撃退、そして深まる謎
「はああああ!!!」
「おらあああ!!!」
俺の持っている木刀とアイリスと名乗った女性の持っている薙刀がぶつかり合う。片方が斬り掛かれば受け流し、その勢いを利用して斬り掛かかる。
「フフフ、少しは強くなっているみたいね。お姉さん感心しちゃうわ。」
互いに鍔迫り合いになった状態でアイリスがニッコリと笑いながら呟いてるな。本当にこいつは俺の何なんだ?
「す、すごい。本気を出した聖人さんもすごいですが、アイリスと名乗った女性もすごいです。」
「これほどとはね~。はむはむ、ゆっくりご飯を食べるのもいいけど、たまにはこういうのを見ながら食べるご飯もいいわね♪」
幽々子がゆっくりご飯を食べてるだと?俺の聞き間違いか?
「鈍ってはおらぬようだな聖人。それと幽々子殿、ゆっくり食事を召し上がっていらっしゃるのは本当ですか?」
「んもう、妖忌ったら失礼ね。私だってゆっくりご飯を食べたい時もあるのよ。」
「幽々子様?永遠亭に行きましょう?」
「むぅぅ~、そこまで意外なのかしら~?」
妖夢もびっくりしてるぞ。絢斗は腹抱えて笑ってるな。
「余所見なんていい度胸ね。聖人の大事な物をお姉さんが奪っちゃうわよ?」
ん?アイリスが妖艶な笑みを浮かべてるな?しかしこうして間近で見ると綺麗な金髪と整った顔立ちをしているんだな。
「隙ありよ聖人♪」
「えっ?おいおい顔が近いんだがまさかんむぅ!?」
き、キスしてきたぞ!?一体何考えてやがるんだ!?
「ぷはっ、おいてめぇ!!」
「フフ、聖人とキスしちゃったわ。顔を真っ赤にして、可愛いわね♪」
慌ててバックステップでアイリスから距離を取ったけど、鍔迫り合いしている最中にキスしてくんなよ!!
「ちょっと聖人!!私の目の前で他の女の人とキスするなんてどう言うことですか!?浮気は許しませんからね!?」
「勘弁してくれ早苗!!あれは不可抗力だったんだ!!」
あぁもう滅茶苦茶だよ!早苗は目をぐるぐるさせながら両腕を上下に振ってるし、幽々子と妖忌はニヤニヤしながらこっちを見てくるし、アイリスは舌なめずりしながら俺を見てくるし、助けて絢斗!
「アイリスちゃ~ん。聖人は女の子の胸に弱いから、胸元で聖人の顔をギュッと抱き締めればイチコロだよ~。」
「それは良いこと聞いたわ♪」
おいぃぃ絢斗てめぇぇぇぇ!?お前はどっちの味方なんだよ!?アイリスは早苗を誘拐しようとしてるんだぞ!!
「変なことされる前にアイリスを叩きのめせばいいだけだ。」
あっ、絢斗が変なこと言ったから妖夢に刀の鞘で叩かれてる。じゃなくてアイリスを叩きのめさないとな。
「奇襲にはこれが一番だな。想符『イグナイトストライク』!!」
フレアスパークを俺の後ろに放って超高速の突進をする。まあ、魔理沙の『ブレイジングスター』を参考にしたスペルだけどな。
「ぐあっ!!覚えてなさいよ~!!」
アイリスは薙刀を盾にして俺の突進に対して踏ん張ろうとしたが、踏ん張り切れずに後ろへ吹き飛んだな。白玉桜の建物の壁を越えて行ったな。
「ほう、面白い技よのぅ聖人。」
「まあ、これはある魔法使いが使ってるスペルをオマージュしたものだけどな。」
ラーニングは大切。あっ、魔理沙本人から使用の許可は得ているからな。
「なんとか撃退したみたいだね聖人~。でもこれからアイリスちゃんみたいな実力者が出てくるかもね~。笑えないな。」
オーバードライブlevel5を使って互角だったからな。俺もまだまだ精進しないといけないけど、早苗達にも鍛練をつけた方がいいかもしれないな。あっ、オーバードライブを解除してと。
「しかし、あのアイリスという女の人は一体何者だったのでしょう?やけに聖人の事を知っているみたいですし。」
「ジト目で見られても困るぞ早苗。アイリスとは面識がないはずなんだよ。」
「キスされて顔を真っ赤にして鼻の下を伸ばしていた聖人の言うことなんて知りません!」
うっ、事実そうだったから何も言えねぇ。いや俺が好きなのは早苗だぞ?
「なので私が上書きします!!妖夢さん、あちらの部屋を借りますよ。」
「あの早苗?俺まだ朝飯食べてないだだだだ!!服の襟を引っ張るな!!」
ちょ、ちょっと誰か早苗を止めてくれ!!
「早苗ちゃん、存分に楽しんできてね~。」
「終わりましたら声をかけてくださいね。その間に食器を洗わないと。」
「妖忌~、久し振りに将棋しましょ~♪」
「承知しました。久し振りなので腕が鳴りますな。」
誰か助けろよォォォォォォォォォ!!




