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東方外遠記  作者: 颯人
第3章 外来人異変 ~Person from outpatient department accldent~
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聖人、死す!?

「あー、偉い目にあった。」


あのあと、早苗から治療を受けて復活した。一応手加減はしてくれたのか霊夢。


「さて、仰木彰と言ったかしら?あんたにはやってもらうことがあるわよ。」


「……なんでござんしょ?」


俺が気絶している間、彰は誘拐された人達全員から制裁を受けたらしい。手当てはされたみたいだが、全身包帯だらけでミイラ男状態になっている。しかも正座。


「これから宴会をやる予定だから材料とか料理とか用意して貰うわよ!!」


「pardon?」


「異変を解決したら宴会をするんだぜ、敵味方関係無くな。それがこの幻想郷の決まりだぜ!」


彰は何を言ってるのかわからない表情をしていたけど、やがて小さい声で笑い始めた。


「ここは面白え所だな。やっぱり本気で乗っ取ろうとしなくて良かった。」


「どういう意味かしら?」


「いやなに、ここに来た時から決めてたんだよ十六夜咲夜。こんな良い場所を壊すのは勿体ねえからな。」


そう言って彰は正座の状態から立ち上がる。まあ、本気で乗っ取ろうとするならもっと残酷なこととかするだろうからな。


「乗っ取ろうとするつもりがないならこんな異変を起こさないでくれるかしら?」


「さっきも言ったけど、一度悪役をやってみたかったからな。それに俺と健二が入ってるある組織の命令でここを乗っ取れと言われてたからな。形でもそういうことをしないといけなかったんだよ、分かったかお嬢さん?」


「お嬢さんって呼ばないでくれるかしら?私はレミリア・スカーレットという高貴な名前があるのよ。」


「背伸び乙。」


「なな何ですってぇ!?」


そこでムキになるから背伸び乙とか言われるんだぞレミリア。


「これで異変解決ですね霊夢さん!」


「そうね早苗。」


「と思っていたのか!!」


何だ!?いきなり空間から某悪魔の台詞が聞こえてきたぞ!? 


「いきなり誰だ!?姿を見せろ!!」


「っち、出てきやがったか。」


「仰木彰、お前には見損なったぞ。そこにはいないだろうが松方健二、お前もな。」


まさか、いきなり聞こえてきた空間の声の主は健二と彰が入ってる組織の上の奴等か?


「見損なえよ、こいつらに見損なわれるよりはましだ。」


「この少女達に見損なわれる方がキツイか、まあそんなことはどうでもいい。お前らはまとめて死ぬのだからな!!」


ん?地面の中からタイマーの音が聞こえてくる、まさか!


「泊谷聖人が思っている通りだ、お前らがいる空間の地下に爆弾を仕掛けてある。幻想郷は破壊できなくとも、半分くらいは消滅させるくらいの規模のな!」


声の主は笑いながら言ってくる。いつ仕掛けた?


「やばいですよ!!幻想郷が半分も無くなるって!!」


「彰は見逃してやろうと思ったが、お前はもう組織にはいらん。少女共々死ぬが良い。」


「ちぃ、どうする聖人?並大抵の結界とかじゃ抑えきれねえぞ?」


「ちなみにその爆弾は俺の最大の霊力でつくった爆弾だからな、防ごうとは思わないことだな!フハハハ!!」


とんだはた迷惑なやつ。要らなくなった部下も証拠隠滅の為に殺すってことか。


「解除方法はないのか!?お前爆弾を造れる能力を持ってるんだよな!!」


「解除方法はねえぞ藤原妹紅、一時間くらいあれば解除できたかも知れねぇがな。」


「ちなみに爆発まで残り3分だ!!せいぜいあの世に行く心構えでもしてな!」


クソ野郎が、姿が見れたのならぶちのめしてやれたのに!


「私とアリスの2人の魔法でなんとかするぜ!!」


「無理よ魔理沙!!」


「じゃあどうしろって言うんだぜアリス!?そうだ咲夜、咲夜の能力を使えば!!」


「爆弾が何処にあるのか分からないのよ?しかも弾幕ごっこで疲弊もしているし規模が規模だから無理よ魔理沙。」


皆なんとかしたいと思って意見をぶつけ合ってるな。それほどこの世界が好きなのか。


「いいねえいいねえ、焦ってるねえ。最高だよ!」


「黙ってろ外道が!!」


「しゃあない、上司がしてしまった事だ。部下の俺がなんとかしてやる。」


「けど、彰一人じゃ無理だろ。俺もやるよ。」


「聖人ができるわけ……あっ!」


霊夢は気が付いたみたいだな。勘が鋭いことで。


「俺の能力を使えばなんとかなるかも知れない。不可思議な力を無効化する能力を使えばな。」


「兄さん!!それは!!」


「……死ぬ気なのか聖人?」


「……ああ。そのつもりだ絢斗。」


もう、これしか方法がない。時間があれば別の方法もあったかもしれないけどさ。


「ちょっと待ってくださいよ!!絢斗と良太はそれで納得出来るんですか!?」


「快、言いたいことはわかる。でも俺もこの規模の爆発を止めるにはこうするしかないんだよ。この爆弾の規模はかなり広いんだよ。」


「くっ……。」


悪いな快、心配してくれるのは嬉しいんだけどな。


「どうなってるんですか絢斗君?まさか聖人は。」


「急いでここから離れるぞ皆!!紫、いるんだろ?」


「そんな!!聖人は!!?」


早苗も俺の事を心配してくれてるのか。嬉しいけど、未練が残るからやめてくれ。


「行きましょう早苗さん。ここに残っていたら兄さんの決心が鈍ってしまいますから。」


「嫌!!」


「早苗、わかってくれ。こうするしかないんだ。」


「絶対嫌!!やっと会えたのにまた離れるなんて絶対に、絶対に嫌です!!」


「早苗。貴女の気持ちはよく分かるわ、でもここに残ってたら聖人の配慮を無駄にすることになるわ。」


早苗の隣に紫が来たか。好都合、皆連れていってくれるかな?


「紫!!いつの間に!?」


「私のスキマで皆を連れていくわ。それでいいわね聖人!?」


「ああ。」


紫、サンキューな。あと早苗が紫を睨んでいるけど、紫は受け流してるな。


「早苗、貴女はこう思ってるわね?スキマで爆弾を見付けて何処かに捨てれないのかと。出来たら最初からそうしてるわ。」


紫の言葉を聞いた瞬間に早苗は力なく座り込んだ。


「皆!!よく聞いてちょうだい!!」


霊夢は皆に事情を説明して、スキマに入れた。一人一人スキマに入るとき、俺を見たがすぐに入っていった。決心が早くて助かるな。


「…………。」


けど、早苗一人だけその場から動こうとはしなかった。


「早苗……。」


「私も残ります。」


「駄目だ早苗ちゃん!!」


「けど、もう離れたくない!!聖人がここに残るなら私も残ります!!」


「………………。」


埒が明かないと思ったのか良太は早苗を肩に担いだな。恐らくこれ以上時間を掛けられないのと、良太も早苗と同じ気持ちだからかな?


「ちょっと、離してくださいよ良太君!!」


「悪いけどそれは出来ません早苗さん。俺を恨むならどうぞ恨んでください。」


「殴りますよ、蹴りますよ!!」


「好きにしてください。」


そう言って良太は俺の方を向いた。それにしても、改めて良太を見ると最後に見た時よりも大きくなりやがったな。


「兄さん、悔いはないんですね?」


悔いは正直に言うとありまくりだよ。


「良太、絢斗、快、このあとは任せたぞ。」


「わかったよ聖人。」


「兄さん、わかりました。俺が、俺達がなんとかします!!」


「じゃあな聖人。」


そう言ってスキマの中に入った。


早苗は最後に俺を見た。その顔はとても悲しみに溢れていた。けど、こっちは笑顔で別れを告げよう。

















ありがとう、元気でな。

















「いやああああああああ!!!!!」


スキマの中で早苗の叫び声が響きわたった。


















「さて、あと30秒か。」


今までいろんなことがあったな。いきなりこの世界に飛ばされて、いろんな異変に巻き込まれて、楽しいことばかりではなかったし、死にかけた事も多々あった。傷つき悲しませたこともあった。


でもこの世界は外の世界よりは凄く楽しかった。あの世界では学べなかったことをたくさん学べた。人の暖かさを感じれた。


「(けど、やっぱりまだ皆を避けているな。)」


思わず苦笑いを浮かべる。もし、戻ってこれたら性格を変えようかな。


「この世界は腐っているのだ!!それを正す為に我々は動いている!!ただの少年が邪魔をするな!!」


「いいや、邪魔してやる!!腐ってると思ってるのはてめえが勝手に思ってるだけだ!!」


確かにこの世界は腐ってる。罪のない人を殺したり利益の為に争いをするけどな!!


こんな結果で終わらなくてもいいはずなんだよ!!


3……2……1……


爆弾は爆発した。


「おおおおおおおおおおおお!!!!」


俺は巨大な爆風に吹き飛ばされないように、踏ん張りながら爆発が広がるのを抑える。


「幻想郷を消させるかよ!!これ以上、罪は作りたくないんだよ!!」


そう思い、必死に抑える。けど、だんだん目が閉じてくる。それと同時に爆発も小さくなってくる。


「聖人、俺は、地獄に行ってるわ。」


彰の声か、そっちも抑えるのに成功、したんだな。


「抑えることは、出来たけど、戻るのは、無理そうだ。はは、早苗、元気にやっていくんだぞ。」


ははっ、こんな、結果で、終わる、なんて、な。情け、ねえや。
















ごめんな















とあるところ


「チィ、使えないやつじゃのう。」


「まあまあ、聖人を殺せただけよしとしましょうよ。」


「それもそうだな。しかし残りはどうする?」


「それは時間を掛けて殺す作戦を考えましょ。」





















あれから半年後


あのあと霊夢達は博麗神社に飛ばされた。皆スキマから出たときに聖人のいたところが爆発した。しかし、爆発音がしただけで爆風は来なかった。


そのあと宴会が開かれた、皆表情は笑顔だったが、心から楽しんでる者は誰もいなかった。


そして、人里に墓が建てられた。それは幻想郷を救った少年、泊谷 聖人ここに眠る。その墓の前に立っている人がいた。


「あれから半年が経ったんですね。」


立っている人とは早苗の事であり、早苗は墓に向かって話しかけていた。


「気が付けばそのくらい経ってました。」


あのあと爆発したところは白玉桜ではなく、普通の森だった。爆発跡を調べたところ、聖人が使っていたグローブが発見されたが、聖人と彰の遺体は発見されなかった。そして見付かったグローブは今、早苗が着けている。


「聖人のお陰でここは平和ですよ。」


早苗はそう呟いた。あのあと異変もなく、皆平和に暮らしていた。


「絶対に戻ってくると信じてます。だから、早く、早く戻ってきてくださいね。」


そう言い残して早苗は墓をあとにした。早苗が去った後、墓に添えてあった花が何処かに消えていった。

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