死刑
「じゃあ、教会のある王国に行くわよ」
料理を食べ終わって、少しゆっくりして、出発することになったのだった。
確かに、料理はあっちの料理の味と似ていた。
「ここに瞬間移動してね。
あっ、いきなり瞬間移動すると驚く人もいるから、村から出てからにしましょう」
リリさんはそう言いながら、地図を出して、行き先の場所を指したのだった。
そうして、店から出たのだった。
「どうして、教会に行くのですか?
どこかの王様とかに報告するのかと思ってたのですが……」
俺が昔やったRPGでは、勇者は王様から頼まれて魔王をたおしに行くことがほとんどだったからだ。
しして、褒美をもらいに王様のところに行く。
「魔王退治は、たくさんの王様達が困ってて求めたことでね。
それを教会が取りまとめているんだ。
いわゆる魔王対策本部ってやつだ。
あと、あっちの世界に戻るポイントは教会にあるの。
教会で報告してから、あっちの世界にいったん戻ろう」
「そういえば、ずっとこっちにいますが、時間差とかどうなっているのでしょうか?」
「こっちの世界とあっちの世界は、時間に差はないわ。
だから、こっちで1日過ごせば、あっちでも1日過ぎる。
アレンのご両親には学校から話してあるから大丈夫よ。
学校で応接室で待ってもらう時間が長くなってしまったのは、アレンのご両親に了解をもらうためだったのよ」
俺は、学校が両親にどう話したのか気になったが、あっちの世界に戻ったときに確認すればいいと思った。
これから教会に行ってすぐにあっちの世界に帰れないかもしれない。
そうすると、戻るタイミングによって両親に説明する内容は変わってくるだろうから。
それに、学校が説明してくれているのなら、仮に学校に出席しなくても、卒業できるようになんとかしてくれるだろう。
そんなことを話しながら歩いているうちに、村のそとにでて、人目につかないところにきたので、瞬間移動したのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うん、教会のある王国の近くにちゃんと着いたわね。じゃあ、王国に入るわよ」
王国に入るときに、門塀がいて、リリさんが通行手形を見せて入ったのだった。
「あれが、王城ですか?」
俺は魔王城と同じくらい大きい城が見えたので、指でさして、リリさんに聞いたのだった。
「違うわよ。
指でさしたところが教会よ」
俺とリリさんは雑談しながら大きい城のような教会に向ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺とリリさんは教会に入り、受付の人に事情を説明した。魔王退治の進捗状況の報告に来たと。
すると、小さい応接室で待つようにとあんななされた。
そこで、1時間経ったあと、教会の人がた。
「別のところに行きますのでついてきてください」
教会の人はそう言って、前を歩き出したのだった。
「あっ、広い中庭に行くのかな?
もしかしたら、人をたくさん集めて表彰式でもやるのかもしれない」
リリさんは今までの勇者ができなかった優秀な成績を残せて、なにか褒美がもらえるのではないかと思っていて嬉しそうな顔をしている。
俺が今まで見てきたリリさんの中で一番機嫌がよさそうだ。
ルンルンだ。
なんだか鼻歌が聞こえてきそうだぜ。
だが、向かっている方向に魔力の高まりを感じるのはなぜだろうか?
案内をしてくれた人が、中庭の扉を開けた。
中庭はリリさんが想像していた通りに人はたくさんいた。
が、殺気立っている。
そして、弓矢をこちらに向けており、魔法の詠唱をしているものがいる。
「魔王と結託した罪で、リリアーナ=アイアゲートを処刑する」
大きな木の杖を持っている長い白い髭を生やした者が言ったのだった。
服装からおそらく神官なのだろう。
中央の一番奥にいて、一番偉そうだ。
その隣には……。
魔王城にいたメイドがいる。リリさんが部屋決めのときに何度もはたいた。
服装が変わっているので雰囲気が変わっているが、確かにそうだ。
なぜだ?魔王城にいた者がなぜ教会に?
魔王城にいたメイドは、黒い羽を広げてゆっくりと飛び、白いドレスをヒラヒラさせながらリリさんに近づいてきている。
「えっ、どうして?」
リリさんはそう言って、状況についていけず、訳がわからないという顔で座り込んでしまった。
「あのときはお世話になったわね。
あなたにはあのときの罪で、ここで死んでもらうわ」
魔王城にいたメイドは、リリさんの髪をつまみ上げながら言ったのだった。
魔王城にいた時との状況とまったく逆だ。
「私が直接殺さないわ。
同じ人間に殺されなさい」
魔王城にいたメイドはそう言って、黒いは広げて、長い白髭の神官の後ろに戻って行ったのだった。
「死刑、執行する」
長い白髭の神官のがそう言った瞬間、弓矢や魔法が飛んできた。
魔王城で魔王の部屋で受けた攻撃より強い。
俺は、《混沌》を使いリリさんも含め身を守り、さっき食事をした村に瞬間移動を使い戻ったのだった。
さっきまでいた場所だから、まだ追っ手とかはいないだろうと思ったのだ。
「リリさん大丈夫ですか?」
「……、……」
声が返ってこない。
座ったまま、下を向いて肩を震わせてる。
泣いているのだろうか。
『ビュゥーーー』
氷魔法が俺達をめがけて飛んできた。
俺は《混沌》を使って守る。
飛んできた方を見ると、白い羽が生えている者が空を飛んでいた。天使なのだろうか?
そして、次々に攻撃を仕掛けてくる。
時間が経つにつれて、天使が増えて来て、攻撃も強くなってくる。
《混沌》の守りに問題はないが、このままでいるのは良くない。
状況を打開するために、天使を殺すということも考えられる。
が、状況がわからないまま天使を殺すのはよくないと思ってしなかった。
そして、俺は魔王城の部屋に瞬間移動したのだった。
俺は状況を打開するためにレリエルに会って話そうと思った。
それなので、リリさんを部屋に置いて、近くにいた魔王城の者にレリエルのとこに連れてってもらった。
「ーーーアレン……」
レリエルは困った顔をして俺の方を見た。
そして、『ギュゥッ』と抱きしめてきて、上目遣いで俺の目を見てきた。目を潤ませているような気がする。
なにか問題でも発生したのだろうか?
「アレンがこの魔王城を攻めてきたときに逃げた臆病者達が、大軍を率いて攻めてきて……。
今の魔王城の戦力では勝てそうもないの。
それで、どうしたらいいか困ってたところなの……」
俺は戻ってきたときに、不思議に思ってたことがあった。
魔王城全体で殺気立ってる印象を受けていたことと、そとで大量の魔力の反応があることだった。
だが、それは大軍が攻めてきたからだったのかと思った。
「わかった。
リリさんを部屋に残してあるから、信頼できる誰かに警護させてくれ」
俺はレリエルに話して、そとへ向かったのだった。
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