異変解決と来たら……
聖人side
「おーい！！こっちに食べ物がないぜ！！」
「今持って行きますから！！」
「ん～、旨いねえ！！」
「こっちのも美味しいですよ！！」
「お酒が足りないわよ！！」
「そんなこと言われてもですね…。」
「騒ぎ過ぎだろ……。」
よう、しばらくぶりの俺視点だな。今は未来の守矢神社で宴会をしているが、もうどんちゃん騒ぎだな。
「仕方ないですよ、皆宴会の時にはこんな風になりますし。」
「過去でも宴会の時には騒がしくなるのは同じなんですね！！」
「まあ、わかってはいるけどさ。んなことよりか佳苗は宴会をしたことがあるのか？」
「一度だけですよ。」
一度だけか。そりゃそうだよな。
「まあ、今日は楽しめよ！！」
「はい！！お父さん！！」
……やっぱり慣れないな。お父さんって呼ばれるのは。
「そういえばお父さん？」
「ん？どした？」
「私の天然な性格はどっちに似たんですか？」
「自覚はあるんだな。」
そんなの気にしないと思っていたんだがな。
「早苗の方だよ。」
「へぇー、そうなんですか！！」
「でも、何でそんなことを聞くんだ？」
「だって、何もない所で転けたり、忘れ物はよくしますし……。」
おおう、そこも早苗そっくりなのな。
「お母さんもそうだったんですか？」
「そうだぞ！それは全部早苗の性格だな。」
「何でですか！？少しは聖人の性格も入ってると思いますよ！！」
「だとしても道を歩いている時に突然アクロバティックに転びはしないし、弁当箱を辞書と間違えたりはしない！！」
本当、早苗と一緒に高校時代を過ごしていた時は大変だったな。
「その話、もっと聞きたいです！！」
佳苗の目が輝いてるな。そんなに気になるのか、まあ俺も逆の立場だったらそうしてるかもな。
「駄目ですよ！！佳苗ちゃん、私は少しドジなだけですからね！！」
「大事な日に寝間着姿で行こうとするのが、少しドジなだけなのかねぇ。」
「ち、違いますよ！！あ、あれは少し寝惚けていただけですよ！！」
少しの次元を越えてるよ……。
「お母さんはやっぱりドジで間抜けだったんですね！！」
「おい佳苗、言い方が直球過ぎるぞ。」
「うぅ、酷いですよ。」
「まあ、今更直らないからなぁ。」
「そこは慰めたりとかしてくれないんですか！？」
いや、慰めても性格は変わらないしなぁ。
「もう！！私は怒りましたよ！！二人とも正座しなさい！！」
「あっ、早苗がキレちまったな。」
早苗が怖い笑顔で手をポキポキ鳴らしながらこっちに向かってくるよ。あれは捕まったら終わりだな。
「どうするんですか！？半殺しにされますよ！！」
「んなことはわかっている！！だったらここは男らしく！！」
「男らしく……何ですか？」
そう言い早苗はお祓い棒を持って構えたな、向こうはやる気満々だな。なら俺も男らしく体を反転させて。
「逃ぃぃぃぃげるんだよぉぉぉぉ！！！」
「「えっ？」」
HA.HA.HA.これが俺の必殺技、戦略的撤退だ！！それも戦う意思を見せ付けた後に撤退する。こうすることによって相手は動けなくなる！！完璧な作戦だ！
「あばよ！！さな「逃がすと思いましたか？」ダニィ！？」
えっ？俺の必殺技がきかないだと！？しかも回り込まれたし……まさか！！
「ふふふ、私も使えるんですよ。瞬間移動を！！」
「ゑゑゑゑ！！？うそーーん！！」
「さぁ、逝きましょうね？」
「佳苗！！助けてくれ！！」
「大丈夫ですよ、佳苗ちゃんはもう制裁を加えましたから。」
早苗の指差した方向に、目を回しながら倒れている佳苗がいた。何したんだ！？
「ちょーーーっとロボットアニメの魅了をみっちりと伝えただけですよ～？」
あの短時間で！？怖すぎるだろ！！
「聖人には違うものを用意してますからね～。動かない方がいいですよ～。」
「アイムそーりー！！」
「そんなので許しませんよ！！東風谷家に伝わる秘奥義！！波○カッター！！」
「何で使えるんだよぉぉぉぉぉ！！？それは別にお前の家に伝わる秘奥義じゃないだろぉぉぉぉぉ！！
謙治side
「アッハハハハ！！！聖人のやつ盛大にやられてやんの！！」
やべっ！！腹が痛いw腹筋が崩壊する！！
「次は貴方の番よ？」
「おろ？皆さまお揃いのようで。」
「あんたがしてきた事、忘れてはいないでしょうね？」
「え……と、忘れた。」
なんかしたっけ？マジで心当たりありすぎてわからないな。
「幻想郷を色々な目に合わせた事よ。よくもまあノコノコと顔を出せたものね！！」
やばっ、完璧におこじゃん。ここも俺の必殺技を出さねば！！
「ちゃぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
俺はその場から飛び上がって２回体を捻った後、地面に頭を擦り当てる。
「……何してるのよ？」
なにしてるかって？これは日本古来から伝わる秘奥義！！通称Do.Ge.Zaだ！！
「……まあ、勘弁してやるわよ。」
「確かにな、今回は勘弁してやるぜ！！」
おおっ！！皆さまおやさし「但し、咲夜さんからキツイお仕置きがまってます！！」くはなかった！！
「えっと、咲夜って誰だ？」
「私よ。」
ん？こっちに来たのは……おほっ！！銀色の髪色でメイド服を来た人じゃないか！！やべっ！！もろタイプだ！！
「貴方には向日葵になってもらいますわ。」
しかも性格は大人っぽい！！そしてミニスカートから出ている美脚！！たまらないですわぁ！！胸も大きすぎず、小さすぎでもない。うほほ！！テンション上がってまうやろーーーー！！
「ねぇ霊夢？何か色々おかしくなっているのだけれど？」
「私に効かれても困るわよ。取りあえず制裁は加えておきなさいって紫から連絡が来たからどんな風にするかは任せるわ。」
やっぱり完全に支配しなくて良かったぁ！！俺のマイエンジェルがここにいたとは！！でも、敵に回らなければもっと早く知り合えたってことだよな？チクショーー！！何で敵に回ったんだよ俺のバカヤローーー！！
「取りあえず制裁は受けてもらうわよ！！ 幻符 殺人ドール！！」
あれ？こっちにナイフが飛んできてるぞ？しかも俺の体の色々な所に刺さってるし。
「ってギャーーーー！！！痛い痛い痛い！！」
めっちゃ痛い！！でもそれがいい！！
「……こんなのが敵だったなんて、信じられないわ。」
「えふっ、咲夜っと言うのかな？」
「ええ、十六夜咲夜よ。私達を苦しめてきた犯人さん？」
冷やかな目でこっちを睨んできた、たまらん！！
「俺は時弥謙治だぞ！！」
「よく体中にナイフが刺さってる状態で自己紹介が出来るわね。」
「取りあえず一言、本当にすんませんでした！！なんだってします！！何でもやります！！だから許してください！！」
「それを決めるのは私ではないわ。」
わかっちょる。わかっちょる。
「妖怪の賢者にはもう謝罪は済ませたから(ドャァ！)」
「頭から血が吹き出てる状態でどや顔されても……。それで、何て言われたのかしら？」
「制裁を受けてこいと。にしても大事な所に刺さらなくて良かったよ。」
ちゃんと……あるね！！なかったらヤバイね！！
「ど、何処を触ってるのよ！？」
「えっ？ちょっと私の大事な部分がちゃんとあるかどうか確かめてただけですが？」
「だだだ、だからって……！！」
おぅ！！顔を真っ赤にさせてわなわな震えている咲夜も素晴らしい！！是非彼女にしたいでごわす！！
「だからって！！私の前でするなぁーーーー！！！」
「わわ、悪かったから悪かったから！！だからナイフを投げるのはやめイェェェェェェアアアィ！！！」
磔side
「ぶふっ！！あいつら可笑しすぎだろ！！」
漫才かよ！！面白すぎて呼吸出来ねえよ！！
「いや～謙治のやつ良かったな。馴染むことが出来て！！」
「あれは馴染んでると言えるのかしら？」
「言えるんじゃね？少なくとも咲夜は許したみたいだし。」
にしても急に現れますなぁ、びっくりさせないでほしいよ紫。
「まあ、それは置いておいて、異変解決おめでとう。」
「ありがとさん。」
「にしても、また貴方はこんなことしてるのね。」
「いいだろ別に、俺の勝手だし。」
さて、お酒でも飲むか。おっ！！旨い！！
「勝手ではありませんわ！！貴方がそれだと私が困るのよ！！」
「……幻想郷にいる全ての人が幸せになって欲しいからか？」
「そうよ！！早苗に真実を伝えたのかしら？」
「伝えるまでもない。伝えた所で早苗が苦しむだけだ。」
世の中には良い嘘と悪い嘘がある。俺の付いてる嘘は前者だな。
「貴方って人は……。」
「それと、紫は恋物語の本とか読んだことあるか？」
「無いわよ。」
「恋物語の最後にはバットエンドやトゥルーエンドがある。」
まあ、もっとあるかもしれないけどな。
「でも、あいつらのような純粋な年頃や初めての恋は幸せになれるハッピーエンドで終わった方がいいだろ。初めての恋をバットエンドで終わらせたくないんだよ。」
「そうね、磔の言う通りね。」
「それを支えるためにこういう行動をしているというわけ。」
「けど、貴方はそれに含まれないのかしら？」
「……含まれねえよ。俺はある契約を守るためにハッピーエンドを目指そうとしても、バットエンドを選択しなければならないのさ。」
「心配するだけ無駄ね。」
「そういうこと、だから帰ってくれ。」
「わかったわ。けど、覚えておきなさい。貴方は幸せになる必要があるってことを。」
そう言い残して紫は去っていったな。やれやれ、少し喋り過ぎたな。
「契約は絶対に守らないといけない。例えどんな目にあってもな……。」
外の世界に飛ばされた時、あの部屋で俺は契約を結んだんだ。契約を守っている間は強力な力を持てるが守らなければ力が失われる契約をな。
「その契約は守るのが困難なほど、強力な力が持てるようになる。」
守る内容は何でもいい。些細な事から大きなことまで。そして、俺が選んだのは……
女性と付き合ったり、結婚したり、子孫を残したりしないということだ。
