番外編3 前博麗の巫女登場 後編
「凄いオーラね。これだけはっきり見えるオーラは珍しいけど、大きさも大きさね。」
「そうかい、そりゃどうも。」
霊香は不敵に笑って俺を見てる。『オーバードライブlevelMax』使用時は銀色のオーラが俺の身長の2倍くらいまで大きくなるからな。
「何なのよ、聖人、あんたは一体何者なのよ?」
霊夢は俺から放たれる威圧で体を硬直させてる。
「さて話はこれまでにして、来いよ霊香。」
俺と霊香は互いにダッシュして木刀と拳がぶつかり合った。端から見ると俺達の速度は音速を越えている。
「この状態で振るう木刀を受け止めて平気な表情してるとか、あんた本当に人間かよ?」
「あんたもね聖人。私の全力の拳を受け止めるなんて。」
「随分固い拳なこって!」
俺は霊香に木刀で斬りかかるが、霊香はそれを防ぎ回し蹴りをしてきた。それを左手でそれを受け止め、空いてるスペースにぶん投げる。
「ちぃ、身軽なもんだな。」
けど、霊香はうまく空中で体勢を整えて着地した。
「なぜ聖人が良太の代わりに戦ってるのかしら?聖人が戦う理由が分からないのだけれど?」
「決まってるだろんなもん、そっちが保護者出すならこっちも保護者が出ないとな。まあ、霊香と戦って見たかったっていうのもあるけどな。それにわざと良太の苦手分野で攻めただろ?」
霊香の飛び蹴りを木刀で受け流す。くっ、予想以上に蹴りの威力が高い!手が痺れてきた。
「あら、気付いてたのね。」
「当たり前だ、そうでなきゃそう簡単に良太はやられはしないよ。」
俺と霊香が話をしている最中も戦ってる。
「あんたの兄さん、本当に何者なの?」
「分かりません霊夢さん、でもこのままだとまずいです!もうそろそろ10分経ちます。兄さんのあのスペルは10分しか持ちません。そして、効果が切れるとしばらく動けません。」
「まずいじゃないの!!」
大声でなにやら霊夢と良太が話をしているみたいだけど、恐らく今使ってるスペルの制限時間の話だな。
「そろそろ10分経つわよ。」
「!!気付いてたのか、というより良太と霊夢があんだけ大きな声で話してれば聞こえてくるか。」
「いえ、紫から教えてもらったからよ。」
どのみち霊香はこのスペルの弱点に気付いていたって訳か。
「良太、1つ頼めるか?」
「何ですか兄さん?」
「ここに早苗を呼んできてくれ。残り少ない時間だけど、全力全開で戦うから終わった後、動けなくなると思うからな。」
骨の1本や2本、いや筋肉断裂だってあり得るがそのリスクを負わないと霊香には勝てそうにない。
「分かりました、死なないでくださいよ!」
そう言い良太は飛び出していった。
「残り数分、全力全開で戦う。」
「ええ、かかってきなさい。」
霊香が飛び出そうとする瞬間に俺も飛び出して霊香の懐に潜り込む。この状態で全力全開ならマッハ5くらいのスピードで動ける。
「速っ!!」
霊香の鳩尾に掌底を喰らわすが、ギリギリ反応した霊香が後ろに飛んで衝撃を流した。
「っ!衝撃を流した筈なのに息が詰まりそう。霊符『夢想封印』!!」
霊香は自分の後ろの空間から巨大な7つの弾幕を出現させて俺に放つ。あれは確かホーミング付きだったよな。
「それで体勢を立て直そうとするつもりみたいだが、んなことさせねえよ!」
放たれる弾幕に突っ込んで、木刀に自分から出ているオーラを纏わせて弾幕を弾き飛ばす。
「なら夢「遅ぇ!!想符『アクアウェーブ』!!」あああぁぁぁ!!」
霊香が続けてスペルを使おうとする前に大量の水色弾幕を霊香の至近距離で放つ!
「はぁ、もう、体は持たないわ。これが最後の悪あがきよ!『夢想天生』!!」
霊香はスペルを唱えると体が半透明になった。あれは確か霊夢のラストワードだったよな。
「これはあらゆる攻撃を受けなくするわ。霊夢のラストワードと同じよ。聖人はこれをどう攻略するつもりかしら?」
「幻符『イマジネーションブレード』」
「一体何のスペルブハッ!!」
俺は木刀をしまい、右手に緑色のオーラを纏わせて霊香をおもいっきり殴った。
「なん、で?」
「このスペルは不可思議現象を問答無用で無効化する。俺にそういうのは無意味って事だ。」
「流石、紫が見込んだ事はあるわね……。」
そう言い霊香は気絶した。半分は賭けだったんだけど、上手くいって良かった。
「聖人、母さんは気絶したけど無事なの?」
「多分所々骨は折れてると思うけど命に別状はないから大丈夫だと思うぞ。」
「よかったぁ。」
そう言い霊夢はぺたりと座り込んだ。っと今の内に『オーバードライブ』を解除してと。
「それにしても一体何なのやあんたの強さは?危うく気絶するところだったわよ!」
「まあこれが正真正銘の本気だよ、それより霊香を母屋に運ばないのか?」
「もう母さんは起きてるわよ。」
霊夢が指を指す方向を見るとゆっくりと起き上がる霊香がいた。
「あんたの強さは滅茶苦茶ね。良太と霊夢の話だけど、OKにするわ。」
「そりゃどうも。まあこの身体能力強化はデメリット多いからな。それと、俺が来なくてもどのみちOKにしたんだろ?」
「あらバレた?」
「兄さん無事ですか!?」
おっ、良太が戻ってきたな。これでいつ倒れても大丈夫そうだな。
「早苗さんはもうすぐここに着くそうです。」
「サンキューな良太、あと霊夢と付き合うのはOKだからな。」
「ついでにそのまま霊夢と結婚とかしてくれてもいいわよ。」
ん?霊香、今何て言った?
「ありがとうござい、えっ?霊夢さんと結婚?え?えええーーーーーー!?」
「ちょ、ちょっと母さん!何言っちゃってるのよ!?けけけ結婚だなんて!!」
霊夢と良太は互いに顔を見詰め合った後に、顔を真っ赤にした。おおう息ピッタリのように同時に赤くなったな。
「いくらなんでも早すぎじゃないのか?」
「いいじゃない、良太は苦手の近距離でもあれだけやれるんだから。もし遠距離の戦いだったら負けてたかもしれないわ。それに二人ともお似合いだし。」
「「うぅ~~~~~!!」」
霊香は楽しそうに笑いながら顔を真っ赤にしている霊夢と良太を見詰めていた。まあ、親が公認したと思えばいいんじゃないかな?
「霊香はこのあとどうするんだ?]
「しばらくはここにいるわ。人里に住んでたけど、鍛練の最中に家を壊しちゃったのよね。」
霊香はそう言って豪快に笑う。いやいや家は壊すなよ?
「良太、頑張れよ!!」
「だから早すぎですよ兄さん!!」
「大丈夫だ何にも早くはない、結婚式は呼んで……。」
バタッ
「兄さんどうしたんですか!?」
あれ?視界が揺らいでるし土の臭いがする。あっ、とうとう倒れたのか、ちょっと早くきて早苗~。
「良太君!!って聖人が倒れてるし見知らぬ女性が居ますしどういう状況なんですか!?」
少年少女説明中……
「そうだったんですか。もう!無茶しないでっていくら言っても聖人は聞きませんね!」
事情を聞いた早苗はプリプリ怒りながら俺を見てくる。無茶するのは男の特権なんだよ、わかってくれ。
「あんたは東風谷 早苗、だったかしら?」
「何故私の名前を知ってるんですか!?」
「紫から最近の事情は聞いてるのよ。ひょっとして良太の保護者の彼女かい?」
「……はい。」
霊香に彼女と言われた早苗は顔を赤くしてコクリと頷いたな、まあ俺も倒れてなければ顔を赤くしてただろうな。
「へぇー、お似合いじゃないの。もし結婚式をするなら私も呼んでほしいわね。」
「分かりました結婚式には呼ぶように、えっ?結婚?ふぇぇぇぇぇぇ!?」
あのさぁ、収拾が着かなくなるから霊香。
「早苗と霊夢、大丈夫か?」
「け、結婚だなんて……、聖人におはようのキスをして、一緒に朝ごはんを作ってその最中に後ろから抱き締められながら、キャッ!!」
「でも、結婚……、良太と私の子供ならきっと可愛いわよね。家族でのんびり過ごして、フフフ♪」
ダメみたいですね。
「ふふ、さあ霊夢帰りましょう。」
「霊夢さん、行きますよ。」
「良太と結婚、良太と結婚………はっ!!さ、さあ帰るわよ!」
霊香は慌てている霊夢を見てニヤニヤしてるな、霊夢が正気に戻ったようで何より。
「私達も帰りましょう。でも聖人をどうしましょう?」
うーーん、もう霊力とかも空だしなぁ。あと1時間もすれば浮くくらいは出来ると思うけど。
「そうだ!これなら運べますね。」
早苗は俺を抱き締めながら飛んだ。えっ?これって属にいうだいしゅきホールドって奴か?
「って待て待て待て!!この運びかたはないだろ早苗!?人に見られたらどうすんだよ!?
「いいじゃないですか人に見られても。それともこの運びかたは駄目ですか?」
早苗は上目つかいで俺を見つめてきた。あぁもう、そんな顔されたら断れないじゃん!
「だーーーもう、これでいいよ!!」
「ふふ、今日中はずっとこの状態でいいですか?」
「わかったよ、それともう1つ。いや、ずっとあれが当たってるからもう少し抱き締める力を緩めてほしいなって。」
いい匂いと大きな柔らかい感触と早苗の暖かい体温のトリプルコンボでヤバイんだよ!!
「ふふ、当ててるんですよ。ってお腹に固い感触がありますよ、聖人は変態ですね♪」
「もう勘弁してください……。」
あのあと守矢神社に帰ってきて、二人の神様にこっぴどく叱られた。そのあとしばらく動けなかったのでずっと早苗に看病してもらったけど、動けないのをいいことにキスをしてきたり一緒に寝てきたりしてきたよもう。




