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東方外遠記  作者: 颯人
第12章 未来編 ~Future fantasy~
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VS紫2

永琳が大暴れすると言ったな。あれは嘘だ。



「なっ、何よあれは!?」


霊夢達は驚いていた。永琳の強さが予想以上だったからだ。永琳は弾幕ごっこでも強かった、だが今ここで戦っている永琳の方が数百倍強かった。


「し、信じられないんだぜ……。」


「私達でも相手にならなかったあの木を。」


魔理沙と咲夜は春雪異変を思い出していた。あの時も最後は西行妖が暴走した。打つ手がなくただ避けることしか出来なかったのに……。


「易々と、捌いている……。」


四方八方から枝が伸びてきても慌てず、刀とメスを使って斬っていき道を確保していく。隙あらば、弓矢にもちかえて攻撃していく。


「幽々子!!」


「わかってるわよ~。」


永琳の予想外の行動に紫は慌てて幽々子に指示を出した。あの木はまだ完全には復活していない、復活したら幽々子が消滅するからだ。だから8割くらいにしていた。


「9割にして頂戴!!」


「はいはい。」


幽々子は西行妖に霊力を注ぎ込んでさらにパワーアップさせた。


「!!!」


永琳は西行妖がパワーアップしたのを感じて慌てて霊夢達の所に戻った。


「流石に私一人じゃきついわね。霊夢、行けるかしら?」


永琳は多少息を荒くしながら霊夢に尋ねたが。


「あ……あ……。」


霊夢は手で震える自分の体を押さえていた。霊夢だけではなく魔理沙や咲夜、妖夢や早苗も同じようにしていた。


「死の恐怖の余りに体が動かないようね。」


今の西行妖から出ている力がとてつもないからだ。今の霊夢達は、一歩間違えれば死という経験したことのない状況にいるのだから体が震えて動けないのは当然だ。


「今なら殺せるかしら~?」


「させないわよ!!」


ただ一人動ける永琳は紫に向かってメスを投げる。だがそれを紫は軽く扇子で弾いた。


「そんなものは効かないわよ。」


「ええ、わかってるわ!」


永琳は予想していたらしく、メスを投げた後、刀にもちかえ紫に向かって振り落としたが。


ガギィン!!


「えっ!?」


紫の腕で防がれた。普通はそんなことをしたら腕が斬られるはずなのだが。


「生憎と昔の私じゃないのよ。」


「くっ!!」


紫は日傘を取り出して永琳に殴りかかったが、慌てずに永琳は紫から距離を取る。


「どうして!?」


「あら?わからないのかしら?じゃあ教えてあげるわ、妖怪が人間を食らう。これでわかるかしら?」


「……貴女も人間を食べたのね?」


「強くなるためには致し方なかったから。お陰で見違えるほど強くなったわ。ちなみに今の攻撃は1割も力を出してないわよ?」


「!!!!」


紫は不敵に笑った。永琳は全開で攻撃していた、それを1割以下で回避した事に永琳は驚きを隠せなかった。


「さて、そろそろ行動に移ろうかしら。先ずは貴女、消えて貰うわよ。」


紫がそう言い終わった後、空間が震えた。それをまずいと思った永琳はもっと距離を取ろうとするが。


「甘いのよ。」


移動した先にスキマが待っていた。


「甘いのはそっちではなくて!?」


永琳は急旋回でスキマを避けようとする。だが。


「そんなの予測済みよ。」


紫はスキマをさらに広げて永琳の逃げ道を無くした。


「ここまでのようね。」


永琳は目の前の状況を見て笑った。もうどうしようもない、蓬莱人だから死ぬことはないが一生スキマの中だろう。


「けど、やられっぱなしは嫌よ!!」


永琳は矢の先に何かの薬をくっ付けた矢を西行妖に向けて放った。それと同時に永琳はスキマの中に入っていった。


「全く、手間をかけさせないでほしいわね。」


「永琳!!!」


「でも一番厄介なのを排除出来たからいいんじゃないの~?」


「それもそうね。」


紫と幽々子は笑い合う。まるで勝利を確信したかのように。


「霊夢……。」


「悪いけど、打つ手がないのよ。」


相手にするのは別に出来る。だが今までやって来たのは弾幕ごっこという遊びだ。それでさえも向こうが圧倒的に強かった。


「霊夢!!」


「……わかってるわよ。わかってるけど、体がまだ言うこと効かないのよ!!」


いくら博麗の巫女とはいえ、精神はまだ若い少女。頭ではわかっていても体が動かない。始めて感じる恐怖にまだ怯えていた。


「さて、幽々子。任せたわよ。」


「ええ♪任されたわ♪」


幽々子は自分の能力を込めた弾幕を作り始める。


「もう、おしまいなのか。」


魔理沙達はもう諦めていた。幽々子が今作っている弾幕は当たったら死、かすっても死が待っている。魔理沙とはいえ全弾全て完璧に避けきるのは不可能だ。


「大丈夫よぉ~♪苦しまないようにしてあげるから♪」


幽々子は笑顔で霊夢達に死の弾幕を放った。



















だがその一瞬前。


「爆符 ミニマムボム!!」


聖人に瞬間移動で飛ばされた彰が爆弾の爆風で幽々子の弾幕を全て吹き飛ばした。


「あらぁ、失敗しちゃったわ~♪」


「大丈夫か?」


「ギリギリだったね~。」


「彰さ……ん?」


霊夢達は彰と絢斗の方を向くが。


「ボロボロじゃないの!!何がどうしたっていうのよ!?」


「思ってた以上に相手が強かった。」


「健二は!?聖人は!?」


魔理沙は絢斗に詰めよって尋ねるが、絢斗は黙って首を横に振った。


「そ、んな……。」


魔理沙は膝から崩れ落ち、手を顔に当てて泣き出した。早苗は手をぎゅっと握り締めて涙を流すのを堪えていた。


「そして、俺らももう持たない。」


絢斗はスペルカードを取り出しながら悲しそうに呟く。それを聞いた妖夢は。


「持たないってどういうことですか!?」


「俺の命も長くは持たない。あと少しで死ぬ。だけど、一泡吹かせてやりたくてね。」


「大丈夫ですよ!!私が治療しますから!!」


「あのなぁ、妖夢ちゃん。俺はもう立っているだけでも精一杯なんだ。だから足手まといになる。」


絢斗は妖夢の頭を撫でながら説明する。


「誰か、えーりんは知らないか?」


彰は早苗に聞く。


「永琳さんは、スキマに入れられました。」


「そうか、でも矢は残ってるんだな。」


彰は西行妖の方を見ながらそう呟く。そしてスペルカードを取り出す。


「絢斗、時間だ。」


「ほいほい。じゃ、妖夢ちゃん、元気で。」


「待ってください!!待ってくださいよ!!」


妖夢は絢斗の所に行こうとするが、それを咲夜は妖夢を羽交い締めにして動けなくする。


「離してくださいよ!!」


「駄目ですわ。離しません。」


「すまねえな~咲夜ちゃん。」


絢斗は苦笑いしながら咲夜の方を向く。その後、霊夢の方を向き。


「俺ら外来人の助けはここまで。後は前の幻想郷のように霊夢ちゃんが解決するんだぞ。」


「言われなくても、わかってるわよ!!」


「それを聞いて安心したよ。じゃ、頼むからな。斬符 剣ソードブレード!!」


「ネーミングセンス無さすぎ、解符 ステートブレイク!!」


絢斗と彰はスペルを宣言したが、何も起きなかった。


「……馬鹿にしているのかしら?」


「そうかもね~。馬鹿にしているかもよ?」


「まあ、ババア二人馬鹿にしてもいいんじゃね?」


「貴女、死にたいのかしら?」


ババアと言われてムカついたのか、幽々子は彰の周りに死の弾幕を配置する。


「キレんなよ。短期は損気とも言うだろ?」


「別にキレてなんかないわよ~?」


「じゃあ、バーカバーカ!!バーカバーカ!!」


「彰、やりすぎだ~。」


彰は幽々子や紫に向かって中指を立てたりして挑発する。


「貴方達、余程死にたいようね。」


「え~、だってもうすぐ死ぬし~。それに……





















あんたも死ぬからな。」


「えっ?」


絢斗は言い終わる前に超高速移動で幽々子の体を刀で突き刺した。


「俺もそろそろだな。」


彰も同様に超高速移動で西行妖に近付き、槍で西行妖の木の真ん中を刺した。


「けど、私は死なないわよ?」


「そりゃそうだ。普通の方法なら死なないな。」


絢斗がそう言い終わると、幽々子と絢斗の体が光り始めた。


「なっ!!何をしたのよ!?」


「スペルの効果だ。このスペルはな、刀で突き刺した相手を確実に成仏させるためのスペルだ。」


「そ、そんな!!」


「けど、代償に俺も成仏ささることになる。」


絢斗は説明し終わった後、妖夢の方を向き親指を立てながら。


「本当にお別れだね~。」


「嫌ですよ!!逝かないでくださいよ!!」


妖夢は泣きじゃくりながら叫ぶ。その様子を見た絢斗は溜め息をつきながら。


「妖夢ちゃんはまだまだ子供だね~。こういう時は笑顔で別れるものだよ~。」


「無理ですよ!!私なんかじゃ出来ません!!」


「本当に、相変わらずだね~。でも、そこに惹かれていったのかねぇ。」


絢斗は自分が出来る最高の笑顔で。


「後は、頼んだぜ!!」


「嫌よ!!私が成仏するなんて!!」


「大丈夫だ~。俺も成仏するからな~。」


そう言い残して、絢斗と幽々子の体は消えていった。幽々子は成仏したくないと叫びながら……。


「俺もそろそろか。」


「彰!!貴方も!?」


「そう、俺のスペルをほぼ絢斗と同じ効果さ。」


彰の体も消えはじめていった。西行妖は何かの声みたいな叫びを上げていた。


「けど、西行妖は強大な力を持っているのよ!?」


「それはえーりんが解決してくれたさ。」


「どういうことでしょうか?」


「えーりんが最後に放った矢の先に妖力を弱める薬がついてあった。その薬の効果が効いて西行妖の力が弱まったからなのさ。」


彰は早苗と霊夢の方を向きながら。


「俺らは外来人。本当ならこの幻想郷の問題に顔を突っ込んではいけない。だから、後は脇巫女がなんとかするんだぞ。」


「脇巫女言うな!!」


彰の軽口に霊夢を声を荒げてツッコミを入れる。それを見て彰は安心したらしく。


「じゃあな。」


そう言い残して、絢斗と同じように消えていった。西行妖も根元から消えていった。


「……これは予想外だったわ。」


紫は扇子を回しながらそう呟く。そして


グシャ!!


扇子を握り潰し、どっかに放り投げた。


「邪魔ばかり入るわね。うざったいから消させてもらうわ。」


そう言いスキマに手を突っ込んで、なにかをした。


「何する気?」


「何でもないわよ。」


紫はスキマを閉じて霊夢達の方を見る。


「私に勝てるのかしら?」


「そんなのどうだっていいわ。」


「勝てるかじゃなくて、勝つんだぜ!!」


「絢斗さん達の思いを無駄にしません!!」


「覚悟はよろしくて?」


霊夢達は紫は見ながらそれぞれそう叫ぶ。今の霊夢達は目に力があった。恐らく、崩れていた心を絢斗達が立ち直らしてくれたのだろう。


「ふふ、その思い。木っ端微塵に砕いてあげるわ。」


「木っ端微塵になるのはあんたよ!!」


「さあ、踊りましょうか。」








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