再開
磔side
「さて、連子達を探さないといけないわけなんだが……。」
もう、これ人が住んでいるか怪しいくらい荒れ果てているぞ!?草木はまだあるけど建物とかが崩壊状態だな。
「全く、誰がやったのか知らねえけど本当にいい迷惑だ。」
直接は被害は無いが、ここが壊滅状態になったら結界があるのがばれちまうからな。それはなんとしても避けたい。そう思いながら歩いていると人の塊が見えてきたな。
「人はちゃんといるのな。」
けど、集まって何をしているんだ?ちょっくら聞いてみるか。
「っとその前に帽子を被ってと。」
俺の墓まであったんだ。今は髪の色を黒に戻してあるからな。面倒な事は出来るだけ避けたい。
「ちょっとすみません。ここで何をしているのですか?」
「ああ、ちょっとした話をしていたんだよ。」
「どんな話ですか?」
「これからこの世界はどうなるのか、あのお方さえ居てくれれば……、聖人さんさえ居てくれれば。」
「そうよ、聖人さんは奇跡を起こしてくれた。もう一度、奇跡を起こしてくださらないかしら。」
俺ってそこまで大層な事はしていないぞ?単に前にこの世界を壊そうとしたやつをぶちのめしただけなんだが?
「でも、今は連子とメリーとかいう人が立ち向かってくれてるじゃないか!」
連子とメリーだと!?何であいつらが!?
「でも天使様に歯向かって、今日処刑されるじゃないか。」
「すいません!!その話を詳しく!!」
「は、はい!ほんの2ヶ月前に天使と名乗る女性が現れまして、ここを次々と破壊していったんです。」
「まるで魔法でも使ってるかのように、摩訶不思議な力を操っていたんです!そして、私の言いなりになれって言ってきたのです!」
「最初は天使を討とうと頑張りましたが、天使の比べ物にならない強さで次々と歯向かった人達が倒され奴隷にさせられました。」
「今や反抗しているのは連子さんとメリーさんだけなのです!しかし、その連子さんも捕まり、今日処刑されてしまうのです。」
……くそっ、未来で起きた事と似てるじゃねえか。ふざけやがって!!
「何処で処刑が行われる?」
「すぐ近くの闘技場みたいな所です。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「まて!まさか助けるつもりなのか!?それは無理だ!天使の部下が百人ほどいるんだぞ!!」
百人ねえ、生温い。そんなくらいの数の相手は何度でもしてきた。
「じゃ、ちょっくら行ってくるか。」
もう帽子はとっていいかな、そうすれば止めようとする奴等もいないだろう。
「よっと、あー暑かった……。」
「まさか!!あなたはもしかして!!」
「嘘よね?嘘よね!?」
人々がざわざわしているけど、気にしないで行くか。手遅れになったら困るしな。
「ここだな。」
うーむ、札○ドームくらいの大きさだな。さて、中の様子は……。
「ここにいる宇佐見連子!!天使に歯向かった者として打ち首の刑にする!!」
「嫌!!嫌よ!!私は磔さんと再び会うまで死ねないの!!」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!さっさと膝まづけ!」
「うっ!!」
……やべぇ、今にも首を切られそうだ。急いで中に入って助けるか!えっと、連子のいる所に通ずる道はここだな。
三人称視点
「いいか!!天使様に歯向かった奴は皆こうなるのだ!!よく見ておけ!!」
執行人は手足等を押さえられている連子の首元を狙い思いっきり斧を上げた。
「連子!!!」
「駄目ですよメリーさん!!今行ったらメリーさんまでも殺されますよ!!」
「でも!!親友が殺されるのを黙って見てるわけにはいかないのよ!!」
メリーは連子を助けようと広場みたいな所に飛び降りようとするが、仲間の人に止められていた。
「離してください!!」
「駄目です!!」
「でも!!」
「大丈夫じゃ、連子は助かる。」
メリーの後ろにいた老人がそう断言する。
「でも!この人数ですよ!!そんなこと出来る人なんているわけないわ。」
「いや、一人だけ居る。メリーも会ったことある人物じゃぞ。」
「えっ?会ったことがある?」
メリーが過去に会ったことのある人物達を思いだそうとした時。
「ギャアアアアア!!!」
「!!!」
広場に繋がる道から叫び声が聞こえてきた。その叫び声を聞いた執行人は斧を連子のいない地面に下ろした。
「全く誰だ!?いいところだったのに。お前たち、行ってこい!!」
執行人にそう言われて、兵士が叫び声が聞こえた所に向かったが。
「だ、誰だ!?きさギャアアアアア!!!」
「一体誰だ!?姿を現せ!!」
執行人がそう言うと、広場に繋がる道から一人の青年が歩いてきた。
「えっ!?ま、まさか!!」
「や、やはり、あのお方は現れてくれた!!」
「き、奇跡を起こしてくれたのね……。」
メリーや連子が青年を見て涙を流しながら呟いた。
「一体何者だ!?貴様!!何処から来やがった!?」
「来たよ、てめえらをぶちのめすために。」
「ぶちのめすだぁ?笑わせんじゃねえぞ!!」
兵士の一人が青年に向かって槍を突き刺したが、青年は意図も簡単に素手で受け止めた。
「ふんッ!!」
青年が槍の先端を持っている手に力を入れると、槍の先端は粉々に砕けた。
「ヒィィィーーーー!!!」
「なるほど、只の馬鹿ではないな。名を聞いておこうか。」
「てめえに名乗る名前なんてねえよ。」
「ゲハハハハ!!!調子に乗るのもそこまでにしておいた方がいいぞ!!俺は只の人間ではないのでな!」
そう言い執行人は青年に殴りかかる。青年はギリギリ当たるまで動かず、当たる瞬間に避ける。執行人のパンチはコンクリートの柱に当たったが、柱がパンチによって倒壊した。
「ゲハハハハ!!!どうだぁ!!俺は普通の人間よりパワーがあり、スピードもアップしているのだ!」
「へぇー、だったらもう1回やってみろ。今度は避けねえから。」
「大した自信だ!!だがそれも俺の前では無意味だぁ!!」
執行人はさっきと同じ力で青年を殴った。青年の体は吹き飛ばされ、壁に激突した……と誰もがそう思ったが、結果は。
「ありゅ?何で吹き飛ばされないにょ?」
青年は顔面にパンチを当てられたのに、微動だにしなかった。
「どうした?吹き飛ばすんじゃなかったのか?だったら代わりにやってやろう。」
青年は執行人の顔面にパンチを入れて吹き飛ばす。執行人が吹き飛ばされている間に、後ろに回り込んで蹴り上げる。そして、落ちてくる執行人に向かって。
「想符 フレアスパーク!!」
執行人の額に手を乗せてそう宣言した。
「あ、あにゃたしゃまどにゃた?ひょひょっとしてばけもにょ?」
「……ただの青年だ。」
そう言い執行人に極太レーザーを放った。その様子を見ていた兵士は次々と逃げていった。青年は追撃しようとせず、連子の所に向かった。
「よぅ、久々だな。」
「本当に、本当に来てくれたんですね!!」
「当たり前だ、約束は守るからな。」
「磔さん、本当に、会いたかった!!」
そう言い連子は青年、もとい磔に抱き付いた。連子が磔に抱き付いた時、メリーも磔の所に来た。
「磔さん……。」
「メリー、髪の色が違うのによく俺だとわかったな。」
「その顔は忘れられないわよ。連子も言ったけど、私も会いたかった!!」
メリーも連子が抱きついていない所に抱き付いた。その様子を老人は涙を流しながら見ていた。
「奇跡だ、今ここに英雄が帰ってきた!!」
「で、その青年一人にやられたってわけね。」
「はっ!!しかしその青年も摩訶不思議な力を使えるようです!!」
「ふーん、いいわ、下がって。」
「了解致しました!!」
「ちょっと骨のある人が出てきたわね。しかもあっという間にやっつけたと、中々に面白いじゃない。」
「いかがなさいますか?」
「そうねぇ、エリー!!エリーはいるかしら?」
「何ですかご主人様?」
「ちょっとあの青年の元に行ってここに連れてきなさい、出来れば生きてる状態でね、どうしようもなかったら死んでる状態でもいいわ。」
「かしこまりました。」
「夢月は引き続き反抗している馬鹿共がいないか調査して頂戴、いたらその場で殺していいわ。」
「わかりました姉さん。」
「フフフ、今さら救世主が現れた所でこの世界は夢月館当主、幻月様の物よ!!」




