愛するべき者のために
「では、行きますよ!!」
僕は足に気力を貯めて一気に放出させて神綺さんの所に飛ぶ。
「一人で来る気なのかしら~?」
「私もおりますわ!!」
僕の後ろに夢子さんが付いてくる。ほぼ全力のスピードで飛んだのに、それに付いてくるなんて。夢子さん、何者何ですか?
「じゃ、二人ともまとめて逝きなさい!!」
そう言い神綺さんが広範囲の弾幕を撃ってきた。威力は高そうだなぁ。
「快、あれに当たったら致命傷になるから注意してください!」
「わかった、なら!炎符 メテオアロー!!」
少しでも相殺させないと、アリスさんとユリスに当たっちゃうからね!
「はぁぁ!!」
「へぇ~、さっきよりもましになったじゃない♪」
「余所見をしている暇はあるのですか!?」
僕が弾幕を相殺させている間に夢子さんは神綺さんにダガーで斬りかかる。
「んもう!うるさいわね!」
そう言い神綺さんは夢子さんにレーザーを至近距離で放った。ってやばいよ!
「くっ!!」
そのレーザーを夢子さんは上半身を反らして避けた。至近距離であのレーザー避けるあたり、本当に人間なのかなあの人?
「夢子さん!!戦符 リトルレギオン!!」
ん?どうやらユリスの治療が終わったみたいですね。
「しつこいわね!」
神綺さんはアリスさんのスペルの弾幕を次々と相殺させていく。その隙を狙って。
「もらいました!」
夢子さんがダガーを神綺さんに投げる。流石にこれは当たったかな。
「甘いわよ!!」
神綺さんは後ろに付いている羽でダガーを弾いた。
「嘘!?」
「残念だったわね。」
そう言い神綺さんは夢子さんに雷の弾幕を放った。
「きゃああ!!」
夢子さんは弾幕に直撃して地面に叩き付けられた。
「大丈夫ですか!?」
神綺さんの弾幕はかなりの威力があるはずだ。これは復活出来ないかもしれない。
「だ、大丈夫よ。」
良かった、まだ意識はあるみたいです。けど、立つのが辛そうでした。
「いくら集まっても勝てないわよ♪」
「夢子さん、どうすれば!!」
「私もこれは打つ手がないわ。普通の神綺様の状態ならなんとかなるのだけれど。」
万事休すか、仕方ないや。
「このスペルを使わないと駄目かなぁ。」
「何ですかパパ?」
「やっぱり使うべきだね。これしか打開策はないし。」
「快、何をする気なの?」
「それはお楽しみ。」
そう言い僕はグローブをはめ直す。
「けど、それでも勝てるの?」
「わかりません。けど、やるしかありません。」
「快、貴方は何をする気なの?」
「今からそれを見せますよ。夢子さん、援護をお願いします。」
「わかったわ。アリスとどうするのかしら?」
「アリスさんは、見ていてください。僕の本当の本気を見せますから。」
そう言い僕はスペルカードを取り出す。これは本当に追い詰められた時にしか使わないと決めていたスペルだ。
「始動 ワンミニッツブースト!!」
このスペルは英語の意味を直すと、1分間の加速という意味になります。つまり、1分間だげ、あり得ないスピードで戦うスペル。
「どりゃあ!!」
僕は全力で神綺さんに殴り掛かる。
「はっ、速い!!」
けれども神綺さんはギリギリ反応して僕の拳を避けた。
「隙あり!」
その隙を狙って夢子さんが剣を持って神綺さんに斬りかかる。
「面倒ね!」
そう言い神綺さんは全方位の弾幕を出してきた。でも今の僕にとっては無意味だけどね。
「遅いね!!」
それを避けて神綺さんの懐に入って弾幕を放つ。けれども神綺さんは。
「甘いわよ!!」
僕の弾幕を後ろに受け流した。でも好都合!
「甘いのはそちらですわ!」
夢子さんが僕の放った弾幕を剣で弾き返した。何で出来てるんですかねその剣?
「うぐっ!!」
流石に神綺さんも反応出来ずに被弾した。
「まだまだ!!」
僕は残り少ないスペルの時間の中で神綺さんに大量の弾幕を放ったり、拳をぶつけたりする。
「いっ、いきなり強くなったわね!」
「これが僕の必殺スペルです!」
滅多に使わないんだけどね。さて、そろそろ切れそうかな?もうちょっと延ばせたらいいんだけど。
「(残り3……2……1……。) 今だ!気符 ギガシュート!!」
最後に黄色い細いレーザーを大量に作って神綺さんに向けて投げまくる。
「オラオラオラオラオラ!!!!」
ドォォォォン!!!
「はぁ、はぁ。」
ど、どうやらスペルの効果が切れたみたいですね。一気に疲労が溜まってくる。
「だ、大丈夫!?」
「パパ!!」
「だ、大丈夫だよ。」
このスペルを使った後はしばらくは息が乱れるからね。
「これで神綺様も……。」
「だよね、あれだけやれば。」
流石にやられたよね?復活なんてしてこないよね?
「中々に効いたわね~♪」
「「「「!!!」」」」
嘘……でしょ!?あれだけ弾幕を放ったのに!!
「魔法で防御しなかったらやばかったわ~!」
神綺さんを見れば青い結界みたいなものが張られてあった。
「あれだけやっても……。」
「私の想像以上ですわ!!」
結界のお陰で神綺さんは無傷に近かった。どんだけ強いんだよ!
「これで君の切り札はおしまいかな~♪」
「どっ、どうしましょう!!」
アリスさんとユリスが慌ててますね。
「………………。」
「快、どうするの!?」
なくもないけど、やっぱりこれしかないね。僕の第2の必殺スペル。
「ははっ、これしか思い付かないや。」
「快、どういう?」
「もう少し時間があれば違う方法があったかもしれないなぁ。」
「パパ、何を?」
「ユリス、これからを頼むよ。」
そう言い僕はユリスの頭を撫でる。何か不思議な感覚だね。
「快、何するつもりなの!?」
「アリスさん、ごめんなさい。僕を許してください。」
そう言い僕はアリスさんの肩とユリスの肩に手のせて。
「じゃあ、またいつか会いましょう!!気符 テレポート!!」
「ちょ!!快、まさか!!」
そう、そのまさかだよアリスさん。
「行かないで!!」
「いえ、お別れです。頑張って黒幕を倒してくださいね!」
アリスさんが抱き付いてくるので、それを手で止めて
「頼みましたよ。霊夢さんの所に送ってあげますから。」
僕はアリスさんとユリスを瞬間移動で霊夢さん達の所に送った。僕は残りますけどね。
「あら、二人がいなくなっちゃったわね~。」
「快、どういうつもりなのかしら?」
「夢子さん、“お久し振り“ですね。」
「ええ、貴方!!記憶が戻って!?」
「ほんの少しだけですけどね。じゃあ、夢子さん、またいつか。死符 ビッグバン!!」
僕は全ての力を体の中心に溜める。そう、“全ての力“を。
「何するつもりなのかしら~?」
「快!!止めなさい!!」
「止めるつもりはありません。夢子さん、ごめんなさい。」
僕は夢子さんに頭を下げて神綺さんの所に近付く。
「さっきの奴は何かしら~?」
「じきにわかりますよ。でも、わかった時はもう遅いですけどね。」
「どういう……!?」
気が付いたみたいですね。神綺さんは初めて困惑の顔をしましたね。
「神綺さんを倒すには、僕の全ての力をぶつけるしかありません。」
「全ての……力?」
「そう、この辺りを吹き飛ばす程の力をね!!」
神綺さんは慌てて逃げようとするが。
「させませんよ。」
夢子さんが両腕を掴み、行かせないようにしていた。
「ありがとうございます。じゃ、さよなら。」
僕は今まで溜めた力を全て解き放った。このスペルは僕の命を犠牲にして自分の周囲の物を散りにするスペル。念のため、作っておいたけど、まさかここで使うとはね。
「はあぁぁぁぁ!!!」
「や、やめて!!」
「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ボギュュュューーーーーーン!!!
ああ、だんだんと眠たくなってきた。それに何かが見えるよ。
「ねぇ、君の名前は何て言うの?」
「私?私はね……。」
この記憶……、ああ、あのときか。
「あ、ありす……。」
「ありすって言うんだね!僕は佐藤快!よろしくね!」
「う、うん……、よろしく。」
「あら?アリスちゃんおかえり!!ん?アリスちゃんの隣にいる子はだあれ?」
「ささ佐藤かか快ですすー!」
「ママ、お、お友達が出来たの……。」
「アリスちゃんも遂にお友達が……。お母さん嬉しくて涙出ちゃうわ~。」
「いえ、まだそういう関係じゃ……。」
「いいのよ!貴方はアリスちゃんのお友達!はい、決定!!」
「無茶苦茶だよ~。」
「ありすちゃんは将来何になりたいの?」
「う~んとね、ママみたいな魔法使い!!快は?」
「う~ん、僕は、誰かを守れるような立派な人になりたいかな。」
「快ならなれるよ!!」
「うん!!ありがとうありすちゃん!」
「えへへ、どういたしまして!!」
「神綺様、あの子は?」
「アリスちゃんのお友達よ~。何日かごとに来てくれるし、あの子と遊んでいるアリスちゃんの嬉しそうな顔、もう嬉しくて仕方がないわ♪」
「だからといって毎回彼がここに来るたびに部屋を覗かれるのはどうかと……。」
「そんな固いこと言わないの夢子ちゃん!」
「いえ、常識的に考えて……。」
「ねえねえ!!お人形さんが出来たよ!!」
「本当?」
「本当よ!!えいっ!!」
「ほほ、本当だ!!お人形が出来てるし、しかも浮いてる!!」
「えへへ、快のお陰だよ!」
「ちちち違いますよ!!ああありすちゃんの実力だよ!」
「どっちでもいいじゃない!!快、ありがとう!」
「だだ、だからといいって、だだ抱き付いてこここないでくださいよ!」
「お友達っというよりむしろカップルみたいね!よし、今の内に準備ね♪」
「神綺様、何の準備ですか?」
「な、なんでもないのよ夢子ちゃん!」
「ですが、神綺様の気持ちもわからなくもないです。あの子達を見てると、私も嬉しくなりますから。」
「でしょ~!!」
「……どういうことなの?」
「ごめんなさい。僕は、もうここには来れません。」
「何で!?どうして!?説明してよ!!」
「アリスちゃん、快君には快君の事情があるのよ。」
「嫌よ!!やっとお友達になれたのに!!どうしてなのよ!?」
「………………。」
「うわぁぁぁぁん!!!」
「ごめんなさい……。でも、約束してほしい事があります。」
「ぐすっ、何よ?」
「もし、何年後かわからないけど、また会うことができたら、またお友達になってくれますか?」
「……うん、またお友達になってあげる。それと私からも約束してほしいの。」
「な、何ですか?」
「絶対に……絶対に、絶対に迎えに来てね!!」
「うん!!」
……そういえばこんなことがあったなぁ。何で今になって思い出すんだろう。まあ、アリスさんは覚えているのかな?
……後は頼みましたよ、皆さん。
磔side
俺は今未来の紫と対峙している。だが、いきなり紫は。
「ん?どうやら霊夢が来そうね。」
霊夢達が!?どうやって!?いくら何でも速すぎじゃねえの!?
「ここで退くのは癪に障るけど、仕方ないわね。」
逃げる気か、そうはさせるかよ!
「待ちやがれ!!まだ終わってねえぞ!!」
「じゃあね~。」
弾幕を紫に放ったが、1歩遅く、スキマを使って逃げられた。
「はぁ、ぜぇ、ぜぇ。」
くそっ、アクセルモード2になってからまだ数十秒しか経ってねえのに、疲労が半端ねえな。
「そりゃそうだ。まだコントロール出来てねえもん。」
「誰だ!?」
「大きい声出すなよ。この子が泣いちまうだろうが。」
横から声が聞こえてきた。全く誰なん……。
「よう、若い頃の俺。」
そこには未来の俺らしき人物と、小さな子供がいた。
「お前、二股したのか?」
「違うわ!!んなことしねえよ!!」
いや、そう思わざる得ないから!だって未来の聖人の隣にいる子は天子にそっくりなんだからな!
「じゃあその子は誰なんだよ!?」
「ほら、挨拶しな。」
「ひ、 比那名居 地子……。」
えっ?天子じゃねえの?ドユコト?
「元々は天子だぞ。でも、あのスキマ野郎に歯向かったから境界を弄られて昔に戻されたらしい。」
未来の紫強すぎだろ……。
「でも何で地子って言うんだ?」
「元々は天子は地上にいたんだよ。その時の名前が地子って言うらしい。」
なるほど、だから天子は自分の事を天人崩れって言うのか。途中で天人になったから。
「んで、何でこの子を連れて来たんだ?」
「ん?お前の能力を強化するためだよ。お前、地属性の魔法やスペルがないだろ?」
いっ、言われてみれば無いな。
「この子の能力は大地を操る程度の能力で、この子の力をお前に与えるためにつれてきた。」
「いいのか?それ?」
「私、もうすぐ消える……。」
はい?消える?デリート?
「この子はもう亡くなってるんだよ。ほら、早く。」
「早くって言われても何すんだよ?」
「この子の頭に手を乗っければいい。」
まあ、やってみるか。俺は地子の頭に手を乗せて撫でてあげる。すると、地子は消えていった。
「これで、お前も地を使えるようになった。」
それは嬉しいんだが、1つ気になる事があるな。
「お前は消えないのか?」
そう聞くと未来の聖人は頭をかきながら。
「俺は死んでないの。ギリギリ生き延びた。」
「じゃあ、紫を倒すために力を貸してくれるか?」
いくらパワーアップしても一人じゃ勝てる気がしない。
「おう!貸してやるよ。ほんじゃ、行きますか。」
「ちょい待て、少し休憩させてくれ。」
「何だよ?善は急げって言うだろ?」
「ここに来るまでに2回くらいリンチに合っきたからた体力が本当にやばい。」
また寝ちまったらいつ起きれるかわからんし。
「しゃあねえな。」




