決戦3
妖夢side
私は今絢斗さんと対峙している。
はたして本当に勝てるのか、不安で仕方がな
かった。
私が不安で震えていると、
[大丈夫だ、わしもついている。]
お爺ちゃんがそう優しく言ってくれた。
この言葉を聞いて私の震えは止まった。
[行きますよ!!]
そう言い私は地を蹴り、絢斗さんに近づき刀を
横に振るった。
だけど、絢斗さんは慌てず、刀を使って私の攻撃
を受け流した。
[ふん!!]
絢斗さんは隙が出来た私に向けて攻撃してきた。
[しまっ!]
私は反応出来たが、動くことは出来なかった。
このままでは当たる、そう思ったけど、
[なんの!!]
お爺ちゃんが受け止めてくれた。
[妖夢!一旦下がっておれ!]
[は、はい!!]
私はお爺ちゃんの言うとおりに下がった。
私が下がったのを見て、お爺ちゃんは絢斗さんに
攻撃し始めた。
[腕は落ちておらぬようだな。]
[ぬかせ!]
お爺ちゃんと絢斗さんの刀の斬り合いは凄まじ
かった。
私でも、目で追い付けなかった。
[す、すごい…]
私は夢中で二人の斬り合いを眺めていた。
しかし、しばらく経つと、絢斗さんが押され
始めた。
[もうへばったのか?]
[うるせえ!]
絢斗さんはそう言いスペルカードを取り出した。
[人符 現世斬!!]
そう言い絢斗さんは超速の居合い斬りを放った。
けど、お爺ちゃんは慌てずに、
[それは相手がもう少しへばった時に使うものじゃ!]
お爺ちゃんは絢斗さんの居合い斬りをかわして
峰打ちを放った。
[があ!!]
絢斗さんはお爺ちゃんの峰打ちを喰らって地面に
倒れた。
私はこれで勝敗がついたと思った。
けど……
[ムグッ!!]
[お爺ちゃん!!]
お爺ちゃんはかわしたはずなのに右肩に斬られた
跡があった。
[絢斗、何をした?]
お爺ちゃんは息を荒くしながらも絢斗さんに
言った。
絢斗さんは立ち上がりながら、
[何って、右腕で居合い斬りをしたあとに、
左腕を使って斬ったんだよ。]
見ると絢斗さんの左手にはもう1本の刀があった。
[油断したわい。]
お爺ちゃんはそう言い刀を右手に持った。
けど、
カラン…
[なっ!!]
お爺ちゃんは右手に刀を持った瞬間に刀を落とし
ていた。
[お爺ちゃん!!]
お爺ちゃんは苦虫を噛み締めた顔をして、
[絢斗、右腕の神経とかを斬ったな?]
お爺ちゃんがそう言うと絢斗さんは
[そうだ、お前の右腕に使う機能を斬った。これで右腕は使えない。さらに霊力で再生させないようにしてある。]
そう言い絢斗さんはお爺ちゃんに突っ込んできた。
[させない!]
私はそう言いお爺ちゃんを守るために防御の
構えをした。
けど、絢斗さんは気にもしないで、
[邪魔だ…]
そう言い構わず斬ってきた。
私はそれをガードした。
けど、感触がいまいちだった。
[??]
私は疑問に思っていると、
[未熟者…]
そう絢斗さんが言った途端、私の体全身に切り傷
が刻まれていた。
[あぐ!!]
私は予想以上のダメージに膝をついてしまった。
[どう……して?]
私はそう思っていると
[お前が俺の攻撃をガードしたあと、安心した時を
狙って刀を離して、もう1つの刀で斬った。]
絢斗さんはそう言い私に近づいてきた。
[1年くらい修行してたが、成長しねえなあ。
そんなやつはいらねえよ。]
お爺ちゃんはその言葉を聞いた瞬間、左手で
刀を持ち、絢斗さんに斬りつけた。
[絢斗、これ以上妖夢をけなしてみろ、
いくら絢斗でも殺すぞ…]
お爺ちゃんは殺気を込めて絢斗さんに言ったが
絢斗さんは臆することなく、
[死にかけの老いぼれが何を言ってるんだか…
そういう台詞は俺に勝ってからいいな!]
そう言い絢斗さんは刀をお爺ちゃんに突き刺して
きた、けどお爺ちゃんは読んでいたらしく、
それをかわした。
[そんな攻撃読めるわ!]
そう言いお爺ちゃんは絢斗さんに斬りかかろう
としたけど、不意に動きを止めてしまった。
[お爺ちゃんどうしたの!]
私はそう言うと、
[体が……動かぬ…]
[まあそうだろう、そこに幽霊に効く御札が張って
あるからな。]
見ればお爺ちゃんの周りに御札がたくさんあった。
[そして、動けないお前を串刺しにするのさ。
秘技 ソードレイン]
絢斗さんが指を鳴らすと、天井から大量の剣が
出てきた。
[あばよ。]
そう言い絢斗さんは指を下ろすと、剣が一斉に
降り注いできた。
[ぬわあああああ!!!]
[お爺ちゃあああああん!!]
お爺ちゃんは剣の雨によって串刺しにされた。
全身血だらけで動けるようには見えなかった。
[どうしてここまでするんですか!!]
私はそう絢斗さんに言うと
[確実に勝つためさ、それとあの方の願いを叶える
のに、あいつは邪魔だったからだ。]
私はその言葉に怒りを覚えた。
[お爺ちゃんを侮辱するなああああ!!]
私はそう言いスペルカードを取り出した。
[スペル 桜花閃々!!]
私は絢斗さんに攻撃しようとスペルを唱えて
近づいた、
だが、
[甘い…]
[な!!]
絢斗さんはいつの間にか私の体に動きを封じる
御札を張っていた。
[いつ…張ったんですか?]
[お前に攻撃した時に張ったのさ。]
絢斗さんはそう淡々と言った。
私は必死に動こうとしたが、封印の力が強く
びくともしなかった。
[お前も妖忌と同じにしてやるよ]
そう言い絢斗さんはさっきのスペルカードを
取り出して、天井に大量の剣を作った。
[お爺ちゃん……ごめんなさい…]
[師弟そろって同じ結果とは…皮肉だな…]
絢斗さんはそう言い剣を落とした。
私はせめてもの足掻きで痛みに耐えようと
目を閉じた…
ドサザザザ!!!
[………………]
しかし、一向に痛みは襲ってこなかった。
[???]
私は疑問に思っていると、
[ギリギリセーフ…ではないか…]
目を開けると、聖人が目の前に立っていた。
[聖……人]
[悪い、遅れた。]
聖人はそう言うと私の体に張ってある御札を
右手で触れた。
その瞬間に、御札の効果が切れたらしく、御札
が崩れ去った。
[大丈夫ですか!!]
声のした方を向くと早苗さんがこっちに走って
きた。
[大丈夫……です。]
私はそう言うと、
[良かった…]
早苗さんは嬉しそうに言った、すると聖人が
[早苗、妖夢と妖忌の治療を頼む!!
出来るよな!]
[出来るけど…聖人は何をするの?]
[俺は時間を稼ぐ、最低でも妖夢だけでも動ける
ようにしてくれ!!]
[どうしてよ!!]
[純粋な剣の勝負だと、絢斗が有利なんだ!!
勝つには妖夢の力が必要なんだ!!
わかったか!!]
[わかったわ!]
そう言うと早苗さんはお払い棒を持って霊力を
溜め始めた。
聖人side
早苗にはああ言ったが、本当に時間を稼げるかも
不安だった。
いいとこいって15分くらいか…
でもやるしかねえ!!
[さあ来いよ…]
俺は絢斗にそう言いった。
絢斗は刀を閉まって居合い斬りの構えをした。
そして俺に向けて突っ込んできた。
[避けるのは間に合わないか…なら!!]
俺は刀を2本抜き、刀を十字の形にして居合い
斬りを防いだ。
こうすることによって、絢斗の左手の攻撃も
防げるからだ。
[ちっ…]
絢斗から舌打ちが聞こえてきた。
防がれたのに腹がたったのだろう。
[なぜ絢斗は謙治に加担するんだよ!!]
俺は絢斗に向かってそう言うと、
[謙治は俺の何もかも分かってくれた!!
なら俺は謙治の願いを叶えるまで!!]
そう言い絢斗は斬りかかってきた。
右手を使い、絢斗は刀を横に振るった、それを
俺はしゃがんで回避する。
しかし、絢斗はそのかわしかたを読んでいたのか、
左手で俺に斬りかかってくる。
[くそ!!]
俺は咄嗟に能力で刀を作り絢斗の攻撃を防ぐ。
そして、俺は距離を取るためにバックステップ
をする。
[何もかもって本当に理解してくれてるって
思っているのか!!]
[ああ!! 少なくともお前よりな!!
俺の苦しみはわかるはずない!!
俺の好きだった人がお前に関わったことによって
死んでいった苦しみをな!!]
俺はその言葉を聞いて、固まってしまった。
[まさか……お前……]
[そうだ、お前の思ってるとおりだよ!!]
絢斗はそう言い距離を詰めるために、
[剣技 刺突。]
高速の突きを放ってきた。
速すぎるので俺は刀でガードしても駄目だと
思ったので、
[想符 二重結界!!]
霊夢のスペルを借りて防ぐことにした。
突進を止めることは出来たが、同時に結界も
壊れてしまった。
俺と絢斗は斬り合いながら、
[俺はあのとき亜美の事が好きだったんだよ!!
それなのに、どうしてお前と関わったばかりに
殺されなきゃいけないんだよ!!]
[俺だって好きに殺したわけじゃねえ!!
確かに俺のせいかも知れない。
けど、その怒りを俺に向けるのはおかしいとは
思わないのか絢斗!!]
[お前だけじゃねえ!!
世界の理不尽さに怒ってるんだ、それなら誰かが
上から暴力で仕切ればこういうことは
起きなかったはずだ!!]
[そうしても何も変わらない!!
いい加減に気付けクソヤローが!!]
俺と絢斗は叫びながらも攻撃しあっていた。
だけど、俺は持久戦は苦手なので段々押されて
きた。
俺の体はあちこちに切り傷があったが、絢斗の
体はほぼ無傷だった。
[(あと持っても2分が限界だ…)]
さっきの早苗との戦いで傷を負っていなかったら
もう少し稼げただろう。
治療したとはいえ、正直きつかった。
けど、そんな弱音を吐いてる場合じゃないと、
俺はそう思ってると、
[俺はお前らを殺して過去にけりをつける。
そして、未来を掴む!!]
[そうかよ、勝手にしな。
けど、お前を止めたいって思ってるやつは
どうするんだよ。
前に絢斗が言ったよな?
それをお前がしてどうすんだよ……]
俺はそこまで言うと、
[もう大丈夫です。]
妖夢が俺に近づいてきた。
[妖夢、あとは頼む。]
[本当に絢斗さんを止めれるんですか?]
[お前なら出来る。]
そう言い俺は妖夢にバトンタッチをした。
再び妖夢side
私はなんとしても止める!!
絢斗さんを止めて見せる!!
その思いで絢斗さんの前に立った。
[俺を止める気か…]
そう言い絢斗さんは刀を構えた。
[お前には俺の気持ちがわからない。]
[いえ、そんなことありません]
私は絢斗さんの言ってることを否定した。
[んなわけねえだろ!!]
[確かに私は詳しく知りません、けどこれから
知ってみせる。
そして絢斗さんの支えになる!!]
私はそう言った。
今言った言葉は本当にそう思ったのだ。
知らないと始まらない、だったら知るしかない。
その苦しみを共に背負っていけばいいと。
[ふざけるなーーー!!!]
そう言い絢斗さんは突進してきた。
私は慌てずに一枚のスペルカードを取り出した。
[お爺ちゃんから教えてもらったこの技!!今こそ使う時です!人鬼 未来永刧斬!!]
私は絢斗さんの突進をかわして、攻撃した。
[(本当に止めて欲しくないなら、涙なんて
流さないはず、自分のやってることを正して
ほしいからこうしたんだと思う。
本当に止めて欲しくないなら、絢斗さんは
2本の刀を使っていたはず!!)]
左手は刀を持っていたが、お爺ちゃんと居合いを
した時や、私のガードをすり抜け、攻撃する時も
本当ならあそこでとどめをさせたはず。
けど絢斗さんはそうしなかった。
[があああああ!!!]
私は本気で絢斗さんに攻撃した。
計12発の斬撃、絢斗さんに全て当てた。
絢斗さんは地面に倒れる時に小さな声で私に
こう言ってきた。
[止めてくれて……ありがとよ…]
私は息を吐き、刀を締まった。
[絢斗さん……しばらく頭を冷やしてください。]
私はそう言った、そのあとに聖人と早苗さんが
こっちにきた。
[お疲れ妖夢]
[お疲れ様です。]
聖人と早苗さんはそう私に言ってきた。
[ありがとうございます、聖人達がこなかったら
終わっていたでしょう。]
[間に合って本当に良かったよ。]
[あの、お爺ちゃんはどうなりました?]
私はそう言うと聖人は、
[俺の作った空間で、安静にしてもらってるよ。
その近くにも絢斗を入れるさ。]
聖人はそう言うと刀で空間を斬って絢斗さんを
抱えて、空間に入っていった。
しばらくすると戻ってきた。
[さて、残りの人達のところに行きますか。]
「聖人!!お爺ちゃんは!?」
「俺の作ったスキマの中で休ませてるよ。」
「良かったです。あれだけ剣が刺さっていたので死んだかと思いましたよ……。」
「でも、妖忌さんなら絢斗君を止めることは容易なんじゃないんですか?」
「ん?あのじいさん手加減してたんだよ。」
「「えっ?」」
「どうせ自分が止めても意味がないって思ったんじゃないか?だからあえてやられたんじゃない?」
「本当にそうなんですか聖人?」
「あのじいさんを殺すなんて俺でも無理だよ。本気なんて出されたら3分も持たねえよ。」
「妖忌さん強すぎません?」
「そりゃそうだろ。時間も斬れるし、距離も斬れるし、何でも斬れるからな。」
「チートじゃないですか……。」
「妖夢にはめっぽう弱いけどな!妖夢の微笑んだ顔を見た時、昇天しそうになってたし!」
「聖人、そんなこと言ってもいいの?」
「流石にあんだけ剣が刺さっていたらな、少しは動けないだろう。だから大丈夫だ、問題ない!」
「ほぅ、わしの前で言うようになったではないか。」
「あるれぇ?お体の方は?」
「もう治ったわい。さて、こっちに来ようか?」
「お断りしま~す!!」
「させぬぞ!!」
「待て落ち着くんだ!!後悔はしてるけど反省はしていない!!」
「わしの本気、1発くらうがいい!!」
「うわっ!!何する!?やめっ!(ピチューーーン)」
「……聖人でさえ容易に倒すんですね。」
「そろそろ終わりましょう。次回も見に来てくださいね!!」
「フーー、スッとしたわい!」
「妖忌……、やり過ぎ……。(ガクッ)」




