第二羽
実希の願いもむなしく、サキさんは10時頃まで家にいたが、
やっと帰った。
そこで、実希はようやく兄に話を切り出すことができた。
「お兄ちゃん・・・。 うちさ・・・。」
兄は‘なんだ? 話してみろ’という顔で、やさしく頷いてくれた。
実希は、その柔らかな兄の表情を見て、少し安堵する。
小さく深呼吸をしてから、実希は口を開いた。
「あの、さ、お父さん・・・、殺しちゃった・・・。 いろいろあって・・・。」
――――ブホッ!!
実希の話を聞いたとたんに、兄はむせてしまったが、落ち着きを取り戻して言った。
「――――知ってるよ。 ニュースになってたろ? まぁ、事情は聞かないとだがな。
兄として。」
兄は、ようやく話してくれたか、とやさしい笑みを浮かべる。
そんな兄を見て、実希は恐る恐るも
思い切って、今まで起こったことすべてを話してみた。
兄は、実希の話を聞いている間、笑ったり、ふぅんと言う感じで頷いたりして
最後まで、黙って話しを聞いてくれた。
「―――そっか。 大変だったな、実希。 頑張ったな。」
その優しい言葉に、実希は息を吐き出した。
今まで、知らず知らずのうちに張り詰めて息を止めてしまっていたのだろう。
(いやー、死ぬかと思ったわー。 息苦しすぎて。)
とにかく、実希は今までのことを話せて、安心した。
ふと、時計を見てみると、短針と長針が共に12を指していた。
(あー! もう寝る時間!!)
「ありがとね、お兄ちゃん。」
そう言って、実希はいそいそと自分の布団にもぐりこみに行った。
次の日の朝を気持ちよく迎えた実希は、「うーん。」と大きく伸びをしたあとに、散歩に出かけることにした。
「今日はいいそらだなぁ・・・。」
実希が散歩するコースは、毎回決まって、家のすぐそばにある緑豊かな公園だ。
歩いていると、心が落ち着く、緑がきれいな場所であり、実希のお気に入りの場所である。
実希が、小鳥達とおしゃべりしながら(?)しばらく歩いていると・・・。
大きな泉に辿り着いた。
(こんなところあったっけなぁー?)
実希が、ぼへーっとしながら歩いていると、小石につま先を引っ掛けて転んでしまった。
と、次の瞬間!
「太田実希、拘束!!」
という、凛とした声が響き、実希は数人のマッチョさんに腕をとられていた。
(あ、あれ? おとぎ話っぽいムードはどこに消えた!?)
実希は疑問に思いつつも、凛とした声の持ち主。
つまりは命令を下した人物の顔を見た。
「ハーイ、元気?」
(ももも、守屋ツナミ・・・ だぁぁぁぁ!!?)
無駄に高いテンションと、強気なその態度に思わず顔が引きつる。
(あれ、なんで、うち拘束されてんの!?)
今更気付く実希だった。
「なんで?」と顔に書いて、実希はツナミに答えを求める。
「今日はお願いがあって来たの。 お兄さんに迷惑をかけないで、お金をもうけたくなぁーい?
ウチの潜入捜査に、アナタが必要なの!!
ニワトリになれるその力、今、生かしてみない?
ま、断っても無理やりつれてくケ・ド☆」
作 M・S




