いざ、妖怪の山へ!
幽香との戦闘から2ヶ月、俺は修行の為に色々していた。そりゃ色々な。
「しかし、涼しくなってきたな。」
季節は今、秋である。しかもここは冥界なので他のところより気温は低い。
「そこにいないで手伝ってくださいよ!!」
妖夢は洗い物をしながら言ってきたな、せっかく黄昏てたのに。
「はいはい手伝うよ。」
そんなこんなで妖夢の手伝いをしていたら時間は過ぎて昼頃、俺の部屋に手紙が置いてあった。
「なんだこれ?」
誰が置いていったんだ?幽々子か?まあいいや、えーと、何々?
「おいおいマジかよ!!」
こいつはただ事じゃねえ!!内容?んなことどうでもいい!!
「どこに行くんですか聖人さん?」
「ちょいと野暮用が出来た!!帰ってくるのは遅くなるって幽々子に伝えておいてくれ妖夢!!」
「えっ?あっ、聖人さん!?」
妖夢が狼狽えていたが、そんなこと気にする時間すら惜しい!!急いで向かわねえと!!
「まったくもう!!何処に行くか言ってくれてもいいじゃないですか!!ん、これは手紙?」
妖怪の山でとんでもないことがおきてる。あんたの力が必要だから私の神社まで来なさい
「これって霊夢さんからの手紙?霊夢さんがこんな手紙を出すって事は何かあったんですね!!私も向かう支度をしないと!!」
「ダメよ~、妖夢が行っても無駄よ~。ここは聖人に任せて私達は待機しておかないとダメよ。」
「むぅ、分かりました幽々子様。」
博麗神社
「着いたぞ霊夢。」
冥界から3分で博麗神社まで来たぞ。全力で飛んできたからきぼちわるい。
「意外と早かったわね聖人。あと吐くなら境内の外で吐いてよね。ここで吐いたら慰謝料貰うわよ?」
「うぷ、もう大丈夫だ。それで俺に何の用だ?何かまずいことでもあったのか?」
俺が霊夢にそう尋ねると、霊夢は真剣な表情になった。霊夢がここまで真剣な表情をするのは珍しいな。
「とてもまずいことよ。つい最近、妖怪の山に新しい神社が来たらしいの。」
新しい神社、まさかあれじゃないよな?
「外の世界から来たってことか?それはすごいな。それで、その神社の名前は?」
「確か、守矢神社って言ってたわよ。」
守矢神社だと!?おいおい聞き間違いじゃないよな?
「言ってたってここに誰か来たのか?」
「守矢神社の巫女で東風谷早苗だったかしら?その巫女が来て神社を明け渡せって言ってきたわ。」
あいつだと!?何しに来たんだよ!!お前までここに来ることはないだろ早苗!!
「それは本当か!?嘘なんかじゃねえよな霊夢!?」
「ええ、本当よ。あんたと入れ違いになったけどね。」
いや、あいつならいずれここに来るか。早苗が信仰していた二柱の神の為に。
「それで何で霊夢に神社を明け渡せって言ったんだ?」
「そんなの知らないわよ。」
それかなりヤバイ話になってきたな。ったく、事前に下調べとかしておけよ。
「ここがどういう役割を果たしているか、あんたは知ってるわよね?」
「まあな。」
ここがなくなったら、幻想郷は終わりだしな。あいつはその事を知るよしもないか。
「どうするんだ?このまま黙っている訳じゃないんだろ霊夢?」
「守矢神社に行くわよ!!私の神社を侮辱したからにはボコボコにしてやるわ!!」
珍しく気合充分だな。俺も付いていく必要あるのか?
「それは俺も行かなきゃいけないのか?」
「そうよ、文句あるの?」
「いやないです。」
霊夢に睨まれたぜ、思っていた以上に霊夢の睨み顔って怖いな。
「それじゃあさっさと行くわよ!!もたもたしてたら置いていくわよ!!」
「意気込むのはいいんだけどさ霊夢、守矢神社の場所はわかるのか?」
「…………そこは勘で行くわよ!!」
おいおい!!場所を知らないで行くのかよ!!
「信用できねぇ。」
行き当たりばったりじゃねえか。どうすんだよ、ん?上空から魔理沙がやって来たな。
「私も行くぜ!!何か面白そうだからな!!」
「相変わらずだな。俺は別に問題ねえぞ。」
「足は引っ張らないでよ魔理沙。」
「わかってるぜ。」
こうして俺と霊夢と魔理沙は妖怪の山に向かった。道中の敵は霊夢が駆逐していった。容赦無さすぎだろ。話し掛けようとした姉妹の神様と、厄神と、河童みたいな格好をした人を問答無用でボコボコにしやがった。
「結構登ったな。」
「そうね、今は中腹あたりかしら?ったく、私は今気分が良くないのにどうして立ち塞がろうとするのかしらね!!」
「私に聞かれても困るぜ。ってか、話し掛けようとしただけだろ。」
妖怪の山に入って数時間、いまだに神社は見えねえな。
「ん?霊夢、魔理沙、上空から誰かが来るぞ?」
現れたのは天狗?が二人ほどやって来た。天狗なのか?それにしては鼻が長くないような気がするな。
「止まれ、そこの侵入者!!」
片手剣盾持ちの犬娘が威圧するように言ってきたな。本物の犬耳に尻尾か!!一度でいいから触りたいな。
「だってさ、霊夢。」
「何で私なのよ!?ってかあんた誰よ!?」
「名乗る必要はない。」
えっ?随分と変わった名前をしてるなこの犬娘。
「じゃあ名乗る必要はないさん、そこを避けてもらえませんかね?」
「貴様!!馬鹿にしているのか!?」
「怒るな怒るな、ほーれお手。お座り、わたあ「ふざけるな貴様!!」ぶべぇ!?」
痛え、弾幕を顔面にぶつけられた。くそ、俺にペットを飼い慣らす才能はないのか。
「アハハハハ!!聖人本当に面白えなお前!?」
「何馬鹿なことしてんのよ。」
「そちらの方は随分と面白い人ですね、ちなみに今貴方が弄った犬娘は犬走椛と言うんですよ。」
名前言っちゃってるじゃん。えっと、犬娘が犬走という奴ね。それでその隣にいる背中に黒い羽が生えている人が、犬走の上司みたいな人か。
「何勝手に言ってるんですか文さん!?」
「言ってもいいじゃないですか。椛の反応が面白かったし。」
あっ、犬走の耳が垂れ下がった。やべぇ、あれモフモフしてえな。させてくれねえかな?
「文、こんなとこで何をしてるのよ?」
「侵入者が来たと聞きましたので、スクープの予感と思ったのでやって来ました!!」
「おい霊夢、誰だ、この人は?」
「申し遅れました。私、清く正しい射命丸文です!!以後、お見知りおきを!!」
そう射命丸は答えたな。中々に元気一杯な人だな、ちょっとうるさそうな感じがするけど。
「霊夢さん達は何故ここに来たんですか?」
「この妖怪の山に神社があるからそこに向かってたのよ。」
「新しく来た神社ですね。場所は知ってますよ。」
これはラッキーだな。案内して貰えると助かるんだけどな。
「じゃあ案内頼めるか?」
「いいですよ、と言いたいですがその前にこの男の人は誰ですか?見たことがないんですが?」
「最近幻想郷にやって来た泊谷聖人だ、よろしくな。」
「よろしくお願いいたします。って貴方が噂の外来人ですね!!」
どういう噂かは知らないけど、多分その噂の外来人は俺なんだろうな。
「文さん、私はどうすればいいんですか?」
「そうですね、んー、適当に理由をつけて報告してください。」
「ええー!!そんな……。」
適当過ぎるだろ射命丸、犬走が可哀想だな。同情の言葉とかは出さないけどな!
「じゃあ霊夢さん、案内しますよ。」
「頼むわ文。」
「あっ、ちなみにここからは歩いて行きますから。飛ぶと他の天狗にばれますからね。」
「わかった。俺もそろそろ飛ぶの辛くなってきたからありがたいな。」
俺達は射命丸の案内で守矢神社に向かった。さて、あいつに会うのは久々だな。面倒な事にならなければいいんだが。




