10.隷属、獣人 (改訂
ガラガラガラー
フフフッ、子供ってすごいね。僕オークだよ。ブヒ。
「***、*****?」ニコッ
僕も首をちょこんと傾ける。はあ、言葉わからないよ。
何が気に入ったのか、僕のお腹に張り付いている子。
太ももに乗っかってる子や、寄りかかってお昼寝している子達。
油断しすぎじゃないだろうか。苦笑。
***
ガツッ、ガツッ、ガラガラ、ガラー
朝からずっと、馬車に揺られ身動きできない狭い空間。
暴れないオーク。
子供だからか、いつまでも緊張が続かない。
一番小さい子がぼーっと見上げていた。他の子も少し弛緩していた。
ガラガラ、ゴッ、ゴッゴットン!
馬車がすごい跳ねた。子供がこけた。
こけっ、ふわっ、ボフ!
あぶな、僕のお腹がクッションになった。
他の子も、僕の体に寄りかかってしまった。
「っ-!?」
声にならない悲鳴。青ざめる年長だろう娘達。
「***!ふかふか~」ぼよん!ぼよん!
「**、な~」ぎゅー
「・・・!」ぴとっ
無邪気な小さい子達。
恐怖で動けない年長さん二人。
ヌイグルミじゃないんだけどと苦笑せざる負えない、ぺたぺた触る小さい子達。
ぺたぺたという音だけが響く。
いつまでも危害を加えないオーク。
・・・緊張が解けたというよりは開き直ったのか。
年長二人も恐る恐る触っていた。
人肌が恋しいのか。ふくよかな体が珍しいのか。
危機感たりないよ~と思う。
まあ、暴れないけどね。
近くになったのと、怯えなくなったので気づいた。
この娘達、獣人だ。ちょっと違う可能性もあるけど、あまりにも人間的過ぎるから。
髪を洗った事が無いのかちょっとゴワゴワっぽい。
しかも伸ばしっぱなしだったので、とんがりが耳とは思わなかった。
殆ど人間だ、顔も人間。頭だけ動物とか、毛深いとか、手に鉤爪とかはない。
猫耳っぽい娘4人と、うさ耳でロップイヤーのような垂れ耳。
尻尾もあるようだ。麻袋のようなワンピースの裾から見えた子がいる。
くおーーーーっ
なま猫耳に感動しているんだが、触ったらまた怯えられそうで手を出せません。
ぴくっ、ぴくっ
~~~っ!
目で追ってしまう。なまぬこ耳が動く。
日本人の遺伝子には、猫耳好きが刻まれているとでもいうのかーーー!
・・・今、オークだけどね。
日本サイコー!
・・・ここ異世界だけどね。
本当なら感動で悶え死ぬるのだが、・・・この子達みんなガリガリ。
厳しい現実があるんだな。
捕まった。
売られた。
どちらにしても存在する奴隷制度。
生温い僕の倫理観じゃ、同情しかできない。
・・・おっと、僕も同じ奴隷でした。
僕には、首と手足に鎖が巻かれている。
鎖の根元は馬車の壁の四隅と天井に繋がって、外に巻き取られている。
獣人の子達は、首に金属製の首輪。首輪には紐が繋がっている。
かなり紐が長く余裕がある。
切れそう。
それと、首輪には赤い丸石が埋め込まれている。これがそうか。
僕に比べて、この子達の拘束がぬるいのは。
魔法があるし、お約束過ぎるよ。
という事は、オークに合うサイズの首輪が無かったのか。
ガラガラッ、ゴトッ・・・カラカラカラッ、カカッ、カカッ!
馬車の音が変わった。
窓枠から見える木々が減ってきた。
ガヤガヤと、喧騒も聞こえてきた。
夜間は、野営していたようだが、二日走り続けどこかに着いたようだ。
ここが終着点なのか。
奴隷商の馬車が止まる。
ギギッと、閉ざされていた扉が開く。
子供たちよ。その辺りはデリケートなので触らないで~。
ちょっ、らめ~。