真犯人の登場
白玉桜 中庭
冥界にある白玉桜の中庭で霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢、幽香が聖人と戦っていた。
「でもどうするのかしら?こっちが有利な状況よ。それくらいわかってるはずではなくて?」
幽香は髪を弄りながら聖人に聞くが、聖人は表情を変えなかった。
「……まあ確かにそっちが有利だが、そんなことは関係ねぇよ。」
「どういうことですか?」
妖夢は聖人にそう聞いたが、聖人が発言する前に霊夢が1歩前に出る。
「こいつの能力はあらゆる弾幕を打ち消すのよ。でも長い時間は使っていられないらしいのよ。それと『オーバードライブ』も身体能力を上昇させる代わりに使用時間が限られる。聖人は動けてもあと数分ってとこかしらね。」
「『オーバードライブ』の弱点まで見破られたか。霊夢はそこまで知ってたとはな、なら早く決めるまでだ!!」
「そうですわね、なら決めさせてもらいますわ。」
そう言うと咲夜は能力を使用して時を自分と霊夢以外止めた。
「霊夢!今よ!!」
「わかってるわよ!!霊符『夢想封印』!!」
霊夢から七つの大玉が放たれ聖人に迫った。時が止まっているので聖人は避けようにも避けられない。
「「決まった!!」」
霊夢と咲夜はそう思ったが。急に聖人の持っている刀に緑色のオーラが纏わり付いた。
「やれやれ俺の能力も甘く見られたもんだな。」
「どうして話せるのよ!」
聖人は刀で夢想封印を防ぎながら話す。
「言っただろ、あらゆる弾幕を打ち消す。けど能力も打ち消せるんだよ。」
そう言い聖人は弾幕を全て破壊した。咲夜は驚いた表情をしたが、霊夢は慌てずに御幣を構える。
「それくらい予想済みだわ!!博麗の巫女をなめないでほしいわね!!」
「!!!」
聖人の上にひときわ大きい弾幕があった。夢想封印は防がれることは勘で予想していたのだろう。
「こんなときのために用意してよかったわ。」
霊夢は通用しないことを理解していなかった演技をしつつ、もう一つ夢想封印をつくっていた。
「これで終わりよ!!」
霊夢の夢想封印は虚を突かれた聖人に当たったかに思えたが、結果はちがった。
「きゃあああああああ!!!」
「くっ!!」
夢想封印は咲夜と幽香に当たっていた。そして咲夜がダメージを受けてしまったため、時が動き出し始めた。
「どういうことなんだぜ!?なぜ霊夢の夢想封印が咲夜と幽香に当たってるんだぜ!?」
「聖人、何したのよ?」
霊夢は聖人を睨み付けながら言う。聖人は首を回しながら緑色のオーラを纏っている刀に向けて指を指した。
「なあに簡単なことだよ。跳ね返したんだよ。」
「どうやって? できるはずがないでしょう!?」
「簡単だよ、破壊しないくらいに力を弱めて、そこから弾き飛ばしたんだよ。」
「何よそれ、ありえないじゃない!」
霊夢は悔しそうな顔をしながら俯く。その間に聖人は残りの人数を確認していた。
「さて、残りは3人か。さっさと決めさせてもらうからな!」
「それはどうかしら?」
突然聖人の後ろからマスタースパークが放たれた。恐らく幽香が放ったものだろう。
「マジか!!」
聖人は体を捻ってなんとか回避するものの、魔理沙が放つものと違い大きさが2倍ほどあったため少し当たった。
「あちち、少し当たっちまったか。」
「幽香、大丈夫なの?」
幽香は肩を回しながら聖人の方を向く。聖人はピンピンしている幽香を見て少し呆れたような表情になっていた。
「何よ、私がこれくらいの弾幕でやられると思っていたのかしら霊夢?」
「さすがは大妖怪を名乗ってるだけあるな。あれだけじゃ、倒れてくれないか。」
「誉め言葉ありがとう聖人。じゃあ決着をつけるわよ。」
そう言い幽香は傘の先端に力を溜める。
「どうしてだぜ?」
「向こうはかなり疲弊してるからよ白黒。そんなことも分からないのかしら?」
幽香にそう言われ、魔理沙は少しムスッとした表情で聖人を見る。聖人は顔は余裕そうな表情をしているが、肩で息をしているし、足が震えていた。
「さすがにわかっちまうか。なら来いよ。」
聖人は左手で手招きをする。
「皆!!タイミングあわせて強い技で決めるわよ。いいわね!?」
「神霊『夢想封印 瞬』!!」
「魔砲『ファイナルスパーク』!!」
「桜花剣『閃々散華』!!」
「花符『幻想郷の開花』!!」
霊夢達の放った弾幕が聖人に迫ってくる。これだけの量は流石に打ち消すことが出来ないらしい。体力がまだ残っていたら話しは別だったのだが。
「さすがに無理だな。まあ、これもいいか。」
聖人はふっ、と笑い刀を鞘にしまう。そして霊夢達の放ったスペルは全部聖人に直撃した。
「やった?」
霊夢が周りを見て確認すると、そこには血まみれで倒れている聖人がいた。非殺傷と言えども、4人の全力のスペルを喰らったため、こうなるのは致し方なかった。
「ふうー、やっとやっつけたのぜ。生きてるよな聖人?」
「ここまで強いとは思わなかったです。恐らく生きてると思いますよ魔理沙さん。僅かにですが肩で呼吸してますし。」
「少し疲れたわね。さっさと帰って寝たいわね。」
と、霊夢達が聖人に勝利した余韻に浸っていると、突然轟音が鳴り響いた。
「フハハハハハハ!!!」
そしてどこからか笑い声が聞こえてきた。
「誰よ、こんなきもい笑いかたは!?」
「きもいとは失礼な。一応気にしているんだぞ!!」
そう言い誰かが上からゆっくりと降りてくる。
「お前は誰だ!?」
「よくぞ聞いてくれた。俺の名前は仰木 彰だ。好きなものは甘いもので嫌いなものは酸っぱいものだ!!」
「一体何者なんです!?」
「あれ?俺の自己紹介スルー?」
妖夢は桜観剣を構えながら聞く。仰木彰と名乗った男は自己紹介を無視され少しへこんだが、すぐに咳払いをした。
「ウオッホン!!俺はこの世界を乗っ取りに来たのさ!!」
彰は両手を広げながら高々と宣言する。
「そんなことが外来人のあなたにできると思ってるのかしら?」
「確かに、俺は外の世界から来た。けど、ここは文明は古いではないか。」
「それがどうかしたのよ?」
と、霊夢が言った瞬間に、辺りに黄色いガスが撒かれていた。
「何?この煙みたいなものは?」
「これが外の兵器だよ。まあ、君たちに言ってもわからないものだけどね。」
彰がそう言った瞬間、霊夢達の体から力が抜けて地面に倒れこんだ。
「か、体が……しび、れて。」
「これ……じゃあ、スペル、カードも……使え……ないぜ。」
「そう、確かこの世界はすぺなんとかがあるらしいが俺にとっては無意味だ。そんなものを使わなくても君達を始末出来るからな。ただ、唯一邪魔なのはそこに倒れてるやつなんだよ。」
彰は倒れている聖人を指差しながら言う。
「な、ぜ、だ?」
「やつは俺と同じ外の世界から来たからな。この兵器を知ってると思ったからだ。しかしまあお前が勘違いして倒してくれたお蔭で助かったよ。」
「どう、いう、意味だ!?」
「お前たちの仲間を拐ったのは俺とこいつだからな!!」
と言うと仰木彰の横からもう一人現れた。
「くくく、うまく騙されてくれたね。」
「だれ、なんだぜ?」
「俺の名は松方 健二だ。しかしここの奴等はコスプレするのが趣味なんだぜ?」
松方健二は魔理沙や霊夢の服装を見て若干引いていた。こんな少女達がもうコスプレをしているのかと。
「まあいいぜ、作戦がうまくいって本当によかったよ。すべてお前達のおかげだ。あ・り・が・と・よ!!」
「「アッハッハッハッハ!!」」
彰と健二は笑いながら言う。
「く、こい…つ!!」
霊夢は起き上がろうと、懸命に体に力を入れるが、体が麻痺してるため言うことが効かなかった。
「さて、そろそろ連れ去りますか。」
そう言い彰は何かを取りだしばら蒔いた。ばら蒔いた瞬間、霊夢達は急に眠気が襲ってきてすぐさま眠ってしまった。。
「フハハ、やっとこいつらを仕留めれたな!!いや仕留めてはいないから気絶させれたってことか。」
「まったくだせ、あとお前のそのキャラ気持ち悪いからいつものに戻ってくれないか?悪役ぶりたいのは分かるけどな。」
「あっ、そう。なら戻す。しかしこれで良かったのかねぇ。」
「あの胡散臭い妖怪の言う通りにしたけど、こうでもしないと俺らの組織の上司に殺されちまうからな。世知辛いぜ。」
仰木と松方はぶつくさいいながら眠っている霊夢達を担ぎ上げて何処かへ向かって投げ飛ばす。
「こいつどうする?このままにしておくにはいかねえだろ。」
松方は倒れている聖人を掴みながら仰木に聞く。仰木は何かを考えていたが、傍に落ちていた槍を拾って大きく振りかぶる。
「そこら辺の冥界じゃない森に向けて吹き飛ばす。へいへーい、ピッチャーカマーン!!」
「かしこまりましたかしこ。」
そう言い松方は聖人を仰木目掛けてぶん投げ、仰木は振りかぶった槍で聖人を空の彼方へ吹き飛ばした。
「さて、俺は甘いもの食べるからあとのことは任せるわ。これ先輩命令な。」
「ぐっ、パワハラが酷いぜ。」
妖怪の山
「……もういいかな?」
おいしょっと、うん、体に支障はないようだ。にしても槍で吹き飛ばす必要あったか!?
「全く、演技は大変だな。あー苦しかった。」
おっと口に付けてあったマスクを外してっと。実は霊夢達の敵に回ったのは、あいつらを誘き出すためだ。俺が霊夢達にやられれば、あいつらが来ると思ったからな。
「しかしこれは参ったな。」
予想より深刻な状況になっちまった。どうするかなー。
「おおーいたいた!!探したんだよもう~。」
遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。えっ?ぶっ飛ばされて耳でもおかしくなったか俺?
「この声はまさかな、そんなことあるわけ「いやー久し振りだね!!」うっせぇ!!」
声がした方向に弾幕を放った。おかしくなってなかったか。間違いなくあいつじゃねえか!
「おわ、ちょ、アブねえから!!」
そう言い声の主は軽々と俺の弾幕をかわした。っち、当てられなかったか。
「うっさい!!てか何でお前がここにいるんだよ。絢斗!?」
そこには俺の数少ない友達の相沢絢斗がいた。絢斗は外の世界にいたはずだが。
「いやぁなんかここに来ちゃった~。」
絢斗は頭をかきながら答える。適当でこんなとこ来れねえよ。
「未開の地でもお前は平常運転なのな。じゃああいつらを呼び寄せたのは。」
「タンマタンマ、俺じゃないって~。俺はあいつらを阻止しにきたんだよ~。」
「そうか、じゃあ許してやる。」
まあ、こいつの性格上あんな事をする筈もないか。
「それよりもお土産があるんだよね~。」
「どうせろくでもないものだろ?」
今までそう言ってきて、まともな物を渡された事がないからな。
「その言い方ひど!!今回は大丈夫だって。こっち来て~。」
「何だ?おい、何で!?」
まさか、嘘だろ!?




