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東方外遠記  作者: 颯人
第8章 再び幻想へ ~Again to the Fantasy~
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地下からの脱出

数時間後、俺の予想通り謙治の部下が音も無く近付いて来た。無音で近付いてくる術は中々だけど、気配がただ漏れじゃあねぇ。


「数は3人みたいですよ兄さん。大人数じゃなくて良かったです。」


「大人数だと気付かれると思ったんだよ良太。こういう暗殺みたいなものは少人数で手早く行うのがセオリーだからな。」


俺と良太は小声で会話しながら寝たふりの演技を続ける。謙治の部下達は俺が寝ているのを確認している。


「こんなところで寝ていやがるぞこいつ。しかも隣には泊谷良太がいるじゃねえか。」


「ついでに殺ってしまおうぜ。泊谷良太を殺せば赤巫女も謙治様に協力すると思うからな!」


こいつら暗殺のセンスねえな。暗殺するターゲットの前で話す馬鹿がいるのか?妖夢、妹紅、レミリア、出番だぞ。


「「「はあああああ!!」」」


「「「ウギャァァァ!!」」」


妖夢は持っている桜観剣の鞘で、妹紅は飛び後ろ回し蹴りで、レミリアは突進の勢いを利用した飛び蹴りで謙治の部下達に攻撃して無力化させた。


「ナイス3人共、こいつらは身動き取れないように縄で縛っておくか。」


首の下から足首の上ら辺までを縄でグルグル巻き付けてと。


「聖人、地上に出る入口が開いたわ。そこから皆で脱出するのかしら?」


「いや、この人数で地上に出ても見付かって捕まるのが目に見えている。それに、そろそろ来るからな。」


俺が咲夜に説明し終わった後、目の前の空間にスキマが現れた。出るタイミング計ってたな紫?


「待たせたわね皆。それと聖人、よく幻想郷に戻ってきてくれたわね。」


「戻ってくるのは当然だろ紫。じゃあ良太以外は紫のスキマの中に入ってくれよな。」


俺がそう言うと皆は頷いてスキマの中に入っていく。レミリアから文句を言われるかなと思ってたけど、俺の言うことをすんなりと聞いてくれたな。


「レミリアも分かっているのよ。ここは聖人の言うことに従うべきだと。あっ、ついでに健二を出しておくわね。」


紫は持っている扇子を開くと、俺の隣の空間にスキマが現れてそこから健二がうつ伏せの状態で出てきた。


「うぐぇ!おい紫、もうちょっとましな方法で出してくれよな!」


「ごめんなさいね、手が滑ったのよ。悪気はこれっぽっちもないわ、くすくす。」


「胡散臭い笑い方してる時点で悪意マックスじゃねえか!あっ、おい待つんだぜ!」


健二が紫に弾幕をぶつけようとする直前に紫はスキマの中に入っていった。紫って実は悪戯好きだよな?


「紫め、次会ったら絶対に消えない油性ペンで額に肉って書いてやるぜ。」


「地味にエグい事考えてるな健二、それよりもここから早苗と霊夢をどう救出する?」


「兄さんの能力では無理なんですか?」


それが出来たらとっくに救出してるっての。


「無理だ、だからちょっと回りくどい事をする。良太、健二、俺の後ろに居ろよ。」


俺の言葉に従って良太と健二は俺の後ろに来る。よし、んじゃ派手に行きますか。


「想符『燃え上がる獅子(ヴァッサーレーヴェ)』!」


自分の前方に炎を纏った弾幕を横一閃に放つ。そして弾幕が壁や地面に当たった瞬間にその箇所が燃え上がり始める。


「なるほど、火事を起こしてこの城にいる奴等を混乱させてその隙に霊夢達を救出って訳か。」


「そういうことだ健二、言っておくがスペルの弾幕の量や威力は必要最小限にして放ったぞ。本来の量や威力はこんなもんじゃないからな。」


健二と雑談していたら良い感じに炎が広がってきた、まあ火事を起こすように考えたのは混乱させるってのもあるが、この地下に放置されてる死体を焼却させる目的もある。


「あの、兄さん。炎がどんどん広がっていますけど、この炎どこまで燃え広がるんです?」


「さあ?けど、煙も上がってきたしそろそろ謙治の部下達が来るはずだからこれ以上は燃え広がらないと思うぞ。」


そろそろかな?おっ、きたきた。


「健二と良太、そろそろあいつらの部下が来るから戦闘態勢を整えとけよ。」


「もう来てますよ兄さん。ここからどうするんですか?」


どうするも何も、こうなったら手段は1つしかないよな。


「くっ、火事か!予想以上に範囲が大きい、手分けして消すぞ!」


「これからどうするって話だったよな良太?強行突破するんだよ、健二行くぞ!」


敵が火事を見て慌ててる所を狙い俺と健二は謙治の部下達にタックルを喰らわせる。


「泊谷聖人と良太、松方健二だ!あいつらを追って捕まえろ!」


「って兄さん!強行突破するのは良いんですけど、地下から階段を使って走って駆け上がって行くんですか!?」


「そのつもりだ、俺達は今空飛べないからな。しっかり付いてこいよ良太。」


俺と健二が前を走ってその後ろに良太が付いてくるといった並びで俺達は階段を駆け上がっていく。


「止めろ!ここで奴等を食い止めろ!」


「うっせぇ、邪魔すんじゃねえぜ!」


階段を駆け上がっていく最中に謙治の部下達が階段を塞いで来るが、足払いや服の襟を掴んで投げ飛ばしたりして突破する。


「ゲホゴホ!ここは食堂ですか?」


階段を駆け上がると食堂らしき所に出た。いきなり俺達が出てきた事に食堂にいる奴等は驚いて固まってるな。


「みたいだぜ。屋上付近まで行ける場所はこっちだお前ら!」


出口の方へ向かって走っていくと謙治の部下達が横並びに並んで盾を構えていた。しかもあの盾は外の世界の物じゃねえか。


「ここであいつらを捕えろ!なんとしても食い止めるんだ!」


「どうするんですか兄さん健二さん!?体術ではあの盾は突破出来そうにないですし、何よりあいつらには弾幕は効きませんよ!?」


「効かないわけじゃないぞ良太、服に霊力とかの力の威力を抑える何かを付けてるだけだ。」


完全に無効化してるなら打つ手無しだが、威力軽減ならやりようは幾らでもある!


「ならどうすればいいんですか?」


「こうするんだよ、想符『フレアスパーク』!」


右手を謙治の部下達に向け、そこからオレンジ色の巨大レーザー弾幕を放つ。謙治の部下達は盾で必死に防いでいたけど、衝撃に耐えきれなくなって吹き飛ばされていく。


「うわぁ、すごいですね。」


「威力は軽減出来ても弾幕に当たった衝撃までは軽減出来ないからな、こういうのは覚えておいて損はないぜ良太。」


「解説は後で出来るからとっとと行くぞ!」


食堂を抜けて廊下も抜けて中庭みたいなところに出た瞬間、謙治の部下達に囲まれた。囲めば勝機はあるってか?


「良太、頼めるか?」


「大丈夫ですよ兄さん。銃符『クイックターン』!」


良太が全範囲に銃弾の弾幕を放つ、威力は軽減されて大して効いていないみたいだけど敵は一瞬怯んだな。


「今の内に突破するぞ!」


敵が怯んでいる隙に俺達は走る。走ってる間にも敵が襲ってくるので、弾幕を放って撃退したり投げ飛ばしたりして突破していく。


「兄さんや健二さんって武術はそこまで詳しくも無いですし使えないんじゃ無かったんですか?」


「外の世界にいた間は自衛隊に入っていたからな!そこで武術はある程度身に付けて、そこから更に独学で学んだりもしたからな!」


「聖人の言う通りだぜ。外の世界で身に付けられる事は出来るだけ身に付けたからな!」


俺らは雑談しながら敵を薙ぎ倒したりしながら中庭を抜けて階段を駆け上がっていく。


「なるほど、だからこんなにも強いんですね兄さんと健二さん。」


しばらく階段を駆け上がっていくと広場みたいな所に出た。ここから更に上がるには、外壁に付いている階段を駆け上がればいいのか。


「兄さん敵に囲まれました!しかもさっきよりも倍の人数です!どうしますか!?」


「正面の敵だけ倒してあとは逃げるぞ!俺が先陣を切るから続けよ!想符『オーレリーズサン』!」


俺はレーザーを発射する弾幕を空中に浮かせてレーザーと弾幕で正面の敵を倒す。倒し切れなかった敵もいたが怯んでいたからその間に走って包囲網を抜ける。


「そういえば兄さん、聞いていなかったんですけど、どうして上に向かっているんですか?」


「脱出するついでに早苗と霊夢を助けるんだよ。二人は一番上の隔離された所に囚われてるからな。ここから手を振れば見えるか?」


俺は早苗達がいる部屋に向けてジャンプしながら手を降る。


「いたぞ!こっちだ!」


「行きますよ兄さん!!」


「わかってる良太!「逃がすか!」足に引っ付こうとすんじゃねぇよ!」


階段を駆け上がろうとしたときに敵の一人が足を掴もうとしてきたのを俺は顔面を蹴飛ばして離す。


「もう1つ聞きたいんですけど、上に行っても脱出手段はあるんですか!?」


「そのために俺がいるんだぜ。っと一番上に着いたぜ、今からヘリを能力で造るからその間足止め頼む。」


健二の能力は小さいものならすぐに造れるけど、ヘリともなると多少時間が掛かるか。


「やっと追い詰めたぞ!ここであいつらを絶対に捕えろ!」


「捕まらねえよ剣符『雷光斬』!」


「兄さんの言う通りですね!銃符『雷の爆竹(サンダークラッカー)』!」


俺は雷の形をした弾幕、良太は雷が付与されてる丸型弾幕をばら撒き敵を吹き飛ばしたり動きを止める。


「こんなものぉ!怯むな、かかれ!」


「いい加減鬱陶しいんだよボケ!想符『フレアスパーク レイン』!」


「銃符『ソーラーレーザー』!」


俺はオレンジ色の巨大レーザーを上空に放ち、そこからレーザーを拡散させる。対して良太は銃口から白色のレーザーを放って敵を吹き飛ばしていく。


「悪い待たせた!早く乗れ!」


健二の声が聞こえたな、良太は気付いていないか。


「夢中になりすぎだ良太。」


良太の服の襟を掴んでヘリに乗る。敵は、追い付けてないな。


「早苗と霊夢がいる部屋はあそこの隔離されてる部屋だ健二!」


「了解!!」


















早苗side


聖人が落ちた後、私はいつの間にか寝ていたみたいです。あれから一日が過ぎたのかな?窓から外の景色をみると太陽が登ってました。


「聖人、大丈夫かな。」


「あいつなら大丈夫よ早苗、あんたの恋人でしょ?謙治に外の世界に追い出されても戻ってきたのよ?落とし穴に落とされたくらいでくたばるわけないじゃない。」


霊夢さんの言う通りですね。聖人はどんな時も必ず戻ってきてくれますし、聖人を信じないとね。


「それよりもここから抜けだす方法を探すわよ。」


「そうですよね霊夢さん。でも一体どうすれば良いのでしょうか?」


霊力や能力などはこの部屋にいる限り無効化されてるのでスペルも使えません。


「良太、無事なのかしら……。」


霊夢さんは良太君の事を心配してるようです。無理もありません、1年も連絡がつかないのですから。


「とりあえず抜け道を探すわよ。きっとどこかにあると思うわ。」


「はい!ってあれ?何か焦げ臭いです。」


「何を言って……本当ね。何かが燃えている臭いがするわね。」


でも一体何処から?窓を見ればわかるかもしれません。


「霊夢さん霊夢さん!城の至るところから煙が出てます!」


「本当だ、一体何が起きてるのよ!?」


それはわからないですけど、あれ?誰かが追われている?


「あそこに誰か走ってるわね。えっと……、嘘っ。聖人と良太!それに健二も!」


「本当ですか!?」


私は目を凝らして見てみると確かに聖人と良太君、それに健二君が敵を吹き飛ばしたりしながら走っています。


「良かった、生きていたのね良太。」


「でも聖人と良太君はともかく、どうして健二君も城の中にいるんでしょう?」


私がそう考えていると、聖人がこっちに向かって手を降ってきています。


「あの3人は何で上に登っているのかしら?上には何もないはずよ?」


私は上の方を見ると、健二君が何やら造っているみたいです。あれは、まさかヘリ!?


「多分あれに乗るんじゃないんですか?」


「あんなの見たことないわよ。あれは何なのか分かる早苗?」


「はい、あれはヘリコプターという機械で外の世界の乗り物です。あれに乗れば空を飛ぶことが出来ます。」


聖人達がヘリに乗りました。すると、こっちに向かってるじゃないですか!!


「まさか、私達を助けるつもり!?」


「おそらくそうだと思います。脱出の準備をしましょう霊夢さん!」


私と霊夢さんは何時でもこの部屋を出られる準備を始めました。ですが、このときはまだ知らなかったんです。あの人達が来ていたことを……

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