VS紫3
「覚悟しなさい!!良太や絢斗達の思い、無駄になんかはしないわ!!」
そう言い霊夢は紫に向かってお札を投げる。続けて魔理沙や咲夜や妖夢や早苗も弾幕を放つ。
「ふふ、そんなに焦らなくてもいいじゃない。皆死ぬのだから。」
紫は余裕そうな笑みを浮かべながら霊夢達の弾幕を避けていった。霊夢達はきちんと計算して弾幕を放っているが、紫は能力を使わずに避けていく。
「やっぱり当たりませんね。」
「あら?その程度?」
「まだまだこれからだぜ!!魔符 ミルキーウェイ!」
魔理沙は紫に大量の星形弾幕を放つ。だがそれを見ても紫は余裕そうな笑みを崩さず、空中に飛んで回避する。
「そんな見え見えの弾幕当たるわけ「まだ私達がいるんですよ!!」!!」
紫が回避した方向に妖夢がスペルカードを持って待機していた。
「断迷剣 迷津慈航斬!!」
妖夢は楼観剣を通常の長さの3倍にして、紫目掛けて凪ぎ払った。
「考えたわね、でも甘いのよ。」
紫は慌てずにスキマを展開して、そこに避難し妖夢の攻撃が終わった後、再び出てきた。
「甘いのはそちらなのですよ!!」
そう言い咲夜は紫がスキマから出てきた瞬間に時を止めてナイフを紫の周りに配置する。
「そして時は動き出す。」
「!!!」
紫はいきなり現れたナイフに多少驚いていたが、想定内っいう顔をして避けていく。
「そんな感じはしましたわ!!」
咲夜も紫が攻撃を避けるのは想定内と思っていたらしく、すぐにスペルカードを取り出し。
「幻葬 夜霧の幻想殺人鬼!!」
殺人ドールよりも何倍ものナイフを紫目掛けて投げまくる。
「うざったいわね!!」
これは避けきれないと思ったのか、紫は日傘を開いてナイフを防ぐ。だが咲夜の狙いはこれだった。
「今よ!!早苗、用意はいい!?」
「いつでも行けますよ!!」
身動きの取れない紫に向かって霊夢と早苗がスペルを当てる。魔理沙が避けやすいスペルを使ったのも、妖夢が他のスペルを使わなかったのもこの為だ。
「宝具 陰陽鬼神玉!!!」
「奇跡 陰陽鬼神玉!!!」
霊夢のスペルカードを早苗はコピーし、大きな隕石みたいなものを紫目掛けて二人は投げた。
「そろそろ、かしらね!!」
咲夜は当たる直前に時を止めて霊夢の所に行く。紫はナイフを防いでいたので霊夢達の攻撃に気付かすに直撃した。
「やりましたか?」
「いえ、紫があの程度でやられるはずがないわ。ただダメージは与えたとは思うけど。」
そう言い霊夢は紫がいた方向を向く。あれの攻撃で終わってたら楽なことはない。
「ちょっとびっくりしたじゃない。少しはやるようね。」
「嘘!!」
紫は片方ずつの手で霊夢と早苗のスペルの弾幕を持っていた。まるで軽石を持っているような感じで。
「いらないから返すわよ。」
そう言い紫は霊夢と早苗と妖夢、魔理沙と咲夜目掛けて投げ付ける。
「まずっ!!」
「大丈夫です!!」
霊夢達が焦る中、妖夢は霊夢と早苗の前に立ち。
「せぇぇぇい!!!」
楼観剣で霊夢のスペルの弾幕をまっ二つにした。
「へぇ~、それを斬るんだ。」
「そうです!!もう昔の私じゃないんです!今の私に斬れないものなど、ほとんどない!!」
「でも、向こうの二人はどうするのかしらね?」
紫はスキマから扇子を取り出しながら言う。向こうの二人とは魔理沙と咲夜の事だ。
「あの二人なら平気よ。それよりも随分と余裕ね!」
霊夢は紫のやる気のない態度に腹が立ったのかお札と封魔の針を投げる。
「腹が立った?ごめんなさいね。あまりに退屈だったから。」
「なら、その退屈を無くして差し上げましょう!!」
いつのまにか来ていた咲夜がナイフを投げながら言う。紫はそれを見て溜め息をつきながら。
「面倒ね、次は貴女から死んでもらうわ。」
「させると思いますか!?」
早苗も霊夢と同じように弾幕を放つ。だがそれを紫は見もしないで避けていき咲夜に近付き日傘で突き刺そうとする。
「無駄よ!!」
咲夜は時を止めてそれを回避する。そして紫の近くに行きナイフを投げる。
「時を操る私に接近戦なんて無駄よ!!」
「そうかしら?」
「!!!」
突然紫の声が聞こえたと同時に
ドジュ!!
「……えっ?」
時を止めていたはずなのに、紫が動いて咲夜の心臓目掛けて日傘を刺した。動けないはずの紫が動いたので咲夜は動揺し、回避出来なかった。
「今の私に時を止めるなんて無意味。境界を弄れば自分だけ時を解除するのは容易いことよ。」
「そ、んな……。」
「でも何度も時を止められては困るのよね。その度に無駄な力を使うわけだし。」
そう言い紫は日傘ごと咲夜を地面に叩き付ける。
「ガハッ!!」
「咲夜!!」
咲夜が地面に叩き付けられると同時に時が解除された。
「霊……夢。あの紫は、とんでも、ないわよ。」
「おい!何があったんだよ!?」
「恐らく、時を止めていたはずなのに紫が何らかの方法で自分の時間だけ解除したんでしょう。」
「その、通りよ。」
そう言い咲夜は目を閉じる。そして、手を霊夢に伸ばしながら。
「お願い……、紫を、たお、して……。」
一粒の涙を落としながら力尽きた。
「…………。」
「咲夜さん。わかりました、必ず倒してみせます!!」
霊夢は黙り、妖夢は咲夜の顔に布を被せる。
「……さねぇ。」
「魔理沙?」
「紫ィィィ!!!私は、お前を許さないぜぇぇぇ!!」
そう言い紫に向かって飛んで行き、星形の弾幕を大量に放った。
「魔理沙!!戻りなさい!!」
「うるさいぜぇぇ!!!私が、私が紫を倒すんだ!健二達の仇をとるんだぁぁぁ!!」
やけくそ気味に魔理沙は弾幕を放つ。紫はそれらを見切りながら魔理沙に近付いてく。
「魔理沙さん!!」
早苗も参戦しようと魔理沙の所に行こうとするが。
「駄目よ。」
霊夢が早苗の腕を掴み阻止する。
「どうしてですか!?このままだと魔理沙さんも咲夜さんと同じようになりますよ!!」
「じゃあ早苗が行って解決するのかしら!?」
「うっ……。」
「もう魔理沙は止められないわよ。今出来るのは魔理沙が時間を稼いでいる間にどうするか考えるべきよ!」
「でも!!」
早苗は諦めたくなかった。霊夢の言ってる事は、魔理沙を見捨てろと言ってるようなものなのだから。
「早苗。」
「……わかりました。」
「その程度?仮にも異変を解決してきたんでしょ?」
「しゃべるんじゃないぜぇぇ!!魔符 スターダストレヴァリエ!!」
魔理沙は弾幕を放った後、自分の周りに弾幕を配置して紫に突進した。
「無駄無駄無駄無駄!!!」
紫は指2本で魔理沙の突進を止めて回し蹴りを放つ。
「あぐっ!!」
魔理沙は吹き飛ばされたが、直ぐに体勢を整える。
「げほっ、ま、まだまだ!!魔砲 ファイナルスパーク!!」
今度はミニ八卦炉を取り出して魔理沙が撃てる最大のパワーで紫に特大のレーザーを放った。
「これが貴女の本気なのね。いいわ、捻り潰して差し上げましょう!!」
紫は開いていた日傘を閉じ、特大のレーザーが近くにきた時、野球のバッティングの時のボールみたいにレーザーを跳ね返そうとする。
「さっさと死になさい。」
「ふざけるな!!お前のせいで健二達が死んだのに諦めていられるか!!」
そう言い魔理沙はさらにレーザーの威力をあげる。
「おおおおおおおぉぉぉ!!!」
「ふふ、健気ね。健気すぎて涙が出てきそうね。」
紫は1割力を解放し、魔理沙のレーザーを跳ね返した。
「貧弱貧弱!!」
「そ、そんな!!」
「いたた、ちょっと手が痺れちゃったじゃない。でも、これで三人目ね。」
「うわああああぁぁぁぁ!!!」
魔理沙はスペルの硬直から抜け出せておらず、真正面からレーザーにぶつかった。
「霊夢ぅぅぅ!!仇をとってくれえぇぇぇ!!!」
そう言い残し、魔理沙の体は粉々になり、消えていった。魔理沙の限界を超えた力で放ったスペルの威力に体が耐えられなかった。
「魔理沙さん!!」
「魔理沙……。」
「次は貴女よ。」
「させるかよ!!」
突然男の声が聞こえ、紫の上から赤い弾幕が降ってきた。
「誰よ?」
紫はそれを日傘を広げて防ぐ。
「霊夢さん、無事……ですか?」
「りょ、良太!!」
死んだはずの良太がいた。だが良太も無事ではなくあちこちから出血していた。
「生きていたのね!!」
「死にかけましたけど、戻ってきましたよ。」
「雑魚が一人増えた所で何にもならないわよ。」
「確かに……そうですね。カハッ!!」
「良太!!しっかりして!!」
血を吐く良太の背中を霊夢は懸命に擦る。早苗は良太の傷を治そうとする。だがその隙を紫は狙って。
「隙をさらに増やしてどうするのかしら?」
そう言い紫はぼうっとしていた妖夢に指を指す。すると。
「うわっ!!ななな何で浮いてるんですか!?」
妖夢は別に飛ぼうとしていないのに勝手に宙に浮いていた。
「ふふ、幽々子には申し訳ないけどこの世から消えてもらうわよ。」
「紫!!止めなさい!!!」
「紫さん!!止めてください!!」
霊夢と早苗は必死にそう叫ぶが、紫は霊夢達の言葉を無視し。
「ぎゅっとして……。」
「や、止めなさい!!!」
霊夢は弾幕を紫に放ち、命中したが紫にはダメージが無かった。
「紫様!!やめてください!!」
妖夢は逃れようと移動しようとするが、体が動かなかった。
「紫!!やめろぉぉぉぉぉ!!!」
「ドカーーーン!!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!!」
ボゴォーーーーーン!!!
「妖夢!!」
紫が拳を握り締めたと同時に妖夢の体が爆発し、跡形もなく消えていった。
「妖夢まで、何処まで殺せば済むのよ!?」
「早苗さん、魔理沙さんと咲夜さんとアリスさんはどうしたんですか?」
「ごめんなさい……。」
そう言い早苗は泣き出した。それを見て良太は理解したらしい。
「くそ野郎が、そんなに人を殺して楽しいのかよ?」
「そんなこと聞いてどうするの?皆死ぬのだから別にいいじゃない。」
「もうやめろ……。」
良太は体を震わしながら叫ぶ。
「聞こえないわ?もっと大きな声で言えないのかしら?」
「もうやめろって言ってるだろぉぉぉ!!!」
良太は涙を流しながら叫ぶ。だが紫はその姿を見て含み笑いをし。
「やめろ?ふふ、何を言ってるのかわからないわね。そもそもあんな雑魚達を掃除して何が悪いのかしら?」
ブチィ
紫の言葉に良太の怒りが溜まっていく。何故こんな奴に皆が殺されなければならないのか。
「それに、最後の泣き叫ぶ声や表情、とても滑稽だったわ。雑魚はとても間抜けに鳴くのね。」
ブチィブチィ
紫の言葉を聞いて想像してしまった。そしてさらに良太の怒りが増す。
「それに、私以外どうなってもいいしね。」
ブチィブチィブチィ!!!
「皆をバカにするのも大概にしやがれぇぇぇぇぇぇ!!!」
最後の紫の言葉を聞いた瞬間、良太の怒りが頂点に達し、良太の体が光に包まれた。
「良太!?」
「眩しいです!それに、とてつもない力を感じます!」
暫くすると光が晴れ良太の姿が見えてくる。そこで霊夢と早苗が見たのは。
「その……姿!!」
銀色のオーラを纏って髪の色も銀色になっていて髪が逆立っている良太の姿があった。
「ふうん、そこそこ面白くなってきたわね。」
紫は扇子で口元を隠しながら嬉しそうに微笑む。
「今更謝ったって許さないからな!!」




