11.魔法少女!? (改訂
※一喜一憂、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
俺が、妄想だ!
どうしてこうなったw
オークになっても脇腹の弱い僕です。ブヒ。
こんなに子供に懐かれるとは思わなかった。
これは、トト○扱いw
はっ!?赤いチビTきれば、いや豚のヌイグルミいたねたしか。
ここは「ぼく、○○○もん~」辺りを狙った方が・・・キャラクター的に・・・。
ハッハァー、そろそろ現状把握しようか。
10人位で地面に押さえ込まれてます。鎖と網で雁字搦めです。
目の前に、黒いローブを目深に被った女性が、僕の額に手を当ててます。
やばい?
***
馬車から出される時、子供が怯え僕の後ろに隠れた。
すがるのか、脇腹を刺激されて、もう、くすぐったくて・・・らめ~。
「きゃっ!?」
「ん!」
「あっ、***!」
ちっちゃい子が、僕の方に手を伸ばす。
首輪の紐を強引に引かれ、馬車の外に引きずり出される。
ドサドサ、ズザーッ
これが奴隷の扱いか。あっ膝擦りむいてる。
僕も、先がL字の長い棒が鎖に引っ掛けられ、戦士3人に引き出される。
マッチョな男戦士、暑苦しい。自分で出るって。
「あうっ」
外では今だに立てないのか、一番小さい子が無理矢理引っ張られる。
首輪の紐を持ち上げられ、爪先立ちの宙吊り状態。オッサンのいやな笑顔。
ケホッケホッとむせる。
なんかイラッとした。なんか・・・こう・・・
「ブッゴオオオオオオオォオー!!!(おっ俺はロリコンじゃねー!!!)」
違うんだ!そう、ねこ耳。ねこ耳にやられただけで、ちーがーうーんーだーー。
まじで、まじでーーー!
「ブオオー、ブオオーーー!」
ドゴン!ドゴン!
ガリガリッーガラン!ゴキャァ!ギャーーー!?
「オッブオオオーオオォォーー!!(オッパイ大ー好きーーー!!)」
・・・しまった。
騒乱状態。青褪めた人々が、ギャーギャーと僕の周りを取り囲んでいる。
あれ?鎖を引っ張っていた戦士3人がいない。
後ろの馬車もひっくり返ってる。
あーれー?
首を傾げる。ブヒ。
あ~れ~おかしいな。
首と手足の鎖を押さえられ、網を掛けられ、縄を掛けられ地面に押さえ込まれる。
ギシギシッ、押さえ込んでる戦士達の足が引きずられる。
簡単に抜けれそうだけど・・・街中に逃げた猪のニュースの結果を思う。
ブフー、力を抜いた。
相変わらず、周りは騒がしい。
押さえ込まれる僕。力いっぱい鎖やら引きまくるマッチョな戦士達。飛び散る汗。
萎える~。
おっ、ビキニアーマーのお姉さんいた。ツカツカと姿勢良く歩く。揺れる乳。
ちっちゃい子を手荒に扱ってるオッサン達の前に立って、ぶっ飛ばした。揺れる乳。
「***。*****、**」
吹っ飛ばされたオッサン達と、キョトンとしたちっちゃい子達。
ヘコヘコ頭下げてオッサン達は、僕を抑える方に加わる。
キチンとした服装の使用人らしき人に、今度は普通にちっちゃい子達は連れて行かれた。
ちょっと、ホッ。きちんと扱えるようだ。
ビキニアーマーのお姉さんの所に、小太りのおじさんが小走りに近づいた。揺れる腹。
一番身なりが良いこのチョビひげのおじさん。それっぽいキャラだけどさ。
この金ピカの服装の人が、奴隷商人ご本人様~。
なにやら喚き散らしています。
ビキニアーマーのお姉さんに、つば飛びまくりです。いやらしいな~、まったく。
しばらくして、使用人らしき人に連れられて、黒ローブの人が今度は来ました。
今度は、奴隷商人さんは黒ローブの人にも喚き始めました。
やれやれと、黒ローブさん。よく見ると若い女性?
「***、**** *******?」
オークの額に当てた手を戻し、再度奴隷商人さんに声をかける。罵声が戻ってきた。
ふ~、とため息。ザッと構える。
黒いローブがはためく。
前髪が乱れる。・・・おっ美少女。
目前に木製の杖をかざす。・・・魔法使いか。
ここまで運んで来て、殺す事は無いと思う。あくまでも利用価値がある限り。
奴隷の首輪を付ける為?洗脳とか暗示だろうか?抵抗するか?
それにしても、問題はその杖・・・
木製だが、やたらピンクの杖を頭上にかかげる。
・・・先端に嘴の様に赤いクリスタル。
両脇に白い翼が付いた意匠。
ファンタジーの魔法使いらしくない、派手な杖。
いや、逆に合ってるのか?
懐から、美少女は何か出そうとしている。
まさか!?
頭のアホ毛が揺れる。
僕は、「それって、どこのカードキャプタ~!!」と心の中で叫んだ!
***
魔法はやばい。逃げるか。殺されてはたまらない。
ギシッと力を貯める。いつでも振りきれるように・・・。
「攻撃じゃないですよ」ニコッ
なに!?黒いローブの魔法少女に帝国語で笑いかけら、目を見張る。
黒いローブの魔法少女は、手元のカードのような金属板を杖で叩く。
パアン!とカードが弾ける。
弾けた粒子が、魔方陣のような幾何学模様を形成する。
ゴオバァー!と白い光が溢れる。
目の前がホワイトアウトし、意識が・・・。
一瞬、頭辺りが麻痺したような、痺れのようなものが走った。
目の前に色が戻ってくる。
「****、*****!!」
喧嘩をしているような、だみ声が聞こえる。
「***、キンカー殿、幾ら希少種でも所詮オークです」
おー、ビキニアーマーのお姉さんの言葉がわかる。
「うるさい!!犬並みでもいいから、こちらの命令を理解できればいいんだ!」
「ですが、オークに金貨一枚もする魔法を施すなんて・・・他にも必要な物は」
いまだに地面に押さえ付けられたまま、キョロキョロする。
帝国語でない聞いた事もない言語なのに、耳に入った瞬間に理解できる。
まるで字幕でも見るように、意味がわかる。
「おおー!おい!オーク!ワシがお前の主人だ!わかるか、わーしーがー主人!!」
「・・・」
「ワシの話がわかったら鳴け!おい!ほら!鳴け!ぶひー!こうだ!ぶひー!」
無視。キョロキョロ。
こんな魔法もあるわけか、補助魔法ってことなのかな。勉強意味ねーなー。
「おい!魔術師ギルドの非常勤魔術師!これはあれか、失敗なんだろ!!」
黒いローブの魔法少女が億劫そうに答える。
「魔法が効力を発揮する時の魔法光くらいなら、ご確認いただけましたよね」
「なっ、おいっそこのお前、首の鎖押さえているお前!
見たか光、見なかったのか!どうなんだ!!」
「私は金貨1枚、料金分の、翻訳魔法、初級を、オークに、施術しました~。
ギルド指定のカードが~、消失したのが証拠で~すぅ。私のお仕事はここまでで~す」
「きさまー!ばかにするのか!
私を、このデボーン王国オルド市一番の奴隷商人キンカーと知ってー」
「元ですよね~」
「たった一年じゃー!あのアンガスの小倅なんぞ、すぐにひきずり降ろしてー」
説明台詞いろいろありがとうございます。確かに修得したというより翻訳だ。
黒いローブの魔法少女が、近づいてしゃがみこみ、オークの耳元に囁く。
「ふう~まいちゃうわよね~。ねえ。君、帝国語わかるんだよね~」
帝国語で話しながら、顔がもっと近づく。
キョロキョロ、ふーふふふーん。
「・・・」
「・・・便利な魔法でしょ~。ただね~魔法を書き込むためにね~。
記憶をね~・・・うわっ、君、なにそれ!?そんなことまで、そんな!え~」
びくっ!え!?なに!記憶?前世の事?何を見た!!まさかあれか!あれは駄目~!!
にやーっと口角が上がる。
クルッと立ち上がり、耳元で小さく囁く魔法少女。ヒヤリとする。
「そうかそうか~。ビクッとするのか~。たのしいな~。帝国語じゃないのに~
頭いいね~、犬の真似事くらい簡単だよね~。みんな丸く収まるように、さあ~」
黒いローブの魔法少女と目線があう。
茶髪に翡翠色の眼、負けたかな?
「あーそうだ。ちなみに嘘だよ。翻訳魔法じゃ記憶は見れないの~。安心してね~」
黒いローブですでに眼は隠れ口元だけ口角をあげ、帝国語じゃない言葉で話された。
「おい!どうなんだ!使えるのか?ん!」
「それでは、またの魔術師ギルドのご利用をお待ちしております~」
「おい!こら!!まてー」
奴隷商人のキンカーさん叫びながら、まだ追いかけていく。
魔法少女は、黒いローブを颯爽と翻して帰っていく。手をヒラヒラ~。
なんか、僕に手を振ってるようですけど。
しかたがない、『ワン』と鳴く練習でもしましょうか。