紅魔館内部
「やっと着いたぜ……。」
葉達は紅魔館の前に来た。
「思ったより時間がかかったわね。」
「えっと、このお屋敷みたいなのが紅魔館なんですか?」
葉は目の前にあるお屋敷を指差す。
「そ、吸血鬼の主人がいる屋敷よ。」
吸血鬼と聞いた瞬間、葉は体を強張らせる。
「吸血鬼ってあれですよね!?口がくぱぁって裂けてお前の血を吸わせろォ!とかいう……。」
「ああ、そうだぜ。」
「嫌ですよ!!私そんな主人がいるところに入りたくないですよーーー!!」
葉は来た道を全力疾走で戻ろうとするが、魔理沙が葉の服の襟元を掴み。
「冗談だ、知識としてはそんなにずれてはないが、そんなに怖いものでもない。」
「まあ、子供だしね。」
「あ、なるほど。ドーベルマンも子犬の時はかわいいですからね!」
「でも甘く見てのされないように。プライドはいっちょ前だからな。」
魔理沙はニカッって笑いながら言う。
「やっぱり、帰ってもいいですか?」
「ま、そんなことはおいといて。」
「おかないでくださいよ!!」
葉のツッコミを霊夢は無視し、紅魔館を見る。
「…………、いないわね。」
「いつかクビになるんじゃないかなーって思ってたんだよな。」
「どういう意味ですか?」
葉は魔理沙達に聞く。
「普段通りなら、ここに門番がいるはずなんだよ」
「それって!!黒服で逆三角形の理想的なマッチョな人とかですか!?」
葉は想像したのか、体を震わしながら言った。
「幻想郷にいてほしくないわね。そういう人。」
「名前なんだっけ?ホ……、チェ、ホン……。」
「全然違う!」
霊夢は溜め息をつきながら。
「紅 美鈴でしょ。」
霊夢がその名前を言った時、葉は何かを思い出したらしく。
「助けてくれたメイドさんが言ってた名前です!!それ!」
「いやぁ、わかってたって……でも、ほら、流れとかあるだろ?」
「何わけのわからないこと言ってんの。それよりずっと気になってんだけど。」
霊夢は門の前にあった看板を読む。
「門番のかわりにポツンとおいてある看板……。」
「実に怪しいわね、えっと……。」
看板にはこう書かれていた。
紅魔館は閉店いたしました。長らくのご愛顧、ありがとうございました 店主 レミリア
「店じゃないだろ!!」
霊夢は看板に蹴りをいれながらツッコむ。
「ん?裏にもう1枚張ってあるな。1枚目か?」
魔理沙が見つけた紙にはこう書かれてあった。
お帰りくださいませ。お客様。
「だから店じゃなぁぁぁい!!!」
霊夢そう叫ぶ。魔理沙はそう書かれてあった紙をビリビリ破きながら。
「そんな大声で言わなくても、誰だってわかってるって。」
魔理沙はそう言うが、一人わかってない人がいた。
「へぇ、紅魔館ってお店なんだぁ。そういえばどことなくおしゃれなお店っぽい名前かも……。」
「いたよ、信じちゃったやつが……。」
「あ……、魔理沙さんが本を盗んだって事は書店?しかも魔理沙さんは万引き犯!?」
「なぜかしらね。飛躍してるのに、行き着く結論に異論がないわ。」
霊夢は頭を抱えながら言った。
「借りると盗むは全然違うぜ。」
「そうでしょうね。あんたの場合は後者だからね」
魔理沙は苦笑いしながら、話題をそらすために。
「んで、この看板、どう思うよ?」
「確かにちょっとおかしいわね。あのレミリアがこんな看板を許すとは思えないけど。」
「へ?じゃあ前は看板無しでお店をやってたんですか?」
「あぁ……とうとう葉の思考が私達とズレ始めた」
「とりあえずここは店じゃない。たくさんの本とナイフが蠢く人の家だ。」
「えぇ……?ちょっと残念です。」
葉は残念そうに言った。
「話を戻すわよ。で、どうするの魔理沙?いつものように入るの?」
「返す時も乱暴に入らないといけないのか……、なんか複雑だぜ。」
「こんだけ騒いでも、咲夜すら出てこないのが不思議だわ。」
「門番はともかく、あいつの仕事量半端ないからなー。」
「ん~、何か嫌な予感がするのよねぇ。」
「お前の勘はよく当たるからやめてほしいぜ。」
「私だってこんな勘、働いてほしくないわよ。」
「ま、気にしてても始まらないし、いつもの方法で行くか。」
霊夢と魔理沙がそう話し合ってる時、葉はずっと紅魔館の方を向いていた。
「葉?どうかしたの?」
「……すごく、嫌な感じがします。皆さんがすごく気持ち悪そうにしています。」
「皆さんって、植物の事?」
霊夢は葉にそう聞くが、葉は首を横に振り。
「いえ、植物だけではないです。中にいる人も気持ち悪そうにしています。」
「いよいよヤバイんじゃないか?」
「えぇ、ただの杞憂では終わってくれないみたい」
「よっしゃ、私に任せておけ!」
魔理沙はそう言い、門の前に立ち、ミニ八卦炉を構えてレーザーをぶっ放つ。門の扉は綺麗に吹き飛んだ
「さ、中に入ってさっさと帰るわよ。」
「了解だぜ!」
「(門を壊した事については何も言わないのかなぁ?)」
「葉、行くぜ。」
「あ、はい!」
葉達は魔理沙が門を壊したところから紅魔館に入る
紅魔館内部
中に入ってエントランスホールに入ると、レミリアが立っていた。
「なんだ、普通にいるなら返事くらいしてくれよレミリア。」
「いらっしゃい霊夢、魔理沙。」
レミリアは振り返り、笑顔でそう言った。
「それと、誰だったかしら?」
「あ、瀬笈 葉って言います!(可愛い子だ!主人なんて言うからもっと怖いと思ってたけど……)」
「ようこそ紅魔館に。私はレミリア。レミリア・スカーレットよ。……それでね、いきなりだけど。」
レミリアはそう言い手を広げた。魔理沙はレミリアから嫌な雰囲気を察知し。
「下がれ葉!!」
そう言い葉を後ろに吹き飛ばす。ついさっきまで葉がいたところに槍が刺さっていた。
「ほんと、いきなりのご挨拶ね。」
「笑顔が引きつってるぜ。そんな笑顔を見せられちゃあ逆に怪しいもんだぜ。」
「あら、うまくできたと思ったのだけれど。演技の才能がないのかしら?」
「で、どういうつもりだ?こっちは別に事構えるために来たんじゃないんだがなー。」
「そう、なら、今から言う言葉をよく聞いて。」
そう言いレミリアは殺気を出しながら。
「今すぐこの紅魔館から出ていきなさい!!」
だが、その殺気に怯まず霊夢は。
「用件も聞かずに追い出すなんて、主人としての才能がないんじゃないの?」
「もう1度だけ言うわ。今、あなた達に構ってる時間はない!今すぐ出ていけ!!」
レミリアはさっきよりも強い殺気を出す。
「~~っ!!」
「……どういう事情なのかしらないけど、本気のようね。ならこっちも事情だけ伝えるわ。パチュリーに会いのだけれど。」
「……会わせられないわ。」
「そりゃまたどうして?」
魔理沙はそう聞くが。
「それは……。」
レミリアはそう言い口を濁らす。葉はレミリアの様子をまじまじと観察していた。
「~~っ!!私は、さっき命令したわ!!この館から出ていきなさい!!」
「ちぇー、出直すか?」
「なんか気分悪いけど……、まあ、仕方ないわね」
霊夢と魔理沙はそう言い帰ろうとするが、葉は二人を引き留める。
「……あの、霊夢さん。」
「本とかパチュリーとかはまた今度ね。」
「いえ、そうじゃなくて……、レミリアさん、苦しそうじゃないですか?」
「は?」
霊夢はそう言ったが、レミリアは驚いた表情をした
「何言ってんだ?ほとんど不死身みたいな奴だぜ」
「聞こえなかったの?この……館……から……っ!!」
レミリアはそう言ったが、何かを押さえ込んでいる風に見えた。
「レミリア?」
「~~~っ!!さ、咲夜にこれ以上負担は!」
「……どうした?」
レミリアは急に苦しんでいる表情から怒り狂っている表情に変わり攻撃してくる。
「っ!!なんだ急に!?」
「レミリア!?」
霊夢はそう叫ぶが、レミリアには届いてないようだった。
「……来ます!!」
「おいレミリア!?」
「…………。」
「まるで反応がないわね。全く来てよかったわ。レミリアが暴れたら収拾がつかないもの。」
「しかし、どうにか出来るのかこれ?」
魔理沙は霊夢に聞くが、霊夢は黙ったままだった
「ちい!なら最初から全力で行くぜ!!恋符 ノンディレクショナルレーザー!!」
魔理沙はレミリアにレーザーを放つが、レミリアは軽々と避ける。
「いつものレミリアじゃないぞ!!」
「魔理沙余所見しない!!」
「えっ?うわああああ!!!」
魔理沙が余所見している隙にレミリアは無数の弾幕を魔理沙に向けて放った。スピードも数もけた違いだったので、魔理沙は避けれず、被弾した。
「よくも魔理沙を!!夢符 封魔陣!!」
霊夢はレミリアの上から攻撃するが、これも軽々と避け、霊夢に踵落としをする。
「うっ!!」
霊夢は辛うじて防いだものの、衝撃を吸収しきれず地面に激突した。
「っぁ!!」
「こ、こいつ……!!」
「霊夢さん!!魔理沙さん!!」
葉はそう叫んだ。だが、その隙を狙い、レミリアは葉に弾幕を放つ。
「わっ!!わわっ!!」
葉は危なっかしくそれを避けるが、避けている時にレミリアは葉に近づき回し蹴りを放つ。
「あっ、ぐっ!!」
葉は後ろに吹き飛ばされる。レミリアは霊夢達を無視して葉のところに近づく。
「まさか、葉をねらってる!?」
「起きろ葉!!」
魔理沙の叫び声は葉に届かなかった。レミリアは葉に近付き、葉の首筋を噛んだ。
「…………、!!」
「レミリアの様子が変わった!?」
「錯乱して妖怪の血なんか吸うから。」
だが、レミリアは葉の首筋を噛み、血を吸った瞬間表情がいつものレミリアに戻った。
「あら……?私、は……。」
「……レミリア?」
「私、血を……?」
「いてて、全くどうなってるのよ……。急に暴れたりして。」
「おかげでこっちはボロボロだぜ……。」
霊夢と魔理沙は痛む体を引きずりながらレミリアに近付いた。
「暴れた?なのにどうして私だけ無事なの?」
「はぁ?錯乱して妖怪の血を吸ったからじゃないのか?」
「妖怪……この甘いのが血?」
レミリアは葉を見つめながら言う。
「甘い?」
魔理沙は葉に近付き、首筋から出ている血を指ですくいとって。
「どれ、傷口からちょっと拝借。」
「とうとう血まで盗むかあんたは!?」
「盗むんじゃない、拝借するだけだぜ!」
そう言い魔理沙は血を舐めた。舐めた瞬間、魔理沙の体に付いていた傷がみるみる治っていった。
「甘い!甘いだけじゃなく美味い!どれ、もう一口もらうかな。」
「やめなさい!」
「それに傷が治っていくぜ!!」
「この子は一体……?」
「とにかく、まず起こすわよ。」
そう言い霊夢は指をポキポキならしながら。
「それ、気つけ。」
ドガッ!!
「はぅぁ!!」
葉は霊夢に叩き起こされた。
「今の絶対適当だろ。」
「起きればいいのよ。」
葉は起こされてから、ずっとレミリアを見つめていたが。猛スピードで霊夢の後ろに隠れる。
「食われるっ!食われるっ!!」
「もう食われたけどね。」
「ひえーー!!そんなっ!!」
葉は涙目になりながら言った。
「私もちょっと食った。」
「魔理沙さんまで!?……あれ?」
葉はおそるおそるレミリアの方を見ながら。
「襲って……こない?」
「悪かったわね、えっと……、瀬笈 葉でいいのかしら?」
「あ、はい。」
葉は霊夢の後ろに隠れるのを止め、レミリアの正面に立った。
「霊夢、この子は?」
「見ての通り普通の妖怪だけど?」
「種族はなんなの?」
「植物の声が聞こえるんだとさ。だから植物の妖怪じゃないのか。」
「植物……、何かの薬草なのかしら。」
レミリアは頭を悩ませていた。
「かもな。血を吸ったら随分と楽になったしな」
「……血、吸ったんですか?」
葉はジト目で魔理沙を見る。
「ちょ、ちょっとだけな。ほら、レミリアも吸ったんだし。」
「!!そう言えばレミリアさん、体調の方はもう大丈夫なんですか?」
「えぇ、おかげさまで。ところでちょっと頼みたい事があるのだけれど?」
「へぇ、あのレミリアが頼みねぇ。」
霊夢は含み笑いをしながらレミリアを見る。
「私は葉に頼んでいるのだけれど?」
「はいはい。」
「はぁ……、用件を言うわ。葉、あなたの血をもう少し……いや、人数が人数だからかなり分けてほしいのだけれど?」
「えっと、どうしてですか?」
「実は、パチェや美鈴、フランも私と同じように狂ってしまってね。」
「おいおいマジかよ。」
「咲夜が一人で頑張っていたのだけれど、どうにも対処ができなくて困っていたところなの。かくいう私もちょっと調子が悪くてね。まさか私が暴れるとは思わなかったけど。」
「じゃあもしかして、あのとき自分が暴れそうだったから、私達を追い出そうとしたわけ?」
霊夢はレミリアにそう聞く。
「そうよ。無様な様を見られたくなかったもの。」
「あんたねぇ、少しは自分の力を自覚しなさいよ。あんたが暴れたらただじゃすまないんだから!そういう時は誰かに頼りなさいっての。異変が起きたらまた私に迷惑がかかるでしょうが。」
霊夢は呆れながらレミリアにそう言う。
「(私に、なんだ……。)」
「そうね、考えておくわ。それで、葉、どうかしら?」
「い、いいですけど、どのくらいとっちゃうんですか?」
葉は苦笑いをしながらレミリアに聞く。
「そうねぇ、多分、死なないと思う程度。」
「…………(ぽかーん。)」
葉はレミリアの言った事に絶句した。
「まあ、美鈴やパチュリーがやられたってことは、当然下っ端のやつらも全滅してるんだろ?」
「えぇ、残念なことにね。」
「えっと、それじゃあ、用意してほしいものがあるんですけど……。」
葉は申し訳なさそうにレミリアに言う。
「なにかしら?」
「栄養満点の土をください!!後、水分もたっぷりお願いします。」
「……そんなんでいいの?」
「食べ物より、そういった物から栄養をとる方が早いので。」
「わかったわ。咲夜!」
レミリアがそう言うと咲夜がレミリアの横に来る
「何でございましょうか?」
「あ、親切なメイドさん。」
「(親切……だと!?)」
霊夢は心の中でそう思った。
「パチェ達を治してあげられるかもしれないわ。至急栄養と水分をたっぷりと含んだ土を持ってきてくれるかしら?」
「3分くださいますか?」
「えぇ。」
「ありがとうございます。」
「あと、ここの館に鼠が入り込んでるみたいだからついでに退治しといてくれる?」
「かしこまりました。」
そう言い咲夜は消えるようにして去った。
「早速だけど、採血の準備に入るわよ。」
「は、はい!!」
「鼠が入り込んでるみたいだけど、咲夜だけで大丈夫かしら?」
「咲夜が行けば大体は追い出せるわよ。それに霊夢達はまだボロボロじゃない。」
「それもそうだな。手伝うぜ。」
「……死なないでね(ボソッ)」
霊夢は小さな声で言った。
「ボソッと不吉な事を言わないで下さい!!」
「さあ、移動するわよ。」
そう言い霊夢達は葉から採血するための準備に取りかかった。
磔side
「はぁ、ヒヤヒヤさせやがる。」
俺は葉達が紅魔館に入る前に先回りして、葉達の様子を見ていた。レミリアが暴れた時は加勢しようと思ったけど、なんとかなってよかった。
「これから採血するのか。じゃあもう用済みだからさっさと去るか。」
そう言い玄関に行こうとした時、俺の目の前にナイフが飛んできた。
「あちゃー、見つかったか。」
「お嬢様の目を欺こうなんて百年早いですわ。」
声のした方向を向けば、咲夜がナイフを構えながら立っていた。
「貴方がお嬢様達を狂わした犯人かしら?」
「さあ~?どうだかね。」
否定をするのは簡単だが、こっちの方が面白そうだしな、それに咲夜の実力も見たいし。あれから強くはなったのかな?
「答えなさい。さもないと、貴方の命が無くなるわよ。」
咲夜が目の色変えて聞いてくる。
「まあ、怖いことで。そんなに怖い顔したらせっかくの美人が台無しだぞ。」
「答える気はないようね。」
「まあ、ここは穏便に……。」
俺がそこまで言った時、目の前に大量のナイフがあった。あらら……。
「いきなりかよ!!」
俺は横っ飛びに飛んでナイフを避ける。
「命乞いするなら今のうちよ。正直に話してくれれば命は助けてあげる。」
「そう言われると、抵抗したくなるんだよな!」
俺は小型の弾幕をマシンガンのように放つ。咲夜はそれを軽々と避ける。
「流石に当たらないか。なら!」
俺は廊下を走り、咲夜から距離を取る。咲夜は追いかけてくる、うん、計算通り。
「これでも喰らいな!!」
俺は後ろに爆発する弾幕を設置する。咲夜がその弾幕を通り過ぎようとした時に起爆させる。
「小癪な真似ね!!」
咲夜はバックステップして避けたらしい。
「こんな弾幕喰らうと思ったのか「残念だけどそれだけじゃないぞ。」!!」
俺は弾幕を起爆させた時、咲夜の後ろにレーザーが放たれる弾幕を設置しておいた。そして発射したが咲夜はジャンプして避ける。
「危ないわね!!」
「まだ終わってないぞ?乱符 スピンシュート!」
「!!!」
俺は咲夜がジャンプして動けない隙に、体を回転させ極太レーザーを放つ。でもただのレーザーじゃなくてレーザーに螺旋状の回転も加えてある。体を回転させて出来た螺旋状の力をレーザーに加えて咲夜に発射した。
「ふぅ、こんなもんか。」
俺はそう安堵していると、首筋に冷たいものが当たった。
「動くと切るわよ。」
「えっ……、イヤッフゥゥゥ!!!」
俺はテンションをハイにしてバク宙して、逃げようとしたが、途中で咲夜に叩き落とされる。
「ぐへぇ!!」
「死にたいのかしら?」
「滅相もございません。」
俺は両手を挙げて言う。
「さて、貴方はここに何しにきたのかしら?」
「そんなことより、よくさっきのスペル回避できたな。」
「簡単よ。時を止めて回避したもの。あんな隙の大きいスペルを私に使ったのが間違いだったわね。」
「それもそうだな。で、あんたの仲間の様子は見なくていいのか?」
「えっ……。」
そう言い咲夜は俺から目を離したので、その隙をついて逃げる。
「今治療中だから……、あっ……。」
「かかったなアホが!!他人の言うことを素直に信じるなって、お母さんに習わなかったのか!?」
「許さん!!奇術 エターナルミーク!」
咲夜から無数の弾幕が放たれる。って多い多い!
「あ、ちょ、と、これ、多い、だろ!!」
俺はジグザクに動きながら避ける。
「逃がさないわよ!!幻符 インディスクリミネイト!!」
いつの間にか前にいた咲夜が全方位のナイフ弾幕を放ってきた。流石に避けきれないので、木刀を抜いて当たる弾幕だけ弾く。
「さらに、速符 ルミネスリコシェ!!」
咲夜が1本のナイフを放った。
「それくらいのナイフなら。」
俺は向かってくるナイフを避けたが、壁を反射してまたこっちに向かってくる。
「そういう弾幕かよ!!」
俺は当たっては反射してくるナイフを必死に避けていると。
「終わりよ!!幻符 殺人ドール!!」
止めと言わんばかりに大量のナイフを投げてくる
「しゃあねえな。想符 オーレリーズサン!!」
俺はレーザーが発射される4つの弾幕を使ってナイフを全て撃ち落とす。
「それは魔理沙のスペル!!貴方一体何者なの!?」
「さてね?教えてやんねーよ!!」
俺は咲夜に向かってレーザーを発射する。咲夜は宙を飛びながら回避する。
「これならどうだ!!」
俺は腰に差してあった木刀を咲夜に向かって投げる。咲夜は驚いた顔をしたが、ぎりぎりのところで避ける。
「これも避けられるか。なら花符 フローラブレード!!」
俺は花を参考にした剣型の弾幕を咲夜に向けて放つ
「そんな見え見えの攻撃あたらないわよ!」
「当てる気はさらさらねえよ。」
咲夜は弾幕を避けてこっちに向かってくるが、咲夜の後ろで剣型の弾幕が破裂した。破裂した弾幕はナイフ型になって咲夜に襲いかかる。
「くっ!!」
咲夜はナイフで相殺させながらなんとか回避したようだった。これで決めようと思ったんだけどな。
「避けきったわよ!!」
咲夜はそう言いこっちを向く。だが咲夜がこっちを向いた瞬間、投げていた木刀を操って咲夜の後頭部に当てる。
「痛いわね!!」
咲夜はその衝撃で落ちたが頭を押さえながら無事に着地した。
「終わりだ!!」
咲夜が後頭部を押さえて俯いてる時を狙い、俺は木刀をキャッチして咲夜に斬りつける。
だが、咲夜は嫌な笑みを浮かべていた。
「終わるのは貴方の方よ。幻符 ザ・ワールド!」
俺の振り払った木刀が咲夜に当たったと思ったが、そこに咲夜はいなかった。
「なん……!!!」
その代わりに四方八方にナイフが設置されていた。
「まさに絶体絶命とはこういう時の事を言うのか」
一人で感心していると。
「まだ続けるのかしら?」
咲夜が腕を組みながら聞いてくる。そんなもん、答えは決まっている。
「降参……するわけねえだろ!!散符 花鳥風月!」
俺は自分の周りに花畑を参考にした弾幕を全方位に放つ。美しい景色が散るってことから散符にしてある。
「しつこいわね!!」
そう言い咲夜は動こうとするがその前に。
「光符 セイントキャプチャー!!」
日光で出来た網型の弾幕の結界を咲夜の周りに配置する。咲夜はそれをナイフで切ろうとするが。
「どうして切れないのよ!?」
「頑丈だからな。さて、1つ聞きたい事がある」
「何よ?」
「葉、瀬笈 葉とは仲良くやれそうか?」
「葉ってあの妖怪を知ってるの!?」
咲夜はそう聞いてくる、答えてもいいけど、まだその時期じゃないしな。
「質問を質問で返すのは感心しないな。」
「頭の弱そうな子に見えたけど、私は嫌いではないわね」
「そうか。」
俺はスペカを解いて咲夜に治癒魔法を掛ける。
「どういうつもりなのかしら?」
「ま、今は答えられないな。でも葉と仲良くしてやってくれよ。じゃあ邪魔者は退散退散!!」
そう言い俺は窓から飛び出そうとする。
「今度会った時に教えてやるかおぶえっ!!!」
「………………。」
窓に結界が張ってあったらしく、吹き飛ばそうと思って、窓ガラスに思いっきりタックルしたが、逆に吹き飛ばされたようだ。
「だ、大丈夫?」
「……すんません、窓を開けて貰えますか?」
「え、ええっ。」
そう言い咲夜は窓を開けた。俺はストレッチしながら立ち上がり。
「葉に関わりがある人間とだけ伝えておくよ。」
「貴方、名前は?」
「それは教えられないな。十六夜 咲夜。」
そう言い俺は窓から飛び降りた。
「ど、どうして私の名前を!?ま、待ちなさい!」
咲夜がそう叫ぶが、俺は無視して紅魔館からでる。
「あーあ、顔見られちったな。おーい、聞こえてるか文花?」
「聴こえてるわよ。何か連絡でも?」
「俺って葉がヤバくなったら加勢してもいいのか?」
「顔を見られないようにね。」
「現に一人見られたけどな。」
「なにやってんのーーー!!?」
俺がそう言った瞬間、文花から叫び声が聞こえた。
「鼓膜破れるから!!」
「全く……、それで、名前も言ったのかしら?」
「葉に関わりがある人間とだけ言っておいた。」
「バカじゃないの!!?それを葉が聞いたらバレちゃうじゃないの!!!」
あ、葉の性格の事を忘れてた。
「まあ、なんとかなるよ(震え声)」
「もう、しっかりしなさいよ。」
「為せば為るから大丈夫だ。」
「大丈夫に聞こえないんだけど?これからは気を付けなさいよ。」
「へいへい。」
そう言い俺は通信を切った。
「まあ、わざとなんですけどね。さて、多分葉達は人里に向かうだろうし、先回りしておくか。」
そう言い俺は人里に向かった。




