妖夢との修行
冥界に来てから数日が経過した、俺は今妖夢に弾幕の作り方を教えてもらっている。
「こうやって、こうか?」
「そうですよ。上手いですね!!」
霊力を塊にするイメージが大切なんだってさ。まあ俺は球技に使うボールの大きさをイメージして弾幕を作ってるぞ。
「まだまだかな。もっと効率よく作れるようにならねえとな。」
よし、ある程度の弾幕は作れるようになったな。まあ、霊夢や魔理沙程じゃねえけどな。続いてはスペルカードだな。
「妖夢は剣術以外のスペルカードはあるのか?」
「あるにはありますが、あまり使えません。」
と言ってしゅんとした。うん、気にしてるのな。
「いや、剣術以外のスペルも使っていいのか?」
「それは大丈夫ですよ。でも聖人さんは出来るんですか?剣術以外のスペル?」
数は少ないけど使えるぞ妖夢、って信じてないなその目。
「出来るぞ、じゃあちょっと見せるか。」
「お願いします。」
「じゃあどこか壊してもいいところある?」
見せるならぶつける対象の物もあった方がいいからな。
「あるわけないでしょう!!何を言ってるんですか!?」
おいおい、そんなに顔を真っ赤にして怒るなよ妖夢。別に庭園を壊そうとしたりしねえよ。
「いや、あるわよ~。」
「あんのかよ。」
ってか幽々子、勝手に決めていいのかよ?庭の管理は妖夢がやってるんだろ?
「あそこにある岩を壊してくれないかしら?あれすごく邪魔なのよね~。」
「わかったよ幽々子。」
「ちょっと幽々子様!!勝手に決めないでください!!」
「え~?いいじゃない~♪あの岩本当に邪魔なんだも~ん、聖人お願いね。」
「はいはい、じゃあいくぞ!!想符『フレアスパーク』!!」
まっ、オレンジ色をしたマスタースパークを放つだけなんだけどな。威力は俺の方がある、はず。
ボゴーーーン!!!
どれどれ岩はどうなっ、おう、岩が木っ端微塵になっちまったよ。調整ミスったか?
「すごい。魔理沙さんと同じくらいの威力です。」
「予想以上ね♪」
「まあこんなもんかな。あれでも加減はしているぞ。」
ん?何で妖夢は不思議そうな表情で俺を見てくるんだ?妖夢の隠してたお菓子を食ったのがバレたか?
「何で魔法が使えるんですか!?」
あ、そっちか、って妖夢がありえないと言わんばかりに俺に詰めよってくるんだが?
「俺は霊力、魔力、神力が使えるからな。」
本当になんでかは知らんけどな。
「凄すぎますよ!!」
妖夢は唖然としていたが、そりゃそうだろうな。俺も唖然としているよ。
「もっと修行すれば強くなるわよ~。」
「わかってるよ。」
まだまだ無駄が多いからな。スペルも何回も放てる訳じゃないし。空だって上手く飛べないしな。
「じゃあ剣術のスペルは何個あるんですか?」
「えっと、わかんない妖夢。」
数えた事なかったもんな。今度数えてみるか。
「そうなんですか。」
「じゃあ~、もう1回勝負してみたら~?久し振りに妖夢の戦ってる姿を見てみたいのよね。」
「俺はいいけど、妖夢はどうする?」
「はい!!お願いします!!」
とまあ、俺と妖夢とで再び勝負することになった。
「勝負内容はスペルカードは一回だけで、被弾回数も一回だけよ~。頑張ってね2人とも。」
「よろしくな。」
「こ、こちらこそ!!」
んっ?妖夢は緊張しているのか。もっとリラックスすればいいのに。
「固いぞ妖夢、1回深呼吸しろよ。」
「そ、そうですね。」
「ほい、じゃあ吐いて「ゲホッゲホッ!!」どした?」
何かいきなり妖夢が咳き込んだな?
「そ、そこは普通吸ってじゃないんですか!?」
「それでは、始め~!!」
「幽々子様!?」
いやぁ、妖夢はなんか弄りたくなるな。見ていて反応や動作が面白いもんな。
「ここ、この勝負は勝たなくてはいけませんので、本気で行きますよ!!」
「ああ、さっき噛んだのは見なかったことにしてやるからかかってこい!!」
「一言余計ですよ聖人さん!!じゃあいきますよ!!剣技『桜花閃々』!!」
妖夢は最初から二刀流で俺に斬りかかってくる。滅茶苦茶本気じゃねえかよ。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
上段からの斬り下し、突き、水平斬り、斬り上げ、たまに二刀同時に攻撃してくるから防ぐの大変だなこれ!!
「っち!!こいつはきついな!!」
必死にかわしたり、受け流したりしているが。何時まで持つかわからねえ。
「はぁ、はぁ。」
「ふぅ、やっと終わったか。あともう少し続いていたらやばかったな。」
剣技が終わると妖夢は肩で息をしていた。あぶねぇ、危うく愉快なオブジェクトになるところだった。
「つ、次は聖人さんの番ですよ!!」
「分かってるよ、でもその前に一つ聞きたいんだけどいいか。」
「何でしょうか?」
「本気でいいのか?」
本当の本気でいいのか?妖夢の剣技を見たらちょっと俺も本気でいきたくなってな。
「構いません!!本気で来てください!!」
よっしゃ言質取ったり!!後で文句言ってもし知らねえからな。
「じゃあ、覚悟しろよ!!」
そう言い俺は妖夢に高速で近づき足払いをする。
「えっ!?」
予想外の攻撃だったのか、妖夢は転んだ。最初から刀なんて使わねえよ。
「痛たた、これが本気ですか!?」
「これからだって。喋ってると舌を噛むぞ?」
俺は妖夢に向かって刀を縦に振るった。妖夢はそれをガードしようとする。甘いな。
「どこ見てる?後ろだぞ。」
「なっ!!どうして!?」
妖夢は二本目の剣を取り出して防ぐ。けど防いだ後、俺はすぐ横から斬撃を放つ。
「くっ!!どうなってるんですか!?」
「知りたいか?じゃあ見せてやるよ。」
「なっ!!どうして四人もいるんですか!?」
妖夢の視界には四人の俺の姿が見えたらしい。この技は足払いをして、目をそらしたあと残像が残るように高速で動き回る。
「さぁ、覚悟しとけよ!!」
前や後ろ、右や左、フェイントをかけながら攻撃していく。これが俺の隠し技の一つ奥義 『幻狼風雷破斬』だ。
「(けど、感触がいまいちだな。半分くらい防がれたか。)」
妖夢はこの攻撃の半分は防いだらしい。半分でも防いだ人はなかなかいない。
「やるな!!妖夢!!けど、これで最後だ!!」
最後の一撃を放ったが、妖夢は辛うじて防いだ。だが威力に負けて後ろに吹っ飛んだ。
「やべっ、やり過ぎたか?」
まあ峰で攻撃したから死にはしないだろう。
「…………。」
あれ?妖夢の動く気配がないぞ?
「ここまでとはね~。でもさらに上があるみたいね♪」
観戦していた幽々子は驚いた顔をしていた。でも、さらに上があることを見抜かれたな。どんだけ鋭いんだよ。
「妖夢は大丈夫か?」
「わからないわ~、様子を見てきなさい。」
起きる気配なし、むっ、妖夢の目を瞑ってる姿は可愛いな。
「妖夢に見蕩れるのかしら?」
「そそそそんなわけねえし!!」
くそっ、幽々子は心を覗けるのか!?
「気絶してるし、数ヶ所骨が折れてるな。」
「あらあら~、これは聖人が責任持って妖夢を病院に連れて行きなさい♪」
「はいはい。」
っしょっと、おんぶしたけど意外と軽いな妖夢。それと柔らかい肌の感触、スラッとした足、落ち着け俺。顔を赤くするなよ。
「それにしても、びっくりしたわね。本気の聖人とは勝負したくないわ~。」
「多分勝負することはないし、幽々子が本気を出せば普通に俺を倒せるだろ?」
幽々子みたいな人ほど、実力を隠し持っていそうだしな。
「そうかしらね~♪」
「まあいいや。ところで、幻想郷に病院ってあるのか?」
人里にはそれらしき建物は見当たらなかったが?
「あるわよ~、けど迷いやすいから案内役をつけたほうがいいわよ~。」
「わかった、ちなみに案内役は誰だ?」
「人里に行けばわかるわ~、いなかったら霊夢に聞きなさい。」
うえっ、賽銭の準備はしておくか。
「じゃあ行ってくる。」
「妖夢が可愛いからって、キスとかしちゃ駄目よ~♪」
しないから!!ああもうこれ以上いたら幽々子にからかわれるから出発出発!!




