夢幻館へ行こう
夢幻館
ここは夢幻世界と言われる場所、幻想郷ではないが、冥界や魔界と同じように幻想郷とは繋がっている。まあ、ほとんど行く人はいないが。
「あの子、何時になったら帰ってくるのかしらねぇ。ちょっと言い過ぎたかも。」
夢幻世界の中に1つの建物があり、そこは風見幽香が以前住んでいた場所、夢幻館があった。
「探したいけど、ここを離れる訳にはいかないし、エリーは頼りないしくるみはどっか行ってるし、困ったわね。」
もともと風見幽香が夢幻館の当主だったが、現在幽香は太陽の畑に住んでおり、当時居候していた夢月と幻月が今の当主となっている。
「そのうち帰ってくるわよね?変な虫に引っ掛かってないかしら!?姉さん心配になってきた!」
夢幻館のメインフロアと言える場所で白い服装に身を包んだ金髪の少女、幻月が椅子に座りながらオロオロとしていた。
「ああもうなんでこんなことになったかなぁ!?エリー!!エリーはいる!?」
夢幻館に住んでいるのは幻月や夢月だけではなく、赤い服装に身を包んだ金髪で白い帽子を被っている少女、エリーがいる。
「……来ない、もしかしてサボっているのかしら!?一回殺してやろうかしら?」
幻月は物騒な事をぶつぶつ言いながら椅子から腰を上げて玄関へ向かおうとする。エリーという少女は夢幻館で門番という仕事をしている。
「ここ殺すのは勘弁してくださいよ!!」
「ふごっ!!」
幻月が玄関の扉を開ける前にエリーが思いっきり扉を開ける。だがエリーは扉を押して開けたため、反対側の扉の前にいた幻月が思いっきり開かれた扉を顔面に受けてしまった。
「あぁ!!すみませんすみません!!」
「エリー、今日という今日は殺される覚悟は出来ているんでしょうね?」
「仕方ないじゃない!!幻月ちゃんが反対側の扉の前にいることなんてわかるわけないじゃない!!」
「仕方ないじゃない、じゃないわよ!!」
幻月が半べそかいているエリーを蹴飛ばそうとした時、何者かが幻月の蹴りを足で受け止めた。
「まあその辺にしとけ、急かしたのは俺だから大目に見てやってくれよ。」
その人物は赤色のスーツに身を包んだ青年、白がいた。左肩に人が入りそうなくらい大きな鋼鉄の箱を持ちながら右足で幻月の蹴りを受け止めていた。
「貴方、どうやってこの夢幻世界に来たのかしら?もし幻想郷から来るとなれば博麗神社の裏の湖の穴から入らなければここに来れないわよ。」
「へぇ、そんな侵入方法があったなんてな。地面に穴空けて進んでたらいつの間にか着いていたからな。」
「いやなんでそんな方法でここに来れてるのよ!?」
エリーが白の無茶苦茶な侵入方法に驚いていると、いきなり白の担いでいる鋼鉄の箱から金属を叩く音が響き渡った。
「おっと、用件を伝えるの忘れてたな。ここは夢幻館で合ってるかエリー?」
「合ってるわ。って何で私の名前を!?」
白に名前を言われて焦るエリーの脇腹に幻月はエルボーを喰らわせて強制的に黙らせる。
「そうよ、それで「ドコォ!!」この幻月「ドカッ!!」に用でもある「バキィ!!」ちょっと貴方の持っている箱うるさいわよ!!」
幻月が話している最中にまるで鋼鉄の箱の中で何かが暴れているような音が響き渡る。
「用件はこれを届けに来たんだ。開けてみな。」
白は担いでいた鋼鉄の箱を降ろし、幻月へ渡す。渡された幻月は白を怪しい目で見ながら鋼鉄の箱を開けた。
「むー!!むー!!むー!!」
「これは!!」
鋼鉄の箱の中には、口をタオルで塞がれ、両手を縛られている幻月の妹である夢月がいた。
「随分と楽しそうな事をしてるわね夢月ちゃん。貴方マゾにでも目覚めたのかしら?姉さん驚いたわ。」
「んー!!んー!!んー!!」
夢月は幻月の言っている事は違うと言わんばかりに首を横にブンブン振る。
「お届け物は以上だ、夢幻館に帰そうとしても暴れて手がつけられなかったからな。箱詰めにして持ってきたって訳だ。」
「いやこれ誘拐じゃないですか白さん!?」
「ばれなきゃダイジョーブ!!」
「そういう問題「白、アンタよくもやってくれたわね!!」むむむ夢月ちゃん!?」
白がエリーにサムズアップしている所、拘束から開放された夢月がスカートのポケットにしまってあった銃を取り出し、白の頭に銃弾を放った。
「夢月ちゃん!!玄関で殺さないでくれる?掃除するの大変なのよ。私はしないけど。」
「知らないわよ姉さん、白にはかなりの屈辱を受けたからね。」
「屈辱?あー、顔を真っ赤になるまで頭を撫で回したことか?」
夢月と幻月が話している中、頭を撃ち抜かれた筈の白が何事もなかったかのように夢月の横に立ち、頭をポンポンと叩いていた。
「だから頭を撫でたり叩いたりするんじゃないわよ!!」
夢月は顔を赤くしながら白にローキックを放つか、白は数歩後ろに下がってローキックを避ける。
「えっ?白は頭を撃ち抜かれた筈よね?何で生きてるのかしら?夢月ちゃん。姉さんに教えて!!」
「こいつは不老不死の呪いを掛けられてるのよ。だからどんなことをしても死なないってわけ。」
「へぇ、それで夢月ちゃん。白から受けた屈辱って何かしら?ちょっと気になるわ。」
幻月が夢月に屈辱の事について尋ねた時、夢月の顔がボンッ!!という効果音が出そうなくらいの速さで顔を真っ赤にした。
「ねねね姉さんにはかか関係のない事よ!!」
「スカートの中を白に見られたり、酒が入った状態で白に甘えている所を他の人に見られたり、白の全裸を見たりしたのね。夢月ちゃん。中々大胆な事をするのね!」
「何で知ってんのよ!?って白!!アンタ紙で屈辱の事を書いて姉さんに見せてるんじゃないわよ!!」
白は夢月が慌てている最中に幻月にどんなことがあったのかが書かれてあるカンペを見せていた。
「口で説明するの面倒だったからな。ちなみにもっとあるぞ。」
「その話詳しく聞きたいわ。茶でも飲みながら話してくれるかしら白。」
「死ね!!死ね!!死ね!!死ね!!」
夢月は顔を真っ赤にした状態で白を睨みながら銃弾を白に放ち、白はそれを重心移動で避けながら夢月の顔の前で猫だましをする。
「夢月ちゃん?銃を乱発しないでく「大丈夫だエリー、もう気絶させたからな。」はいぃ!?」
夢月は白の右の掌を顔に当てられた瞬間に糸が途切れたかのように地面に倒れ込んだ。
「白さん一体何をしたんですか!?夢月ちゃんが痙攣したまま動かなくなってますよ!!」
「『スタップクラナー』という技術を使っただけだエリー。まあ麻痺攻撃ってやつだな、夢月はすぐに暴れるからなぁ。」
白はエリーと幻月に技の説明をしながら痙攣している夢月を右脇に抱える。
「白、アンタ、後で、覚えておきなさいよ。」
「んー、聞こえナーイ。幻月、夢幻館を案内してくれないか?」
夢月が白に睨み付けるが、白は口笛を吹きながら夢月の睨みを受け流す。それを見ていたエリーは驚愕の表情を浮かべ、幻月はニヤリと笑っていた。
「いいわよ、それにしても夢月ちゃんの扱い方上手いわね貴方。もしかして夢月ちゃんが家出した時に出会った恋人?」
「こいつが恋人?ないない、俺は結婚していたんだぞ。」
「それもそうね。白、いや本物の白谷磔さん。」
幻月に本名を当てられ、白はギョッとした表情になったが、すぐに表情を元に戻す。
「色々話すことがありそうだな。」
夢幻館 リビング
「さて、どこから話せばいいかしらね。」
リビングに移動し、幻月と夢月と白はソファーに座り、紅茶を飲んでいた。
「まず、何で俺の本名を知っている幻月?」
「あれでしょ?ある者によって幻想郷にいる奴等は記憶を塗り替えられたのよね。私の前にいる白が白谷磔ではないという風に記憶を塗り替えられた。」
「けど、ここは夢幻世界。私と姉さんが創り出した世界よ、幻想郷とは違う世界。だから記憶が塗り替えられなかった。そんだけの話よ。」
夢月は幻月の言いたかった事を先に言い、テーブルの上にあるクッキーを取って食べた。
「ちょっと夢月ちゃん、姉さんが言いたかった事を先に言うのは止めてくれないかしら。」
「まあどっちが言ってもいいんだけどさ、なるほど。あのクソ野郎も夢幻世界までは手を出さなかったのか。となると、魔界に住んでいる人達も記憶を塗り替えられていないということになるのか?」
「恐らくね、けど月には手を出したらしいから本当の事は分からないわよ?」
幻月はそう言い、テーブルの引き出しから赤いネクタイを取り出し、白の前に置く。
「ある人物からの贈り物よ。誰からの贈り物かは想像はついているでしょうけど。」
「ああ、誰からなのかは想像がつくさ。このネクタイはご丁寧に愛宕神の炎で作られているからな。でも何で幻月が持っているんだ?」
白が赤いネクタイを見て、何故ここにあるのか?どうして幻月が持っているのかを考え込んでいる最中に、夢月は席から立って何処かに行ってしまった。
「その贈り物の人物から頼まれたのよ。白の事を見てやってほしいってね。最初は断ったんだけどね、実力行使で追い出そうとしたら完膚なまでに叩きのめされて渋々了承したわけよ。」
幻月はその当時の事を思い出したのか、顔が青ざめていった。
「そうか、ありがとう。」
「礼なんかいらないわ。礼は「全てが解決したときにだろ?」そうしてもらえると助かるわね。」
「じゃあこの赤いネクタイは受け取っとくよ。ところで、夢月は何処行ったんだ?」
白は赤いネクタイをしまい、リビングから夢月がいないことに気が付いた。幻月も白に言われるまで気が付かなかったらしい。
「部屋に戻ったんじゃないかしら?それと、言い忘れてたけどしばらくここを拠点にしていいわよ。そのかわり料理とかしてもらうけど。」
「いろいろと悪いな幻月、助かるよ。今日はもう休む。」
白は幻月に礼を言い、リビングから出る。白が使う部屋は先程エリーが事前に案内をしてくれていた。
「違う世界に行かないでまともな場所で寝るのは久し振りだな。ぐっすり休めそうだ。」
白は欠伸をしながら割り当てられた部屋の扉を開ける。
「うぐぐ、もう少し大きければあいつを誘惑とか出来たのに、月の姫達が手を出せない今のチャンスを生かさないと。」
部屋の中では、下着姿になっている夢月が鏡の前で考え事をしていた。
「「…………あっ。」」
「(どうする?こういう時はどうする?よし、ここは冷静に大人の対応をするべきだな!)」
「ななな何でこんなにもタイミング悪く入ってくるのよ!!」
「いやそもそも何で客室で下着姿になって鏡の前で考え事をしているんだよ?おかしいだろ?」
夢月は両手で胸を隠し、白はため息を付きながら頭を抱えた。
「白、死ぬ前に何か言っておく事はあるかしら?言葉次第で許してあげることを考えるわ。」
「(いや何を言えばいいんだよ?素直に謝ってもこいつは許す筈がない。だったら褒めるしかないな!)」
夢月は顔を赤くしながら額に青筋を浮かべ、拳に力を入れていた。それを見た白は満面の笑みでサムズアップをしながら次の言葉を言った。
「夢月、意外と着痩せするタイプなんだな!!」
「くたばれくたばれくたばれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「バットコミュニケーションだったかぁぁぁぁぁぁ!!」
その後、白はしばらくの間、背中を夢月に蹴られ続けていたとさ。




