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空き時間

「作戦の変更はないとういことでよろしいですね?」


敵の交渉相手がいなくなったあと、俺とゼルエルが部屋に2人で残って話しをしていたのだった。


「変更はない。

けど、俺と勇者がこの城をのとったことによって、こんな面倒ごとに巻き込んでしまってゴメンな」


俺は見方によっては、略奪者なんだということを自覚してた。

それに、肝心の勇者は人間界で死刑宣告を受けてる。

ってことは、俺と勇者がここを占領している正当性にも疑問符がついてきそうなものだ。

だが、今は、俺についてきてくれた者達を守らなければいけない。


「いいえ。こっちの兵士の数を知っていながら、あんな大軍でくるような奴らにこの城を治める資格なんてなかったのですよ」


ゼリエルは嫌な奴を思い出すように言ったのだった。

前の魔王と何かあったのだろうか?


「そう言ってくれると助かるよ。

あと、これが終わったら、レリエルと一緒に相談したいことがある」


俺は、リリさんが人間界で死刑宣告を受けたことをレリエルとゼリエルに相談したかったのだ。

だが、大軍が攻めてきたことによって、優先順位から考えてリリさんの方があとなってしまったのだ。


「勇者のことですね?噂は耳にしてます」


まだ、この城に戻ってきたばかりなのに、ゼルエルまで情報がいっているのが早いな。

だが、有能である証明でもあるのだろう。


「そうだ」


「わかりました」


ゼリエルは表情を変えずに答えたった。


「ところで、隊を組むまで1時間待ってくれるって言ってたが、戦うのは俺だけだから隊を組む必要がなく、時間があまっちゃうんだよな。

城の中をまわって様子でも見てくるか?」


「そうしますか。

でも、事情を知らない敵軍からすると、いつになったって兵士が城から出てこないから、不思議に思うでしょうな?」


「そうだな」


そうして、俺とゼルエルは一緒に城の中をまわったのだった。



みんな死ぬことまで覚悟を決めている様子だった。

何か励ましの言葉でもかけて回ろうと思ったが、ここで問題なく終わるからと言っても、戦いが終わるまで緊張は解けないだろうから、結局、声はかけずまわったのだった。


なお、リリさんのことが心配だったので、ゼルエルを部屋のそとで待たせて、リリさんに会ったのだった。が、人間界で死刑宣告を受けた精神的ショックが大きかったらしく、部屋の隅で座って下を向いたままで、話しかけても、反応がなかったのだった。

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