(2)
国立魔法学園。
そこには、この国にいる貴族の中でも、権力、財力、そして魔力が優れたものしか入学できない
学校だ。
そして、今日はそんな学園の入学式。
ヒロインはもちろん、私や、ゲームの攻略キャラ達も、今日、この学園に入学する。
まぁ、そんな入学式も終わり、今は、入学式後に、一時間だけ行われる授業の時間だが。
正直、授業はかなり簡単だった。
前世の記憶があるのももちろんだが、過去のユリットは、かなりの博識ということが分かった。
きっと、第二皇子である婚約者に見合った人でありたいと、努力に努力を重ねたのだろう。
そんなことを考えていると、いつの間にか授業が終わっていた。
.....さて、これからどうしようか。
これからについて考えていると、前の席で、「うぅ~ん」と唸っている少女がいる。
このゲームのヒロイン、「フェミー・クレイル」だ。
私は少し迷った後、彼女に勉強を教えてあげることにした。
「あの、もしよかったら、教えて差し」
「―何している!ユリット!」
私の声をさえぎりながら、怒号を浴びせてきたのは、婚約者である、セフィア・カタリエスだった。
「何、といわれましても、ただ彼女に勉強を教えて差し上げようとしただけですわ。」
「じゃあ、どうして彼女はこんなに怯えているんだ!?」
「えっ?」
その言葉で、彼女のことを見てみると、彼女は顔面蒼白で、唇はフルフルと震えていた。
.......どうして?わたしは、知らず知らずのうちに、彼女を傷つけてしまっていたの?
「ほら、やっぱり何かしたんじゃないか。さすがに何をしたかまではわからないが.......
大方、彼女が気に食わなかったんだろう。
光魔法が使えるだけで、平民のくせに贔屓され、婚約者である俺の興味が
彼女に行くのが嫌だったんだろう。」
.......何?この人は何を言っているの?
「この際だからはっきり言っておく。
俺はお前のことなんてなんとも思っていない。これ以上彼女を傷つけるな」
クラスメイトから向けられる視線が痛い。
あぁ、この視線、懐かしい......
私は前世で恋をした。
でも、私が恋をした相手は、女の子だった。
斜め前の席の、笑顔がまぶしい、女の子。
こんな気持ちをいったら、きもがられて、友達じゃいられなくなる。
だから、ずっとこの気持ちを押しとどめていたのに。
ー私の恋は、驚くぐらい、あっという間に終わってしまった。
ある日、私は、学校に秘密の日記帳を持ってきてしまった。
私の恋心を綴った、秘密の日記帳。
そんな日記帳は、クラスの一軍女子たちに、ばれて、あっという間に奪われてしまった。
(返して、返してよ!私が何したっていうの!)
(ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃんうるさいわね!こんな気持ち悪いこと書いて、バッカみたい!)
あははは!という、一軍女子たちの笑い声が、鬱陶しいぐらい私の耳に、絡みつく。
私の、恋はさんざんネタにされた挙句、
私の恋は、クラスだけではなく、学校中に知られてしまった。
驚くくらい、あっという間に。
そして、もちろん恋した女の子にもばれて、私は、避けられるようになったしまった。
でも、そんな情けない話、親にできるわけなくて、、、、
だんだん学校に通えなくなって、いつしか不登校になった。
そんな時に出会ったのが、「魔法学園物語~君と共に歩む未来~」と、出会った。
乙女ゲームの世界は、どの作品もキラキラしていて........
そんな中でも、魔法学園物語は、、、フェミーちゃんは、どんな作品よりも、
ずっとずっと輝いて見えた。
そして私は、どんどんのめりこむようになり、
フェミーちゃんを見るたびに、胸がどきどきして、苦しくなった。
現実では、私がかってに恋をしたせいで、相手に迷惑をかけてしまった。
でも、フェミーちゃんは、二次元のキャラだから、私が恋をしようが、
迷惑は掛からない。
そして、フェミーちゃんは、私のことを裏切らない。裏切りようがない。
実際には会えなくてもいい。そう思っていた。
フェミーちゃんは生きている。
生きていれば、嘘もつくし、人を傷つける。
私はフェミーちゃんを傷つけたくないし、傷つけられたくない。
これは、私の我儘だ。
そんなのわかってる。
それでも、これだけは伝えたい。フェミーちゃんに嫌われたくない。
そんな思いも、心の中にはあるのかもしれない。
でも、これは、今世で生きるための、私の誓い。
..........どんなに嘘をついても、後悔しても、この言葉だけは、取り消さない。
「自分が"正しい”と思ったことを貫いて、、、、
自分の好きを貫き通すことの、何が悪いのですか?」
前回は、乙女ゲームの転生悪役令嬢様は、百合ルート目指して全力で攻略中にて!略して悪百合を
読んでいただき、ありがとうございました。
今回も楽しんでいただけたでしょうか?
できるだけはやく投稿できるよう頑張りますので、暖かく見守ってくれるとうれしいです。
それでは、ありがとうございました。