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東方外遠記  作者: 颯人
第8章 再び幻想へ ~Again to the Fantasy~
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久し振りの対面

多分タイトルで大方予想はできると思います。あと、カーチェイス要素もあります。


カーチェイスの中身は、知ってる人は知ってる内容です。

人里近くの草原


「なるほど、意外と面倒な状況になってんだぜ。」


魔理沙達がいる拠点から歩いて人里近くの草原まで来た。道中は永琳から聞いた情報を健二に話していたぞ。


「まあな、早いところどうにかしないとまずいな。下手したら幻想郷消滅って事もあり得る。」


「冗談には聞こえないのが嫌だぜ。」


謙治の部下達とエンカウントするかなと思ってたけど、一度もエンカウントしなかったな。


「そろそろ人里が見えるぜ。けど、何かおかしな気配を感じるな。」


健二の言う通り、遠めに見てだが人里の様子がおかしい。人々の叫び声が聞こえる。


「何やら騒がしいな。何か事件でもあったのか?」


「聖人もそう思うのか。じゃあちょっと様子を見に行ってくるぜ……って空飛べないんだよな。」


「お前俺の話聞いてたか?幻想郷内では今は飛行出来ねえよ。」


やれやれ、健二は痛いとこ突かれたって顔してるな。まあ周りを警戒しながら話を聞くと内容を忘れるっていうのはわかるけどさ。


「あれ?なあ聖人、何かエンジン音が聞こえねえか?」


「……確かに聞こえるな。これは、車か?けど車は幻想郷には無いはずだが?」


謙治が持ってきたっていう可能性はあるか。って1台の車がこっちに向かってスピードを落とさずに向かって来るんですけどぉ!?


「おわ!!」


「ちょ!!」


俺達はギリギリのところで横に跳んで車の突進を回避した。危ない危ない、ミンチになるところだった。


「何でここに車なんてあるんだよ?しかも有名なメーカーだったし。」


「メーカーはどうでもいいだろ!?多分、謙治の仕業だろう。」


ってか一瞬見ただけで車のメーカーが何処なのか分かったのかよ。そういや健二は車好きだったな。


「それなら納得だぜ。ところで聖人、運転してたやつの顔を見たか?」


一瞬しか見えなかったけど、誰なのかはすぐに分かったさ。


「ああ、快だったな。しかも切羽詰まったような表情をしていたな。」


「何であいつが人里から出てきたんだぜ?ってかそもそもあいつ車運転出来たっけ?」


心配する所はそこなのかよ健二!?まあ、幻想郷に車の免許なんて必要ないしな。


「聖人、嫌な予感がぷんぷんするんだが?」


「奇遇だな、俺もぷんぷんする。」


そう考えていると、もう1台の車が人里の方向から走ってきて、俺達の前を通り過ぎていった。あの車、快の車を追っかけてるようだな。


「健二、あの車快の車を追っ掛けてないか?」


「見たところ聖人の言う通りだな。しかもあの車、俺の欲しかった車だぜ!くぅー、乗りてーー!」


「んな事はどうでもいい!健二、車出してくれ!」


走って追い付ける訳がないからな。くそっ、飛行が出来たら追い掛けることなんて容易いのに!


「えっー、俺はあの車が乗りてえな。というかそもそもどうやって車なんか出すんだぜ?」


「お前の能力使えば乗れるだろ!?見失うから早くしてくれよ!」


「おおっ、その手があったか!外の世界であんまり使わなかったから忘れてたぜ。」


健二はウキウキとした様子で車を造り出した。ちなみに健二の能力は『あらゆるものを創れる程度の能力』だ。自分の能力くらい覚えておけよ。


「よし、乗れ!!」


俺が運転席に、健二が隣に乗った。なんでも健二は車の運転が苦手だからな。外の世界にいた時に何度事故ったことか……。


「運転は任せた。奴等の車を追い掛けてる間、能力使って疲れたから俺は昼寝でもしてるぜ。」


「お前は戦闘をするんだよ!寝たら激辛ガムで叩き起こしてやるからな?」


運転しながら戦闘とか流石に無理だ!


「俺は辛い物は得意だからそんなもんで起きません~、残念でした!」


「腹立つ野郎だ!ところで燃料はどうなっている?まさかガソリンか?」


これは気になるところだ。ガソリンだと自然を傷付けるし、そもそも幻想郷で燃料補充なんか出来ないしな。


「大丈夫だぜ、運転者の霊力を使って動かせるようにしてあるからな。」


流石健二だ、抜かりないな。いつも真面目ならいいのになぁ。


「じゃあ行きますか!」


「おやすみ~!」


こいつ、本当に寝る気だ。まあ運転をしたいから代わってくれと言われないだけましだけどさ。


「……出番の時には起きろよ?」


「もちろんさ~!」


健二が寝たのを確認して俺はアクセルを全快にして走らせた。まさか幻想郷で車を運転するとはな。


「しかもマニュアル操作かよ。俺マニュアル嫌いなんだよな。」


しばらく走っていると、二つの車が見えた。どうやら快が乗っていない方の車、謙治の部下達が乗ってるであろう車は体当たりをして快の車を壊そうとしてるな。


「健二、起きろ。出番だぞ!」


「いよっしゃあ!任しとけ!」


テンション高ぇな健二、まあこういう時の健二は頼りになるからな。


「快が乗ってない方の車のタイヤを狙えよ!本体攻撃して爆発なんてしたら快の乗ってる車や俺らが乗ってる車も被害を受けるからな。」


「わかってるぜ!」


健二は拳銃を造り出して、霊力をこめた弾丸を装填してタイヤに向けて撃った。


「これでいい、訳じゃねえな、パンクしないってことはただのタイヤじゃないのかよ!」


「恐らくタイヤの中に何か防弾みたいな加工を仕込んでるんだろ!今の攻撃で標的が俺らに切り替わったぞ!」


そう言ってると敵の車の後ろの窓が開いて、そこからグレネードが飛んできた。ってマジかよ!


「どわっと!危ねえ!」


右に急ハンドルを切ってなんとかグレネードの爆風範囲から逃れた。当たったらちょっとヤバイな。


「健二、あのタイヤなんとか出来ないのか?」


「今それに対抗するための弾丸を創ってる、その間グレネードの爆風を喰らうなよ?」


健二、それは無茶というんだよ。現に数十個のグレネードがこっちに向かってるし!


「これは無理だ、グレネード数十個の爆風からは逃れられねえよ!」


「諦めんなよ!諦めんなお前!どうして諦めるんだそこで!もう少し頑張ってみろよ!」


「炎の妖精を召喚しても無理なものは無理だからな健二ィィィィィ!!」


結局、グレネードの爆風に巻き込まれた。咄嗟に結界を車に張ってある程度防げたから車は壊れてはいない、でももう1回グレネードを喰らったらヤバそうだ。


「熱っちい!結界で防いでもこんなに熱いのかよ!?健二、大丈夫か?」


「俺は大丈夫だぜ。流石に簡単にはやられてくれないか。よし、造り終わったぞ!」


車の異常は、特に無いな。フロントガラスが全部吹き飛んだくらいか。


「でも、こうでなくては面白くないしな!健二、反撃するぜ!」


俺はスピードを上げて前の道に能力で風の上昇気流を発生させて車を飛ばした。上昇気流を発生させたのは敵の車の前に着地するようにするためだぞ。


「健二、何時でも攻撃出来るように準備しとけよ?」


「分かってるぜ。今度はただの弾丸じゃねえぞ!俺特製の弾丸を喰らわせてやるぜ。」


敵の車の前に着地して、車体のバランスを安定させる。横転だけは勘弁したいからな。


「よし、車体のバランスは整った。健二今だ!」


「任しとけ!オラァ!」


敵がグレネードを俺らの車に投げ付ける前に、健二は敵のタイヤ目掛けて弾丸を放った。


放った弾丸は普通の弾丸の貫通力の5倍以上ある弾丸らしく、敵の車のタイヤに当たった瞬間、パンクして何故かエンジンも爆発した。


「速射撃ちでエンジンも狙ったのか健二。」


「まあな、快の乗ってる車には被害が出てないからいいだろ?」


「そうだけどさ、んっ?快の車が止まったな。」


快が乗ってる車は敵が追って来ないとわかったのか車を止めた。あっ、エンストしてる。


「車の停車くらいきちんとやれよな、情けないぜ快。」


「その台詞健二にそのまま返すぞ。お前未だにエンストさせて停車させてるじゃん。」


俺らも車を止めないとな。ん?俺らが乗ってる車が停車したと分かったら快が車から降りてきた。


「やっぱり聖人だったんだね。久し振り。」


「気付いてたのかよ……、んま、あんだけ派手にやれば気付くよな。」


昔とほぼ変わらない快がいた。強いて言うなら、変わったところは体ががっちりしてるところか。


「助けてくれてありがとう。もし、助けに来てくれなかったらヤバかったよ。」


「いいってもんよ。今の幻想郷の状況は魔理沙達から聞いてるからな。助けるのは当たり前だろ?」


「ところで快、何で追われてたんだぜ?」


健二が快に話し掛けると快は驚いた様子で後退りしたけど、俺の顔を見て何か察したな。


「健二だね?聖人と一緒に行動しているということは味方と考えていいんだね?」


「臆病なのは少し改善されたみたいだな。」


健二と快は握手をした。うんうん、快は大人になったなぁ。


「そう言えば追われてた理由を言ってなかったね。何で追われていたかはこれを見てもらえればわかるかな?」


快はさっきまで乗っていた車の後ろの席のドアを開けた。そこには金髪の少女二人がいた。懐かしい……。


「聖人なの!?本当に聖人なのよね!?」


「おにーーーさまぁぁぁぁぁぁ!!」


「うおっと!フランいきなり抱き付くなよ!そしてアリス、久し振り。」


フランとアリスがいた。アリスは髪はあまり変わらないようで、服も大して変わらないようだった。変わってるところと言えば、スカート丈が膝より上になっていて色気が出たくらいかな。それにアリスは膝くらいまでのブーツを履いてるんだな、全然気付かなかったよ。


「聖人お兄様何処に行ってたの!?フラン凄く心配したんだよ!!」


「悪い、でもこうして戻ってきたぞ。」


フランもあまり変わらない様子で、まだ無邪気な子供だ。でもスカート丈は膝より上になっている。……流行ってるのかな? ミニスカートが。


「本当に良かった……。聖人が無事に戻ってきてくれて本当に良かった。」


「こういうことだよ。わかってくれた?」


「いや、こういうことって言われてもな。俺にはさっぱりわからんぜ?」


「つまり、あれだろ。アリスとフランが城に閉じ込められてたから快が助けに行って帰ってくる時に追われたと。」


何となく快達の様子を見て言ったが、快とアリスは俺の発言を聞いて驚いていた。


「すごいね聖人、正解だよ。本当は見付からずに助けるつもりだったんけど、運悪く黒幕の部下に見つかっちゃってね。」


「で、車で逃げてきたと。」


「そういうこと、昔なら能力で簡単に追い払えたんだけどなぁ。」


「出来ないのか?いや、したくても出来ないのか。」


「実は能力の半分くらい封印されてしまって。」


なるほど、謙治の仕業か。あいつならやりかねないな。


「良太とか絢斗とかは無事なのか?」


俺はそこが気になった。あいつらは簡単にはくたばらないのは知ってるが、心配だ。


「……わからない。僕と違う場所に捕まっていたから無事かはわからないや。」


「そっか、ところでよく運転出来たな。健二よりも上手かったな!!」


「ゴーカートみたいな感覚でやってたからね。」


「……俺もう運転しないぜ。」


あっ、健二が拗ねた。ざまぁ!!


「すごいねこれ!空を飛んでいる時とあんまり変わらないスピードで移動してたよ!」


「やっぱり外の世界の技術は凄いのね。」


アリスとフランは車をまじまじと見てるな。まあ当然だな。こんな物が高速で動くし。


「これ何て言うの聖人お兄様?」


「これは自動車って言って、外の世界の人は空を飛べないからこういう物を使って遠くまで移動しているんだよ。」


「乗り心地も良かったわね。」


「でも、こういうのは幻想郷には無いほうがいいんですよね。」


そうだな、まだ車は忘れ去られてないし。本当は無い方がいいんだけどな。


「今は仕方ないさ、空を飛べないんだから。」


「それもそうだぜ。」


おっ、健二が復活したな。けど、目に涙を流した痕が残ってるし、結構泣いたんだな。健二乙!


「……ところでこれからどこに行くんだ?あと、フランいい加減離れてくれ。」


言い忘れてたが、さっきまでずっとフランに抱き付かれたままだ。


「わかったよ、聖人お兄様の頼みだしね。」


フランは渋々抱き付くのを止めて俺から離れた。ったく、幻想郷に来るまでの5年間は女性との関わりはあんまり無かったからな。女性への耐性が無くなっちまってる。


「で、聖人の隣に居るのは……。」


「どうも松方健二です。好きなものはうどんで嫌いなものは酸っぱい物だぜ!!」


「誰が自己紹介をしろって言った?まあ、今は仲間だよアリス。」


「それとアリスさん。」


「何よ?ってええ!?」


健二はアリスに向けて土下座した。にしてもさっき魔理沙達にした土下座よりも速いな、俺でも見切れなかった。


「あの時は申し訳ございませんでした。まだ、尻が青い餓鬼でした。本当にすまねぇ。」


「……もういいわよ、顔を上げて頂戴。過去の事をグチグチ言っても仕方ないしね。」


アリスは健二を少しだけ睨み付けたけど、ため息をついた。どうやら許したみたいだな。


「じゃあ荷物を取りに戻ろう。このまま魔理沙達がいる所に向かうわけにはいかないから。」


「荷物って事はアリスの家に行くのか快?」


「そうだよ。車は5人乗りだから全員乗れるよ。運転は、僕がするかい?」


「いや俺がする。快、お前実質無免許運転だからな?」


俺の言葉に快はうっとなって表情を曇らせたな。まあ健二が運転するよりはましだけどさ。


「聖人は免許持ってるの?」


「勿論、小型車から大型車まで一応何でも運転出来るぞ。さぁ、乗った乗った。」


俺は運転席、健二は助席、後部座席に快とアリスとフランが乗った。おっ、オートマじゃん。やったぜ!


















青年達移動中・・・




















アリスの家


「ふぅ、これで全部かな。」


あの後アリスの家に行き、快達の必要なものを整理して健二が作った大型車に運んだ。主に衣類とか、食料とか、その他もろもろだな。


「快ってアリスの家に最初から住んでたのか?同棲じゃん同棲!」


「そ、そういうことは大きな声で言わないでよ健二。確かにそうなんだけどね。」


「ところで快、アリスとはどうなった?」


「えっ?えっと、まあ、その……。」


顔を赤くしてあわあわしている快の様子を見れば察すれるけどな。アリスは顔を赤くしてないけど、体を震わせてるからな。


「もうラブラブだよ聖人お兄様!快お兄様とアリスお姉様は!!」


やっぱり関係は良好と、羨ましいな全く。けど何でフランが知ってるんだ?


「フラン!そう言うことは言わないでよ!」


「声も大きいわよ!」


おー、アリスの顔が赤くなった。どこまでラブラブなのかフランに聞いてみるか。


「そこは心配すんな、この家の周りに防音の結界を張ってるからな。大きな声を出してくれても構わないぞ。」


「ところでフランよ、快とアリスはあんなことやこんなことをしてるのか?」


健二、そんな言い方でフランに通用するか?あんまりストレートに言い過ぎても駄目だけどさ。


「もちろんそうだよ!アリスお姉様が快お兄様と暑い夜を「それは言わないでフラン!」ダメなの?」


「それ以上は言っちゃだめだよ!それに僕はアリスさんと一緒に寝ているだけだよ!決してやましいことなんかしてないからね!」


「えっー?アリスお姉様が快お兄様の名前を呼びながら何かしていたのに?その時は何か水をかき回す音も聞こえたよ?」


やることきっちりやってんじゃねえかこのむっつりカップル供。


「そこまで聞けば後は大体はわかるな。なあ、健二?」


「そうだな、大体はわかるぜ。快がああいうって事はあれをしたことがあるということだ!」


「ちょっと貴方達何を想像してるのよ!?」


「え?想像した通りじゃないの?」


おー、快とアリス顔真っ赤。どうやら俺と健二の考えてた事は当たったな。


「さて、ワイワイ騒ぐのはここまでだぜ。どうやらここにお客さんが来るみたいだからな。」


健二がそう言った瞬間、玄関の扉が吹き飛び、仮面を着けて白い衣服に身を包む男達が入ってきた。お前ら何処のアサシンだ?


「ったく、入ってくるならノックぐらいしろよな?快、こいつらは謙治の部下で間違いないな?」


「そうだよ聖人!恐らくアリスさん達を捕らえようとする気だよ!」


「嫌よ!私はあの城に行きたくないわ!」


アリスが叫びながら言うとフランもウンウンと頷いた。そりゃそうだよな。


「じゃ、こいつらはお引き取り願って貰うぜ。あぁ、タダでお引き取り願うのは気が引けるからな。おもてなしは充分にするぜ!」


健二は閃光玉を造り出して謙治の部下達目掛けて放った。フラン達は俺の能力で目などを保護したから影響はない。


『!!!』


予想以上に光が強い、仮面越しでも通用する辺り健二の造った閃光玉は強烈だな。


「今のうちに行くぞ!!」


敵が怯んでいる間に荷物を乗せてある車に乗り込む。座席位置はさっきと一緒だぞ。


「ってこれもマニュアル操作かよ!?お前の造る車は何でマニュアル何だよ健二!?」


「仕方ねえだろ聖人!?大きい車となるとマニュアルしか創れねえんだから!俺はマニュアルが好きなんだ!」


運転出来ない癖に何ほざいてるんだよ?


「お前の好みなんかどうでもいい!ってやっぱり追いかけてくるのかよ。」


俺達が車で逃げるのは想定内なのか、相手も車で追っかけてきた。


「どうするの聖人!?」


「迎え撃ちながら逃げるしかねえだろ。これからちょっと激しくなるから、しっかり掴まっていろよ!!」


俺はギアチェンしながらスピードを上げて走り出す。場所は霧の湖の近くの道だな。


「ひー、ふー、みー、相手は3台か、ちょっと面倒くせえってうおっと!」


「聖人!車がぶつかってくるわよ!?」


3台ある内の1台は俺達が乗っている車を湖に落とそうと体当たりを仕掛けてくる。


「このまま体当たりを仕掛けられたら、霧の湖に車ごとボチャンだな。」


「今は海水浴の季節じゃねえぜ?もうちょい後にしてくれよな?」


俺と健二が冗談を言い合ってるとアリスに頭を叩かれた。意外と痛い……。


「冗談を言ってる場合じゃないでしょ貴方達!どうする気なのよ!」


「このままじゃ危ないよ聖人お兄様!もうすぐ霧の湖にこの乗り物ごと落ちちゃうよ!」


フランの言う通り、あと1回体当たりされたら湖に落ちる。けど、何も無計画で体当たりを受けてた訳じゃねえよ。


「心配しなさん、なっと!」


俺は相手が体当たりを仕掛けてきたところをブレーキを踏んでスピードを落とした。勢い余って体当たりを仕掛けた車は湖に落ちたな。


「まずは1台か。けどこの作戦はもう使えないよな、って弾幕放ってくるのかよ。」


残りの2台は後ろから弾幕を放ってくる。車自体には結界を張ってあるが、いつまで防げるかわからねえな。


「しょうがない、健二頼む!」


「任されたぜ!魔符『マジックブラスト』!」


健二は窓に身を乗り出して、相手の車に向けて黄色い弾幕を放った。弾幕が車に命中した瞬間、その弾幕は爆発した。


「貴方魔法が使えるの!?」


「聖人に教えて貰ったから使えるぜ。これで敵は全滅したか。」


窓に身を乗り出した健二が戻ってきた。健二は意外と魔法の才能があるんだよな。


「聖人まだ油断しないで、相手がこっちに乗り込んできた!」


快がそう言った瞬間、敵の一人が俺の所の窓に張り付いてきた。うわっきめえ!


「どうするの聖人!?」


「なら、こうするさ!掴まってろよ皆!想符『二重結界』!」


「どうして?……ってきゃああ!!」


俺は張り付いている相手の後ろに結界を張って、ハンドルを切って車を斜めにして相手を車と結界の挟む。


「さっさと離れろ!」


しばらくそうして走っていると、相手は諦めたのか張り付くのを止めて後ろに転がっていった。


「ふぇーーびっくらこいたぜ。」


「本格的に俺らを捕まえようとしてきやがった。これは中々しんどいな。」


車体を元に戻してと。後部座席を確認すると快とアリスは安堵の息を吐いていた。


「けど、面白くもなって来たぜ!」


「だな!」


「余裕そうね貴方達……。」


これくらいのピンチは外の世界でたくさん経験してきたからな。


「すっごく楽しかった!」


「フランは大丈夫みたいだね。」


「さて、荷物も無事だしとりあえず魔理沙達がいる拠点に行きますか。」


また謙治の部下に見付かっても面倒だから乗っている車に認識阻害の結界を張ってと、あー疲れた。

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