャージャー!ジャージャー!

 たっ、たっ、たっ。

「いらっしゃいませー!チェリスにようこそ!焼きそばしかありませんけどなんになさいますか!」

 文化祭が始まって昼になった。この軽食喫茶店チェリスにたくさんの人たちがやってきて、店内は全てのテーブルが混み、外で長蛇の列が連なっている。

 しかし、それはなぜかと言えば3人の美少女目当てに来たのだろう……………。

「はい、焼きそばお待ち!ん?君たち見たところ、カップルのようだね。それならば!ここ、不肖この美春がお祝いとして祝福の印を差し上げましょう」

 メイド服を着ている黒髪のロングストレートの眼がぱっちりとした眼をした少女が男女のペアのお客さんにたいして何やらごにょごにょとした動作をする。

 そう、そう言っては美春は言って男女のカップルの客の女性の方の焼きそばをひょこひょこいじりだした。それがすむこと5分…………………。

「完成!美春特性の愛のラブリーハートだよ!これを食べるともう二人の相性は抜群で結婚までエクスプレ車でレッツゴー!できること間違いなし!月刊『運命の全て』で絶対赤い糸良好、安全になること間違い無しのお呪いんだから!これで大丈夫だよね!お二人の発展を私は祝福していますからー!」

 ドデンと分かれてある焼きそばの中央に紅ショウガをハート型になっており、その焼きそばに女性の方は顔を俯け(うつむけ)、男性の方は困った顔をしながら頭をポリポリ掻いていた。

 そう言って、美春は食器を持ってこちらに帰ってこようとしたら、はたとその体を止めて、ゴキブリががさこそと動く一瞬(いっしゅん)の速度で先ほどのカップルの方に行った。

「いやいや、待てよ。女性だけにおまじないかけてどうすんの?男性の方にもかけなきゃ魔法は成立しないもんね、早速かけようと、ぐえ」

 その人の恋沙汰に首つっこまなきゃ気が済まないばばあの首むんずと捕まえる。

 美春はぐるりと首を回して不満たらたらな表情で言う。

「ちょっと!なにすんの!一樹!私は二人の交際を祝福して!こうやって二人が末永く仲良くいられますようにって、おまじないをかけようとしたんだから、邪魔しないでよ!」

 美春がぱっぱとつばを吐きながら、赤ん坊の甘えた怒りを発散していた。

 それに僕がじと目で言う。

「仕事をしろ」

「う!」

 美春は痛い所に矢が刺さったように胸を押さえたが、すぐにポーションで回復したように胸をはって言い放った。

「いや、いや違うよ!一樹!私たちはお客様を幸せにする接客を心がけるべきよ!だから、こうやって真心を尽くして、お客様を家族のように接するのが私たちのやるべきことよ。だから!こうやって二人の前途を祝福してね、特別なことを行うことが重要なの!今のサービス業はそうでもしなければ生き残れないんだから、これこそ時代を先取りしたサービスなの!」

 そう、鼻をぷくーと膨らませながら美春は握り拳を振った。

「は〜、バカな事言ってないで、早く戻れ………………今は混んでいるんだから、お前が…………………」

「あの〜」

そう僕が美春に説教をしようとしていたら、ためらいがちな声が割って入った。

 みるとカップルの男子がためらいがちに手をあげていた。

「あの〜、ちょっと誤解を与えているようですけど、実は僕達をカップルではないんです。僕達兄妹なんですけど……………………」

 ひゅー。

 その時確かに木枯らし(こがらし)が僕達を線だけにさせて通りすぎた。よく見ると妹の方は恥ずかしそうに顔を赤らめてうつむいてるように見える。

 そのあまりにシュールな光景に、まず美春がパンと手を叩いて言う。

「さ、仕事場に戻らなきゃ、こうしている間にお客さんがどんどん入ってくるしね」

「さあ、肉切るか。客もたくさん来たし、こんなことしてる場合じゃないな」


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