降伏勧告
俺とゼリエルは、魔王城の5階にある敵軍を一望できる場所に来たのだった。
魔王城は、魔王城が治めている商業地や住宅街に囲まれてをり、その周りに塀がある。
そして、塀のそとに畑や森、空き地がある。
敵軍は空き地部分に集まっている。
「10万人規模の軍でしょうか」
ゼルエルは敵軍の様子を見て言ったのだった。
いくつかの人数にまとまって隊を作っており、それぞれ掲げられている旗の色や意匠が違った。
「敵軍を見た様子から戦力を推測で解説させていただきます。
魔王城の戦力は、もともと5万人規模でした。
3万人が直轄領土から集めた兵士。残り2万人が魔王城の属国の兵士になります。
それで、現状、魔王城に残っている兵士の数は1000人です。
すると、約51000人の兵士をこの魔王城の元魔王は交友を持っていた他の魔王をまわり兵士を集めたのだと思います」
ゼルエルはたんたんと話したのだった。
そこに1羽の鳥が飛んできたのだった。
「うちの兵士が伝達用に飛ばす鳥です。
私が見えたので飛ばしたのでしょう」
ゼルエルはそう言いながら鳥を肩にとまらせ、手紙を受け取って、内容を読みだした。
「『戦いに前に、魔王城の責任者と話しをしたいと言っている者が門に来ているので、どのように対応したらよいか指示をお願いしたい』というものです。
おそらく敵は圧倒的な兵士の数の差を見せて勧告をうながすつもりなのでしょう。
あちら側も魔王城を無傷のままにしたいため、本格的な戦闘にしたくないと思っていると思われます。
いかがしますか?」
「話しに行こう。
もしかしたら、お互いにとっていい道があるかもしれない……」
「わかりました」
「それで、ゼルエル……。
言いづらいんだが、決断するような内容は俺との相談にしたい。
だが、メインのやり取りは、ゼルエルがして欲しいのだけどいいかな?」
「なんなりと」
ゼルエルは、微笑みながら言ってくれたのだった。
俺はゼルエルに案内され、歩いて門に向かった。
瞬間移動という手もあったが、一瞬でいくとこっちが焦っているようで弱く見られるから、ゆっくりと行って余裕を見せようということだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それで、敵の交渉者はどこにいる?」
ゼルエルは門兵に向かって、言ったのだった。
声のトーンから落ち着いていることが伺える。
「こちらの部屋にいますのでご案内します」
門兵は緊張しているのか、顔は強張っていた。
そうして、ゼルエル、俺の順に中に入ると、すぐに中に入るものから話があった。
「お久しぶりです。大将軍」
「お前が交渉相手なのか?」
「そうです」
ゼルエルと交渉相手が、そんな話しをしながらお互いイスに座った。
間にテーブルがあり、飲み物は3人分の用意されていた。
「すみません。アレン様。
この者は、私の軍に昔いたものでよく面倒を見てやった奴なんですよ。
おそらく私と仲がいいと知っていて交渉相手として、敵方は選んでよこしたのでしょう」
ゼルエルは楽しそうに言ったのだった。
久しぶりの再会を喜ぶように。
「おっしゃるとおりです。大将軍。
大将軍に降伏をお勧めします。
この兵士の数の差では、いかに大将軍が強くても勝つのは無理です」
敵の交渉相手は俺をにらみながら言ったのだった。語気を強く。
ゼルエルが面倒をみてきたというように、愚直な印象を受ける。
この者からすれば、俺にうらみしかないだろう。
「負けるのはお前だぞ。
俺が言ってきたことをちゃんと思い出せ」
ゼルエルは優しく言ったのだった。
ゼルエルからすれば、まだ弟子のつもりなのだろう。
「ちゃんとおぼえてます。
ですが、今回のことは大将軍が間違えていると思います。
交渉決裂ということになるのですね?」
敵の交渉相手が言い終わると、ゼリエルが俺の方を見た。
俺はゼルエルの目を見て頷いた。
「決裂だ」
ゼリエルは、交渉相手の目を見て言ったのだった。
「では、1時間後に戦は開始で。
大将軍側は、まだ兵士を並べてないので待ちますので。
こっちらは、1km程度離れて兵をならべますので」
敵の交渉相手はそう言って、勝手に部屋から出て行ってしまったのだった。
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