7.魔王軍 (改訂
今日もオークだよ。豚だよ。ブヒだよ。
驚くほど、オークは育つのが早い。
自分が生後どの位かわからないが、自覚して3ヶ月。
すでに身長は2m以上あるんじゃないだろうか。
それでも大人オークには頭3、4個分位足りないんだけどね。
それと最近、また新しい仔オークが20体ほど生まれたようだ。
かなり多産だ。
これで集落を保つ事ができるのだろうかと思った。
案の定、というか『間引き』とは別な方法もあったようだ。
大人オークと同じ体格まで育ったオークが、装備を与えられどこかに連れて行かれた。
その日は、またも【オークロード】と武装した10体の【オーク】が集落に来ていた。
フルプレートやチェーンメイルに身に包み、ハンマーやメイスを掲げ完全武装し整列。
その武装したオーク達の前に、オークロードが偉そうに立つ。
権力の誇示?その前に、集落のオークが集められる。
オークロードが、ブヒブヒではなく流暢に演説しだす。
帝国語で気分良く演説してる。集落のオーク達、わかってんのかな。
拳を突き上げて、叫びまくっている。
内容もわからないんじゃ、戦意高揚もないだろうと思うんだが、どうだろう?
「われわれは!****トレイター********~
****魔王軍**ブヒー!****、*** ******フゴォ~」
『われわれ』とか『魔王』とか『すすむ』というような単語は確認できた。
バカじゃないよ。語彙を増やす機会がないんだよ。ほーんーとーうーだよー。
みんなブヒブヒで喰う寝る喰うだけなんだよorz
飽きてきたのか、周りのオークがブーブー騒ぎ出した。
武装したオークがすかさずなんか撒いた。肉だ。大量の生肉のぶつ切り。
みんなに肉が振舞われた。
「魔王軍ばんざーい!オークロードばんざーい!」
「ブヒィイイーー!バンザーイ!」
オークロードは満更でもなくにやけ、みんなブヒブヒ喜んでいた。
僕は肉を食いながら、オークロードの金ピカ貴族風の格好を見ていた。
なるほど、とりあえず胃袋を握るわけねw オークには確実だね~。
おや?隊列の中にオークじゃない者を見つけた。
オークロードの真後ろで、影のように黒騎士が立っている。
あらやだ、ちょっとかっこいい。
人の様な姿で、目は赤く髪は水色、悪魔然とした角が頭の横についていた。
黒いマントをしている。
指ぬきなガントレットしてる。厨に・・・魔族ってやつか。
あー、顔歪めている。仕方なくなのね。うわー蔑んだ目で見てる感じバリバリ。
やっぱり、ファンタジーありきのモンスターいっぱいいるんだね。
きっとミノタウルスとか、オーガはいたし、ドラゴンとかすげー見てみたいw
あれっ?・・・オーク、捨て駒確定じゃね。
と、心でつぶやいた。
その日のうちに、別れの言葉もなくオーク達を連れどこかにぞろぞろと戻っていった。
そいつらの背中が見えなくなるまで、頭の中にはあるメロディがいつまでも流れた。
『ドナドナド~ナ~』と・・・。
やばい、やばい。
最短でも3ヵ月後には、自分の番ってことか。
略奪部隊に入るというのも考えた。
だが今の所、部隊オークの入れ替わりをみたことがない。難しいだろう。
この集落は、捨て駒生産工場という事か。
・・・だろうな。
・・・だが、捨て駒はごめんだ。