070.おかえりとただいま
今日で連載2ヶ月目らしいですよ。早いですね。
京都神原1-11-1。
重松先生は国語主任がいる場所を教えてくれた。
京都か……ちょっと遠いな。
少なくとも近くはない。
「翔子、翔子はどこに行くんだ?」
「私は北海道よ」
とお。
最北端に住まう保健体育主任ってどんなやつなんだよ。
「れ、麗花は?」
「東京よ」
首都じゃねぇか。
まあ、英語主任が首都っていうのはなんとなくわかる気がする。
ちぇ、結局京都に向かうのは僕だけか。
それなら「あいつ」を連れていこうかな。
「さて他に質問はないか?ないなら解散とするが」
「質問どころか大事な説明を忘れている」
小室先生が言う。
「諸君、教会の一員の証として教会証明証というものが発行される。まあ、生徒証明証、もしくはポケモンのトレーナーカードの余なものだと思ってくれ」
このお方はゲームまで嗜んでいるのか。
「おー、本格的っしょ!んで、いつもらえるん?」
「発行には時間がかかるからな。各主任からもらえるよう手配しておく」
「了解っしょ!」
「ハンターライセンスとは違って公共交通機関がタダになるとかそんな効力はもたない。教会証明証が示すのは教会の一員だということだけだ」
え、それじゃもってる意味がないんじゃ……。
「守るべきものがあるという証だ」
この人はいちいち言葉のセンスが優れすぎている。
「では今度こそ、解散!」
ふぅ、なんとか無事終わったな。
「杏介!俺はこのまま理科主任に会いに行くっしょ!ここでお別れだ」
「相変わらずせっかちだな。気をつけて行けよ」
「杏介もな!」
快斗が宮坂先輩を引っ張るように駆け出していく。
せっかちここに極まれり。
「私は網代山へ行くわ」
「お母さんに報告しに行くのね」
前者が麗花、後者が翔子。
「そう、私自身の鍛え直しも兼ねてね。だからここで一旦お別れよ」
「そっか、寂しくなるな。気をつけてな」
「ええ、杏介も気をつけて」
麗花は優雅にくるりと回り去っていく。
「んで?翔子は?」
「私は一旦家に帰りたいかも。疲れちゃったし」
「じゃあ一緒に帰るか。僕もねぇちゃんに報告しに行きたいし」
「うん、じゃあ帰ろ!」
一瞬麗花からさっきのようなものを感じたがおそらく気のせいだろう。
うん、気のせいということにしておこう。
こうして僕たちは試験会場を後にした。
帰りの電車の中ではあんまり言葉を発しなかった。
というか、疲れすぎて僕は寝ていた。
翔子が寝ていたかは不明。
最寄り駅に着いた時に翔子に起こされたからだ。
電車でこんなに深く眠ったのは初めてだ。
それほど疲れていたということだろう。
「悪いな翔子、起こしてもらって」
「いいよいいよ、寝過ごされても困るしね」
「違いない」
僕たちはねぇちゃんのいる病院へと向かった。
いつものようにねぇちゃんのいる病室へ。
ん?
病室の扉が開いてるな。
誰か見舞いに来てくれたのかな?
開いているので失礼しますとも言わずに病室に入ると、
「おかえり、杏介」
「……それを言うなら「ただいま」……でしょ?ねぇちゃんっ!」
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