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094.鏡とタイムリミット

 鏡はあまり好きではなかった。

昔から自分の容姿があまり好きではなく、自分を忠実にうつす鏡はなお嫌いだった。

小学4年生の頃、杏ちゃんに容姿を褒められた。

単純だった私は毎日おめかしした。

化粧なんて当時の私はできなかったから(今もあんまりできないけど)一生懸命鏡を見て髪をといた。

杏ちゃんが褒めてくれる私をうつしだす鏡は前ほど嫌いではなくなった。

でも好きにはなれなかった。

自分のいいところだけをうつすわけではなく、よくないところもうつしてしまうから。

鏡はあまり好きではなかった。

なんて杏ちゃんみたいに物思いに耽っている。

だって、鏡の破片で左肩を抉られ、なお嫌い加減が増したんだもん。


 抉られた肩を押さえながら東の方に振り向く。

だけど、本物の東かはわからなかった。

鏡にうつった姿なのでは?

と、疑心暗鬼になっている。

肩の代償と引き換えに得られたのはどうやら東の作り出す鏡には東しかうつらないようだという情報だけだ。

あ、あと槍を投げて鏡が割れるのではなくすり抜けたことから、透過性があるのではないかという説も私の中で浮上している。


 ヒュンッ


「……っ!!」

鈍い痛みが右のふくらはぎを襲う。

鏡の破片が刺さってるじゃないの!

投擲もできるわけね。

鏡ってすごい。

いやいや、感心してる場合じゃないわ。

思考がだんだん杏ちゃんに似てきている気がする。

まあ好きな人に合わせられるなら悪くないのだけれど。


「ストレート!」


 ……やっぱり割れる音はしない。

当たった感触もない。


 ヒュンッ


「……ったい!!」

鏡の破片が首筋を掠める。

長期戦は間違いなく危険だ。

早く決着をつけなければ……。


「ストレート!ストレート!ストレート!」


……バリンッ


!!

今、音がした!

鏡が割れる音が!


「ホームランッ!」

バギンッという大きな音を立てて、割れた。

東が盾のように持っていた鏡が、割れた。


「やっと本体を見つけたわ!」

「……よく俺の居場所が分かったな」

「鏡が割れる音がしたのよ!それなら実体は反対側にいるってわけ!あなたはそれを悟られないように攻撃された瞬間に一瞬鏡を消して攻撃が通り過ぎたらまた鏡を出現させてたのよね?鏡が割れないように!」

「それが正解と教えるほど俺は甘くない」

「答えなくて結構!」

間合いを詰める。

さっきよりもさらに。


「ホームラン!ホームラン!ホームラン!」

バギンッ、バギンッ、バギンッと鏡が割れる。

「近接戦なら勝てると思ったか?鏡を無限に作り出せるということは、鏡の反射で自分の位置を悟られなくするだけではなく、無限に鏡の盾を作り出せるということだ」

「それはどうかしら?」

「……何?」

「あなたの力量からみてほぼ無限に防げるんでしょうね。でもそれは時間制限がない時の話よっ!ホームラン!」


バギンッ


「いくらバットで攻撃しようが無駄だ」

「……ふふっあははっ」

「何がおかしい?」

「残念ながら、タイムリミットよ!土屋さん!」

「おいおいおいおい、ギリギリすぎるんだよ」

「ちゃんと手を握っててくださいね。私杏ちゃん以外抱き抱えるの嫌ですから。途中で落ちても知りませんから」


「棒高跳び!」


 ものすごい衝撃とともに飛行機は、大きな鍋に着水した。

まるで親分がフライを作るかのような大きな鍋に着水した。

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