聖人達のプロポーズ
「はい、聖人あーーん。」
「あーーん。うん!!美味しいよ早苗!!」
月面戦争から数日経ち、守矢神社で今宴会が行われている。参加者は冥界から地底まで、幅広い人達が集まって騒いでいた。
その中にいる聖人と早苗は料理を交互に食べさせていた。
「二人とも熱々だねぇ~。」
「だな、いつになったらプロポーズするのやら。」
神奈子の諏訪子はいちゃいちゃしている早苗と聖人を見ながらそんな事を呟く。
「弟に先越されて悔しくないのかあいつは。」
「まあまあ神奈子、気長に待とうよ。もしかして今日言うかも知れないし。あ、この料理もらうね。」
「それは私が大事にとっておいた料理!!」
「もぐもぐ、いつまでも残してる神奈子が悪いよ」
「そこにいろ!!成敗してやる!!」
神奈子は自分がとっておいた料理が諏訪子に食われたので、諏訪子を捕まえようとする。
「捕まらないよ~。」
諏訪子はそれをひょいひょいかわす。
「お二人とも、何してるんですかもう……。」
「まあまあ早苗。」
早苗がその様子を見て落ち込み、それを聖人はなぐさめる。
「そうだ早苗、ちょっとこっち来てくれ。」
そう言い聖人は早苗の手を掴み、宴会会場から離れる。
「ど、どこいくんですか!?」
早苗は引きずられながら聖人についていった。
「あ、神奈子!!早苗達が離れるよ!!」
「何!!もしかしてプロポーズか!!これは見なければならない、行くぞ諏訪子!!」
「料理とかは?」
「そんなのは後ででいい。プロポーズを見逃す訳にはいかない!!」
「ふう、着いたな。」
聖人が案内したかったのは、山のとある場所で月がとても綺麗に見れるところだった。
「着いたぞ早苗。」
そう言い聖人は早苗の手を離す。
「あっ……。」
早苗は手を離されたが、とっさに聖人の手を掴み直す。
「……?」
「あ、え、えっと……。」
早苗は恥ずかしかったのか顔を赤らめる。
「手を握っていたいのか?」
「い、いえ、そそそそんなことはありません!」
早苗はそう強がったが、明らかにテンパっているので思考はもろわかりだった。
「握ってていいよ。」
聖人はそう笑顔で答える。
「はい!!」
「じゃ、ちょっと座ろうか。」
聖人と早苗は近くにあった大きな石に隣同士で座った。
「…………。」
「…………。」
「…………なあ(あの)」
「聖人からでいいですよ。」
「悪いな、早苗、俺らがここに来てからもう2年も経つよな。」
聖人は遠くを見つめながら言う。
「そうですね。気づけばあっという間でした。」
「ここに来てから色んな異変があったよな。」
「そうですね。」
「で、1つ謝りたい事があるんだ。」
聖人は早苗を見ながら言う。
「フランが暴走した時といい、謙治の時といい、月の時といい、守れなくてすまなかった。」
「いや、聖人が謝ることではないですよ。全て弱かった私が悪いんです。」
早苗はそう言い笑顔を見せたが、瞳から涙が溢れでてきた。
「もっと私がしっかりしていれば、聖人が悲しむことなんてなかったんです。全て、私が悪いんです」
「早苗……。」
終始笑顔だったが、悲しそうな笑顔だった。聖人を気づつけまいと自分を卑下して、心に大きな傷を負ってでも……。
「早苗は悪くない。俺の、俺の力不足が原因なんだ。それに、早苗にはずっと無邪気な笑顔で居てもらいたい。それだけで俺は救われる。」
「で、でも!!」
「早苗を見ていると元気が出るんだ。早苗と一緒ならなんでも出来そうなんだ。だから、自分を傷つけようとはしないでくれ。」
そう言い聖人は早苗の瞳から溢れ出てくる涙を指で拭き取る。これは全部聖人の我が儘だろう。けど、聖人にとってはその我が儘が一番大事だった。
「早苗、今から言うことをよく聞いてくれ。」
「ははは、はい!!」
早苗はさっきよりも顔を赤くしながら聖人を見る。聖人も早苗に負けないくらい顔を赤くしていた。
「これからも、この先もずっと、俺と一緒に居てくれないか?いや、居てほしいんだ。自分勝手かもしれないけど、俺には早苗が必要なんだ。早苗以外考えられないんだ。だから
俺と結婚してくれないか?」
聖人はそう言い早苗の薬指に指輪を着けた。
「あ、あ…………。」
「やっぱりそういうのは順序を踏まえてだよな。急に言って悪かった……。」
「ふふふ、不束者でででですが、よよよよろしくおおお願いします!!!」
早苗は嬉しさのあまり、聖人に飛び込んだ。
「うわっ!!」
「嬉しいです……、とても嬉しいです!!」
早苗は聖人に抱かれながらわんわん泣いた。それほど嬉しかったのだろう。
「早苗……。」
「聖人……。」
そう言い二人は顔を近付ける。そして、二人とも目を閉じ。
二つの唇が重なった。
ドーーン!!ドーーン!!
「こんな時期に花火かよ。」
「いいじゃないですか!!私達を祝福してるみたいで!!」
「それもそうだな。早苗、これからもよろしくな」
「はい!!よろしくお願いします!!」
二人はお互いの顔を見て笑い合った。その顔はとても幸せに満ちていた。
「やーー、おおめでとう!!!」
「聖人!!いいプロポーズだったぞ!!」
草むらの陰から神奈子と諏訪子が顔を出して拍手をしながら二人を祝福した。
「やれやれ、見られてたか。」
「いいじゃないですか!!さあ、宴会に戻ってお祝いしましょう!!」
「そうだな!!」
早苗と聖人は手を繋ぎながら宴会会場に戻った。
「諏訪子、やっとゴールインしたな。」
「長かったね~、嬉しいような、淋しいような、複雑な気持ちだよ。」
「神奈子様!!諏訪子様!!置いてきますよ!」
「まあ、今はお祝いしようか!!」
その頃、守矢神社の縁側で。
「絢斗、ここに呼び出してどういうつもり?」
「何か伝えたいことでもあるのかしら~?」
「わ、私にはさっぱりわからないのですが。」
絢斗の隣に妖夢、前に幽々子、紫がいた。
「え~、ここに呼び出したのは他でもありません」
「いいからさっさと言いなさい。」
「そうだね~、単刀直入に言います。幽々子さん、紫さん、
俺に妖夢ちゃんをください!!」
そう言い絢斗は土下座をする。
「……はい?」
「あらあら絢斗、それはもしかして?」
「そうです!!妖夢ちゃんと結婚させてくださいお願いします!!」
「みみみみょん!!!」
妖夢は顔を真っ赤にしながら口をパクパクさせていた。絢斗も珍しく顔を真っ赤にしていた。
「1ついいかしら?」
「何でござんしょ?」
「なぜ、私にも言う必要があるのかしら?幽々子はともかく。」
「いや、紫は何か、いとこみたいな立ち位置だと思いましてね。」
絢斗は笑いながら頭をかく。
「……それは幽々子が決めることよ。」
「え~私が?私は別にいいけど、妖忌にちゃんと許可とったの?」
「とったよこやつは。ワシにも土下座をしてな。」
幽々子の隣の空間が裂け、中から妖忌がそんな事を言いながら出てきた。
「あら~、出てくるなんて予想外だったわ。」
「何、孫の様子を見に来ただけじゃよ。絢斗、覚悟の上だな?」
「そうだ。ミカンを食べながら決めた!!」
「いや、もっと真面目に考えなかったんですか!?」
フリーズから回復した妖夢がツッコミを入れる。
「妖夢、絢斗で大丈夫か?」
「はい、絢斗さんが良ければ大丈夫です。この言葉をずっと待ってました。」
「よろしくね~。」
「はい!!まだまだ未熟な私ですが、これからもよろしくお願いいたします!!」
そう言い絢斗と妖夢は抱き合った。
「……幸せです。」
妖夢は満面の笑みで絢斗に言う。絢斗も満面の笑みで
「俺もだよ~、妖夢ちゃん。」
「絢斗さん……。」
妖夢は少し浮かんで絢斗にキスをした。
「あらまぁ♪」
「ホッホッホッ、妖夢もやるではないか。」
「……よよ妖夢ちゃん!?」
「普段からのお返しですよ♪」
健二と魔理沙はもうプロポーズを済ませており、二人で早食い勝負をしていた。
「負けないぜ!!」
「それは俺の台詞むぐっ!!」
健二は早く物を詰め込み過ぎ、口を抑えて悶えていた。
「やったぜ!!私の勝ちだぜ!!」
魔理沙は料理の食べかすを口にいっぱいつけながら勝利のポーズをした。
「ゲホッ、ま、魔理ちゃんは強いな。でも、食べかすがついてるから格好がついてないぜ。」
「あ、本当だ!!」
魔理沙は慌てて拭こうとしたが、それより先に健二は布巾を持って魔理沙の口を拭いた。
「んぐっ、ありがとうだぜ。」
魔理沙は多少、顔を赤らめながらお礼を言う。
「気にすんなよ。それに、可愛かったからな。」
健二はそう言い魔理沙のほっぺたをつんつんしながら言う。
「や、やめろよ……。」
魔理沙はそう言いそっぽを向くが、顔はとても嬉しそうにしていた。
「まあ、俺はこんなにも可愛くて、努力を怠らない人が一緒にいて、幸せだよ。」
「私も……幸せだぜ!!」
「お前らも熱いのな。」
「だね~!!」
「よう聖人に絢斗、お前らも熱く見えるけどな!!」
何故なら聖人と早苗は手を繋いでニコニコしているし、妖夢は絢斗の腕に抱き付いているからだ。どう見てもラブラブに見える。
「しかしやっと、お前らもプロポーズしたんだな。遅すぎだぜ!?」
「はは、すまんな。」
「んじゃ、今日は盛大に盛り上がろう~!!」
絢斗がそう言い終わると、いきなり守矢神社がライトアップした。
「んま派手な演出だね~!!」
「早苗?わざわざ用意したのか?」
「えっ?あっ、はい!!(本当は私も知らないんですけど。)」
「凄く綺麗じゃん!!ありがとな!!」
そう言い聖人は早苗の頭を撫でながら満面の笑みを浮かべる。
「いっ、いえいえ!!(まあ、紫さん辺りが用意してくれたのでしょう)」
「綺麗ですね!!」
「ロマンを感じるね~。おっ!!花火も上がってんじゃん!!」
ライトアップされた守矢神社の上空に色とりどりの花火が打ち上がった。
「これは一生思い出に残るな。」
「そうですね!!あっ、見て聖人!!色々な料理や飲み物が置いてありますよ!!」
「紫の奴、太っ腹だな!!」
「さあさあ思いっきり楽しもうぜ!!」
「彰、そこの棚から薬品を取ってくれないかしら?」
「ほいほい。」
彰と永琳は宴会には参加せず、永遠亭で薬の調合をしていた。
「にしても、彰は宴会に行かなくても良かったのかしら?」
永琳は薬の調合をしながら、白衣の汚れを取っている彰に話し掛ける。
「んあ?俺はえーりんと一緒に居たいんだよ。えーりんが行かない宴会に行っても楽しくねえからな。」
「もう、彰ったら……。」
永琳は若干顔を赤く染めながら調合を続ける。
「そういえば彰?」
「どった?」
「今日で私達が付き合い初めてちょうど1ヶ月よね?」
「そうだな、1ヶ月過ぎるのは早いな。」
「だから、ちょっとこっちに来て。」
彰は永琳に言われるがままに永琳の近くに行った。永琳は顔を真っ赤にしながら。
「ありがとう!!」
そう言い彰に抱き付く。彰は何が起きてるのかわからないらしく。
「……what?どういう状況?説明please?」
「私は蓬莱人、人を好きになれるとはもう思ってなかったのよ。」
永琳は彰の胸に顔を埋めながら言う。
「絶対に拒絶されると思ったから。でも彰はそんな私を受け入れてくれた。」
「そりゃそうだろ?俺が好きな人がどんなに変わった体質だろうがそんなことは関係ない。俺も、えーりんが一番大好きなんだよ。」
彰も顔を真っ赤にしながら永琳の髪を撫でる。永琳はいとおしそうに彰を見つめる。
「ふふ、まさか自分がこんな気持ちを持っているなんて今でも信じられないわ。」
「俺もそうだ。こんな気持ちがまだあったなんて信じられいねえよ。」
「なら、信じるためには……。」
そう言い永琳は彰を床に押し倒してキスをした。その様子を見ていた鈴仙は。
「師匠も女性なんですね。さて、ここからの展開はご想像にお任せしますね!」
そう言い永琳の部屋の襖を閉めた。
良太と霊夢、快とアリスはもう結婚式を済ませてある事になっており、誰かが博麗神社とアリスの家に置いてあった指輪を着けている。守矢神社の宴会は今まで以上に盛り上がっていた。5組のカップルは誰かが置いていった料理や飲み物等をパートナーと一緒に食べたり飲んだりしている。
幻想郷にまた、新たな夫婦が誕生し、また一人、また一人と幸せになっていった。
ただ一人を除いて……。
磔side
「……とうとうプロポーズするのか。」
よう、磔だ。俺は守矢神社を見渡せ、なおかつ宴会会場にいる人達からばれない位置で様子を見ていた。
「聖人と早苗はプロポーズしている最中だな、ならこれでもあげてやるか。」
俺は打ち上げ花火を取り出して、聖人と早苗がキスした瞬間に花火を打ち上げた。サプライズがあった方が思い出に残るだろう。
「さて、上げ終わったし。次は料理を出しておくか。」
俺は時を止めて、皆が花火の方を向いている隙にテーブルを置き、予め作っておいた料理、ケーキ、シャンパン、ここでは滅多に手に入らないお酒等を置いていく。せっかくプロポーズしたんだ、これくらい豪華にしないと。ちなみに博麗神社とアリスの家に指輪を置いていったのは俺な。
「さて、次はライトアップの準備だな。」
まっ、守矢神社の本殿に魔力をばら蒔くだけなんだけどな。後は、俺が魔力を加えれば自動的にライトアップされる仕組みになっている。
「ライトアップの準備も終わったな。最後は、また花火でいいか。」
守矢神社を出て、時を止めていたのを解除し、花火が守矢神社の本殿の上に来るように移動し。
「想符 ファイヤーフラワー!!」
めんどいからそのまんまの名前でいいや。俺はある程度上に行ったら花火になるような弾幕を大量に放つ。
「……幸せになれよ。俺の分までな。」
本当なら俺があそこにいたんだなと思うと悔しさや悲しさ、怒りが沸き上がってくるので、花火を打ち上げた後、急いでその場から去り、山の頂上近くにいった。
「ちっくしょぉぉぉぉぉがぁぁぁぁ!!!」
さっきまで抑えていた怒りを爆発させる。あの事件さえなければ、あいつさえ来なければ、こんなことにはならなかったはずだ!!
「俺が何したって言うんだよ!!何でこうなるんだよ!!これじゃ、外にいた頃と大して変わらねえじゃねえか!!」
怒りを抑えようと大声で叫ぶが、ちっとも怒りが収まらなかった。一応守矢神社やこの辺りに防音壁の結界を張ってあるからこの声は聞こえないはずだ。
「早苗との恋は全て仮初めだったのかよ!!!俺はどうやったら幸せになれるんだよ!?」
もう駄目だ、怒りが収まらない。
「許さねぇ、絶対に、あいつらは許さねぇぞぉぉぉぉ!!!」
バチチチチ!!!
俺が怒りを爆発させた時、アクセルモードを使った状態になっていて、さらに体から雷が出て、髪の色やオーラが黄緑色だったのが青緑色になっていた。
「……これはアクセルモード2にしておこう。全くどかの戦闘民族かよ。」
俺はスペルカードに記録して解除した。
「もう、怒る気力もねえや。あいつの所に行くか」
俺は空間移動で文花の家に行く。
「おかえり、何かあったみたいね。」
文花は俺が急に入ってきた事に驚かず、お茶を飲みながら言ってきた。
「……聞かないでくれると助かる。」
「あ、おかえりなさいお兄ちゃん!!」
葉は帽子の位置を直しながら言ってくる。
「……文花、もう俺は寝るけどいいか?」
「わかったわ。空いてる部屋のベットを使ってもいいわよ。」
「すまないな。」
そう言い俺は部屋に入り、布団にくるまった。
「ちくしょう……、ちくしょう……。」
気が付けば泣いていた。そして、誰かから背中を擦られて、俺は眠りについた。




