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098.防御壁と教科異能刀

「教科異能刀……の在処ですか。ずいぶんと懐疑的な情報ですね。場所をしっているのであればあなた方が獲得すればよいのではないでしょうか?」

「それを譲ってやるといっている」

教科異能刀。

「教科」という異能が発現しはじめたのはこれが原因だといわれている。

どこにあるのか、そもそも本当にあるのかすら不明である。

それをあろうことか教科を悪用している異教の校長が在処を知っているとは……。

「そのお話、論外です。交渉のステージにもたてていません。そもそも我々が得られるものもなく、あなた方が得られるものもない。それを交渉とは呼びません」

「ふざけたことを言うな。我々異教は防御壁を突破するために集まった集団だというのに」

「…………」

天野は、天野は、天野は答えない。


「まあまあ、2人とも。その交渉、わしも混ぜてはくれぬかな?」

「……遅刻ですよ。校長先生」

「ふぉっふぉっふぉっ。多少は多めに見てはくれんかのぅ?天野先生。これでも教会の校長という身分での、監査の目を掻い潜ってきたのじゃよ」

「別にあなたの行動を縛るために監視しているわけではありませんよ。教会のトップという立場上、危険が及ばないようにという部下からの信頼なのですよ?」

そんなこんなで、教会の校長と異教の校長という、2大組織のトップ同士の邂逅だった。


「久しぶりじゃのう、(はらい)くん。いつ以来じゃ?」

(あかり)、あんたに会いたいと思ったことはない。用があるのは天野だけだ」

「天野先生はわしの部下じゃからのぅ。天野先生との交渉ならわしが代わってうけるぞい」

「無駄話は必要ない。それで交渉はどうだ?受けるか?」

(はらい)くん、防御壁がなんのためにあるのか知っておるのか?」

「外国からの攻撃を防ぐため、だろ?余計なことだ。それが原因でこの国は強くなることを阻まれている。自由になることを阻まれている。違うか?」

「違うのぅ。わしらはこの国を守っておるのじゃ。まだ防御壁をはずす時期ではないのじゃよ」

(あかり)、いつでもあんたはそう言う。話をするだけ無駄だ。天野、防御壁を取り払え」

「私の上司がそういうスタンスである以上、取り払うわけにはいきません。したがって、交渉は決裂ですね」

「残念だ。せっかくつゆ払いをしてきたのに明がきては無駄だ」

「ふぉっふぉっふぉっ。その通り。いくら暗くんが強いといってもわしら2人には勝てはせぬ。おとなしく帰りたまえ」

「……日を改める」

異教の校長は音もなく消えた。


「よいタイミングでした。ありがとうございます」

「何を言うか。異教の校長が交渉に来ることもわしがとめに来ることも予見しておったくせに。まったくくえんやつじゃのぅ」

「あなたほどではありませんよ。(あかり)校長」

「君1人では力ずくで防御壁を壊される可能性もあったのでな。一応じゃ、一応。しかし教科異能刀か、情報は欲しかったがのぅ」

「ご心配なく。私の部下に探させようかと考えています」

「北海道へ行った新入りにかのぅ?ちと荷が重いのではないか?」

「もちろんもっと場数をふんでからにしておきたいのですが。時間が足りないかもしれません」

「ふぉっふぉっふぉっ。若い力が育つのはいいことじゃ」

「そうですね。さて、泉先生は今頃北海道ですかね?」

さっきの張り詰めた空気が嘘みたいに柔和な空気が流れていた。

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