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東方外遠記  作者: 颯人
第16章 東方紅魔郷 再編 ~The east red addict village Reorganization~
256/261

その名も、到達せし者

人は、妖怪は、生きている限り世界に縛られる。だが、もし世界を超えたならば……

紅魔館 裏庭


霊夢達が異変を解決して自宅に帰っている傍ら、白と絢と海二は霊夢そっくりの少女、博麗霊愛と対峙していた。


「貴様らで我を止めることなど出来ぬわ!!」


霊愛の精神と肉体を乗っ取った龍神が雄叫びをあげると、霊愛の体から衝撃波が放たれる。


「っ!!絢、海二、油断するなよ!!」


「分かってるよはぶっ!!」


衝撃波に耐えながら海二は白の言葉に返答を返すが、返してる間に霊愛に顔面を殴られて吹き飛ばされる。


「ふん、会話している余裕はないぞ貴様ら?」


「こ、こりゃヤバイかもね~。」


絢は今の状況を見て冷や汗を掻いた。何故なら先程海二を殴り飛ばした霊愛の動作が全く見えなかったからだ。海二が紅魔館の壁に激突した衝撃波でようやく何が起こったのか理解したのだから。


「このやろう!!」


白は木刀を構えて霊愛に向けて振り下ろす、だが霊愛は軽くステップを踏んで回避し、持っていた御幣で白の首を斬ろうとする。


「させないよ~、そらっ!」


絢が霊夢と白の間に入って木刀で御幣を防いだ。その隙を見逃さずに白は霊愛に向けて攻撃する。


「ふん、貴様らの力はこの程度か。」


「てめえが俺らの力を封印しておいてよく言うぜ龍神!!」


霊愛と白は御幣と木刀を打ち付け合いながら会話をする。その隙に絢は居合い斬りの構えを取って力を溜めていた。


「邪魔をするな貴様ら!我は到達せし者(・・・・・)になる資格を持つ奴等を封印しなければならんのだ!!」


「到達、せし者だと?」


「白、離れろ!!」


絢の言葉を聞いた磔は霊愛の御幣による攻撃を見切り、霊愛の腹にエルボーを喰らわせて後ろに下がった。


「女の子を傷付けるのは俺の信念に反するが、今回は仕方ない!!」


絢は居合い斬りの構えから抜刀し、鎌鼬を霊愛に向けて放つ。


「そんな攻撃我が喰らうと思ってるのか!!」


霊愛は地面を強く踏み込んで空中へと回避した。だがその瞬間に霊愛の体はオレンジ色のレーザーに飲み込まれた。


「僕もいるんですよ!!」


オレンジ色のレーザーを放ったのは海二で、壁に激突した後、気絶したふりをして力を溜めて空中へと回避した霊愛に向けてレーザーを放った。


「小賢しい奴等め!!霊符 夢想封印!!」


「やべっ!!絢、海二、避けろ!!」


オレンジ色のレーザーに直撃した霊愛だったが、あまりダメージを与えられていなかった。そして7つの巨大弾幕を周りに出現させて海二、絢へと放った。


「でも、これ確かホーミング付きだったよね!?」


「避けられないのなら、弾幕を斬るまでだよ~!!」


海二は建物に弾幕をぶつけるようにして回避し、絢は巨大弾幕を斬って爆発させる。


「ほう?だがそれだけではないぞ?」


「「「げっ!!」」」


霊愛が顔をニヤリとさせると、白達の地面から巨大なレーザーが上に向けて放たれた。


「戦闘が始まる前に腕を爆発させたのはこのためよ。聞こえてはおらんだろうがな。」


霊愛は爆発で無くした腕を再生させ、ゴキゴキと音を鳴らす。数十秒ほどレーザーが残り、瞬く間に消えていく。


「上空に飛ばされたか体が消し飛んだか。まあどちらでもよいわ、これで雑魚は消えたか。」


霊愛は辺りを見渡して誰もいないことを確認すると、御幣をしまって歩き出す。だが数歩歩いてからいきなり止まった。


「貴様は呼んでおらぬのだがな、ここへ何しにきた泊谷良太?」


霊愛が後ろを向くと、両手にそれぞれ銃を構えている良太の姿があった。


「霊夢さんの知り合い、ではなさそうですね。貴方は誰ですか?先程のレーザーも貴方の仕業ですか?」


「それを聞いてどうする?」


霊愛が鼻で笑った瞬間、良太が銃弾を霊愛の顔に当たるか当たらないかのギリギリの場所に撃ち込んだ。


「答えないということは、貴方を退治してもいいという風に解釈しますが、よろしいですか?」


「好きにするがいい、どうせ貴様では我に勝てん。」


「慢心はしない方がいいですよ、想符 アクセルモード4!!」


良太は体から銀色のオーラを出現させ、髪の色も銀色に変えて霊愛に大量の銃弾を放つ。それを見た霊愛は回避しようとはせず、つまらなさそうにため息を吐く。


「そんな攻撃、我には効かぬというのに。虚仮威しにも程があるわくだらん。」


霊愛は軽く手を横に振るう、たったそれだけの動作なのに強風が吹き荒れて良太が放った銃弾を全て打ち落とした。


「なっ!?くっ、余裕を持っているだけのことはありますね!」


強風は良太の所まで来たので両足を地面に踏ん張らせて耐える。外傷はほぼないが、予想以上に風が強かったため、良太は体力を消費してしまった。


「どうした?その程度か博麗のパートナー、まさかこの程度ではあるまいよな?」


「当たり前です!銃符 ソーラーレーザー!!」


良太は銃弾ではなく、銀色のレーザーを銃口から放った。だが霊愛は軽々とレーザーを避ける。


「何度も言わせるなよ泊谷良太?そんな攻撃は我には効かぬ。」


「知ってますよ、本命はこっちですからね!」


霊愛がレーザーを避けたのと同時に良太が霊愛に近付いており、至近距離でもう一度レーザーを放った。


「むっ!!」


避けれないと判断した霊愛は手でレーザーを弾こうとしたが、レーザーは弾かれることなく、弾こうとした霊愛の手を削ぎ落とした。


「俺の能力を知らなかった事が運の付きですね!!」


好機と見た良太が霊愛に正拳突きを放つが、霊愛は少しも慌てずに正拳突きを避けてそのまま良太の腹を殴り飛ばす。


「うごはっ!!な、何で!?」


「ふん、片手ごとき削ぎ落とされて動揺するとでも思ってたか?我は痛みなど何も感じない。」


霊愛は良太を殴り飛ばした手でそのまま上空に打ち上げ、重力によって落下する前に良太の背中を蹴り落とす。


「ついでじゃ、貰っておけ。夢符 退魔符乱舞。」


霊愛はゆっくりと降りながら良太に向けて数万程の御札弾幕を地面に足が着くまで放ち続ける。


「思ったより手応えないの。乗っ取ったこの少女が抵抗しているといったところか、無駄な足掻きだがな。」


霊愛はぶつくさ言いながら御札弾幕を放ったことによって発生した土煙を片手を振るうことで払う。良太に削ぎ落とされた手はいつの間にか元に戻っていた。


「こんなもんか、なんとも呆気ない。」


霊愛が見た視線の先には数十cmくらい陥没した地面にうつ伏せになって倒れている良太がいた。纏っていた銀色のオーラは無くなり、髪色も元に戻っていた。


「こんな奴が博麗のパートナーか、軟弱過ぎるな。」


霊愛は軽蔑した目で倒れている良太を見ながら手を良太の方へと向ける。


「貴様は生きる資格などない。霊符 夢想霊砲。」


手から七色の巨大レーザーを良太に向けて放ち、良太を消滅させようとする。轟音が鳴り響き、レーザーが通った箇所は何もかもが消滅していた。




















博麗神社


「お父さん、大丈夫かな?」


神社の境内にある母屋の縁側で良夢は手にお茶が入った湯飲みを持ちながらそわそわしていた。


「落ち着きなさい良夢。」


対する霊夢は庭で紅魔館のある方向を見ていた。体を震わしながら。


「お母さんだってそわそわしてますよ?」


「う、うるさいわね。良太が見知らぬ力を感じたから見てきますと言ったきり戻ってこないのが悪いのよ!すぐに戻ると言ったはずなのに。」


霊夢も付いていこうとしたが、良夢の面倒を見ててくださいと良太に言われて渋々残った。


「ご、ごめんなさい。ってわわ!!」


「っ!!この轟音、良太がまずい!!」


良太の気配が小さくなるのを感じた霊夢は紅魔館へ向かおうとしたが、誰かに腕を掴まれて止められる。


「行っちゃ駄目よ霊夢。」


「何で止めるのお母さってどうしたのよその体!?」


霊夢の腕を掴んだのは、霊夢の母親である霊香だったが、霊夢が驚いたのはそこではない。霊香の体が3分の1ほど無くなっていたからだ。


「良太が戦っている相手が俺と霊香の力の源を破壊したからだな。」


上空から霊夢の父親である東谷が降りてくるが、霊香と同様の姿になっていた。


「ってお爺ちゃんまでどうしたの!?まさか消えちゃうの!?」


「そうよ良夢、お爺ちゃんとお婆ちゃんは消えちゃうのよ。」


良夢は霊香の体に泣きながら抱き付き、しがみつく。それを見た霊香は良夢の頭を優しく撫で、東谷は嬉しそうに眺めていた。


「霊夢は泣かないのか、お父さんショックだなー!」


「もう子供じゃないから泣かないわよお父さん。こうなることは分かっていたんだから。」


「と言いながらも涙目になっている我が娘。成長してもそんな所は変わらないなー。お父さん嬉しいぞい!」


東谷は必死になって涙を流すのを我慢している霊夢の頭をポンポンと優しく叩く。


「お父さんは悲しくないの?」


「ん?そりゃ悲しいぞ、お父さんチョー悲しい。でも涙を流すほどでもないな。」


「霊夢のパートナーも見れた、そして孫の顔も見れた。そして皆で過ごした時間。とても楽しかったわ。」


霊香は良夢を東谷に渡して、霊夢に手招きをした。


「私達がいなくても大丈夫、本当は心配していたのよ。霊夢、貴方は誰にでも分け隔てなく接する事が出来る。でも心を開く事はほとんどない。良太と結ばれて本当に良かったわ。」


「お母さん……。」


霊香は霊夢を抱き締め、霊夢もまた霊香を抱き締めた。そして1分程経った後、霊香は霊夢から体を離した。


「さて、私と東谷は最後にやることがあるわ。」


「そういうことだ、だからお爺ちゃんの体を離してくれないかなー良夢?」


東谷は抱き締めるのを止めない良夢に言うが、良夢は嫌と言わんばかりに首を横に振る。それを見た霊夢は良夢を東谷から引き剥がした。


「良夢、何時まで泣いてるのよ?二人を見送るわよ。」


「うう、はい。」


「大丈夫よ良夢、お爺ちゃんとお婆ちゃんは消えても見守っているからね。」


霊香はニコリと笑いながら良夢に向けて話す。それを聞いた良夢はこくんと頷く。


「お父さん、お母さん。さよなら。」


霊夢もニコリと笑いながら霊香と東谷に向けて言い、良夢も涙目になりながらも笑顔で手を振った。


「「さよなら、霊夢、良夢。」」


二人は安心したような顔をした瞬間に残っていた3分の2の体がさらさらと溶けていった。


「よく涙を我慢したわね良夢。」


霊夢は地面にぺたりと座り込んで泣きじゃくる良夢を優しく抱き締めた。一方で博麗神社の母屋の屋根の上で霊斗が周りに防音の結界を張り、顔を持っていたバケツに埋めていた。
















紅魔館 裏庭


「さて、面倒なのが来る前にここを去るか。」


良太が消滅したのを確認した霊愛は博麗神社に向かおうと視線を上空に向ける。


「おい、誰が面倒だって?」


「っ!!貴様戻ってきていたのか、それに泊谷良太も助け出したか。」


霊愛がぐるんと後ろを向くと、左脇に良太を抱えている白の姿があった。


こいつ(良太)を死なせるわけにはいかないんでな。」


白は良太を降ろし、霊愛の近くまで歩いていく。それを見た霊愛は余裕そうな笑みを浮かべていた。


「貴様では我には勝てぬ、それを理解出来ていない訳ではあるまいな?」


「んなことは分かっている、分かりきっている。けど、関係ねえんだよそんなこと。」


白は霊愛を睨み付けながら言うが、霊愛は呆れた表情をし、御幣を構える。だがその瞬間、倒れている良太からいきなり銀色のオーラが吹き出した。


「な、何じゃ!?何が起こった?泊谷良太は動けぬはず、もし動けたとしてもこんな力は残ってないはず!!」


良太から溢れ出す力の放出を感じた霊愛は冷や汗を流す。


「まさか、まさか、まさか!!」


霊愛は焦りきった表情で白の方を見る、白は霊愛の慌てっぷりを見てニヤリと笑っていた。


「貴様!!一体泊谷良太に何をした!?」


「大したことはしてねえよ、良太の眠っている力を叩き出しただけだ。良太の強い想いを利用してな。」


白が説明している間に良太はゆっくりと起き上がっていく。


「俺の二つ目の能力の『絆を繋ぐ程度の能力』は出会った人の数によって能力者自身の力を増大させる能力、けど今の俺に使っても大して役に立たねぇ。けど、増大させる事が出来るのは能力者自身だけじゃねえ、今回はそれを応用した。」


「貴様は、その能力を使って泊谷良太の想いを力に変えたというのか!?」


「そういうことだ、技の名前を付けるなら『想力点火』と言ったところか。」


白がそこまで言った時、良太から溢れ出ていた銀色のオーラは無くなり、良太は目を開ける。アクセルモードを使った時のような体の変化はないが、右目が白色、左目が赤色になっていた。


「協力ありがとうございます白さん。」


「いいっていいって、気にすんなよ良太。霊愛を乗っ取っている奴を倒せるのはお前しかいないからな。」


「分かってますよ、義兄さん(・・・・)。」


良太がそう言った時、白がギョッとした感じで良太の方を見て、その後に霊愛の方を見る。


「記憶が戻ったのか良太?」


「全部ではないですけど、詳しいことは後にしましょう。」


良太はそう言い霊愛に向けて銃弾を放つ。先程までだったら霊愛は余裕そうな笑みを浮かべながら避けるが、今は全力で良太が放った銃弾を避けていた。


「泊谷良太、貴様到達(・・)したな!?」


それは、数多の英雄すら誰一人到達し得なかった所に良太は辿り着いた。


「そうです。今の俺は『到達者』と呼ばれる所に辿り着いた。そして、この状態はこう呼ばれてるんですよね?」


終末の超騎士(ラストナイト)と。

霊斗は人には見せられない表情で男泣きしているため、バケツで顔を隠しています。

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[一言] 見せられない顔ってあれかな?『あァァァんまりだァァアァ』の人の顔かな?
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