つかの間の休み
「ん?ここは何処だ?」
目が覚めると俺は真っ暗な空間の中にいた。
「何でこんなところにいるんだ?文花の家にいたはずだが。」
なぜこんなところに居るのか考えてると、いきなり目の前に早苗と俺の姿があった。
「早苗と、俺!?いや違う、偽者の俺だ!!」
その二人は俺の顔を見ると、手を繋いで後ろを向いて、何処かに去ろうとしていた。
「ちょっと待てよ!!どういうことだよ!?」
周りを見渡すと、絢斗と妖夢、良太と霊夢、快とアリス、健二と魔理沙、彰と永琳がいた。
「一体なんなんだよ!?」
絢斗達も恋人と手を繋いで去ろうとしていた。
「俺を置いてくのかよ!!俺だけ幸せになれないのかよ!?」
皆幸せになってるのにどうしてだよ!?あの事件さえ無ければ早苗と居れたんだぞ!!
「置いてくなよ!?頼むから置いてくなよ!!」
けど俺の叫びも虚しく、絢斗達には聞こえてなく、恋人と幸せそうな顔をして去っていった。
「どうしてなんだよォォォォ!!!」
「はっ!!」
俺はベットから飛び起きた。
「……夢だったのか。」
恐ろしい夢だった。まるで俺から何もかもなくなるような、そんな感じをさせる夢だった。
「くそっ!!今更そんな事考えても無駄なのに。」
現代に飛ばされた時も、ちょくちょくこんな感じの夢は見ていた。
「もう、2度と掴めないというのに……。」
諦めようとは思っていてもまだ諦め切れていない自分がいた。
「もう嫌になってきやがる。」
「スースー……。」
「そういえば隣に葉が寝ていたんだな。って何でだ?」
葉は心地よい寝息を立ててぐっすり寝ていた。
「……まさか、俺が眠りにつくまえに背中を擦ってくれたのは葉だったのか。」
背中を擦っている内に寝たんだな。
「まだ夜明け前か、それにしても、気持ち良さそうに寝ているもんだな。」
もう一眠りしようと思って布団を被った。
「(ったく呻き声が大きすぎるのよ。お陰で変な時間に目が覚めちゃったじゃない。仕返しに葉の帽子を外しちゃおっと。)」
「ん?もう朝か。」
俺は太陽の光によって目が覚めた。カーテンとかないのかよ。
「眩しすぎる……。」
太陽の光が直に当たってるからな。眩しくて仕方ない
まあ文句は言わないけど。
「ん?なんだこれ?」
俺は床に落ちていた帽子を拾い上げた。緑色で大きいな。ということは。
「葉って寝相悪いのか?」
いや、それよりも帽子を被ったまま寝るんだな。頭とか蒸れないのか。
「おーい、起き……ろ。」
俺は葉が寝ている方を向く。向いた瞬間、俺はすばらしいものを見てしまった。
「う~ん、もうちょっとだけ。」
と言い葉は布団にくるまるが、俺が固まってる理由はそこじゃない。理由はと言うと。
「葉って帽子を取ったら髪が出てくるのか。」
葉は帽子を被っていたら髪の長さは肩くらいまでだったはずだが、帽子を取ったら腰の辺りまで伸びていた
そして、その姿を葉の正面から見ると、とても可愛らしかった。
「これは、破壊力ありすぎだ……。」
思わず鼻血が出そうになるが、そこは霊力で抑える。葉を見て鼻血出してる姿を見られたらロリコンって言われそうだからな。
「へぇ~、あの葉の姿を見ても鼻血を出さないなんてね。」
後ろを見ると文花がにやにやしながら俺を見ていた。
「残念だったか?」
「でも面白かったわ、貴方はああいうのを見ても動じないと思ってたけれど、意外な反応したから見ていて楽しかったわ。」
もしかしてだけど、これはわざとやったんだろうか?
「文花、まさかだとは思うけど。」
「私がやったのよ。」
「ふわぁ~おはようございます。」
葉が寝惚けながら起きてきた。
「あれ?なんだか頭が軽いような。」
「葉、下を見ろ。」
「下……わあぁぁぁぁ!!!」
下を見た瞬間、葉は寝惚けた顔から一気に覚醒して慌てて帽子を被った。
「みみみ見たんですか!?」
「バッチリとな……。」
「お兄ちゃんは、どうなんですか?」
「葉、帽子を外した方がよくないか?」
「嫌です!!絶対に嫌です!!」
外した方が可愛いんだけどな。これは他の人が見たら鼻血を出すか気絶してるな。
「まあ、仕方ないね。」
「うう~……。」
葉は面白いな、へたれ天然キャラでツッコミのしがいがある。
「にしても、火傷は痛えな。」
まだ治ってないから体を動かす度に痛みが走る。
「あ!そうだお兄ちゃん、ちょっと待っててください!!」
そう言い葉はナイフを取り出した。
「えっと、葉何するんだ?」
「まあ、見てなって。」
「見ててください……。」
葉はナイフを恐る恐る腕に当て、切った。
「……なにしてんの?」
「うぎゃあぁぁぁぁ!!!予想よりも痛い!!!」
葉はごろごろと暴れながらも自分の血を瓶に入れた。
「さぁ、飲んでください。痛い……。」
いや、飲めって言われてもな血を飲むわけだから一気に飲めるかっての。
「まあ、飲みますが。」
葉は何も考えないでこんな事はしないだろう。きっと何かあるはず。そう思い、葉の血を飲むと。
「あれ、火傷が治ってる。」
腕とかを見れば火傷は完全に治っていた。
「やったぁ!!成功ですよ!!」
葉は嬉しそうに跳び跳ねる。
「文花、どゆこと?」
「葉の血は色んなものを治す効果があるのよ。」
どっかのエリクサーみたいだな。どういう原理なんだろう?
「まあ、治してくれてありがとう。」
「よかったです、お兄ちゃんの火傷が治って。」
「ところで葉に1つ聞きたい。」
「何ですか?」
「もし葉は俺みたいな人がたくさん倒れていたら、全員に血を分けるのか?」
一応確認しておきたい。
「出来ればそうしたいですね。苦しんでいる人が私の力で治るのならそうします。」
「妖怪でも?」
「はい、そのつもりです。」
葉は真剣な目で見てくる。決意は固いようだな。
「そうか、幻想郷の人達にはない性格だな。」
霊夢とか魔理沙とかだったら何か言ってるんだろうな
損な性格してるみたいなことを。
「でも、その優しさはいいな。」
「そ、そうなんですか?」
「葉、これは言っておく。」
「な、何ですか?」
「その優しさを忘れるな、どんな事があっても貫き通すんだ。優しさは弱さじゃない。」
「わかりました!!じゃあ散歩してきますね!」
葉は外に飛び出した。
「いいこと言うのね。」
「いいことじゃねえよ。俺が出来なかった事を葉ならやり遂げそうな気がしてアドバイスをしただけだ。」
俺はもうやり直す事は難しい。けど葉なら……。
「ちょっと辛気くさくなったな。出掛けてくる。」
「用事が終わったら戻ってきなさい。」
もう1泊してもいいのか。ありがたいな。
「じゃあこれを渡す。」
俺は文花に水色の花を渡す。
「これを使えば俺と話すことが出来る。何かあったら連絡してくれ。」
「綺麗な花ね。わかったわよ。」
俺は文花の家を飛び出した。
「まずは人里に行こうかな。」
泊めてくれたけど、ご飯は食べさせてもらえなかったからな。腹ペコだ。
「そうと決まれば行きますか!」
人里に向かってる途中に彰から連絡があった。
「霊夢達は帰ったぞ。」
うん、そんな感じはした。
「てか、前日に守矢神社で宴会してる時点で外に出てるだろ。」
「ばれちったか。」
「まあ、後でお話するからいいよ。」
そんなやりとりが終わった後、人里が見えてきた。中に入り、飲食店に入った。
「さあて、食べるか!」
「…………。」
ん?何やら視線を感じるぞ?
「(えっ!?どうしてここに磔さんが!?あうっ、この前の事が思い出されます!!いくらお酒を飲んでいて気分が高揚していたとはいえ、あんな大胆な事を!)」
「誰かいるのか……。」
あぁ、そういうことね。
「(絶対に嫌われましたよね!?普段の私じゃないところを見せた訳ですから!もう恥ずかしすぎて死にそうです!!)」
後ろを見れば顔を真っ赤にして何かを懸命に考えている阿求の姿があった。この前の事を気にしているのか。俺は気にしてないのにな。
「(自分の能力のせいで忘れることも出来ませんし!これからどう磔さんに顔を合わせれば!?)」
「おーい、阿求?」
「ひゃ、ひゃい!!な、何で……。」
あれ?俺の顔を見た瞬間固まったぞ?
「おーい、しっかりしろ。」
「ししししちゅれいしました!!!」
ありゃ、阿求はこの場から猛スピードで去っていった。本当に初だなぁ。
「んじゃま、改めて、食べますか!!」
いつの間にか料理も来てたからな。
「はぁ、はぁ……。(見られた……、完全に見られた。うう~、何か胸の鼓動が早くなりますし、磔さんの事を考えると顔が熱くなりますし、もう訳がわからないですよ~。)」
「ふう、食べたな。」
何を食べたのかは想像に任せる。大量に食べたから自分でも何食べたか忘れた。
「デザートに団子でも食うか。」
そう言い団子に向かった。
「すいません、団子3つ。」
「あいよ!」
店員は注文を聞いた後、すぐに団子を持ってきた。早いな。
「モグモグ、旨いな!」
お茶を飲みながら店の外で団子を食べていると。
「あの、すいません。」
「ん?何ですか……。」
声を掛けてきたのは、早苗だった。やべぇ、昨日の事が思い出される、ここはクールに、クーーールにいくんだ!!
「貴方は外来人ですか?」
「まあ、そうなるな。」
「あのですね、守矢神社を信仰してくれないでしょうか?今深刻な信仰不足でして。」
強引に信仰の話に持ってきたな。流石早苗だ。こっちの事はお構い無しだ。
「早苗、いくら何でも強引過ぎだろ。」
「むー、そんな事言われてもですね。じゃあ聖人が頼んでくださいよ!」
早苗の隣に聖人が来た。元気でやっているようで。
「ところであんた、俺と姿が似てるんだが。」
「ええっ!?あ、本当ですね!」
俺と聖人は髪の色以外は似てるからな。
「何者だ?答えろ。」
そう言い聖人は刀を出してきた。怖い怖い。
「さあ?」
「死にたくないだろ?答えろよ。」
俺の首もとに刀が置かれる。脅しにしてはまだまだだな。
「まあ、どうでもいいだろ。」
俺は食べ終わった団子の串を燃やして聖人から距離を取る。
「その能力。本当に何者だ?」
「何、ただのしがない旅人さ。じゃあまた会おう、泊谷聖人、東風谷早苗。」
「「どうして名前を!!?」」
俺は面倒くさくなる前に最近編み出した空間移動を使って人里から逃げる。
「逃げたか。」
「なぜ私たちの名前を知っていたのでしょうか?」
「よっと、ただいま。」
「意外と早かったのね。」
「ちょっと面倒なのに巻き込まれてな。」
俺は空間移動で文花の家に移動した。文花は特に驚きもしなかった。どんな神経してるのやら。
「葉は?」
「まだ帰ってきてないわよ。」
「そうか、ところで何で文花は葉と暮らそうと思ったんだ?」
「あの子のね、生き生きとした姿を見たからよ。」
ほほう、どうゆう事なのかさっぱりわからない。
「私がいつも行ってるところにある日あの子がいたのよ。名前とか聞いてもわからないって言うし、だから面倒を見てあげようと思ったのよ。」
「なるほど。」
「その出来事が数日前なのよ。」
意外と最近だな。葉は本当に誕生して間もないのか。
「そして、あの子はある日草と話していたのよ。まるで人と話しているかのように。元気よく、笑顔でね」
「そんな事があったのか。」
「で……。」
そう文花が言おうとした瞬間、
「大変お姉ちゃん!!」
水色の花からいきなり葉の声が聞こえてきた。一応葉にも花を渡してるからな。
「どうしたの!?」
「いいからきて!!」
俺と文花は急いで家から飛び出す。
「葉はどこにいるんだ?」
「葉は多分、私と葉が初めて会ったところよ。」
そう言い文花は写真を見せてきた。なんとも殺風景な場所だ。草と木しか生えてない。
「何で、どうして?」
「どうした!?」
「グオォォォォォ!!!」
そこには前追い払った妖怪の声が聞こえた。そして、草とかを踏んで粉々にしてたり切り裂いてる音が聞こえる。
「やれやれ、またあいつか。」
「あれが前あんたが追い払った妖怪ね。」
「何しているんですか!?」
葉は妖怪の前に立つ。声しか聞こえないから想像だけどな。
「キサマハコノマエノ!!」
「今すぐやめてください!!草さんがかわいそうです!!」
「ウルセェ!!」
妖怪は葉の言葉を無視して草や木を削ろうとした。それを葉は妖怪に飛び掛かり、止めさせようとする。葉の様子は見えないが気配で何をしているのかは何となくわかる。
「葉って戦えるのか?」
「……戦えないわ!!急いで加勢するわよ!!」
文花はそう言った時。
「ザコノブンザイデイキガルナ!!」
妖怪は葉の服を掴み、地面に叩き付ける。
「ガハッ……、い、痛い……。」
「イタイカ?デモソレダケジャタリネエンダヨ!」
妖怪は葉の頭を踏みつける。くそ、葉と遠距離で会話してたから着くのに時間がかかる!!
「うっ、いぎっ……。」
「ザコノクセニチョウシノルカラダ!!」
「確かに、私は弱いです。けど、弱いからって、あなたのやってる事を見逃すことは出来ないんです!」
「ソウカ……。」
妖怪は葉の頭を踏むのを止め、腹を思いっきり踏みつけた。
「きゃあああ!!!」
「葉!!くそ、文花!!葉のいるところまであと何分で着く!?」
「あと少しよ!!」
「カハッ……、コブッ……。」
「フン、シニゾコナイメ、イマラクニシテヤル!」
妖怪は高く飛び、葉に向かって弾幕を放つ。
「きゃあああ!!!」
「ハハハシネェ!!!」
「死ぬのはあんたよ!!」
文花は妖怪の後ろに行き、かかとおとしを妖怪にくらわせる。
「グオッ!!」
妖怪はその衝撃で墜落したが、体勢を整えて着地した。
「大丈夫か!?」
俺は文花が妖怪の所に行ってる時、葉に話し掛ける
「うっ……。」
葉はなんとか意識はあったが、頭や口から血を出しており、服もボロボロに裂けていた。足にも複数の傷があった。
「あんた!!よくも葉を!!」
「シニゾコナイノナカマカ!!キサマラモソイツトオナジヨウニシテヤル!!」
「そうは行くかしら?とびっきりのやつぶちかましてやるんだから!! 深緑結界!!」
文花がそう言うと、どこかの空間に俺達は飛ばされた
「ソンナモノ!!」
「行きなさい!!」
文花は水の竜を召喚し、妖怪に向けて弾幕をうち放つ。
「ソ、ソンナチカラガァ!!」
妖怪に大量の弾幕が当たり、煙が舞った。
「終わったかしらね。」
「いや、まだだ!!!」
まだあの妖怪の気配がする。あの妖怪は消滅していない!!
「ザコノクセにィィィィ!!!」
妖怪は文花に向けて弾幕を放つ。文花も竜を召喚し弾幕を放つが。
「くっ、この召喚は大量の力を消費するのよ。(しかも私の力を全盛期より落ちてるし。)」
「文花!!大丈夫か!?」
俺は葉を治療しながら言う。どうみても大丈夫じゃなさそうだからな。
「大丈……きゃあああ!!!」
竜が消滅し、その衝撃で文花は後ろに飛ばされた。大丈夫じゃねえだろ!!
「ま、まだ私には力が!!」
「チカラガナシタ?」
妖怪は素早く文花の懐に潜り込み、首を締め上げる
「がっ、あっ……。」
「オレガイキテルノガソンナニオドロキカ?オレハチカラヲスイトレルカラナ!!」
そういうことか、文花は葉より力はあるはず。それなのにどうして妖怪がやられないのかと思っていたがそんなことだったのか。
「お、お兄ちゃん……。」
「気が付いたか?」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんを助けてあげて……」
けど、ここに、来る前に文花から手を出さないでくれって言われてんだよ。
「け、けどな。」
「大丈夫です、私が後で言いますから。」
「……わかったよ。」
俺は葉の治療を止めて妖怪の所に向かう。
「は、離しなさいよ……。」
文花は逃れようと必死にもがいていた。
「ムダダ、イマチカラヲスイトッテルカラハナスコトハデキナイナ。ハナストキハオマエガシヌトキダ!!」
「へぇ、じゃあ無理矢理でも剥がしてやるよ!!」
俺は妖怪の腕を思いっきり殴り、腕力を一時的に無くす。
「キ、キサマ!!」
腕力が無くなって掴めないのか、文花を離した。それをキャッチし、葉の隣に寝かせる。
「だ、大丈夫?お姉ちゃん?」
「だ、大丈夫よ……。そ、それよりも、この結界は無くなるわよ。」
文花がそう言った瞬間、結界が無くなった。
「キ、キサマモソイツラトオナジヨウニシテヤル!!」
「同じようにねぇ、文花、存分に暴れても構わないか?」
「構わないわよ。葉は私が守るから。」
そう言い文花は少ない力で、葉と自分に結界を張った。
「お、お兄ちゃん!!」
「大丈夫だ、俺はそんなにやわじゃない。」
俺は葉に向かって手を振る。
「チョウシノル「調子がなんだって?」ナニ!」
「おらぁ!!」
俺は素早く妖怪の所に行き、回し蹴りを放つ。妖怪はふきとばされたが、すぐにこっちに向かってきた。
「キサマ!!ニンゲンノブンザイデ!!」
妖怪は高速で殴ったり蹴ったりしてくるが、それを避けたり、受け流したりする。
シュッシュッシュッ、バチィ、ガギィ
「当たんねえよ!!」
俺は木刀で妖怪にカウンターをくらわせる。縦に斬ったり、横に斬ったり、妖怪の攻撃は単調だから避けやすい。
「クギィィィ!!オコッタゾ、トッテオキノワザヲミシテヤル!!」
妖怪にも技とかが使えたんだな。そう思っていると妖怪は力を爆発させて、周りに緑のオーラを発生させていた。
「こりゃ、やべぇかもな。」
見るからにパワーアップしてんじゃん。弱いまんまでいてくれよ。
「イクゾ!!」
妖怪はさっきよりも断然に素早く動いてくる。それを俺はギリギリ避けるので精一杯だ。
「ったく、めんど、くせえ、な!!」
「オソイゾ!!!」
妖怪が弾幕を放ってきたので、俺は木刀を前に出して防いだが。
「むぎぎぎぎ!!!」
予想以上に力が強く、木刀を前に出すので精一杯だ。
「むぎぎぎぎ……あっ。」
木刀が手から離れて俺は弾幕に当たった。
「グハッ!!」
俺はかなり飛ばされて地面を何回転がったかわからないくらい転がってスピードを落とす。
「ぐっ、強すぎだろ。」
「お兄ちゃん!!」
葉の声が聞こえてきたので、周りを見渡すとすぐ近くに葉と文花がいた。葉達からはかなり離れていたはずだが。
「それくらい吹き飛ばされたのか。」
月に続いてこっちでもピンチかよ。本当に少しは休ませろって。
「ソノテイドカ?」
「んなわけねえだろ!!想符 フレアスパーク!!」
俺は全力のフレアスパークを妖怪に向けて放つ。だが妖怪は。
「ナンナンダイマノハ?」
傷1つ付いていなかった。やべぇ、強すぎだろ反則級に。
「どうすんのよ!!」
「これは、あいつらでも厳しいな。」
放っておいても聖人達がやっつけるだろうが、あいつらでも倒すのはむずいな。
「トドメダ!!」
妖怪は特大の弾幕を葉に向けて放ってきた。これは結界があってもまずい!!
「オオオオオオ!!!」
俺は葉の前に立ち、弾幕を食い止める。
「お兄ちゃん!!!」
「フン、マエカラダケトハオモウナヨ。」
妖怪はさらに俺の上から弾幕を放ってきた。これはもう……。
「シネェェェ!!!」
二つの弾幕がぶつかり、大きな爆発を起こし、俺は衝撃で地中に埋められた。
「お、お兄ちゃん!!!」
「磔!!まさか!!」
「嘘だよね?嘘だよねお姉ちゃん!!」
「チィ、アノフタリハイキノコッタカ。ダガコレデオワリダ!!」
妖怪は再び特大の弾幕を放つ。
「もう、だめかも。」
葉の声が聞こえてくる。もういい、あいつらにばれたとしても構わねえ。
「想符 アクセルモード。」
俺は変身して地中から這い上がり、特大の弾幕を消し飛ばす。
「えっ?」
「これ以上、てめえの好きにはさせねえよ。」




