095.着水と合流
バシャァァァァン
生きているうちに聞くか聞かないか。
それくらいの音があたりに響いた。
結局飛行機は不時着した。
そして浮いた。
宙にではなく「鍋の上に」浮いた。
まあ浮ききらずにものすごい入水音が響いたわけだが。
「機長!足出して足!」
「足!?」
「飛行機の車輪です!僕の教科の力じゃ永遠に巨大な鍋を作り出すことは不可能です。じきに消えます」
「何!?あとどれくらいでだ?」
「……3秒くらい?」
「間に合うわけねーだろ!!!」
フッと鍋が消える。
それは中の沸騰した水が消えることを意味する。
それは飛行機が何の制御もなく宙に浮くことを意味する。
「お客様にご案内いたします。まもなくくる強い衝撃におそなえください」
ズゥゥゥンと思い衝撃が機体にかかる。
だが遥か上空から落ちるよりよっぽど軽い衝撃だ。
「お客様にご案内いたします。当機は無事地上に着陸いたしました。ですが、危険ですので次のアナウンスがあるまでその場でお待ちください。なお、お怪我をされたり、具合の悪いお客様は近くのスタッフまでお声かけください」
「疑って悪かったよ。飛行機が着陸できたのは君のおかげだ。……名前を聞かせてくれるか?」
「泉です、泉杏介です」
「ありがとう。泉先生」
感謝されるのは悪い気分ではない。
教会の一員としての任務ではなかったが、人を救う、人を守ることができた。
素直に、とても嬉しかった。
……と、まだ事件が全部解決したわけじゃなかった。
飛行機の上での戦闘はどうなった!?
「機長、あとはお任せしてもいいですか?僕にはまだ確認したいことがあるので」
「ああ、こっちは任せてくれ」
「ありがとうございます」
黒い煙をあげながらも、一応着陸した飛行機の上へと僕は出た。
飛行機の上には誰もいなかった。
4人はどこへ行った?
辺りを見渡していると聞き覚えのある声がする。
「杏ちゃん!」
「翔子か!無事だったんだな!良かった。土屋さんも無事か?異教の奴らはどうなった?」
「土屋さんは無事よ。異教の2人は殺したわ」
「そうかよかっ……た……え?今なんて?」
「だーかーら!あの2人は殺したよ!もーそうやって私の話を聞かないの杏ちゃんのよくないところ」
「…………」
「杏ちゃんは?機内の人たちは無事?」
「待て!それ以上近づくな!」
「え?杏ちゃんどうしたの!?」
「お前、何者だ?」
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