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東方外遠記  作者: 颯人
第8章 再び幻想へ ~Again to the Fantasy~
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城へ潜入

その後魔理沙達がいる拠点へ行き、快達を降ろした。魔理沙はアリスとフランの姿を見ると泣きながら抱き付き、アリスとフランも同時に泣きながら抱き返した。


俺と健二は感動の再会を邪魔しないように快を拠点に残してその場を後にして車を走らせた。本来の目的は謙治のいる城に行き、早苗達を助けることだからな。


「にしても、とんでもないことをしやがるな。」


「それについては同感だぜ。さっさと解決してあの景色をまた見てえよ。」


車を走らせながら俺と健二は呟く、認識阻害の結界を張っていたから謙治の部下に会うことなく無事に人里に着いた。


「さて城の位置は……わかりやすいな。」


俺は車の窓から望遠鏡で城を見る。明らかに1つだけ不自然な建物があるからな。


「潜入出来そうなところはあるのか?ってかこの車人里に止めて良かったのか?」


「ここは人通りがかなり少ないし、認識阻害の結界張ってるから問題ない。」


最悪、スキマを展開させてその中にしまえばいいだけだし。


「うーーん、潜入出来そうな所はないな。何処も警備の奴等がいるし監視カメラもどっさりだ。」


「おいおい!!」


おまけに霊力や妖力を探知するレーダーや侵入者を迎撃する用のレーザーもどっさりだ。


「仕方ない、こそこそしてたら怪しまれるし堂々と正面突破しかねえな。」


「いくら何でも二人じゃ無理だぜ!?皆を救出する前にこっちがやられちまうぜ!?」


「別に戦うつもりはねえよ健二。今車に張ってるものは何だ健二?」


そこまで言うと健二は俺の言いたい事が分かったらしく、やれやれと呆れた表情を浮かべた。


「これだって認識の阻害は完璧じゃねえだろ?正直博打だと思うぜ?」


下手したら見付かって捕まるからな。けどこれ以外の方法が見付からないんだよ。


「うだうだ言っても仕方ないぞ健二。さて、ここからは徒歩で行くぞ。」


俺達は服装を整えて車を降りて城に向かって歩き出す。俺の服は白いジャンバーの中に白い半袖の服を着て、黒の長ズボンに黒のシューズ。


健二は就活用で着るようなスーツの上下に茶色い革靴、白いYシャツを着ている。ネクタイはしてなくてYシャツの第一ボタンを開けているぞ。


「ところで、何でお前はスーツを着てるんだ健二?動きにくくないか?」


「外の世界でスーツを着て全世界回ってたからな、鍛練もスーツを着てしてたしこれが一番しっくりくるんだぜ。」


健二と雑談しながら人里の中を歩く。こうやって一般人っぽくしないとな。俺達洋服だから目立ってるけど。


「こうして見ると人里は栄えているんだな。もうちょっと活気がないと思ってたんだぜ。」


「俺もそう思ってた。でも人里の人達は何処か浮かない顔をしてるから活気があるとも言い切れねえな。」


しばらく歩いていると、城の前の門にたどり着いた。当然ここには警備の奴等が何十人といる。


「堂々と、そして静かに素早く中に潜入するぞ。」


認識阻害の結界を俺と健二に張ってるから警備の奴等にはバレないと思うが、念のため気配を消して音もなく潜入する。


「無事に潜入成功だな。」


どうやら気付かれずに城の内部に潜入出来た。良かった良かった。


「全く、ひやひやもんだったぜ。それでここからどうやって皆を探すんだぜ?」


「こういうのは大抵地下に捕らえるか、屋上付近に捕らえるかの二択なんだよな。とりあえず健二は下に行ってくれ。俺は上を見てくる。」


「わかった、へますんなよ。」


「そっちもな。」


とりあえず健二とは別行動を取ることにした。まあ、実際早苗がいそうなところはわかっていたけどな。城を見たときに上の方に隔離された一室があったから多分そこにいるんだろう。


「階段は人とすれ違う可能性が高くてバレるかもしれないから、城の外壁を登りますか。」


俺は一旦外に出て外壁を登り始める。クライミング用のグローブを着けているから落ちる心配はない、と思う。いや思いたい。


「飛行出来れば、こんな外壁ささっと登れるんだけどな。」


文句言ってても仕方無い、さっさと登りきりますか。


「ヒー、フー、どんだけ高いんだよ……。」


登り始めた時は夕方近くだったのに、登りきった今はもう夜になってるぞ。


「よし、もう少しで着くな。んっ?この髪飾りは確か……。」


俺の足元に蛙の髪飾りが落ちていた。こいつは、確か早苗が何時も着けてたな。何でこんなとこにあるんだ?


「取り敢えず拾っておくか。」


ズボンの左ポケットに入れてと。さて、ここからあの空中に隔離された部屋へどう行こうかねぇ。


「これを使えば行けるか?久し振りに使うから上手く発動するかな。想符『イグナイトストライク』!!」


俺はスペルを使って部屋の屋根まで飛ぶ。いくら飛べないと言ってもフレアスパークを後ろに逆噴射すればある程度は飛べるな。


「よっと、なんとか成功だな。音が出ちまったし急がないとな。」


無事に部屋の屋根たどり着いた。轟音がしたからもたもたしてると警備の奴等が来ちまうからな。『真桜剣』を鞘から抜き、穴を開けて部屋に入る。


「何の音ですか?誰か来たんですか?」


「誰よ?」


部屋にいたのは霊夢と早苗だった。良かった、無事だったんだな。


「おいおい、忘れたのか?折角助けに来てやったというのに。」


「この声、そしてあの格好はまさか!!」


「うそ……よね!?」


早苗と霊夢は俺の姿を見た瞬間、体が固まったように動かなくなっていた。死んだと思われてたのか?


「嘘じゃねえよ。早苗、霊夢、久し振りだな。戻ってきたぞ幻想郷に。」


「聖人ーーーー!!!!」


「おっと!!」


早苗はダッシュで俺に抱き付いてきた。元気そうで何よりだ。


「亡霊じゃないですよね!?夢じゃないですよね!?この聖人の温もりは現実ですよね!?」


「俺は生きてるから、落ち着け早苗。」


「会いたかったよ……。本当に会いたかったよ。」


早苗は感動のあまり泣き出しちまったな。そりゃそうか、久し振りに会えたんだからな。


「早苗……よかったわね。」


「霊夢は元気ないな。それと、首に付けられているチョーカーみたいな物は何だ?」


その代わり霊夢の目に力が無く、首に黒いチョーカーが付けられていた。


「これは私の霊力と身体能力を封印しているものなの。あいつらに捕まった時に付けられたわ。」


霊夢は霊力とか無くても充分に強いからな。反抗出来ないように謙治の奴が付けたんだろう。


「こんなものさえ無ければ、あいつらなんかズタボロにしてやるのに!」


「心配すんな霊夢、そのチョーカーは後で破壊してやるから。ところで何で霊夢と早苗はこんな隔離された所に捕らえられているんだ?」


「それは私と霊夢さんの力が必要だからです。」


早苗と霊夢の力……、大方予想は付くな。


「なるほど。そういうことね。」


「でも、霊夢さんはともかく私はそんな力ないはずなのに……。」


早苗は自覚してないのか。でも、知らない方がいいだろうな。


「ところで早苗、いつも着けている蛙の髪飾りはどうしたんだ?」


「それは勿論着けてますよってあれ?無い!どこかに落としたかな!?」


「だろうと思ったよ。」


俺はズボンの右ポケット(・・・・・)に手を突っ込んで蛙の髪飾りを取り出して早苗に着ける。


「ありがとう聖人!!」


「いいってもんよ、さて、こうしてはいられないな。さっさとここから脱出するぞ!!」


部屋の扉からは、城の内部の仕組みが分かってないからそこから脱出は無理だな。ならさっき入ってきた所から出て健二に連絡を取るか。


「「きゃああ!!」」


「どうした!?早苗、霊夢!?」


いきなり部屋が明るくなって、それと同時に霊夢と早苗の悲鳴が聞こえたからそっちの方を向くと、全身黒ずくめの奴等が早苗と霊夢の体を押し倒して拘束していた。


「くそっ、全く気が付かなかった。ってか女の子は丁寧に扱えよ!!」


しかも俺は黒ずくめの奴等に囲まれたみたいだし、絶体絶命だなこりゃ。


「ほう、その余裕はどこから生まれるのかな?」


部屋の扉が開き、謙治がポケットに手を突っ込みながら入ってきた。おーおー、偉そうな服を着てますなぁ。


「まさか戻ってくるとはな、あの時お前は死んでなきゃおかしいくらいの傷を負ったはずだが?」


「俺の生命力を舐めんじゃねえよ。」


「舐めてる訳ではない、呆れてるだけさ。聖人、お前にはここから消えてもらおうか。」


謙治が片手を上げると俺の周りを囲んでいた黒ずくめの奴等がそれぞれ武器を取り出して構え始めた。剣に槍に斧に銃、色々持ってることで。


「やめてください!聖人を殺さないで!」


「大丈夫大丈夫早苗、俺は簡単には死なねえから。すぐに戻ってくるから!」


悲痛な叫びを上げる早苗に向けて俺は手を振る。ちょっとでも安心させないとな。


「さて、何をして遊ぶんだ?」


「この部屋には霊力や魔力、妖力を無効にする装置が付いているから、お前を殺すのは簡単だ。けど、部屋が汚れたら掃除が面倒なのでね。」


「だったらどうすんだ?そんな悠長な事言ってると後で後悔ッ!」


俺が話してる途中で謙治は指を鳴らした。その瞬間に俺が立っていたところの床が抜けて落とし穴になった。やっぱこういうパターンか。


「聖人ーーーー!!」


早苗の悲鳴を聞きながら俺は無抵抗で落下し続ける。うん、ここまで落ちれば謙治も気付かないな。


「落とし穴とはまた古典的だな!」


ジャンバーのポケットにしまってあるナイフを取り出し、壁に刺して落下のスピードを落とす。充分にスピードを落としたらもう1本ナイフを取り出して壁に刺す。


「よっと、上手くいった。」


もう1本の方はナイフの柄の部分にワイヤーを付けている、なので今俺はワイヤーを掴んで宙ぶらりんの状態だ。


「さて、早苗達の様子を確認しないとな。」


壁に両足を着けて、ワイヤーを掴んでいない方の手でジャンバーの襟の裏に付けてるボタンを押してと。


「フハハハ!!ざまあないな!!」


謙治の笑う声が聞こえる。盗聴器は上手く作動しているみたいだな。


「そんな……。」


「これで厄介な邪魔者はいなくなった。ようやくお前達を使うときが来た。」


「何を言ってるのよあんたは?」


「お前達の巫女の力で博麗大結界を壊すんだよ。でも赤巫女だけじゃ力不足でね。緑巫女の力も必要だったんだよ。」


博麗大結界を壊すだと?ふざけんなよ、そんなことしたら多くの妖怪達が消えるだろうが!


「でも、それなら!!」


「もっと早く出来なかったかって?出来なかったんだよ、何故なら緑巫女が付けている蛙の髪飾りがなくなっていたからだよ。」


「何を、言ってるの?」


「その髪飾りには早苗の力を解放する役割を持っているんだよ。普段は封印されてるがな。探してはいたが、まさかあいつが持っていたとは。しかも、ご丁寧に届けてくれた。」


やっぱり、あの蛙の髪飾りがキーだったか。まあ神奈子や諏訪子がもしもの時の為に仕込んどんいたんだろう。


「そんな……。」


「準備は整った。今こそ博麗大結界を壊し、外の世界に行って、この力で世界を征服するのだ!さあ、緑巫女こっちに来い!」


「嫌です!絶対に行きません!貴方なんか聖人がやっつけるんですから!」


……そろそろあれを起動させるか。


「ハハハハハ!わざわざ解説してくれてご苦労さん、ただの欲望のためにここまでするとはな。呆れるよ。」


「「聖人の声!?」」


「クソが!落とし穴に落ちたんじゃなかったのか?何処にいやがる?姿を現しやがれ!!」


「現せと言われて姿を現す馬鹿はいねえよ。いいか謙治?本物の蛙の髪飾りは俺が持っている。早苗と霊夢に何かしてみろ、大事な髪飾りはこうだ!!」


話終えると同時に襟の裏に付けてるボタンを指で潰す。こうすると早苗が付けてる偽の蛙の髪飾りは塵になるぞ。拾った瞬間に偽物を作っといて良かった。


「これで早苗と霊夢の無事は確保されるはず、ん?何か水が流れる音が聞こえるな?」


上の方から聞こえる、って何か水が上から流れて来たんですけどぉ!?


「俺は汚物じゃねえんだぞぉぉぉぉぉぉ!!」

この回もとあるアニメの映画からいくつか

参考にして書いています。

……勘のいい人は多分わかるはず。

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