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東方外遠記  作者: 颯人
第11章 自然癒編 前編~Nature healing~
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巫女と魔法使いとの出会い

「なー霊夢?」


「何よ魔理沙?」


「退屈なんだが。」


「退屈なのはいいことじゃない。平和っていう証拠なのよ。」


「とか言ってもここんとこ最近妖怪退治なんてやってないんだぜ。」


「そりゃそうね、で?」


「だとしたら、お前も結構溜まってるんじゃないのかぜ?」


「お賽銭と同じく何も溜まってないわよ。埃とかなら溜まってるけど。」


「んな事どうでもいいんだぜ。」


「魔理沙、あんた暇なんでしょ?だったら掃除でもして善行でも積みなさい。」


「そんなの良太に頼めばいいんじゃないか?」


「さっきどっかに出掛けたのよ。」


「健二も同じく出掛けたからなぁ。」


「ほら、魔理沙も暇じゃない。だったら掃除して。」


「参拝客に掃除させるなんて酷い巫女だぜ。」


「参拝客ならお賽銭を入れていくものよ。」


「おっ!!誰か来たみたいだぜ!」


「聞きなさいっての!」


「あ、あの?」


ここから運命の歯車は動き出す。













三人称視点


「あ、あの?」


葉は神社の中に入る霊夢に話しかけている。けど霊夢は葉を見た瞬間。


「(人間?じゃないわね、そうなると妖怪かしら?でも何か違うような。)」


霊夢は頭の中で何かを考えていたが、それを気にせずに葉は。


「博麗神社ってここであってますよね?」


「えっ?ああ、あってるわよ。」


「やったー!やっと着いた!!」


葉は嬉しさの余りぴょんぴょん跳び跳ねる。そして気持ちが落ち着いた後。


「参拝しても……いいですよね?」


葉の言葉を聞いた魔理沙は呆れながら。


「こんな神社に?止めとけって。こんな神社に参拝してもろくなことが「もちろん!!さあこっちへ!」痛いんだぜ……。」


魔理沙は博麗神社の悪口を言っていたが、霊夢は魔理沙を吹き飛ばして葉を案内する。


「(あの人大丈夫なんですかね?)」


葉は霊夢に付いていきながらそう考えていた。吹き飛ばされた魔理沙は。


「(いてて、あそこまで吹き飛ばすことないだろ。)」


そう小さくぼやきながら葉の後ろに付いていった。


「ここで参拝してね。」


霊夢がそう言い葉は参拝しようとするが、何かを迷ってるようだった。


「ん?どうしたのかしら?」


「いや、その、見ているんですか?」


霊夢は葉の言いたい事がわかったらしく。


「あ、そうよね、ごめんなさいね。」


そう言い後ろを向いたが、葉が賽銭箱の方を向いた瞬間に霊夢も賽銭箱の方を向く。


「(しっかり見ているじゃないか。)」


魔理沙は霊夢の行動に呆れていた。


「えっと、確かご縁があるようにって入れるんでしたよね?」


そう言い葉はポケットから五円玉を取り出す。その様子を見ていた霊夢は。


「(ちっ、五円玉なのね。もうちょっと入れてくれてもいいのに。)」


「何か言ったんですか?」


葉が霊夢の方を向く直前に霊夢と魔理沙は慌てて後ろの方を見る。


「気のせい……だったのかな?」


葉は再び賽銭箱の方を向く。魔理沙は小声で。


「気のせいならよかったんだがな。」


「えっと、それ!」


葉は五円玉を賽銭箱に投げ入れ、手を合わせて。


「幻想郷の植物が元気でありますように。」


「それっぽっちの割には随分とでかい願い事なのね。」


霊夢はボソッと言ったが葉は聞こえてたらしく。


「え、あ、や、やっぱり五円玉じゃ少なかったですよね?」


霊夢はしまったって顔をして。


「……つい本音が。」


でも霊夢は開き直って。


「そ、そうね。もうちょっと出してくれれば神様も願いを叶える気になるかもね。」


「開き直るな!そして最低だな!」


「………………(やっぱり足りなかったのかな?)」


葉は少し悩んだが。


「しょうがないもんね。これも皆の元気のためだもんね。」


葉はもう1つのポケットから一万円を取り出した。この金額は予想外だったのか霊夢と魔理沙は。


「え、あ、ええっ!!そ、そんなに!?」


「おいおい止めておけよ!!いくら妖怪でもそんだけ稼ぐのに苦労したんだろ!?」


一万円を賽銭箱に投げ入れようとする葉を止めようとしたが葉は気にしないで。


「えいっ!!」


一万円を賽銭箱に投げ入れた。そして霊夢と魔理沙の方を向いて。


「これで、神様も願いを叶える気になったのでしょうか?」


「えーー、あ…………。」


「お前のせいだぞ、どうするんだぜ?」


霊夢は少し悩んでから。


「よ、よし!!キャッ……お参りしてくれたんだし、私が少しお話を聞いてあげようかな!」


「本当ですか!?やったぁー!」


「(霊夢も流石に申し訳ないと思っているんだろう。)」


「まあこれも仕事の内だしね。さ、上がって。お茶でも出すから。」


「おう!」


そう言い魔理沙は上がろうとするが、霊夢は恐い目付きをして。


「あんたは呼んでないのよ。」


けど、魔理沙はものともしない様子で。


「まあそんなにつれないこと言うんじゃないぜ。ちょうど退屈していたんだから。」


何を言っても無駄だって事を霊夢は魔理沙の雰囲気でわかったのか、ため息をつき。


「……邪魔だけはしないでよ。」


「ははー、巫女様の仰せの通りにー。」


「全く、調子がいいんだから。」


霊夢は葉と魔理沙を本殿の中に案内した。






















「粗茶だけど、どう?」


本殿の中に入った後、霊夢は魔理沙と葉にお茶を出した。


「とてもおいしいです!」


葉は笑顔で霊夢に言った。


「それはよかったわ、で、どうしてあの願いのためにこの神社に来たのかしら?」


「はい……、あ、そういえばまだ自己紹介をしてませんでしたね。」


「そういえばそうだったな。」


「瀬笈葉って言います!!」


「葉……ねぇ、随分と変わった名前ね。」


霊夢はお茶を飲みながら言った。魔理沙は何かが閃いたらしく。


「じゃあ葉っさんだな!葉っさん!」


「その深く腰を落としそうなセンスのない名前はやめなさい。」


霊夢は魔理沙にそう言う。けど魔理沙は。


「いいじゃん!この名前の方が強そうじゃん!」


「もうどうでもいいわよ。あ、私は博麗霊夢ね。ここの神社の巫女をやっているわ、よろしくね。」


「普段はぐーたらしている巫女だぜ!」


「うるさいわね!」


霊夢は言われたくないのか魔理沙に強く言う。


「へいへい、私は霧雨魔理沙だぜ!普通の魔法使いだぜ!よろしくな。」


「博麗……霊夢さん!」


葉は何かを思い出したかのように立ち上がって霊夢の名前を言った。


「どうしたのよ?いきなり立ち上がって?」


「あ、いえ、その、い、異変を解決する巫女さんですよね?」


「呼び方は霊夢でいいわよ。固いのは嫌いだから霊夢でいいわ。私は確かに異変を解決する巫女よ。」


霊夢はお払い棒を回しながら答える。


「私は魔理沙でいいぜ。私も一応異変解決を趣味でしているぜ!」


魔理沙は笑いながら言った。


「え、えっと、じゃあさん付けで!」


葉はおどおどしながら言った。普通に呼ぶのは慣れていないのだろう。


「(それにしても魔理沙さんも異変解決者なんて、ちょっと驚きです。)」


葉がそう考えていると。


「じゃあ私は葉って呼ばせてもらうわね。」


霊夢は煎餅を食べながら言う。


「で、どうしてここの神社でお参りをしようと思ったのかしら?」


霊夢にそう聞かれて葉は真剣な表情になり。


「実は私が住んでいたところの植物がある日突然元気をなくしちゃって。」


「まだ冬には遠いぜ?」


「魔理沙、そういうのはいいから。」


魔理沙のボケを霊夢は素早くツッコミを入れる。


「冬でも植物は元気ですよ。」


葉は魔理沙の言った事を素直に返した。


「でも、なぜか急にみんなが元気をなくなっちゃって。」


「元気がないって、枯れたってこと?」


「枯れていたり、話す気力がなくなっちゃったり、とにかくみんな元気が無いって感じです。」


そう言い葉は顔を曇らせる。魔理沙は何か納得いかない顔をして。


「話す気力って、植物って話すのか?」


「はい!向日葵さんなんかは、夏になったら毎日熱唱してますよ!!」


葉はその時の記憶を思い出したのか、笑顔で魔理沙の質問に答えた。


「はは、何か近付きたくないんだぜ……。」


魔理沙は苦笑いをしながら言った。


「植物には詳しくないんだけど、それは病気じゃないのかしら?」


「違います、もし病気だったら私が無事じゃないはずです。」


霊夢の言った事を葉は否定した。


「って事は葉は植物の妖怪ってことね。」


「ま、何にせよ行ってみた方がいいんじゃないか?」


「そうね……じゃあ紅魔館にでも行ってみる?」


霊夢がそう言うと、魔理沙は嫌な顔をして。


「えっ?ど、どうしてだ?」


「ほら、パチュリーとか結構知識を貸してくれそうじゃない。」


「あーー……、そ、そうだな。」


魔理沙は冷や汗を掻きながら言う。その様子を見て霊夢は。


「何かまずいことでもあるのかしら?」


「い、いや、何でもないんだぜ!」


「あんたがそういう反応するって事は何かあるってことなのよ。」


「うっ……、実はちょっと本を借りてきたばっかりなんだぜ。」


「だったら、ちょうど返しに……。」


葉がそこまで言った時、霊夢は補足するように。


「葉、魔理沙の借りてるっていうのは盗んでるっていうことなのよ。」


「そんなんじゃないぜ!!私はちゃんと借りてるだけなんだぜ!!、死ぬまでな。」


そう言い魔理沙はわざとらしい咳払いをして。


「ほ、他の所に行こうぜ?」


けど、葉は魔理沙に向かって。


「それはダメですよ!借りてきたものはちゃんと返さないと。」


「で、でも……。」


「それに返さないと魔理沙さんに誰も貸してくれなくなりますよ。」


「(もうそんな感じだけどね。)」


霊夢は葉の言うことを心の中でツッコミを入れた。


「し、しかしなぁ。」


「そうだ!私も手伝いますから一緒に本を返しに行きましょう!」


「いや、家、散らかってるし……。」


葉は笑顔で言ったが、魔理沙はまだ躊躇っていた。


「大丈夫です!私、探し物を見つけるのが上手だってほめられましたから!」


葉の屈しない姿を見て魔理沙は観念したのか。


「~~~っ、わ、わかったぜ。後悔するなよ……。」


「後悔するほどなのね。まあいいわ。」


霊夢はそう言い立ち上がって。


「まずは魔理沙の家ね。」


そう言い玄関に向かった。


「ああ。」


魔理沙も立ち上がって、玄関に向かった。


「あっ!ま、待ってくださいよぉ~!!」


















磔side


「ここだったっけ?」


よう、磔だ。今は太陽の畑に向かっている。なぜかって?植物や花といえばあいつに聞くのが早いからな。


「おっ!着いた着いた。」


俺は花畑が見えて来たので急停止する。


「しかしまあ、綺麗なもんで。」


俺がそう言うと、花達がざわめいたような感じがした。葉みたいに話すことは出来ないが、植物や花が何を言ってるのかは何となくわかる。


「あいつはいないのか?」


「あいつって誰の事かしら?」


声のした方を向くと俺の探していた人が立っていた。


「ちょっと聞きたい事があってな。風見幽香。」


「あら、貴方に名前を教えたつもりはないのだけれど白谷磔。」


「ちょっとした風の噂で聞いてな。」


「風の噂ね。相変わらず嘘は下手なのね泊谷聖人」


どうやら幽香は知ってるみたいだな。


「まあ、座ったらどうだ?」


「ええ、そうするわ。」


幽香は俺の隣に座る。


「話って葉の事かしら?」


「まあ、そうだな。文花の言った事は本当か?」


俺は単刀直入に聞く。遠回しに言っても無駄だってわかってるからな。


「ええ、そうよ。貴方はどうするつもりなのかしら?私を退治するのかしら?」


「ちげーよ、むしろ協力する側だ。あんな話を聞いたら協力したくなるんだよ。」


「なら、よかったわ。まだ大丈夫だと思うけれど、あの子が危険になったら頼むわ。」


「わかってる。今は静かに見守ってるさ。」


そう言い俺は立ち上がった。


「どこに行くのかしら?」


「気付かれない程度に見守る。幽香、しばらくは俺の事は磔ってことにしておいてくれ。」


「わかってるわよ。混乱するものね。」


「後、これも渡しておく。」


俺は幽香に文花と同じものを渡す。


「この花は俺と連絡できるようになっている。何もないとは思うけど、念のためな。」


「わかったわ。にしても、綺麗な花ね。」


幽香は俺の渡した花を微笑みながら見ていた。


「じゃあな。」


そう言い俺は太陽の畑を出た。




















磔は基本的に葉達を裏から支えます。

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