桐月アルマＶＳ仰木彰
「それじゃ、始め！！」
零の合図とともに試合が開始されるが、アルマと彰は動こうとはしなかった。
「んー、来ないのかアルマ？」
「あんまりやる気出ないんだよね～。戦わなきゃ駄目彰？」
「別にいーけど、ギブアップしてくれよ？」
「そうはいかないんだよね～。ギブアップしたらパルスィに何言われるか分からないし。」
彰は槍を振り回しながらアルマと会話する。アルマは眠たそうな表情で欠伸をしていた。
「霊斗、人選ミスったんじゃねえのか？彰は自分からあまり戦いにいく奴じゃねえぞ？」
「……そうかもしれない。やっちゃったぜ！」
そう言い霊斗はもの凄い笑みを磔に見せてくる。磔は呆れを通り越して霊斗を無視した。
「これじゃあ試合になんねーぞ。どうすればいいかねぇ。」
「そうだ！良いこと思い付いた！」
霊斗は手を叩き、指を鳴らした。するとアルマの隣にアルマの世界のパルスィが現れた。
「あれパルスィ！？何でここにいるの！？」
「分からないわよ、気が付いたらアルマの隣にいたんだから。はぁ、折角アルマと一緒に入れると思ったら試合だなんて。私も参加するから早く終わらせましょ？」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇい！！二対一とかありなのか？ありなんですかい！？」
彰が磔達の方を向き、必死に説得するが磔と霊斗と零は彰に向けて笑顔で親指を上げて突き出す。
「「「もちろん、アリだ！！」」」
「じゃあ俺も助っ人を呼ぶのは！？」
「「「それは、無しだ！！」」」
「てめえぇぇぇらぁぁぁぁ！！後で覚えていやがれよぉぉぉぉ！！」
彰が磔達に向けてそう叫んでいる時、アルマとパルスィが彰に向けて弾幕を放った。
「ちょ！！待て待てって！！」
彰は槍を自分の前に出し、それを回転させて弾幕を弾いた。
「アルマ、試合に勝てたらご褒美をあげるわ。」
「おっしゃあ！！彰、ぎったんぎったんにしてやるからな！！」
「ヘルプミィィィィィィ！！えーーーーーーーーりん！！」
「だとさ、永琳呼ばれてるぞ？」
磔は近くに来ていた永琳に向かってそう言うが、永琳はクスッと笑いながら首を横に振った。
「私が行っても足手まといになるだけよ。でもサポートはしてあげたいわね。磔、時間を止めれるかしら？」
「はいはい、今やりますよっと！！」
磔は腕時計のボタンを押して時間を止めた。今動けるのは磔と霊斗と零と彰と永琳だけだった。
「じゃあ、ちょっと行ってくるわね。」
そう言い永琳は彰に向かって飛んで行った。
「って終作の奴、動けるのに動けないふりをしてやがる。何が目的だ？」
「恐らく、あれだと思うぞ霊斗。」
永琳は彰の横に着地し、彰の顔を自分の胸に当てて抱き締めた。その光景を終作は皆にバレないようにカメラに納めていた。
「えーりん？」
「彰、私は試合に出れないけど頑張って。彰のやる気を上げる治療を今からするわね。」
そう言い永琳は抱き締めながら彰の頬にキスをし、その後、唇にキスをした。
「……続きは試合が終わってからね♪」
そう言い永琳は彰にウインクをして飛び去り、磔の近くに着地した。もちろん終作はキスシーンもカメラの連写機能で納めていた。
「もういいのか？」
「ええ、待たせたわね。」
磔は永琳に確認を取って時間を止めたのを解除する。
「ふふふふふふふふふふ！！」
「ね、ねぇアルマ。何か彰が気持ち悪い笑みで笑っているんだけど？」
「どれどって怖っ！！パルスィ、見ちゃ駄目だよ！！」
アルマとパルスィは彰の笑みを見て引いているが、彰は笑みを浮かべながら体を奮わせていた。
「ふふふ、み・な・ぎ・っ・て・き・たぁぁぁぁぁぁぁ！！」
彰はそう大声で叫び、白色のオーラを纏い、アクセルモード４の状態になった。
「今の俺は大天使えーりんの加護を得ている！！もう何も怖くない！！」
そう言い彰はアルマとパルスィに弾幕を放つ。アルマとパルスィは避けながら彰に弾幕を放っていた。
「気味が悪いのよ！！妬符 グリーンアイドモンスター！！」
パルスィは叫びながら緑色の弾幕を大量に放つが、彰は槍でその弾幕を全て弾いた。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄！！槍符 アッパープライス！！」
彰はパルスィに向かって槍を下から上に振り上げて攻撃するが、パルスィは上に飛んで避けた。
「そんなもの当たるわけ「かかったなあアホがぁ！！」あっ！！」
避けたはずのパルスィの背中に彰が放っていた弾幕が当たり、地面に向かって落下していく。それをアルマは空中でお姫様抱っこでパルスィをキャッチした。
「てんめぇ！！」
「次にアルマはこう言うだろう、俺のパルスィに何しやがると。」
「言わねえよ！！感情 アルマーニイレイザー！！」
アルマは彰に青い巨大なレーザーを放つが、彰は槍でレーザーの軌道を上に逸らして回避する。
「効かんな！！今の俺は強靭！！無敵！！最強なのだからなぁ！！」
「うーん、ちょっとやり過ぎたかしら？」
「やり過ぎですよ母さん。父さんのテンションがとんでもない事になっていますよ。」
永琳はハイテンションになっている彰を見て苦笑いをした。その様子を永琳の娘の夏琳がジト目で見ていた。
「師匠、彰さんに何をしたんですか？」
「あれでしょ、大方試合に勝ったら彰の望みをなんでも聞いてあげるとか言ったんでしょ永琳？」
鈴仙が永琳に何をしたのか訊ねるが、永琳が言う前に輝夜が着物の袖を口に当てながら言う。
「大体は姫様の仰った通りです。あとちょっと治療をしただけよ。」
「へぇー、最初の頃はキスすらも顔を真っ赤にして初々しかった永琳がねぇ。」
「ちょっと姫様！？それは内緒にしておいてと言ったのに！！」
輝夜に昔の事を暴露されて顔を赤くしながら慌てている永琳を見て磔は笑みを浮かべていた。
「あら、貴方は白谷磔ね。噂は聞いているわ。」
「どんな噂かは聞いておかないでおくよ輝夜。それと、永琳の話をもっと聞かせてくれないか？」
「あら、磔も意外と悪ね。いいわよ、何から話そうかしら？」
「おっ！俺も興味があるな！！是非聞かせてくれ！！」
「ええいいわよ博麗霊斗。そうね、あれは永琳と彰が付き合い始めた頃だったかしら。」
磔と霊斗は悪い笑みを浮かべながら輝夜の話を聞くが、それを永琳は顔を真っ赤にして手をバタバタと振りながら阻止する。
「ひひひ姫様！！その話はお止めください！！聞かせちゃ駄目ですからね！！」
「あらつまらないわ。じゃあ試合でも見ましょうか。」
試合の方はアルマとパルスィが感情 感情解放の傲慢で全能力を底上げして彰に弾幕を放っているが、彰は高笑いしながら槍を器用に使って避けていた。
「お前らに今の俺は止められない！！覚悟しろアルマ、パルスィ！！」
「あーもう！！なんでこいつはこんなにテンションが高いのよ！？怨み念法 積怨返し！！」
「感情 怒りと憎しみの輪廻！！」
アルマとパルスィのスペルで彰の周りを大量の弾幕で囲むが、彰は笑みを崩さなかった。
「そんなもの！！粉砕！！玉砕！！大喝采するまでだ！！」
そう言い彰は槍を水平にもって体を回転させて竜巻を発生させて弾幕を吹き飛ばす。
「これも駄目なのね、ってアルマ危ない！！」
竜巻から小型のダイナマイトがアルマに向かって飛んで来るが、パルスィが弾幕を放って爆発させる。だが爆発の威力が凄まじく、爆風でパルスィは吹き飛ばされ、決戦場の壁に頭から激突して気絶した。
「パルスィ！！」
「余所見してる暇はねえぞゴラァ！！」
「彰の弾幕の威力はそれほどでもなってうわっと！！」
アルマは彰が放ってきた弾幕を手で弾こうとしたが、嫌な予感がし慌てて避けた。彰が放った弾幕は壁に当たると大きなクレーターを発生させた。
「いきなり威力が上がった！？」
「俺の新たなスペル。アルティメットルーティンの効果だ。どんどん行くぜぃ！！槍符 シダーエッジ！！」
彰はアルマに向けて槍を振り回して衝撃波を３発放つ。対するアルマは自分の心臓に手を突き刺し、大きな鎌を取り出して衝撃波を弾く。
「キモッ！！その鎌気持ち悪！？」
「さっきまでの彰のテンションの方が気持ち悪い！！怠惰 レッド・アイド・モンスター！！」
アルマは彰に向けて起爆する弾幕を投げ付けるが、彰はそれをステップで避けていく。
「ヘイヘイヘイヘイ！！どうしたどうした？そんな弾幕掠りもしないぜぇ！？」
「本命はこっからだ！！」
アルマはそう言い手を叩くと、さっき投げた弾幕が戻ってくる。後ろから来ることを予測してなかった彰は弾幕に当たって爆発に巻き込まれた。
「ふぅ、これであのうるさい声を聞かなくて済むかな？」
「ところがぎっちょん！！そうはいかねえんだよ！！爆符 エンドレスボム！！」
彰は両手に大量の爆弾を持ってアルマに投げ付ける。
「防御 矛盾点！！」
アルマは自分の前に弾幕の壁を召喚して彰の爆弾を防ぐが、彰はお構いなしに爆弾を投げ続ける。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ！！やべっ、スペルブレイクした。」
「なんとか耐えた「何を勘違いしている？まだ俺の攻撃は終わってないぜ！！」えっ？」
「蘇符 ライジングソウル！！」
そう言い彰は自分の背後に決戦場を埋め尽くす程の爆弾や弾幕を出現させ、一斉にアルマに向けて射出した。
「消滅 感情崩壊！！」
だがアルマは指を鳴らして、彰の弾幕を全て消滅させた。が、体力をかなり消費したらしく膝を付いて肩で息をしていた。
「はぁ、はぁ、流石にあの量を消すのはしんどいな。これで終わ……り？」
アルマは彰を見る。彰は地面に倒れており、ピクリとも動かなかった。
「……勝者、アルマ！！」
「結末あっけなさ過ぎるだろ。というわけでボッシューーーートになりまーーす！！」
そう言い磔は指を鳴らしてアルマとパルスィを医務室に転送させ、彰を永琳の隣に転送する。
「彰！！」
永琳は慌てた様子で彰を持ち上げて医務室に走っていった。それに続いて鈴仙と輝夜も永琳の後に付いていった。
「磔、彰が使っていたアルティメットルーティンってどんな効果なんだ？」
「零なら分かりそうだけどなぁ。集中力を極限まで高めてスペルの威力やスピードを爆発的に上げる効果だと思う。ただ、体力をごっそり消費すると思うけどな。」
「まっ、あいつも強くなったんだな。じゃあ４回目の対戦相手を発表するぞ！！」
霊斗はホイッスルを吹く。指を鳴らすのが面倒くさくなったのだろう。
「次は健二対幻真だ！！」
ここの世界の永琳は他の世界の永琳より少しポンコツです。
