表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

ヒモの章 8

■title:八丁目・ゲート付近

■from:アリス



「勇んで来たものの……いませんね」



 逃げるなら転移ゲート付近だろう、と見込んで騒乱の現場から最も近いゲート前に先回りしたものの、ゲンゴローさんの姿は無い。



 よくよく考えてみれば相手は土地勘が無い。地元の人間が当たり前のようにやる、最短の道を選ぶという選択がそもそも無いので、そういう道を選ぶという判断がそもそも間違っていました。



 とりあえず走って、逃げる――そんな感じだったんでしょう。


 裏路地を駆けに駆けて駆けまわり、最寄りではないゲートから逃げおおせる可能性が高い。今日のうちに決着つけたいのに。



 また、盗みを働くかもしれない。


 ひょっとすると、それ以外の罪も。


 ママに頼るぐらいしか、追いかける方法は――。



「あ、でも……」


 捕捉する方法はあるかもしれない。


「ジャバ? いますか?」



 呼びかけに応じてくれない。


 応じないという事は傍にいないという事だ。



「…………」


 思わず、頬がほころぶ。


 ジャバは賢い子だ。


 言われた通り、「見ているだけ」なのだろう。



「スナークハント――指ぬき忘れず目は皿に」


 足元を中心に青い法陣を展開。


 探査の魔術を立ち上げる。



 出会ったばかりの人を探し出せるほど、私の魔術は優れていない。サングリアには何千、何万を超える人達が入り乱れている。


 でも、生まれた時から一緒だった子なら話は別だ。


 私でも、十分追える。



「いた」



 振り返る。探査に引っかかったのは北側の方角。


 直ぐ近く、というわけではない。


 私のゆらゆらと伸びている赤い糸をしっかりと手に掴む。



「最短距離は、やっぱり屋根の上ですよね」


 北の路地裏を走っている「影」の事を想う。


 いつも付き従って、私を守ってくれている子の事を。


 糸を辿ればそこまで追いつける。



「スナークハント――狩りに費やす希望とフォーク」


 足元に二つ、赤い法陣を展開。


 視線が少し高くなり、ハイヒールからヒール部分を排除した靴が足を包む。外装型の身体強化術。身体強化も治癒ほど得意では無いのですが、ゲンゴローさん追うならこれで十分です。




「いま、行きますね」


 一飛びで屋根上に飛び上がり、着地と同時にほぼ足を蹴ってほぼ水平に移動。得意では無い身体強化ですが、こうして風に当たるのは気持ち良いものがあります。



 最短で通るため、調子に乗って塔を飛び越す大ジャンプ。


 飛び越しつつ、飛距離を伸ばすために回転していると下が大空。上がサングリアという状態に。広がる街並みを眺めていると、笑みがこぼれてくる。



 ママとパパが苦労しつつ、時に楽しんで大きくしてきたこの街は私にとって飽くなき遊び場です。同じ街並みでも通る人々、織りなす会話で景色は万華鏡のように変わっていきます。



 トラブルもありますが、私はサングリアが好きです。


「っ、と……」


 ちょっと景色に見とれ過ぎました。



 体勢を整え損ね、頭から地面へと落ちていく。


 伸びた赤い糸は下へ――地面に向かって伸びています。


 眼下には走るゲンゴローさんの姿も。




「――――ジャバウォック」


 赤い糸の生えた走る影が泡立つ。



 平面から立体へ。


 黒い液体が空へ、私に向かって伸びあがり、軽く私を小突いて天地を逆に整えてくれました。そしてそのまま二人で着地。



「ありがとう、ジャバ」


 私の傍に黒い犬が立っている。


 その首には私から伸びた赤い糸がリードのように繋がっています。赤ちゃんの時から一緒なので、ジャバなら簡単に探せます。



「で、ゲンゴローさんはあちらですね」


 今度は地上を水平に飛ぶ。


 一人ではなく、ジャバと二人で。


 ジャバが追跡してくれていたおかげで、ゲンゴローさんまでの距離はもう少し。薄暗い路地裏を駆け飛び、声をかける。



「ゲンゴローさん! ちょっと待ってください!」


「うわっ! もう来たのかよ……!」



 息を乱しつつ、駆けるゲンゴローさんの先に回り、壁に立ち、足を曲げて着地の衝撃を受け流す。


 私の姿を見たゲンゴローさんは慌てて脇道へ。



 サングリアは広く、私ですら未知の場所がまだまだあります。


 でも、この辺は私の庭です。






■title:八丁目・路地裏

■from:盗人のゲンゴロー



「くっそ……! なんだそのチート!」


 魔術ってヤツなのか。アリスたんは子供とは思えない脚力で跳ね、容易くオレを追い抜いて立ちはだかり威圧してきた。



 気圧されて、思わず脇道を逃げる。


 子供相手だから楽勝――という考えが頭をよぎったものの、ただの子供があんな動きして追いついてこれる筈がない。クールに冷静に対応しないといけない。



「ハッ……ハッ……ハッ……」



 いいアイデアだと思ったのに。


 着想は良かったんだ。ちょっと欲張って相手の荷物持ちすぎて、重くて転んでトチっただけで。失敗しても愛想笑いで切り抜けれていた筈が、運悪く捕まった相手が物乞いして殴られた時と同じ相手だった。



 オレは悪くなかったけど、運が悪かった。


 こっちに来てからこんなことばっかりだ。



「だー……! くっ、そ……!」


 声が出ない。


 心臓バクバク鳴って、膝が痛いわ脇腹も痛い。


 39歳引きこもりに走らせる距離じゃねえ。



 気づけば歩くのと大差ないスピードになっている。


 それでも進み、逃げる。



 今回は失敗したけど、逃げ切りつつある。


 次はもっと上手く――。



「っ……うわっ!?」


 立ち止る。



 逃げ道は途切れ、宙に浮いていた。


 周りは大きな穴になっている。


 底に見えるのは地下か……?



「そこは崩落現場です。元、ですが」


 後ろから声がかかる。



 アリスたんが大型犬を侍らせ、ゆっくり歩いてきていた。







■title:八丁目・崩落現場跡

■from:アリス



「サングリアは一丁目を中心に地下街が広がっているんです。街が出来た当初、ドワーフの人達が希少金属を求めて地下を掘り進めていったために」



 採掘上手なドワーフ達――他の種族も協力していましたが――はこぞって地下に潜り、無節操に地下を掘り進めていきました。希少金属はサングリアを潤わせてもくれましたが……。



「定住するわけでも無く掘り進められ、誰もいなくなった地下街にはモンスターが住み着きました。そして、ここみたいに街が突然崩落する、という場所も出てきたため、サングリア地下の採掘は禁止となったんです。整備されたために見た目は大分マシになってますが、穴空いた時は酷かったそうですよ。人死も出たので誰もあまり近づきたがりません」



 地下迷宮はある程度埋め立てられましたが、神様が放ったモンスターの中には穴を掘る種もいたため、全てを塞ぎ切れていません。違法でもこっそりと地下採掘している人達も一部いるそうです。


 オマケに場所によってはスラム街が形成されており、地下封鎖は長らくストップしている状況。時折、冒険者さん達に依頼を出してモンスターを狩ってもらう地下ダンジョン状態です。とりあえずこれ以上、崩落はしないように魔王様が処置をしてはいますが。




「いまゲンゴローさんがいるのは元は道路だった場所です。ご覧の通り、途切れてしまっていて危ないので、反対側に飛ぶという事は止められた方がいいかと」



「う……うっせ! やってやれない事はねえ!」


「5メートルはありますよ」


「うぐっ……」



 穴の深さに至っては30メートル程ある。


 ゲンゴローさんが落ちれば、下手すると即死でしょう。



「……何故、盗みを働こうとしたんですか?」


「お、お前が働け働けってせかすからだろ!? それに盗みっていっても未遂だ! イコール、実質的にはやってないに等しい!」



「その理屈を先程のオークさんに言って、通るとお思いですか?」


「…………」


「ゲンゴローさんは、そんなに重い借金があるわけではありません。チャンスも転がっていました。いままで働いてなかったために、二の足踏むのは……一応、わかりますが、いくら何でも盗みに走るというのは短絡過ぎです」



「オレは悪くねえ! 生きるために必要な事をしただけなんだ!」


 ゲンゴローさんがいきり立ち、唾を吐く勢いでまくしたてる。




「そうだ、オレは悪くねえ! 人間は食って生きていくために自分達より弱い牛や豚や鶏を殺して食べてるだろう? 無理やり繁殖させてそいつらの子供だって食ってる畜生だ! でも裁かれない! 生きるために必要な事だからな。食うに困っているオレが盗みしちゃあいけないなんて理屈、存在しねえんだよ!!」




「未遂とはいえ犯罪で、相手がいる以上は糾弾されてしかるべきものです。もう一度言いますが、チャンスも転がっていました」


 一度言葉を区切り、息を整える。



「あなたは楽な方へ……水のように、下へ下へと流れていっただけです。生きようとしたのではなく、楽をしようとしたんでしょう?」



「…………あぁ、そうだよっ」



 ゲンゴローさんが両ひざをついてうずくまり、頭を抱える。






「39歳で今までバイトすらした事なかったオッサンが、こんな異世界に異能の一つも持たずに放り出されて生きていけるかよ。会話通じるとかデフォルト機能みたいなもんだろ。……怖くてたまんねえよ……いずれその辺でくたばる……ゆっくりと死刑されているようなもんじゃねえか……」



 ああ……やっぱり、この人も怖かったんだ。


 不安だったんだ。


 だから混乱して、窮して、犯罪なんかに手を染めてしまった。こちらの世界に来なければそこまでの事はしなかったかもしれないのに。




「元の世界でもそうだったんだよ! 高校デビュー失敗して、ちょっと学校休んだら、もう行きづらくなって……そっちの言う通り、下へ下へ、楽な方へ流れていってるうちにこの年さ!」



「…………」



「無理なんだよ……いまさら……」




 うずくまるゲンゴローさんに歩み寄る。




「手伝います。ずっととはいきませんが、せめてこの世界の歩き方、生き方はある程度はわかるまでは」


「け、けどよ……」


 涙声をゲンゴローさんが漏らす。



「大丈夫、お仕事が見つかれば身を焼く焦燥感からも救われますよ」


「……ゆ、ゆるしてくれるのか?」



「私は、ゲンゴローさんのこれからの行いで判断します。でも、迷惑をかけてしまった人達には謝りにいきましょう。私も一緒についていって、貴方が殴られそうになったり、お金を要求されそうになったら守ります」


「ああ……うぅ……」




 ゲンゴローさんが顔を伏せたまま、手を伸ばしてくる。



 その手を取り、触れる。




「だから、一緒に頑張りましょう」




 ゲンゴローさんが私の手を握る。


 ぎゅっと握りしめ、逃げられないように。




「――――えっ」


 急に景色が流れる。



 気づくと、私は空中にいた。


 逆さのまま空が遠ざかっていくのが見える。


 あ、これは間に合いませんね。



 私は穴を落ち、頭から地面に叩きつけられました。








■title:八丁目・崩落現場跡

■from:人殺しのゲンゴロー



 鈍い音が微かに届く。



「…………」



 自分が落ちないよう、下を覗き込むとアリスたんがいた。


 頭から落ちたんだろう。薄暗い中に俯せで倒れている。





「ハ……ハハ、ハ……」



 やっちまった――いや、やってやった。


 胸が、スッとした。



 ガキ一人、投げ捨てて殺すなんて楽勝だったぜ。



「ハハハハハ……」


 ああ、今ならアンタの気持ちがわかるよ。


 ババア――お前も、清々したんだろ?




「バーーーーーカ! ガキのくせに大人に説教たれるとか100万光年早いんだよ! アキレスとカメ並みに早えんだよ! オレが……だああっ! くそっ! なーにが楽しようとしてただ! わかりきった事を偉そうに高説垂れやがって! オレ様が言った事ぐらいメモしとけ! 弱い牛や豚や鶏殺しても裁かれない! つ・ま・り! お前みたいな雑魚チビ殺したとこでオレは裁かれない」




 穴の底のガキが微かに動いた気がした。


 いや、流石に死んだだろ?


 30メートルを真っ逆さまに、頭から落としてやったろ?




「ハハ……最初からこうすりゃ良かったんだ」


 かつて、絞められた首をなぞる。



 あのババア、人の寝込みを襲いやがって。


 メシに薬まで盛ってたのか?


 クソきったねえ真似しやがる。



 おかげで、オレはこのクソったれな世界に送り込まれた。




「確かアイツ、ケッコー金持ち歩いてたよな? 宝石も持ってたような。死体から漁ってやろ。あ!! アパートにあるもんも持てるだけ持っていってやろ」



 一度死んだけど、オレは生き返った。


 覚えとけよ。お前がこっち来たら、必ず殺してやるからな。


 もう、既に一人殺してやったんだ。



 二人三人……何人でも、やってやれない事はねえ。




「なあ! いいよな!? お前、もう死んだんだから! アリスたんの遺産はオレ様が有効活用してヤンヨ! それを元手にオレは大逆転してやる! こっから始まるサクセスストッ――」




 何かが、パンッ、と弾け飛ぶ音がした。



 同時に、何故か地面に倒れ込む。





「ぐえっ!」


 舌を噛んだ。


 いたい。



 いや、舌じゃない。


 下だ。




「はえっ――――?」


 自分の下を見る。




 膝から下が丸々無くなってた。


「はえええええぇぇぇぇーーー!?」



 わけわかんなくて叫ぶ。


 なんかいる。


 黒い犬がいる。



 いや、犬じゃない。


 ちょっとデカす、あ、








■title:八丁目・殺人現場

■from:アリス



「あ、ああー……やっぱり、やってる」


 軽くおでこを摩りつつ、身体強化で壁を蹴って上に戻る。




 見事に頭から落ちたのですが、別に痛みはありません。


 血も出てません。


 呆けて何の対応も出来ずに落ちたのが恥ずかしいだけです。




「ジャバ、もう……私に任せてって言ったのに」


「…………」


 赤いペンキをぶちまけたように汚れた道の上、ジャバがツンとした様子でお座りしています。



 私が――服汚れた程度の実害しか無いとはいえ――害されて、代わりに怒ってくれたのでしょうから怒り辛いです。



「…………」


「え、私が殺された? 死んでませんって、ぴんぴんしてるでしょ? 高所から落ちて頭打った程度、ママがかけてくれた加護の物理障壁は抜けませんよ」


「…………」


 ジャバが、少し心配げに私の方へ振り向きました。




「大丈夫ですよ。ほら、この通り。騎士の鉄槌もドラゴンのブレスも、ママがかけてくれた加護の前では蚊が刺したもんなんですもん。そりゃ、土でちょっと汚れはしましたが……ジャバだって私を殺す事は物理的に出来ないでしょう?」


「…………」


 ジャバが私の手のひらを噛んできました。



 加護なんて無くても痛くない、優しい甘噛みです。


 彼の罵倒を聞き、怒ってくれたのかもしれません。




「……心配させて、ごめんでした」


「…………」


「ありがとう、ジャバ」



 ジャバはずぶずぶと、巣穴に帰るように私の影へ入っていき、消えました。影の中にいてくれているんでしょうけど。




「……しかし、ちょっと、マズい事に」


 ちょっとどころではありません。




 ゲンゴローさんがいた位置に真っ赤な液体と共に肉片が転がっています。


 下にいたのでよく見えなかったのですが、ほぼ即死でしょうか? ジャバは人を殺す時に遊びは入れないので、即死の筈です。


 よっぽど怒ってたらわかりませんけど。




 肉の大多数が下に落ちたようですが……ここでもいける筈。



「緊急のようなので、勝手に治癒術をかけますが、よろしいですか? 自殺願望あったわけでは無いんですよね? もう返事できないのはわかりますが、形式上だけ聞いておきます」



 あまり時間が経ち過ぎると間に合わなくなる。


 とりあえず、この場は私が何とかするしかありません。


 きっちり対価は取られますが――。



「ずんぐりむっくり落っこちた。誰もが割れると知っていた」


 私を中心に紅の法陣が広がる。


 肉の欠片達が、赤い糸達がふわりと宙に浮き始める。



 欠片に糸を通し、編み上げるイメージを脳内に描く。


「ずんぐりむっくり息絶えた――けれども貴方は、彼じゃない」


 パンッ、と空気が鳴る。



 それより少し早く、手のひらを上向きに握り込んだ私の目前。ゲンゴローさんが立っていて――即死したと思わしき場所。




 そこに、五体無事のゲンゴローさんが立っていた。





 ゲンゴローさんを構成する血と肉はぶちまけられたままですけどね。新しい身体はまったく別に作り上げているので。




「は――は? なに? 何があったの?」


「おはようございます。ゲンゴローさんは私を穴に落とした後……ええっと、なんというか、不慮の事故で即死されてました。でも、もう治ったので大丈夫です。成功して良かったです」



 治癒には自信ありますが、私の蘇生術リザレクション成功率はまだ七割程度なので。まあ、とにかく生き返って良かったですね。



「おっ、おま、おま……!」


「さっきはよくもやってくれましたね。改心してくれたと信じてたのに、見事に騙されましたよ」



 ちょっと怒っているので、少し頬を膨らませておく。



「お前、死んだだろ!」


「死にませんよ、アレぐらいじゃ。だって加護が……えーっと、細かな説明を省くと、魔術パワーで無敵です。カッキーン!」



 わかりやすく胸の前でバッテンマーク。


 ゲンゴローさんの表情が引きつり、青ざめました。


 いや、青ざめてるのは最初からですね。



「あ、あ、あの……」


「はい」



「出来心だったんだ! つい、魔が差したっつーか!」


「はあ」


「な、な? 許してくれよ! そんな悪気無かったんだ! あ――いや、違う! 手が滑ったんだ! こう、ちょっとばかりダイナミックに! 殺意は無かった! ……な、なんだよ! 人が下手に出てやりゃあ不満げな顔しやがって! オレに殺意あったってゆーなら証明してみせろよ!」




 もう頭痛くなってきました。


 ちょっとこめかみ押さえておきます。




「もう……アレです、ゲンゴローさんの人となりがよくわかってきました。でも、訴えたりはしないので、ちょっと屈んでもらえますか?」


「え、うん?」




 屈んだ頬を平手でたたく。


 軽めに打ちましたが、音だけはパチーンと良い音しました。




「今のは服を汚された個人的な恨みの分です。これ、ママが魔術で編んでくれた手作りの品なんですからね……激おこです」


 ゲンゴローさん、絶句中。



「あと、あなたにはアパートを出ていただき、当方の開拓街に行っていただきます。抵抗は無駄です。誘拐覚悟で連れていきます」


 言葉を切り、少し呼吸する。




「借金はもうキッチリと取り立てさせていただきます。もう一度、勉強用の教科書も渡しますので、暇な時間は勉強して……お金貯めて、ちゃんと生きて、自立していってください」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ