犯人は聖人?
博麗神社
あの後、博麗神社に集まり、情報交換をして、これからどうするかを皆で考えていた。
「さて、これからどうするのかしら?犯人は謎の男、聖人からの指示で誘拐している。犯人の場所は不明ね。」
「そんなこと言われてもわからないぜ!!霊夢、お前の勘で何とかならないのか!?」
魔理沙が声を荒げながら霊夢に詰め寄るが、霊夢は苦い顔をしてため息を付く。
「何とかなってたら今頃行動してるわよ。勘で行動するのもいいけど、今回は事態が事態だから慎重に行きたいの。分かった魔理沙?」
「んっ?誰か来るわよ。」
永琳が誰かが来る気配を察知し、霊夢は張っていた結界を一部分解除する。解除したところから入ってきたのは、咲夜とチルノだった。
「意外な組み合わせね。」
「そうだな。意外すぎるぜ!!」
「霊夢達は無事なようね。妹紅と永琳もいる。逆に言うとこれだけしか無事な人がいないってことになるのね。」
「あたいもう疲れたよ。」
そう言いチルノは地べたに横になる。余程疲れたのだろう。
「咲夜、あんたのところのお嬢様は?」
そう妹紅が言うと咲夜は暗い顔になった。
「お嬢様はご無事ですが、パチュリー様と小悪魔が拐われてしまいましたわ。」
「パチュリーをやっつけるなんて、外来人もやるわね。」
「そのあと私も捕まるところでしたが、美鈴が助けてくれたのよ。」
咲夜が美鈴に助けられたと聞いた瞬間、魔理沙は腹を抱えて笑い出した。
「あの居眠り門番が役に立つなんてな!!まあでも、美鈴は気を操れるからな。」
「でも、もう美鈴も捕まったでしょうね。私が空へ出たとき美鈴がお嬢様を庇って連れていかれたのを見ましたから。」
「どうして助けなかったのよ?」
「助けようと思ったのですが、突然煙が上がり見失ってしまったのよ。」
そう言い咲夜は悔しそうに拳を握った。
「なるほどね。じゃあどうしてこの妖精がいるのかしら?」
「あたいは妖精じゃない!!さいきょーのチルノよ!!」
「今そんなこと聞いてないぜ!!」
チルノと魔理沙がギャーギャー言い争っているのを横目に、霊夢は何故チルノと一緒に来たのかを咲夜に尋ねる。
「霊夢達が言ってたのと同じよ。チルノの所にも謎の男が現れたのよ。」
「あいつら大ちゃん達を連れていったんだもん!!何か変な煙を出しながらな!!」
「で、何でお前は無事なんだ?」
「あたいは周りを凍らせて逃げてきたのよ。このさいきょーのあたいが!!」
チルノの言葉を聞いた魔理沙は手をポンっと叩き、チルノの肩をバシバシと叩く。
「なるほど、今回はチルノは使えるかもしれないぜ!!頼りにしてるぜさいきょー!!」
「ふふん、ドロ船に乗ったつもりで任せておくといいぞ!!犯人はどこだ!?あたいが凍らせてやるんだから!!」
「そこは大船に乗ったつもりだけどね。でもチルノが入ればなんとかなるかもしれないわね。」
調子に乗っているチルノを見ながら霊夢はため息を付き、スカートのポケットに入っているスペルカードを確認する。
「ええ。でも犯人はわかってるかしら霊夢?」
「わかってるわよ咲夜。犯人は「聖人よ。」人の台詞取らないでよ幽香。」
咲夜と霊夢の後ろに現れたのは、傘を持った幽香がいた。だが普段の温厚さはなく、目が怒りに満ちていた。
「あら、あなたも無事だったのね。まあ幽香が外来人に遅れを取ることはないでしょうけど。」
「ええ確かにね、でもプライドはズタズタにされたわよ。」
幽香は唇を噛み締めながら近くにあった木を殴り飛ばした。どうやらかなりご立腹らしい。
「何かあったのか幽香?」
「聞かなくてもわかるでしょう?白黒。」
「誰が白黒だ!?」
「喧嘩してる時ではないでしょう。幽香、苛立っているのは皆同じよ。」
今にも暴走しそうな幽香を永琳が説得して押さえ付ける。
「確かにそうね永琳。あの男絶対に許さないわ!!ズタボロにしてあげるわ!!」
それでも幽香は大分荒ぶっていた。それを見ていた霊夢と魔理沙はひそひそと感想を話していた。
「今の幽香は怖いな霊夢。絶対に喧嘩を売りたくないぜ。」
「ええ。そうね。で、とりあえず何があったのか話してくれないかしら幽香?」
「わかったわよ。私はいつも通りに花の手入れをしていたのよ。そこに謎の男が表れて、いきなり何かを撃ってきたのよ。」
幽香の言葉を聞いて魔理沙は幽香の体を見る。謎の男に襲われた人達は皆身体に傷があったが、幽香は傷らしい傷は一切無かった。
「よく無事だったな!!」
「まあ運よく外れたからよ。それを見た男は撃つのは諦めたのか、鞄から何か液体のものを出して花にかけたのよ。」
「何をかけたんだ?」
「知らないわよ。そしてあの男はこう言ったわ。これから何をするかはわかっているな?されたくないなら大人しくついてこいって言ってきたのよ。」
幽香は発言する度に持っている日傘の柄を強く握る。
「幽香に脅すとはやるわね。」
「霊夢の言う通り、逆にこっちが脅したわ。すると、男は突然火を出して花に投げたのよ。すると辺りは火の海になったわ。」
「まさか、そいつも能力を持ってるのか!?」
「知らないわよ。だけど、男はこう言ったわ。俺は聖人の命令でやってると言ったわ。それで、消火している間に逃げられたのよ。」
一通り話し終えて落ち着いたのか、幽香は力を入れていた日傘をくるくると回し始める。
「犯人は決まったわね。」
「でもどこにいるんだ?しらみ潰しに探すのか?」
「そんなことをしなくても、聖人さんは白玉桜にいますよ。魔理沙さん。」
いつの間にか、妖夢が魔理沙の後ろに立っていた。妖夢が発言するまで皆気が付かなかったようだ。
「妖夢どういうことかしら?まさかあんたが犯人?」
「私は犯人じゃないですよ霊夢さん!!私は買い出しに出かけていたら変な男に会って、拐われた者達はお前の住んでいるところにいる。助け出すかはお前たちの自由だ。と言ってどこかに行ってしまったので慌てて博麗神社に駆け付けたんですよ。」
「なるほど、場所は決まったわね!!」
「早く行きましょう。早くぶちのめしに行くわよ!!」
「だな!!」
霊夢達はそう言うと白玉桜に向けて出発した。




