最後の恋 15
サウナの中のポルトネーフが熱気に押されて、ばらばらに散らばるようで、しかしある種の目的のために秩序だって蜂たちは動いていた。
クラスの人達も良く動く。体育はそんなに好きなのか?
今、僕は、体育館で体育の授業を受けている。 この学校の体育館は岡山のさらに地方の部類に入る学校なので体育館が狭い。
なので2クラスが合同で授業をするとすぐに体育館が埋まってしまうのだ。
全く、だから僕達は男女が交互で時間と空間を使うしかなかったのだ。
そんな狭い場所で準備体操をしてから、まず男子達でバスケをしているのだが、男子は目を輝かせながら生き生きと動き出していた。
冬眠から目覚めたカエルのように生き生きと動いているのだ。そして、そんななかで僕は……………。
「ガンバ!一樹!ほら、枝野くんにボールがいったよ。今こそ、追撃だ!」
自分のチームの枝野くんにボールが渡ったとき、美春が僕を応援した。
しかし………………。
「…………………」
枝野くんを形で追うが、枝野くん達はこちらを全く見ず、神田くんと中心になって敵陣を攻めていた。
まあ、来られてもどうしようもできないから来なくて良いのだが、問題は。
「あ!来てる、来てる!一樹!右に相手が集まってるから左に行くのよ!あ、あ!敵にボールが渡った!ダッシュよ!一樹!守らなきゃ、点が入っちゃう!」
確かに相手のチームにボールが渡って、味方はそれの防衛をするために自陣に急いで引き返している。しかし…………僕は引き返さず、むしろ美春の下へダッシュに向かった。
「なにしてんの?あ、ああ!ボールが入る!……………ああ〜、何とか無事だったね。一樹も早く守らなきゃ!こんな所でつってる場合じゃないよ!」
確かにここに来るべきではなかった。本来なら防衛戦に参加をすべきかも知れない。だが、今美春に言っておかなければならないことがある。
「美春。応援禁止。とにかく僕の応援をするな」
僕の言葉に美春は目を点にする。そして、先住民の踊りの儀式を見た開拓民なのような全く不可思議な目で僕を見た。
「はぁ?なにいってんの?友達がプレイしたら応援するのは当たり前なことだよ。それに私やることがないし。なにするって言うのよ」
そう、全く理科不能な蠅を美春は眉をひそめて遠ざけた。確かに、美春の言うこともわかる。わかるが……………。
「だめだ!とにかく絶対だめだ!応援は絶対に禁止だ!」
そういったら、美春は頬を餅のようにぷっくり膨らませたが、僕は美春と会話をせずにその場を離れた。
とんでもない。美春が僕を応援するたびに、周りの男子から放たれるあの茶色の矢は場違いなペイントを掛けられた絵のような嫌な気持ちになる。
自分は全く活躍していないのに、女子から応援されていること自体が、全く他の男子にとって居心地が良くなく、そのたびに微妙な気分になってはこっちがたまらない。
僕の言葉が、納得できないにしても何とか理解できたのが、その以後美春からの応援はなく、僕は適当にバスケのプレイをした。
ボールを追いかけてる最中、ちらりと女子達の方を向いたら、美春はプレイをしている男子達に向かって背を向けていた。




