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妖村  作者: 組長
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最後の日常

今回から新たにホラー小説を書いてみました。よろしければ最後まで読んでいただければ嬉しいです。

 俺が小さい頃にじーちゃんは言っていた。この日本には昔から鬼や大きな虫、剛虫と呼ばれる存在がいる村があると。俺にとっては単なるおとぎ話のような話であったが、その時のじーちゃんの話す様子は、子供に優しく語るおとぎ話とは違う真剣な表情であった。この話を俺はじーちゃんがなくなった10年後に思い出すことになる。

 20××年夏、俺はそこらへんの大学生と変わらない大学生活を送っていた。俺の名前は浅沼海斗、都内の大学に通う大学三年生だ。大学生のこの時期は夏休みの真っ只中である。いつもはバイトで忙しいのであるが、今は大学の親友と共に俺の住んでいる近くの神社で行われている夏祭りに来ていた。

「なんかこういうところの夏祭りって街の夏祭りのように大きくはないけどさ、雰囲気がいいよな〜。」

そう俺に言ってきた奴が俺の親友である木場修也である。男二人で夏祭りもどうなのかと思ったのだが、修也がどうしても行きたいと頼み込んできたので嫌々ながらも一緒に来ているのである。

「まあ確かに人もそんないないし、バイト休みの日に来るにはもってこいかもな。」

「だろ!やっぱりここ来て正解だったよ。あ、金魚すくいやってるよ!海斗、これやってもいい?」

修也のはしゃぎっぷりはまるで親に連れられて来て夏祭りを楽しみにしていた子供のようであった。

「それ俺に聞くことか?まあ…お前がやりたきゃやればいいんじゃないか?」

「やった!そんじゃ海斗の奢りね!」

「いやなんで俺の奢りなんだよ⁉」

どうやらこいつは子供のようではない、完全な子供だ。俺の困惑した顔見ながら笑う表情はまさに悪ガキのような笑顔だった。こんな会話を二人で続けながら俺たちは祭りを楽しんでいた。まあ主に楽しんでいるのは修也の方なのだが…屋台で買うごとに奢れ奢れの一点張りで俺の財布はどんどんと減っていった。

「次は綿飴食べようよ!」

「もうこれ以上は奢らないからな。」

「え〜まだ綿飴とか食べた)))もう終わりな?」

修也は拗ねた表情を見せながら分かりましたよと言って綿飴の屋台に入ることをやめた。やっとこれで財布も減らなくて済むのか…俺は安堵の溜息を漏らした。

「そんじゃ祭りもそろそろお開きにしてさ、海斗の家で酒でも飲もうぜ。」

「それはいいけど、酒代はお前が払えよ?」

「マジかよ…俺今月お金が…」

「いやお前が払え。」

俺に散々奢らせたんだ、これぐらい俺も仕返しをしなければやってられない。結局酒代は修也が払うことになり、これで金額はお互い様という感じになった。

 祭りの場所から10分もしないところに俺の住んでいるアパートがある。祭りで買ったお好み焼きや焼きとうもろこし、コンビニで買ったお酒を手に持ち、俺たちは帰宅した。

「ちょっと待ってくれ、なんか郵便とかきてないか確かめるから。」

俺は郵便ポストに何か入ってないか調べた。すると一通の手紙が入っていた。送ってきた人の名前は小野由香。

「誰だ…小野由香って。」

もしかしたら間違えて入ってしまったのかもと確認すると、「拝啓浅沼海斗様。」確かにそこには俺の名前があった。場所は何処かと見て見ると宮古村と書かれていた。俺はその村のことを知っていた。

「じーちゃんの住んでた村だ。」

俺はその手紙を見て10年前に死んだじーちゃんのことを思い出した。俺が郵便ポストの前で動かないのを見ていた修也が近づいてくる。

「どうしたんだよ海斗、早く家に入ろうぜ。」

修也の言葉で俺は我にかえった。手紙を雑にポケットの中に入れて部屋の鍵をあける。この後この手紙によって俺たち二人の日常が崩れてしまうのをその時知る由もなかった。


どうでしたか?よろしければ感想やレビューなどお待ちしております。最後まで読んでいただきありがとうございました。また次回も読んでもらえると嬉しい限りでございます。それではまた次回お会いしましょう!

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