トーナメント中止
トーナメント会場
「お待たせしましたみなさん！！それでは、始め「ドカーーーーーン！！」な、何の音ですか！？」
文が開始の言葉を叫ぼうとした時に試合会場の真ん中に何かが落ちてきた。
「な、何が落ちてきたんでしょう？」
有夢が試合会場の真ん中に行った時、落ちてきた所から大量の死体が出てくる。しかもその死体は生命活動を始め、ゆっくりと歩き出す。
「き、気持ち悪いです！！咲さん！！」
「分かっているわ佳苗、銀符 シルバーバウンド！！」
「開海 モーゼの奇跡！！」
咲と佳苗がスペルを使って死体を倒そうとしたが、死体は二人のスペルを喰らっても、吹き飛ばされることはなく、まるで効いていなかった。
「どうして効かないの！？」
「佳苗！！余所見し「ウオオォォ…。」あ。」
咲が死体から目を離した瞬間に、死体の腕が咲の心臓を貫通していた。
「よくも咲さんを！！」
有夢は死体に向かって弾幕を放つが、死体は弾幕を物ともしなかった。
「そんな！！だったら！！」
弾幕は効かないと考えた有夢は死体を刀で斬ろうとしたが、死体は腕を伸ばして有夢の心臓を貫いた。
「いやあぁぁぁぁ！！」
それを間近で見た佳苗は涙を流し、走って逃げようとしたが、佳苗が死体に背を向けた瞬間に、死体に背中を貫かれた。
「お、母、さん。」
佳苗はそう呟き、力なく倒れていった。
「佳苗ちゃん！！聖人！！佳苗ちゃんが、っていない！？」
早苗がそう叫ぶが、聖人は早苗の近くにいなかった。
「くそっ、魔理菜はどこにいるんだ！？」
魔理沙は慌てた声で魔理菜を探すが、会場に魔理菜の姿はなかった。
「霊夢！！どうなってるんだ！？」
「私に聞かれても分からないわよ魔理沙！！」
「貴方達の娘なら私の中にいるわ。」
「誰ですか！？」
上空から声が聞こえた為、霊夢達は上を見上げる。そこにいたのは。ユリス、良夢、有夢、魔理菜、咲、佳苗、夏琳を体に取り込もうとしているサリエルがいた。
「なっ！！あんたは、死んだはず！！」
「そうね、確かに死んだわ。でも生き返ったのよ。この私、サリエルを一度殺した罰として貴方達の生命を貰うわよ。」
サリエルはそう言い空間から動く死体を大量にばら蒔いた。その数はかなり多く、軽く万は越えていた。
「こりゃ、大変な事になりましたね。どうしますハイド？」
「面倒だから傍観してようかな、でも死体がこっちに来たら殲滅するけどね。」
ジラとハイドは空中でお茶を飲みながら会場を眺めていた。異世界から呼んだ人達は今試合会場にはいなかった。ウィット、時龍、鏡は残っていた。
「面倒なことになったね。んっ？どうして時龍はわなわな震えているのかい？」
「よくも、よくも、俺のお楽しみタイムを潰してくれたなぁ！！許さん！！許さんぞぉ！！H.S同盟No.４の俺がサリエルをぶっ飛ばしてやる！！」
「（先に時龍からぶっ飛ばした方がご主人様が喜びそうね。）」
「ふふっ、もがき苦しむ姿を私に見せて頂戴。」
闘技場のある部屋
「どうした二人とも？お前らの力はそんなものかよ？」
磔は肩で息をしている幻真と幽透に向かって言う。
「そんなことはない！！」
幻真はアクセルモード３の状態で磔に突っ込んで行く。それを見た幽透は幻真の周りに弾幕を張る。
「斬符 炎風斬！！」
幻真は剣に炎と風を纏わせて磔を斬ろうとするが、磔は右手で幻真の刀を受け止め、幻真の周りにあった弾幕は最小限の動きで回避した。
「甘いよ磔！！神威！！」
それを見た幽透は高速移動で磔の後ろに周り右ストレートを放つが、磔は左手で受け止める。
「…どうしたよ幻真、幽透。お前らの本気はそんなもんか！？」
そう言い磔は幽透を蹴り飛ばし、空いた左手でイクスブレードを抜き幻真の体を真っ二つにする。
「が、は。」
「つ、強すぎるよ。」
「俺はまだアクセルモードを使ってねえぞ？」
磔は幻真を復活させながら言う。このやり取りを３ヶ月続けていた。３ヶ月経っても二人がある事が出来ていなかった。
「このままじゃ時間の無駄だな。開放 ソウルモード。」
「う、嘘だろ。ソウルモードを使って来やがった。」
「くっ、アクセルモード３！！」
幽透も黄色の炎を額から出すが、磔はそれを見てため息をつく。
「全然駄目だな。まだ力が安定してないぞ。」
「じゃあどうやって安定させ「自分で考えろ！！」うぐっ！！」
幽透は磔にそう聞くが、磔は一瞬の隙を付いて幽透を地面に叩き付ける。
「お前ら、このままだとどうなってるかわかってんだろうな？あと少しで零以上の力を持ったやつがここに来るんだぞ！」
「わかってるさ！！だからこうやってし「本当にわかってんのか幻真？」どういう意味だよ磔！？」
「二人とも、心の中で霊斗達がいるから大丈夫と思ってんじゃねえだろうな？」
「「！！！」」
二人は考えていた事を磔に見破られたため、唖然とした表情をする。
「もしお前らの世界で霊斗くらいの力を持ったやつが敵として現れたらどうすんだ？零達が来るのを待っているのか？」
磔にそう問われて二人は黙り混む。
「幻真、お前は守りたい人がいるんじゃないのか！？魂魄妖夢という大好きな彼女を自分の手で守りたくないのか！？他人に守ってもらっていいのかよ！！」
「！！！」
「幽透！！風見幽香を守りたくないのか！？生涯一緒に居続けたい人を守りたくないのか！？」
磔は二人に怒鳴る。磔は守りたい人がいても守ることが出来なかった経験を何度もしている。その経験をしてほしくないから磔は二人にそう怒鳴っている。
「「磔に言われなくたって、そんなことはわかっている！！」」
二人同時にそう叫ぶ。二人が叫ぶと同時にアクセルモードのオーラの色が澄んでいく。
「幻真、幽透、覚悟は出来ているんだろうな？」
「出来ている、俺は妖夢を守るためなら強くなってみせる！！」
「僕も幻真と同じ気持ちだよ！！ようやく磔の言いたい事が分かったよ。」
「「妖夢(幽香)は自分の手で、絶対に守る！！」」
二人がそう言うと、磔は口元を綻ばせた。
「ようやくなったな二人とも。自分のオーラを見てみろ。」
磔は二人に手鏡を渡す。二人は渡された手鏡で自分の姿を見ると驚愕の表情を浮かべる。
「あれ！？オーラや炎がこんなに澄んだ色をしてたっけ！？」
「二人が心の底から覚悟を決めたからだ。」
「何だろう、前よりも体の底から力が溢れてくる。」
「アクセルモードを使いこなせるようになった証拠だ。その状態ならアクセルモード４になれるはずだ。」
磔にそう言われて幻真と幽透は目を閉じた。
「「アクセルモード４！！」」
二人が叫ぶと同時に衝撃波が発生する。それを磔はイクスブレードを横に払って相殺する。
「…遂になれたな。」
幻真はアクセルモード３の時は赤色と金色を混ぜたオーラを纏っていたが、今はオーラだけでなく髪の色もオーラと同じになっていた。
幽透はアクセルモード３までは緑色のオーラを纏っていたが、今は緑色と黄色のオーラを纏っていて、髪の色もオーラと同じになっていた。
「「これが、アクセルモード４…。」」
「（アクセルモードはもうとっくに二人とも使いこなせていた。でもアクセルモードをもっと上手く使いこなせて欲しかったんだ。）」
磔は二人の姿を見て悲しげな表情を浮かべる。
「（俺が出来なかった事を二人はやってみせた。さて、俺も覚悟を決めないとな。）」
そう考え、磔は目を閉じた。
「（アクセルモード、いや、想力を捨てる覚悟をな。）」
