発動、オーバードライブ!
白玉桜
「これで終わりです!!」
白髪の女の子が俺の首を持ってる刀で斬ろうとしてきた。現に左腕斬られてるしもう後がない!
「ふざけんな、こんなところで終わってたまるかよ。俺はまだ死ぬわけにはいかねえんだ!」
まだか?早く発動しろ!もう数秒もねえぞ!!
「何をやっても遅いでっ!!」
ふぅ、ギリギリ発動したか。白髪の女の子は俺が出した衝撃波で少し後退したな。
「何ですか今のは!?それに、貴方から発する圧力がさっきとは比較にならないほど強くなった!?」
「『オーバードライブ』っていう技だ。使われてない霊力を解放して身体能力等を上げるものだよ。」
無事に発動出来たけど、このスペルはレベルに関係無く10分しか持たない。しかも怪我をしてたらそのぶん制限時間も短くなる、今の状態だともって数分だなこれ。ちなみにレベルがあって1から5まであるぞ。
「貴方は一体何者何ですか!?」
「なに、ただの通りすがりの人だよ。」
「ふざけないでください!!普通の人は左腕を斬られて平然としているわけがないんです!!人間なんですか貴方!?」
酷い言われようだな、まあ多分アドレナリンがどばどは出てるからだろうな。痛みとかあんま感じないし。
「ふん、人間だ。俺は正真正銘の人間だよ。」
言葉を区切って地面を踏み込み、女の子の前まで向かう。うん、やっぱオーバードライブ発動時は速く動けるな。
「っ!!いつの間に!?」
「さっきのお返しだ、受け取れよ!!」
刀を鞘から抜刀して女の子の肩に向けて斬る、だが女の子の持っている刀に阻まれる。
「さっきとは段違い!?でも対処できないスピードではないですよ!!」
「だろうな、別にこれが本命の攻撃じゃねえからな。」
女の子と鍔迫り合いの状態から地面を強く踏み込み、右足の近くに弾幕を作ってそれを蹴飛ばす。
「くっ!!」
それを見た女の子は腰にさしてあるもう1つの刀を抜刀して弾幕を弾いた。二刀流使いか。
「けど、それは良くない判断だぞ?」
鍔迫り合いの力が弱くなった、それを見逃すほど素人じゃないぞ俺、刀を滑らせて女の子の懐に潜り込んで回し蹴りを喰らわせる。
「かはっ!!」
ちょっと強く蹴り過ぎたか?女の子が建物の壁に激突しちまった、死んではないよな?
「はぁ、はぁ、このくらいで倒れる訳には!!幽々子様を、お守りしないと!!」
凄い忠誠心だことで、死んでなくて良かった。
「次で終わらせます、師匠、どうかこの半人前な私に力を貸してください。」
次の攻撃で決める気だな?これはありがたいな、制限時間がもうあと僅かだからな。
「そんじゃ、俺も次で終わらせてやるよ。」
「行きます!!」
そう言い少女は居合い斬りの構えを取ったな。また現世斬をやるつもりか。確かにあの技は早い、けど、少しでもリズムを崩せば勝機はあるな。
「片腕無しの状態でやるのは初めてだが、やるしかねえな。」
呼吸を整えろ、そして周りの物の呼吸を読め、そして見切れ!
「人符『現世斬』!!」
やっぱり来たな、ギリギリまで引き付けろ。よし今だ!!
「斬符『水閃斬』!!」
女の子の居合い斬りを状態を反らして避けた後、居合いの構えから抜刀して女の子が気が付く前に大量の斬撃を1度に放つ。
水閃斬はカウンタースペルだ、武器とか持ってる人用に作っておいたんだが、こんな早くに使うとは思わなかったな。
「うわあぁぁぁぁ!!!」
肩、背中、腰、足、全ての箇所に斬撃が当たり、女の子は力なく地面に倒れた。
「ゲホッ、ゲホッ、『オーバードライブ解除』っと。」
あと1分でも戦闘が長引いてたら確実に負けてた。こりゃ修行し直しか。あっ、ちゃんと峰打ちだぞ。
「にしても、この女の子は何処かで見たことある人に似ているな。誰だっけ?」
まあいいか、刀をしまって気絶してる女の子を担いで建物の中へ入る。片方の肩がないのでやりづらいったらないな、ちゃんと左肩は止血したからな。
「ごめんくださいな!!」
「は~い!!」
建物の中から桃色の髪色で水色の着物を着た女の人が玄関から出てきた。なんで真夜中まで起きてんだ?
「いらっしゃ~い。こんな夜遅くに来るなんて珍しいわね~。」
性格があいつに似てるな。にしても、幻想郷の女性は顔が綺麗な人や可愛い人が多いな。
「誰だ?見るからにここの建物の主っぽいけど?」
「そうよぉ~。私はこの冥界の管理人の西行妖 幽々子よ~、よろしくね~!!」
何か掴み所のない人っぽいな、それに、幽霊もぶよぶよ浮いてるし、亡霊か?
「俺は泊谷聖人。少し用事があってきた。真夜中に訪ねたのはすみません。」
「あらあら~、聖人は中々可愛い顔してるわねぇ~♪食べちゃいたいわ~!!」
おい、どっちの意味だ?今背筋に悪寒が走ったぞ!?
「それは、ひ・み・つ・よ♪」
「つーか心を読むな!!」
何でこうも心を読まれるのかな?
「それはさておき、貴方の左肩治した方がいいんじゃないのかしら~?」
何か幽々子と会話すんの疲れるな。マイペース過ぎだろ。
「あとで治すから問題ないです。ところで、この女の子は誰なんですか?」
担いでた女の子を幽々子の前に降ろす。
「まあ妖夢じゃない。何かあったの~?」
「冥界に用事があって来たら、いきなり侵入者だって言って斬りかかってきたんですよ。」
危うく死にかけた、全くどんな教育してもらったんだ?
「それはごめんなさいね~。この子ったら自分の知らない人が来たらすぐ斬りかかるのよ。師匠の教えをきっちり守るのはいいけど、もっと言葉の意味を考えてほしいわね~。」
「真実は斬って知るだったか?もはや辻斬りだろそれ。」
あの様子から見るに、まだ一人も殺してはいないんだろうけど。頭固すぎないか?
「まぁ、妖夢は悪気があってやったわけじゃないのだけれど、ちょっと真面目過ぎるのも困りものね~。」
そう言って幽々子は妖夢を運んだな。軽々と持ち上げたけど、意外と腕力とかあるのかな?
「ぷはー、危なかった。」
危うくまた吐血するところだった。女の子を担ぐのは初めての経験だったからな。
「しかし、ここからどうするか。」
そう言ったとたん、目の前が真っ暗になった。血を出し過ぎたか。 すんません幽々子さん、しばらく寝ます。起こさないで下さいね。




