表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

6.便利 (改訂

 林檎のような実を木から直接もいで、かぷっと齧る。程よい酸味と少し甘みが広がる。

今日も天気がよく、気候も温暖だ。

裸でも元気いっぱい、オークだよ。ブヒ。


 やっと最近、集落の外でのソロ狩りの許可が出た。

しかし、棍棒で何を狩れというのだろう。

大きな体躯を揺すって、森の奥に入っていく。


 この辺ならいいか。

湧き水の淵に座り込む。

 先に言っておこう、魔法の修得はできなかった。

いや、わからなかった。

集落に魔法使えるオークはいないし、他の語彙の少ないやつらじゃ・・・すぐ諦めた。


で、変わりになんだが・・・凄いアイテムを手に入れた。



 エルフの人の装備や金ピカなのは殆ど取られたんだが、一つだけゴミ捨て場にあった。

誰も欲しがらなかった、薄汚い皮袋。

 ふと、思い出すと違和感があった。

何故この装備だけみすぼらしいのか。

なぜ、あの姫と呼んでも違和感の無いエルフが装備していたのか。


・・・推測する。


・・・期待する。


・・・ごくっ。


ゴミ捨て場で、震える指で、その何も入っていないような皮袋を摘み上げた。


・・・で、どうやって使うんだ。




 湧き水を手で掬って飲む。うまし。

右手を開いて手の平を上に向ける。

集中する。言葉に出さず、思う。


『革の水袋、出ろ』


何もなかった右手の上に、栓の付いた革袋が突然現れる。

ニヤッ、推測通りのアイテムだった。


10cmX10cm位の皮袋で中には何も入っていない。

中を見るとなんか魔方陣が描いてある。

隠しておきたいので、今は前垂の内側に付けて装備している。其処しかないのだよ。


集中する。


【種族】オーク Lv.5

【階級】コモン

【職業】-

【才能】暴食、超認識、解析

【技能】採集Lv.3、打撃Lv.4、剣撃Lv.3、投擲Lv.7、索敵Lv.3


【祝福】-

【装備】前垂、魔法の結構凄い収納袋(72/255)、棍棒


いろいろ試す前に、すぐ装備すればよかった orz


 この皮袋には、拾った時点で既に24個ほど何か入っているようだった。

他人が入れた物は、取り出せないのか。

その『物体』自体を認識しないと選択されないのか。その24個は取り出せなかった。

 でも、自分で入れた物は出し入れ自由だった。

地面にある物に触れただけでは無理。

持ち上げる必要がある。片手に持てる物なら制限はされないようだ。

大きさも重さも無視されるようで、丸太一本マルゴト消えたのは流石に驚いた。


 そして残念だが、スタック出来ないようだった。

だけど、袋にまとめてしまえば収納可能のようで便利、超~便利。


 さて、湧き水を入れた袋を収納しますか。

パンパンに膨れた水袋を右手に持ち、思う。


『革の水袋、入れ』


右手から重みが消えた。



 さて、それでは今日も訓練しますか。

湧き水の反対側の茂みでガサゴソしている。


『ナイフ、出ろ』右手から左手に渡し、そして『ナイフ2、出ろ』もう一本。



黒い狼のような獣が飛び出す。

オークの無駄にすごい腕力でナイフを投擲。



ズガガ!!



 空中で飛び掛っていた狼の眉間と口の中に、深くナイフが根元まで突き刺さる。

悲鳴も上げれず絶命していた。



テレレレッテレー!


《種族レベルがあがった》



『ソード、出ろ』


 人間の使うトゥハンドソードが現れる。オークには片手で持つと丁度いい。

折角、砥石の代わりになりそうな石を探し出して、研いだのだ。

無理矢理やったら地金まで出てきたが、刀代わりにする為に研ぎまくった。

いい結果が出るといいな。


 そうそうこの皮袋、同じ名称のモノも複数収納できない。

少し名称変えるか、『2』とか付けると無理なく収納可能になる。

そして、名称が一致しないと出せない。いろいろと制約がわかってきた。



 周りの茂みから黒い狼達が威嚇しながら出てきた。次々と、四方から出てきた。

いっせいに十数匹の黒い狼達が襲い掛かってきた。



「グルルァーーー!!」

「ガーーー!」

「---!」






 もうすでに、獣・魔物・モンスターを殺す事に躊躇いはない。

やつらは、襲ってくる。そして無抵抗で襲われてやるほど、僕は怠惰ではない。

しかも倒すとレベルが上がる。自分の能力が否応無しに向上する。面白いほどに。

ゲーム的な感覚は、倫理観を上回るのか。


人間にあった時、人間が敵になった時、僕はどうなるんだろう。


・・・テレレレッテレー!


《種族レベルがあがった》

《剣撃レベルがあがった》


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ