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006.星とはないちもんめ

「…あなたのことは存じ上げていますよ。教会「音楽」主任、小室美咲さん」

「私も貴様のことは知っている。異教「理科」主任。名前は覚えてないがな」


「…一応聞いておきましょうか。なぜあなたはここへ?」

「これだけ炎があがって気づかないはずがないだろう。無論、事態の収拾をはかりにきた。泉がやられているとは思わなかったがな」


「ガスバーナー!」

明石は先に動いた。小室めがけて炎のレーザーが噴射される。


「かーってうれしいはないちもんめ」

小室が歌うと炎は明石の方へ逆噴射される。

「…っこれは!?」

「「はないちもんめ」だよ。小さい頃貴様も遊んだだろう?勝ったら負けた方のものをもらえるんだよ」


 自分のガスバーナーで右肩を撃ち抜かれた明石は思考を巡らせていた。

彼女の教科は「音楽」。では、はないちもんめが現実になり自分の攻撃手段を奪われたということか?

もしそうなら、取り返せるはず。


「考えてるとこ悪いけど、「はないちもんめ」は遊びだから。遊び終わったら持ち主へ帰るんだよ」

そう言うと小室はさっきまで自分が手を伸ばそうとしていた位置にいた。

「なるほど、あの枕草子使いの位置も時間が経てば、いや遊び終わったら元に戻るわけですね」


「その通り、この場は逃げさせてもらうよ」

また、小室が歌いだす。


「キラキラ光る、夜空の星よ まばたきしては みんなをみてる」


「動けないだろう?星が見てるってことは見る者もまた星のとりこになるんだよ」

「…いずれ必ず、この借りは返させてもらいますよ。教会音楽主任」


 自分の前から小室の姿が消える。逃げられた。

ファンファンファンとけたたましくサイレンの音が聞こえる。

騒ぎを嗅ぎつけた警察だろう。

警察をいなすのは簡単だが事態が大きくなるのは避けたいな…。

まあ、いい。機会はいくらでもある。

あの音楽主任がいる分、あの学校へ手は出しづらくなったが、他の教会の者を探せばいい。

教会の主任の力量を測れただけでも十分な収穫だろう。

そう考え、明石は姿をくらませた。



「ハァハァ…やっとついた!」

ようやく学校に着いた。早く、小室先生を…

と、僕と翔子は息を切らせながら明かりの灯っている職員室の扉を開けようとすると、


「小室先生はいないよ」

「!?」

急に声をかけられ、振り向くと、痩せた長身の男が立っていた。

見覚えがある。確か…

「毛利先生…ですよね?」

僕が思い出すより先に翔子が話しかける。

そうだ、1-B担任の毛利先生だ。


「毛利先生が今日の日直ですか?小室先生はいないってどういうことですか?なぜ小室先生を探していることがわかったんですか?」

矢継ぎ早に翔子が問い詰める。

「ストップ。ちょ、ちょっと質問が多すぎるな…ええと…今日の日直は僕です、はい…」

見た目通りというべきか、毛利先生は気弱げに答えた。


「小室先生はどこですか?お姉さんが…いえ、泉先生が大変なんです!」

そうだ、毛利先生のことなんかよりねぇちゃんだ。早く小室先生に伝えないと。


「ノーノー。落ち着いてください。なぜ小室先生だけを頼りにするのですか?あなたたちの学年主任だからですか?海崎さん、泉くん」

言われてハッと気がつく。

なぜこんなにも小室先生のことを頼りにしているのだろう。

翔子も虚をつかれたような顔をしている。

「バット。小室先生を頼りにするのは分かりますよ。我が一年団の教員のリーダーですからね。大雑把ですが、芯が強い。おっと、もちろん教科の力もお強い。」


「誰が大雑把だって?」

振り向くと、そこにはねぇちゃんを抱えた小室先生が立っていた。

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