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東方外遠記  作者: 颯人
第16章 東方紅魔郷 再編 ~The east red addict village Reorganization~
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紅霧異変 6

「ったく、2対1で勝てると思ってたのかしら?」


良夢と魔理菜と別れた霊夢と魔理沙は咲夜を撃退して時計塔を昇っていた。


「咲夜はそれほど自分の実力に自信があったって事じゃないか?」


「もしくはわざと負けたとかね。あり得なくもないわ。」


「にしても、時計塔を昇るなんて久し振りだぜ。」


魔理沙はキョロキョロと辺りを見渡しながら昇って行く。霊夢は眠たそうに欠伸をしていた。


「敵地で欠伸をするなんて、なめられたものね!!」


「何しに来たのよ咲夜?」


ボロボロの咲夜が霊夢と魔理沙の前に立ち塞がり、スペルカードを取り出す。


「こっちには何もないわよ魔理沙。」


「そうだな、けど私の目は誤魔化せないぜ?」


「なら、お嬢様に怒られる前にせめて1ボムでも潰さないと!」


体がボロボロの状態でも闘志を失わない咲夜を見た霊夢は怯……んだりはせずに面倒臭そうに御幣を構える。


「黙ってお使いに出たら?」


「そういう訳にもいかないのよ!!奇術 エターナルミーク!!」


咲夜は全方位にやたらめったら弾幕をばら蒔く。それを見た霊夢はため息をつきながら弾幕を避けていく。


「そんなやたらめったら放っても当たらないわよ?自滅でもする気なのかしら咲夜?」


「煩いわね霊夢!!これ以上負けるわけにはいかないのよ!」


「ええい鬱陶しい!!恋符 マスタースパーク!!」


避けるのが面倒になった魔理沙は八卦炉から巨大な虹色のレーザーを放ち、咲夜の弾幕を消し飛ばし、咲夜も吹き飛ばした。


「ふぅー、やっぱ弾幕はパワーだな!」


「相変わらずね魔理沙は、にしても夜が更けてきたわね。そろそろ眠りたいわ。」


霊夢は眠たそうに目を擦り、それを見ていた魔理沙はやれやれと首を横に振った。


「おいおい、緊張感ないな霊夢。」


「2回目だからよ、さて、そろそろの筈ね。」


「そうだな、おっ!いるいる悪寒が走るわ、この妖気。なんで、強力な奴ほど隠れるんだ?」


魔理沙はおびただしい妖気を感じても怯える事はなく、むしろワクワクした感じで周りをキョロキョロと見る。


「そうね、そろそろ姿を見せてもいいんじゃない?お嬢さん?」


霊夢と魔理沙がそう言って後ろを向くと、上空からレミリアとフランがゆっくりと降りてくる。


「え?なんでフランもいるんだぜ?」


「面白そうだったから!!」


フランはそう言い目を輝かせながらニコッと笑う。一方で魔理沙は苦笑いを浮かべていた。


「ふぅ、やっぱり人間は使えないわね。」


「咲夜は人間かしら?半吸血鬼とか言われた方が納得するんだけど?」


「霊夢、貴方咲夜を殺したのね。殺人犯ね?」


「1人までなら大量殺人犯じゃないから大丈夫よ。」


そう言いながら霊夢はレミリアに弾幕を放つが、レミリアは余裕そうな表情で避ける。


「で、私に何の用かしら?」


「言わなくても分かってるでしょ?迷惑なのよあんたが。」


「短絡ね。しかも理由が分からない。」


「とぼけんなっての。とにかく、ここから出ていってくれるかしら?」


霊夢が右手でレミリアを指差しながら左手で首を切るようなジェスチャーをする。


「ここは私の城よ?出ていくのはあなたよ霊夢。」


「城じやなくて舘でしょ。そうそうここから出ていけというのは紅魔舘からじゃなくて、この世から出ていってほしいのよ。」


「しょうがないわね。今お腹いっぱいだけど霊夢の血を吸ってあげるわ。一度吸ってみたかったのよね。」


「あんたみたいな護衛に咲夜を雇っている箱入りお嬢様なんて一撃よ。」


霊夢はそう言い放つが、レミリアはふっと鼻で霊夢の言った事を笑い飛ばした。


「咲夜は優秀な掃除係よ、お陰で首一つ落ちてないわ。」


「そう、それで結局の所あんたは強いのかしら?散々偉そうにしてるけど。」


「さあね、私はあまり外には出ないもの。日光に弱いから。」


「嘘ね、数日に一回のペースで外に出歩いてるじゃない。」


「さて、お喋りはここまでにしておこうかしら。こんなにも月が紅いから本気で殺すわよ。」


レミリアは紅い月を見上げながら妖気を放出する。


「まだやることがたくさんあるから死ぬわけにはいかないのよ。こんなに月も紅いのに。」


「「楽しい夜になりそうね!(永い夜になりそうね!)」」


レミリアと霊夢はそう言って弾幕ごっこを始める。それを魔理沙とフランは横目で見ていた。


「じゃあお姉様も始めたから私達も始めよう魔理沙!!」


「違うぜ?私は博麗霊夢、巫女だぜ?」


そう言いながら魔理沙は霊夢の衣装に魔法でチェンジするが、フランはジト目で魔理沙を見詰めた。


「無理があるよ魔理沙。初めて会った時にそれを使えば騙せたかもね!」


「やっぱ駄目か。看護婦の方が良かったか?」


「魔理沙みたいな看護婦がいたら大変そう。」


魔理沙は渋々と言った表情で元の衣装に魔法でチェンジする。


「それじゃあ私と遊んでくれるのよね!?」


「いくら出すんだフラン?前みたいにコイン一個は勘弁してくれよ?」


「そんなことはしないよ。コイン百個あげる!」


そう言いフランは黄色のコイン百個が入った袋を魔理沙に投げ渡す。受け取った魔理沙は袋の中身を確認していた。


「どれどれ、おお!本当に百個、って全部ボタンじゃないか!!ボタンじゃ人命も買えないぜ!?」


「当たり前だよ、コンテニューなんてしたくてもさせないから!!」


そう言ってフランも弾幕を魔理沙に向けて放つが、魔理沙は余裕そうな表情でフランの弾幕を避けた。


「おっと、何度も戦ってるからそんな弾幕じゃあこの魔理沙様に当てることは出来ないぜ?」


「そういうのをまんしんって言うんだよ魔理沙!!」


フランが指を動かすと魔理沙の後ろにあった弾幕がフランに向かう。


「おわっ!!そんなのもありなのかよ!?」


フランと弾幕の間にいた魔理沙は急上昇して弾幕を避けるが、フランが目の前でスペルカードを宣言していた。


「禁忌 クランベリートラップ!!」


魔理沙の周りの四方に魔法陣が配置され、そこからランダム弾幕、追尾弾幕が放たれる。


「くそっ、私はそのスペル好きじゃないんだぜ。」


魔理沙は嫌な顔をして弾幕を避けていく。ただ、避けていくだけでなく隙を見てはフランにミサイル型の弾幕も放っていた。


「あはは!!やっぱり魔理沙は凄いね!!」


「褒められても嬉しくないな。最初に見た時よりも避けにくくなってるぜ。」


クランベリートラップは魔理沙は何度も見て避けてきたが、今回のは直撃を避けるのが精一杯だった。


「やっぱり強くならないとね!」


「そうかい、ならお返しに私のスペルでも喰らいな!!恋符 マスタースパーク!!」


魔理沙は八卦炉から特大のレーザーを放つ。フランは最初は余裕そうな表情をしていたが、ギョッとした表情にいきなりなった。


「ちょっとこれ前見た時よりもレーザーが大きくなってる!?」


「フランが成長したなら、私はもっと成長するんだぜ!!」


「きゃぁぁぁぁ!!」


フランは分裂する前に魔理沙の特大のレーザーに直撃した。それを見たレミリアはフランの所に行こうとするが、霊夢がレミリアを蹴飛ばして阻止する。


「慢心してたのはフランの方だったみたいね。」


「うるさいわよ霊夢、フランもそんな雰囲気に漬かりたい年頃なのよ。」


レミリアはフランも見ながら呟く。フランは禁忌 レーヴァテインを宣言して魔理沙に斬りかかっていた。


「フランも使ったし、私も使うわよ。神槍 スピア・ザ・グングニル!!」


レミリアは頭上に槍型の弾幕を出現させ、それを掴んで霊夢の方へぶん投げた。


「それ嫌なのよね。避けても追尾してくるから。」


「ふん、だったら当たればいいじゃない。」


霊夢は急上昇や急旋回等をして避け続けるが、グングニルは振り切れずに霊夢の後ろを追尾する。


「相殺するしかないか。霊符 夢想封印 集!!」


霊夢は巨大な虹色の弾幕を大量に出現させ、グングニルに向けてぶつける。


「そんなものでグングニルは打ち落とせないわよ?」


「あらそうかしらレミリア?もう跡形も無くなったけど?」


「えっ?あっ、よよ良く打ち落としたわねほほ誉めてあげるわ。」


レミリアは打ち落とされるとは思わなかったのか、少し動揺していた。


「ならもう1発喰らわせるま「お姉様避けてぇぇぇぇぇ!!」えっ?ちょっとフラぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


「あっ、手が滑っちまったぜ。悪いなレミリア。」


レミリアが巨大な星形弾幕にぶつかった。どうやら魔理沙の魔符 スターダストレヴァリエの流れ弾が飛んできたようだ。


「ゲホ、ゲホ、フーラーン!!」


「えへへ、ごめんねお姉様。お姉様なら避けてくれると、ププッ!!」


「そこにいなさいフラン!!お尻ペンペンしてやるわ!!」


笑いながら逃げるフランを追い掛けるレミリア、異変の最中だというのにこんな状況になってしまった霊夢は呆れた様子でタメ息をつき、魔理沙は腹を抱えて笑っていた。


「魔理沙?あんた狙ったんじゃないでしょうね?」


「まさか、あれはフランが弾き飛ばしたのがレミリアに当たっただけだぜ?」


「まあどうでもいいわ。にしても、平和になったわね。」


「ああ、1回目の時とは段違いだぜ。」


霊夢と魔理沙はフランのお尻を叩いてるレミリアと涙目になっているフランを見ながら昔を思い出していた。


「もう、お姉様ったらフランのお尻叩き過ぎ!!」


「そのくらいで済んだ事に感謝しなさい。さて、何か興も冷めてきたし、次で終わりにするわよ。」


フランはレミリアをジト目で見ながらスペルカードを持つ。同様にレミリアもスペルカードを持っていた。


「何する気なんだ?」


「合体技とかじゃないかしら魔理沙?」


「当たりよ霊夢。喰らいなさい、私とフランの合体スペル、紅魔 スカーレットトリック!!」


レミリアとフランは同時に大小混じった弾幕を霊夢と魔理沙に放つ。


「おっと、これは面倒だな。」


まあ、紅符 スカーレットシュートと禁弾 カタディオブトリックを放ってるだけなのだが。


「片方攻撃しようとするともう片方が阻止しようとしてくる。考えたじゃない。」


魔理沙と霊夢は回避しながら弾幕を放とうとするが、フランが攻撃し、レミリアがそのサポート、またその逆も叱りなので中々攻撃出来ずにいた。


「このやろ!!魔符 ミルキーウェイ!!」


魔理沙がレミリアとフランに大量の星形弾幕を放ったが、全て相殺されてしまった。


「嘘だろ!?ミルキーウェイが全弾相殺された!?」


「なるほどねぇ、弾幕量は相当なものね。」


焦る魔理沙の腕を霊夢は掴んで横から迫っていた弾幕を避ける。


「悪い霊夢、サンキューな。」


「ほらほらほら!!止まっちゃうと当たっちゃうよ二人とも!!」


「ふふん、降参してもいいのよ?」


霊夢と魔理沙が攻撃してこないのをいいことにフランとレミリアが挑発をする。


「おっと、挑発は受け取らないと気が済まないな。ミルキーウェイでも駄目なら霊夢、私達も合体スペルやってみるか?」


「気が進まないけど、このままの状況を引き摺るよりはいいか。」


「「霊魔 夢想スパーク!!」」


霊夢の無想封印の大型弾幕と魔理沙のマスタースパークの大型レーザーが放たれる。


「フラン気合い入れなさい!!」


「うんお姉様!!」


レミリアとフランは弾幕の量を更に増やして相殺させようとする。だが段々と押され、遂にレミリアとフランのスペルの時間が切れてしまった。


「「きゃぁぁぁぁ!!」」


「よし!!決まったぜ霊夢!!」


魔理沙は意気揚々と霊夢とハイタッチをするが、霊夢は眠たそうな目でハイタッチに応じた。


「はいはい、これで異変解決ね。さっさと帰って寝たいわ。」


しばらくすると、服がボロボロのフランとレミリアが姿を現した。


「もう!!威力高過ぎなのよ!!」


「負けちゃった、でも楽しかったよ!!またやろうね霊夢、魔理沙。」


「はいはい、わかったからさっさと霧を消して。」


フランが霊夢に抱き付こうとするのを魔理沙の方へ受け流し、レミリアの頭を御幣でツンツンしながら言う。


「この私の頭をつつくんじゃないわよ霊夢!!」


「敗者が文句を言うな。言うなら勝ってからにしなさいレミリア。」


「うぅぅ。」


レミリアはブーブー文句を言いながら幻想郷を覆っていた霧を消した。


「さて、良夢達を回収して、明日宴会するわよ。費用はあんた達で持ちなさいよレミリア。」


「分かったわよ。」


言質を取った霊夢は紅魔館にいる良夢達を回収しに向かう。魔理沙は先に図書館に向かっていた。


「最初から異変に参加してどうだったフラン?」


「ああやって霊夢と魔理沙は来るんだね!!色々と楽しかったよお姉様!!」


フランの笑顔を見たレミリアはフランの頭を撫でながら微笑んだ。















紅霧異変 完


















紅魔館 裏庭


「霊夢達の解決する異変は完了したけど俺達の異変は終わらない!」


裏庭のある空間で白がテンション高めにそう呟いた。


「謙治を何者かに取り込ませた人物がこの奥にいるんだよね~、放っておいたら厄介だし、ぶちのめすか~。」


「一体誰が、ってえっ!?」


絢がグミを食べながら考察していると目の前からある人物が現れた。


「ふん、やはり貴様らが来たか。」


「あれ?霊夢ちゃん?」


姿を現したのは容姿も服装も霊夢そっくりの人物だった。だが口調は見た目にそぐわなかった。


「この人物を利用して博麗の巫女を始末しようと考えていたが、何をしに来た雑魚ども?」


霊夢らしき人が封魔針を両手に持って構える。


「霊夢が誰かに操られてる?でもさっきまで霊夢さんは時計塔でレミリアと戦ってたよね?」


「パニックになるなよ海二、目の前の人物は博麗霊愛、別世界の霊夢の孫だ。」


白の言葉に絢は納得したように頷き、海二は驚きを隠せなかった。何故別世界の霊夢が、しかもその孫がいるのか。


「白、貴様はこの依り代を知っているな?ならこうしよう。」


霊愛がそう言うと突然霊愛の左腕が爆発した。それと同時に霊愛から灰色のオーラが漂い始めた。


「この依り代はいい力を持っている。故にここを征服するのは容易いな。」


「霊愛ちゃんの左腕を爆発させたのは何でかな~クソ野郎?」


「ふん、貴様らと戦うのにハンデをくれてやった。そのハンデを付けても我に勝てんがな。」


霊愛を操ってる奴の挑発を受けて絢と海二は額に青筋を浮かべた。


「霊夢達は疲弊している。ここは俺達で解決しねえとな。」


白は腰に付けてある木刀を、絢も同様に木刀を、海二はファイティングポーズを取り、それぞれ構える。


「能力使えず空を飛べぬ雑魚どもが、一瞬で葬ってくれるわ!!」

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