博麗の巫女
魔法の森 霧雨家前
「で、あれは何なの?」
見間違いじゃなければレーザーだったよな?
「あれってなんだぜ?」
「お前が出したレーザーみたいなものだよ!!何で家の中でそういうものを撃つんだよ!?」
普通の人じゃ出せないだろ!!何でこんな少女が出せるんだよ!?あれか?魔法って奴か?
「あれは私のスペルのマスタースパークだぜ!!」
「だぜ、じゃなくてあれはどういう原理なんだよ!?」
そこが一番気になるんだよ!!俺もあんなものを出してみたいなあ!ってスペル?スペルって何だ?
「あれは魔法だぜ!!」
魔法?訳がわからない。魔法は架空のものじゃないのか!?実際に使える人がいるのか!?
「お前ひょっとして外来人か?」
外来人?なにそれ?
「外国人なら知ってるが?外来人ってどういうこと?」
「あー、何て説明したらいいかな。魔法とか知らない人のことだぜ!!」
「なら俺は外来人かもしれねえな、それよりここはどこなんだ?じめじめして気分悪い。」
そう言うと、霧雨は帽子の鍔を直して胸を張った。
「ここは魔法の森。そしてこの世界は幻想郷と言うんだぜ!!」
幻想郷って、まさかな。八雲が俺を連れていこうとした所じゃねえかよ。
「まあとりあえず博麗神社に行った方がいいかもな。早く外の世界に帰りたいだろ?」
んー、確かに霧雨の言う通りなんだけどな。
「わかったよ。」
取り合えず目的地はあった方がいいからな。目標も無しに知らない所を歩くのは勘弁願いたいからな。
「私が案内するか?」
いや、気持ちはありがたいんだけどね。目的地が分かれば後は一人で何とかなるだろ。
「いや自分一人で行ける。」
「まあまあそう言わずに。」
意外と世話焼きか霧雨は?俺にとってはありがた迷惑だけどな!
「気持ちだけで充分だ。」
本当に気持ちだけで充分だ。あまり女性とは関わりたくない。こうして話してるだけでもきついんだよ。
「そんなこと言ったってあぶな「んじゃあな!!」おい待てよ!!」
この場から離れたく全力で逃げた。さっき出口っぽい所を見付けたからなんとか出れるだろう。
「ったくなんなんだあいつは?まあこの際博麗神社に行くか。」
平原
走ってるうちに広い草原へと出た。そこには、昨日までいた世界では絶対に見られない景色だった。
「うわぁ!!すげーきれいだな!!」
俺が見たかった大自然だった。空は絵に書いたように青く、どこまでも広がる緑の草原、空気も新鮮だった。前まで見たいと思っていた景色だ。
「まさかここまでだとは思わなかったな。」
この景色を写真に収めておきたいなぁ、んっ?近くに村みたいなものがあるな。何か情報が得られるかもしれないし、行ってみるか。
人里
「すごい人がいるな!!」
時刻は1時か、店の周りにはたくさんの人がいた。建物は明治時代後半辺りか?歴史の教科書で見たことのある建物ばかりだな。
「つーか、俺目立ってね?」
周りの人の服装が着物とか袴とかが多いからな。俺みたいな洋服の人が少ない。現にチラチラ見られているし。
「すいません、博麗神社ってどこにあるかわかりますか?」
人々に見られてる中、近くに老人がいたので訪ねてみることにした。
「この里を出て左に曲がると階段があるからその先にありますよ。」
老人は丁寧に教えてくれた。いやぁ、てっきり断られるかと思ったけどね。優しい人で良かったよ。
「ありがとうございます。」
老人にお礼を言い博麗神社に向かうか。神社か、あの神社と似ているのかな?
博麗神社
「ったくここの階段何段あるんだよ!?少しは何とかしろよ!!」
いやね、こんなに階段が多いとは思わなかったよ全く。参拝客の事を考えてないだろ絶対。でも、これを上らないと行けないしなぁ。
「ふーふー、おっ!やっと着いたな!!」
長かった、さて景色は、おうっ殺風景だな。本殿と母屋と井戸以外何もねえじゃん!!
「こんな神社は久々だな、んっ?あそこにいるのは。」
賽銭箱の付近にお茶を飲んでいる女性がいるな。あれが巫女か?
「しかもまた女の子かよ。」
その言葉を言うのと同時に縁側にいた女性がこっちに向かってくる。やべっ、聞こえていたか?
「またとは何よ。初対面の人によくそんな口が利けるわね。」
気の強そうな女の子だな、苦手なタイプだ。
「あ、聞こえてた?」
「聞こえたわよ。」
この人耳がいいのかな?というかこの人はここを管理してる人なのだろう。巫女服っぽい服装してるし。大きなリボンで髪を止めていて、何で脇が空いてるんだ?
「あんた誰だ? 見たところ巫女っぽい格好してるけど。」
「巫女っぽいじゃなくて巫女なのよ。私は博麗霊夢よ。」
巫女って腋を出すもんなのか?ここは本当に変わっているな。でも、あいつも出していたな。とりあえず自己紹介はしておくか。
「俺は泊谷聖人だ。あんたらで言う外来人らしい。」
「ふーん、あんたやっぱり外来人ね。」
「まあそんなところかな。」
外来人って肯定すると博麗が何やら面倒臭そうな表情し出したな。面倒は嫌いなタイプか。
「で、外の世界に帰りたいの?」
「外の世界?あぁ、そういうことか。」
もしかして、博麗が外の世界に帰りたい人の為の門番なのかねぇ。
「あんたが前までいた世界よ。幻想郷のこと知らないの?」
「まったくもって知らないな。」
その言葉の後、博麗はため息をつく。おいおい、こっちがため息を付きてえよ。
「幻想郷って言うのわね。」
いろんなことを教えてもらった。地形や環境、博麗大結界のことなど。大分省略して書いたが色々な事を教えてもらったからな。
「ふーん成る程ね。にしても、こんな世界があるとは正直驚きだな。」
「で、あんたは帰りたいの?」
「それはもちろん帰りたいさ。」
「でも帰らせな「八雲てめえ膝蹴り喰らえぇぇぇぇ!!」ちょっとちょっといきなり何よ!?」
俺の横に突然八雲がスキマから現れた。なので跳び膝蹴りをお見舞いしたけど避けられた。ちぃ、惜しかった。
「あんた、紫に何されたのよ?どうせ何処か変な所に落とされたとかなんでしょ?」
「えっ?人の心読めんの博麗って?最近の巫女はすげえな。」
「で、何でこいつを帰らせないの?」
おい無視すんなよ博麗。しかもこいつ呼ばわりかよ、ひでぇ。ちゃんと教育受けてんのか?
「それは能力を持ってるからよ。外の世界に能力持ちの人間を帰らせる訳にはいかないでしょ。」
「へーおれのうりょくもってたんだー。」
「自分で気付いてたでしょ。」
やれやれ、ばれちまったか。上手く言ったつもりだったんだがな。
「で、こいつはどういうの「霊夢ー!!遊びに来だぜ!!」タイミング悪いわね。」
聞き覚えのある声がしたと思ったら、空から霧雨が降ってきた。いや落ちてきたっていうのが正しいかな。
「何だスキマもいたのか。」
「いたら悪いのかしら?まあいいわ、話は戻るけど彼には3つの能力があるの。」
八雲はそう言うと、博麗はあり得ないという顔をしたな。まあ能力3つはチートだろうな。いらんけど。
「3つって反則よね?」
いや、俺に言われてもねぇ。能力が欲しくてもらった訳じゃねえし。
「1つ目は『自然現象を操る程度の能力』2つ目は『想像した技を現実にする程度の能力』で、3つ目はわからないわ。」
「わからないのかよ。てっきり知ってるものだと思ってたぜ。」
霧雨は呆れた声で八雲に言ったな。その前に何で3つある内の2つ知っているんですかね!?
「だったら本人に聞いてみたらどうかしら?」
出来れば教えたくないんだがな。教えたら色々とややこしくなりそうだし。
「聖人はわかるのか?」
正直わかってんだよ。けど言ったらとんでもないことになる。
「悪いな、俺もいまいちわからない。」
そう嘘を言った。嘘を言っておかねえと面倒な事になりそうだし。
「そっか。わからないんじゃ仕方ないな。」
霧雨は納得したみたいだった。博麗は疑惑の眼差しを俺に向けてるけどな。
「ところで聖人、今日宴会があるのだけど貴方も参加してみない?」
宴会か、騒がしいのはいいんだが、女性ばかりはちと嫌だな。
「何で参加しないといけないんだ?」
「それは幻想郷の人達に挨拶しないといけないからよ。」
引っ越し挨拶みたいなもんか、面倒くさくなりそうだな。
「いや、遠慮しておく。」
「そんなこと言わずに参加しようぜ!!旨いもの食えるぜ!!楽しいぜ!!」
ちょっと馴れ馴れしいな霧雨、仕方無い、少し荒い言葉使いで行きますか。
「遠回しに迷惑だって言ってるのわからないのか?」
その言葉を聞いたとたんに博麗がこっちを見て睨んでくる。なんだよその目は?
「あいつが怒る前に参加するって言っとけよ。何されるかわからないぜ!!」
「だから余計なお世話だっつんてんだろ。自分達の事情を他人に押し付けんなよ。」
そう言ったとたん御札が目の前にあった。あの薄い御札をよく正確に投げられるな。
「おっと、危ねえじゃねえか。」
御札をしゃがんで回避する。霧雨は俺が御札を避けたのが意外だったらしくて驚いた顔をしていた。
「人の好意は素直に受け取るものよ聖人。」
「だからそれが迷惑なんだって。いい加減に俺の言いたい事に気付け馬鹿が。」
その言葉を言ったとたん博麗が怒りだした。幻想郷の要の人物と聞いたが、まだ若い餓鬼じゃねえか。
「せっかくこっちが誘ってるのに何なのよその態度は!?勝負しなさい!!」
はぁ?勝負なんて面倒くさい。勝手にやってろ。
「勝負って何のだよ?いちいち付き合っていられねえよ。」
「弾幕勝負よ。」
こっちの意見は無視か。
「霊夢、やめなさい。」
八雲はそう言ったが、博麗は聞く耳を持たなかったらしく霧雨の所に行った。
「紫は黙っててよ!!魔理沙手伝いなさい!!」
「はぁー、仕方ないな。霊夢を怒らせたお前が悪いんだからな!!」
霧雨は仕方ないって感じだったが、目はちゃんと怒った目になっていた。
「そう言うお前も怒ってるじゃないか。」
「聖人の態度には腹が立ったんだぜ!!」
だったら引き下がれよ。行きたくねえ人を無理に誘うんじゃねえよ。常識ってもんがないのかこいつら?
「おいおい、2対1かよ。情けねえなぁ。」
「そんなの知ったこっちゃないわ(ないぜ!!)!!」
どんだけ頭に血が登ってんだよこいつら。
「「さぁ、覚悟はいい!!?」」
勝負を避けれそうにもないな、はぁ、売られたケンカを買ってやるか。
「いつでもどうぞ。命の取り合いをしたことがない奴らに負けねえよ。」
その勝負とやらはごっこ遊びみたいなもんと聞いた、こっちは命懸けの勝負は経験してんだよ。
「その口調も腹立つわね!!」
「同感だぜ!!」
こんな安い挑発に乗るのかよ、まあ少し構ってやりますか。
「いつでもどうぞ。」
霊夢と魔理沙に勝負を挑まれた聖人、果たして勝機はあるのか!?ちなみに作者はこの状況になったらすぐ土下座しますね(笑)




