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8-2.一瞬の交差 (新規追加


※情報補完と他の為、新規追加いたしました。




「キシャーーーーーーーーー!」


「ちょ、あなたは、帝国語、わかりまするですか?」


「キシャーー!」「キシャ!」「シャーーー!!」


 駄目だ。

モンスターは駄目だ。

言葉通じないし好戦的だ。

もう、ここがどこの森かわからない~。


 表皮が灰色でテカテカした石の様に硬そうな鱗のリザードマン3体が、威嚇してきた。

しかもこの辺りはやたら死骸が多い。血の匂いが凄い。これで興奮しているんだろうか。

いったいなんの跡だよ。森を縦断するように木々がなぎ倒されている。

はっ!勇者フラグか! 無理ゲー。


 ぴょんぴょん無駄に反復横跳びしているリザードマンさん達。

後ろ向くとふさぎに来ます。逃がさない意思表示のようです。

グルカナイフのような短剣を両手に持ち、後は腰に革装備。ほんと、素っ裸だね。


【種族】デミリザード(グレー)Lv.24


 あー何回目でしょう。

コミュニケーションの失敗。今日は29回・・・無駄にレベルアップしています。


 オークって基本重い打撃武器装備するので、どうしても大振り攻撃なんですよ。

隙だらけなんですよね。攻撃力は十分にあるのに、当たらないし、振り回される。

雑魚相手ならいいんですけどね。

だから結構オークはカモのようで、やはり愚鈍と思われているようです。


しかも僕は『はぐれ』の一匹オーク。ブヒ。

みなさん果敢に襲ってきます。


 背中から一本2mチョイのトゥハンドソードを取り、豪快に横回転するようスナップ

を付けて投げつけます。一本、二本、三本と、ブオーン!と不吉な音で唸り飛んでいく。



「「!?」」「ギャッ!!」ドドドォゴーン!!!


一匹反応できなかったようです。遠距離攻撃、しかもオークが剣を投げるその行為に。

両足を砕き地面に突き刺さります。2匹は空中に飛び上がり回避します。

えー迂闊な。


 背中から両手で一本づつ2mチョイのトゥハンドソードを取り、肘と手首のスナップ

だけで着地点に投げつけます。投擲スキルで高確率で命中します。


ドォゴーン!!それぞれ胸と腹に根元まで突き刺さり、吹き飛ばされる。

最初の1匹にもとどめと、トゥハンドソードで袈裟斬り。ギシャーーー!?


終了かな。剣の回収しませうか。



 これとこれ、状態の良いグルカナイフ2本いただきます。

剣を回収して革紐でくくり、背中に担ぐ。左右あわせて6本のトゥハンドソード。

バサッとマントをひるがえす。

背中のマントは馬車の幌を利用。所々に木の枝を差し込めるようにしている。

輪郭の抹消と迷彩の真似事。


 服は作れませんでした。材料が足りません。前垂の上から腰に布を巻いてるだけです。

あとは背負う為の革のベルト。腰にナイフと、消耗品入れ用に小さい皮袋。

入ってるのは、食い過ぎの時に噛む木の根、化膿止めの草、幻覚症状の出る一種の鎮痛作

用の茸と・・・略奪部隊に採取させられた・・・催淫効果のある興奮剤な木の実、等。


 というように最近、武器は装備してます。

収納袋は便利なんですが、いざ戦闘時に出すと入れた状態ではなく、重心・中心が中央に

手の平に乗る。剣の場合とか、柄を握るためにいちいち持ち直す必要ができてしまった。

1アクションも2アクションも増えてしまう。

 しかも入れすぎていっぱいいっぱいです。

そんな感じです。


【種族】オーク Lv.23

【階級】コモン

【職業】-

【才能】暴食、超認識、解析、気配察知

【技能】採集Lv.9、打撃Lv.6、剣撃Lv.19、投擲Lv.23、索敵Lv.9、双撃Lv.10


【祝福】-

【装備】前垂、魔法の結構凄い収納袋(241/255)、腰布、皮袋、肩紐、マント、

    ナイフ、トゥハンドソードX6


かなりレベルアップして、技能の修練もして腕前も筋肉もついたと思うんですよ。


 でも体型が変わりません。あんこ型です。あいかわらず、お腹ブヨンブヨンです。

脂肪の下に筋肉はついてるんですけど、皮下脂肪の厚さとか変化しません。


オークの種族特性なんでしょうか。

らくだのコブみたいなものなんでしょうか。

 体力、筋力、俊敏性とかの向上は目を見張るほど実感できるんですけどね。

一日中森の中を駈けずり回っても疲れないし、

トゥハンドソードで鎧ごと切れたし、刃欠けたけど。

リザードマンごときにも翻弄されないし、


・・・オークは痩せれない!?


ダイエットは無理です。3食ほど抜いたら気が狂う程のが飢餓感が襲いました。

意識が朦朧とし、凶暴性が現れます。種族の防衛本能が働くようです。もう、しない。


痩せれない、当たりみたいな気がします。



 しかし、モンスターとのコミュニケーションは難しいんでしょうか。

この辺りのモンスターは無理なのかな、野生のモンスターだからなのか、ふう~。

人型なのにな。

 あっ、今視覚の中に動くものを確認しました。・・・もう一回だけ試そうかな。

30回目で、きりが良いしw



ザッ、近づく。みどり。しかも小さい?マントしてるし、コレはいけるかな。




ぞくっ!!


鳥肌が立った。


えっ?なにいまの?目の前には深い森の闇に吸い込まれそうな人影が、あれ?そういえば

ここは森の倒壊の終点ですね。



きゅるるるるぅ~


かわいいお腹の音がなった。



「お腹すいた・・・」


今度は、可愛らしい帝国語が聞こえた。

良く見ると翡翠色の髪をツインテールにした少女だ。黒いマントにミニスカート。

どうみても美少女だ。あれ?良くみると上品そう?



「この、食べ物、食べますですか?」


右手に林檎のような実が詰まった袋を出す。

ころころと足元に何個か転げ落ちる。



「おおーー」


と右手に持ったデカイ黒い大剣を背に戻し、少女の目が怪しく光、飛び掛ってくる。




 手元に林檎のような実が詰まった袋を抱え、木に腰掛けシャクシャク食べる少女。

僕も少し離れた所に腰掛ける。


よくみるとかなり可愛い少女だ。黒ミニスカに黒のニーハイは点数高い。

翡翠色の髪はツインテールにし、黒いリボン。目も翡翠色、それに合わせ小さいタイも

同色だ。・・・ん?可愛いからいいか。

 しかもオークな僕を気にしていないようだ。人間?帝国語がわかる人間?

あれ?見れない。集中してもわからない。



「ごめんなさいでした。

 あまりにもお腹が空いてしまって、何でもいいから襲おうとしていたんです」


「本当は私、こーいうモノの方が好きなんですv」


お好きなだけどうぞ。

なんか腑に落ちない事がいっぱいありますけど、頬いっぱいにして食べる美少女、和む~。


ガサガサッ!


【種族】デミリザード(グレー)Lv.26


離れた所にまた、モンスター。チッ、人の癒しを邪魔する。

こっちの葡萄みたいな実も甘いですよ。とまた別の袋を出して美少女に渡す。

僕は立ち上がる。



「あっ、気がつきませんでした。

 少し待っていただけますか。・・・結界魔法R=ソック、展開」


背の大剣を片手で抜き、地面に突き刺す。黒い剣の赤い線がグパッと開く。

白い眼球が三つ。銀と黄色と青の眼がグリグリ動き始める。

突き刺したところからは黒い波動が、地面を伝い全方位に拡がっていく。


・・・キシャーー!?


ビクッと振り向くと、遠くに地面から黒いデカイ杭がいくつも、はやにえのように・・・

夕日に、そんなシルエットが浮かんで見えています。こわーアンシンセンタイ。こわ~。


あーこの少女はいったい。あー日も暮れてきたし、やっと話しができる美少女にも会えた

し、このまま別れるのはー、だが色々厄介ごとにー、フラグ~・・・。


じゃ、火でもおこしましょう。まずは、僕もご飯を食べたいしね



「はい?火ですか?」


少女が上空に手を掲げ何やらつぶやく。

轟っ!と上空に5m位の炎の玉が燃え盛る。はいどうぞって、デカイわ。ポイしてぽい。


不思議そうな顔して、ヒョイ!遠くに爆裂して火柱が上がる。あー、あー、森林火災!

!?今度はエターナルブリザードですか。火は消えたが、そこら中が氷結しています。



「ご、ごめんなさい。私あれより威力の弱いのは知らなくて・・・」


魔法スゲー。ライター要求して焼夷弾飛んできて液体窒素ぶっかけたみたいだ。

 自分で火を起こす。ええ。自分で。

いわゆる『きりもみ式』溝の付いた板に硬い棒を回転させるやつ。

地面に胡坐で座って、棒で板の溝にキュルキュル摩擦を加える。黒い木屑ができてくる。

そして、煙も出てくる。少女はかぶさる様に見てくる。



「煙が出てきました!?」


赤い火種を木屑に移し、息を吹きかける。少女もフーフーしてるw ボッと火があがる。

もっと木屑を増やし、小枝を乗せ始める、どんどん大きな枝にし、石炭も入れておく。



「魔力無しで火が点きました!?

 マサツ?ゲンリ?あなたは学者さんなんですか。オークの方でそんな人初めてです」


少女は初めてらしく興奮してる。正座して焚き火と火起こしの道具を見てる。


 さて、『袋2、出ろ』そこから、木の枝を菜ばしにしたものと銅ナベをだす。

水の皮袋から水を出し、手とナベを洗う。

あ、水飲みます?はい、こんなカップで申し訳ないがと、木のカップでだす。



「あっ、ありがとうございます」両手で受け取る。興味深そうにみている。


 んー『ロース肉、出ろ』肩ロースっぽい肉を調理用ナイフで切り分ける。

胴ナベに脂身で油を引く。

10cm角の肉を胴ナベに入れ、菜ばしで器用に表面を焼いて肉汁を閉じ込める。

人参っぽいのと、林檎っぽいのを輪切りにし一緒に入れる。

香草っぽいのも突っ込んでフタをし、フタに石を乗せ蒸し焼きにする。

火種を少し散らし、火元から離し少し待つ。


 あー調味料ほしいな~。最低でも塩はあるだろう。マヨネーズほしい~。

残った肉を拳大に切り分け『マイ串、出ろ』サーベルに突き刺し、火にかける。


どれ、そろそろかな。木のカップ持ったままの少女に、お肉食べるか聞いてみる。



「焼いた硬いお肉はあまり、この果物があれば十分です」


そうか~、ナベから出した肉を2cm厚に切り、サイコロ状に切り分ける。

中心のレアっぽい所数個と人参と林檎を串に刺し、柑橘系っぽい果汁を少し振り掛ける。

じゃあ少しだけでもと、一口大のピンクの肉とかの串を少女に渡す。

僕の顔と手の中のモノを何度も目を動かし、珍しいかったのか、じゃ一口だけと口に。



「!?柔らかい。おいしいです」


ふふ、よかった。僕はマイ串のがっつり焼いた肉をむさぼる。脂身うめー。




 食後のお湯割りはちみつ柑橘しぼりをいっしょに飲んでる。

花があるから、ミツバチっぽいのいるかもと観察したかいがありました。



「ほふっ、あまいですv」


 ひとごこちついたので、少女の名前など聞いてみた。

おっと、聞く前にこちらから名乗らないとなー・・・、人間だった時の名前は違うし、こ

のオークの身体には名前があったのだろうか。記憶を探るが、思い当たらない。

大量生産の一部か・・・。



「ただのオークさんですか?ふふ、じゃー私もただのゼノビアですv」


ゼノビアちゃんか。名前を呼ぶとキョトンとしている。なんで、ふふふと笑う?

ついでに色々話した。僕は、自称冒険者として聞いてみた。



 ここは、『エマダクリ魔王帝国』と『ペルシュロン帝国』という人の国との間の大きな

森らしい。『鱗の森』・・・あー爬虫類多いもんね。

その近くには『デボーン国』、『ケルヴァルケス国』、あー以前聞いた事がある。


 彼女は『ペルシュロン帝国』に向かっているらしい。

旅行にしては一人だし、お使い?「ふふふ、そのようなモノです」とまた可愛く笑った。

まあ、いいか。誰もゼノビアには勝てる気がしないよね。僕より安全だろう。



 オーク、いや獣人が住む国があるかも聞いた。魔王帝国以外だと、『デボーン国』の奥

に小さな獣人の国が集まった共和国があるとのことだ。

『デボーン国』と山脈を越える必要があるらしい。かなり険しい山脈とのことだ。



 それと、ゼノビアに『魔法の収納袋』に気づかれた。珍しい物をお持ちですねと。



「私も24個用を持っています。私の家には他にも数個ありますよv」


そうかゼノビアの家にもあるのか。なんだ家庭全般に普及してるのか。便利だもんな。

ただ、かなり古くからのモノで新しく作る技術はなくなったそうだ。

大事にして下さい。と言われた。大事に前垂の奥にしまってますよ。



 さて、もっとも重要な内容を聞こうか。

ここは冷静に・・・

こっちの思惑を感づかれないように・・・。

フフッ、幼き少女なぞ、このおれさまの話術で軽く・・・

華麗な誘導で、我知らず語らせて見せよう・・・



「魔法教えて下さい」orz


「魔法ですか。いいですよv」



ふはははー俺にかかれば、幼き少女なぞ雑作もない。


教えて頂きました。

『こーやって、魔力をギュッーとして、手の先にグググッと集めてPON!』

だそうです。へー。



・・・



やはり、魔法は駄目なのかorz



 最悪です。僕には魔力が無いようです。

ゼノビアが調べてくれました。こう、ググッとするとわかるそうです。


 おかしいですねとゼノビアが、指を口元にあてて可愛く首を傾げる。

魔法特性が無くても、普通は少なくとも10位はあるはずだとの事。

ちなみに、ゼノビアは魔力どの位あるか聞いたら、他の人より少し多いそうだ。

そうか、少し多いのか。・・・幼い少女に気を使われた~。


でもでもとゼノビアが慌てて、装備で魔力を2倍や3倍にするのがあると慰めてくれた。

あわあわしている。ありがとね。

・・・でも、0は何倍しても0だけどね~ねぇ~ぇ~、とは叫ばなかった。



焚き火の前で、とりとめのない事を話し聞いていた。この世界での初めての人との会話。




***




 朝起きると、ゼノビアは僕のお腹の上で丸くなって寝ていた。

焚き火の反対側にいたのに、いつのまに。ベットじゃないですよ、お嬢様w

よく落ちなかったな。おれ寝相良すぎだろう。



「うにゅ~お水~」


はいはい、カップに注いで渡す。こくこく飲んでる。ぷはー。小動物的だ。

手の平に水を出してやり、顔を洗う。うーうーと唸る。あータオルとか綺麗な布ないよ。

ゼノビア、自分で何か出した。別の着替えで拭いたようだ。収納袋に着替え入れてんだ。

女の子だね。

軽く食事をした。果物と、焚き火の地面から葉に包んだ芋を掘り出した。



「ホクホクして、ほのかにあまいですv」


好評でした。サツマイモみたいなの。でも、ほのかになんだよね~。品種改良はむりだ。


 もじもじするゼノビアに、このあとどうするか聞かれた。

そうだね、『デボーン国』の奥の獣人が集まった共和国に行ってみようと思うと答えた。



「じゃあ、途中まで一緒ですねv」


と笑顔で言われた。惚れちまうだろ~。



 装備と収納と、火の始末を終える。準備できたとゼノビアに答える。

ゼノビアも着替え、剣を背に差込みソワソワしていた。



「じゃ!出発しましょう。そして、人間を滅ぼしましょうv」


テンションが上がり、笑顔で小さく腕を振り上げるゼノビア。おー・・・え?



「スマラクト・テンペスト!!」


魔法だ。ゼノビアの周りに風が回り始め、少女の身体が浮く。どんどん速くなる風。

前進を始めると、木々をバキバキと叩き折り加速度的に前進する。バキバキと・・・。


あー、こうしてできたのか。

呆けて見ていたら、道だけができて木々の倒れる音はもう聞こえなくなっていた。


置いて行かれた。




あーこれって、セーフ?



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