7-2. 長老とベテラン (新規追加
※情報補完と他の為、新規追加いたしました。
「そうじゃの~、あれはワシがまだ若くして魔王陛下の将軍をしていた頃・・・」
おじいちゃん、その話もう今日8回目・・・。
足が痺れてキツイ僕、正座中のオークです。ああああ~うっ。
この集落に【オークロード】が居ました。教師兼村長のような役割のようです。
実権は、略奪部隊に握られているようですけどね。お飾りです。
その日ちっちゃいオークが、広場の一角に集められるてるのに気づいた。
そして、年老いたオークが一体。
あっ青空教室か!閃いた、そして、オークの記憶の中の『いやだ』という気持ちと共に。
他の大人なオークは、ブーブー周りから離れだした。みんなそうなんだw
自分の記憶にもほとんどないので、近くで聞いてみた。
ふむふむ。
母音があって、子音っと、ローマ字に近い。
単語教え始まったが、動きで教えてるからか、物騒なのが多い。あとは繰り返し。
あっ、そうか文法は『SOV型』なんだ。
ふう、この集落で一番流暢に話すオークだ。
【種族】オークロード Lv.??
オークロードが種族名だから他種族扱い表示のようだ。他種族なのか・・・。
とりあえず、年老いたオークロード、こんな近くに良い情報源がありました。
この日から、暇があるとこのオークロードに話しかけていた。
最初は威嚇されないかひやひやしたが、暇なのか、話し好きなのか、ぼっち?
いつも、こちらの質問に付き合ってくれた。あれは?木。あれは?火と。
今日は、集落の離れのオークロードのちょっとマシな家屋の近くだ。
おおー、本らしき物を見せてくれた。ココでなら見ていいとの事。
手書きで写した帝国語の教材のようだ。親切にも絵付きだ。あるんじゃんこーいうの。
そういえば、やたら覚えがいい。
オークって頭いいのか。空っぽだからなのか。何か作用しているのか。
1年経っていない生後間もない脳だからなのだろうか。まあ、ラッキーと思うか。
なんとかかんとかヒヤリングも形になってきた。
オークロードのじいさん、質問しない時は『将軍だった昔話』をエンドレスで繰り返す。
いい勉強の教材でした。
たまに、他の本も見せてもらったが自分の自伝書って・・・誰がよむん。
しかし、自ら進んでこんなに熱心に勉強したことあったかな。ふふっ。
エンドレス昔話の合間に聞いたので意外に難航したが、ちょっと情報も手に入った。
魔王軍の話や世界だ。北部に広く拡がる『エマダクリ魔王帝国』。
現在、魔王トレイター2世さまが在位しているらしい。
そして他の国家。一番近くの国家は『デボーン王国』で冒険者を利用して戦線維持。
『ペルシュロン真帝国』と『ケルヴァルケス王国』は数年まで激しく戦端を開いていた。
中立を取る、戦闘に耐えられない小国家群の共和国連合と弱小国家。そんな感じらしい。
他の大陸という話が全く出てこない。天動説じゃないだろうなこの世界。
あとこのオークの集落についてだが、魔王配下オークロード管轄らしい。
長老や略奪部隊は、そこから派遣(下手すると左遷)されたらしい。
オーク新兵の飼育が仕事らしい、そうはっきり言いやがりました。
はい、捨て駒生産工場確定です。当確です。
ちなみにオークロードは『ハイオークシャー』種から、ほとんど輩出するらしい。
この集落は、『ランドオーク』種、もっとも繁殖力が高く、もっとも成長の早い大型種。
他の集落には別な品種がいて、能力も違うらしい。
強靭性を強めた戦闘特化した大型種。体色は赤。別名赤豚の『デュオーク』種。
特殊体質が生まれやすい小型種。体色は黒。『バーオークシャー』種。
もっとも多い標準的オークと呼ばれる小型種。体色は白。『オークシャー』種。
他にも、魔王軍管轄でない集落もあり、野良オークや雑種、変種もいるとか。
軍には組み込めないような種なので、劣化種と呼ばれて区別しているらしい。
ん?、特殊体質、黒いの、オークメイジなのか。
品種が特定なのか?
これは、一度諦めた魔法修得イベントか~この~w
ここは冷静に・・・
こっちの思惑を感づかれないように・・・。
フフッ、オーク如き、このおれさまの話術で軽く・・・
オークロードのじいさんに、我知らず語らせて見せよう・・・
「魔法教えて下さい」orz
「魔法は知らんよ~。魔法使いに聞かな~わからんな~」
「ふう、てごわい」
やはり、そんなに簡単なものじゃないようだ。魔法を侮っていた。
こーやって、気みたいなモノをギュッーとして、手の先にグググッと集めてバアン!
「魔王陛下ばんざーい!エマダクリ魔王帝国ばんざーい!ブヒィイイー!!!」
!?びっくりした。
「ブヒィイイー!」-!」-!」
あちこちから嘶いている。あっ夕飯の時間か。
***
もうすぐ、夕飯の時刻だ。略奪部隊の隊員もそわそわしだした。
そんな中、老いぼれと言葉を交わした後、近くから離れていくオークがいた。
略奪部隊のベテラン隊長がそれとなく目で追っていた。
「おいっ!」
「ブヒィ!? どうかしましたかの~」
「今の新人はなんだ」
「はあ、新人はあとからあとから増えますですのう~」
「グアアァー!違う!」
「今日は酒はありますですかの~ぶひひひ~」
「この、オイボレがー!」
「ぶひ!?どうしたんですか?隊長」
「隊長?」
「うるさい!ブヒイィイイーーー!」
もう先程のオークは見当たらない。新人オーク達の餌の取り合いで騒がしい。
些細なことだ。
俺はいつか原隊に復帰し、再度魔王様の前で指揮をとるモノなのだ!
あの能無しの貴族どもがぁ。
「酒だ!!」
そのオークのことは、頭の片隅に追いやられた。
ある日の夕餉の、風景。