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059.緊張と問答

言葉で戦う感じ結構好きだったりします。

「人間は緊張するなというと余計に緊張してしまうものだ。だが君の場合はそういうわけでもなさそうだ。緊張するな。楽にしろ。おしゃべり程度の感覚でいてくれたらいい」

そんなことできるか。

一応教会試験だぞ。

「大丈夫。この面接は教会試験に結果には一切関係ない。まあそこの椅子に座れ」

僕は知ってるぞ。

面接って大体こんな感じで「楽にしていいよ」とか言われてほんとに気を抜いて話すと落とされるやつだ。


「ふん。思っていることを当ててやろうか。「本当に楽にすると落とされる」。大方そんなところだろう」

「……まるでエスパーですね。読唇術も重松さんの能力ですか?」

「おっと、いきなり逆質問か。油断も隙もないな君は」

重松さんはニヤリと笑った。


「本当に関係ないよ。試験ですらない。ただ俺はこれから教会の仲間になるであろう君たちのことが知りたいだけだ」

「まだ最終試験が残ってますよね?」

「まあな。だが俺の見立てではほぼほぼ全員が合格すると思っている。なにしろ試験の内容を決めるのは俺だからな」

まじで某ハンターの試験みたいだな。

その年の試験官が合格といえば悪魔でも合格となる。


「わかりました。多少警戒レベルを下げます。質問になんでもお答えしますよ」

「それでいい。ではまず動機だ。君はなぜ教会に入りたいと思った?」

面接っていうより警察の尋問みたいな聞き方だった。

「……ねぇちゃんが教科のメンバーで、僕を守って意識不明の重体になりました。今は病院で寝ています。そんな姉を見て僕は僕みたいに悲しむ人をこれ以上つくりたくないと思って教会試験を受けにきました」

「姉の敵討ちというわけか。復讐は負の連鎖しか産まんぞ」


「復讐したいという気持ちがないといえば嘘になります。でもそれ以上に守りたいんです。守られるだけじゃなくて」


「ふむ。それが教会を志望した理由の根幹のようだな。君は守られてきた。だから守りたい。守る人は誰でもいいというわけか」

「誰でもいいっってわけじゃ……」

「そうだな。誰でもいいというわけではない。君は「大切な人」を守りたいのだろう?」

「……はい。そうです」

「正直でよろしい。だが、教会に入るのであれば、「大切な人」の範囲を広げる必要がある」

「広げる?」

「そうだ。「誰でもいいから」守りたいでは困る。「誰もを」守りたいと願ってくれなければな」

「重松さんは言葉遊びがお上手ですね」

「ふん。俺は技術主任だ。これは受け売りさ。国語主任のな。泉も国語の教科を使うのだろう?それならば言葉は慎重に選べ。刃物だからな」

「それも国語主任の受け売りですか?」

「その通り」


 ここまでの問答で翔子の「気をつけて」の意味がわかった。

重松さん、言葉の選び方がうますぎる。

的確に僕の内面を引き摺り出してくる。

国語主任の受け売りと言っていたな。

その国語主任は絶対に敵にまわしたくないな。

重松さんの問答は続く。


「異教のことは?どれくらい知っている?」

「ねぇちゃんを襲った理科主任とその手下ぐらいなら知っています」

僕は翔子がスカウトされた話はふせ、明石のことを話すことにした。

「ふん。また姉の話か。明石だな。奴は相当強いからな」

「重松さん知ってるんですか!?」

「当然、異教主任の名前くらい知っていないでどうする。これでも教会主任なのでな」

「明石は今どこにいるんですか?」

「知っていたら俺が討伐に行っているさ。名前くらいは知っているが逆にいえばそれくらいしか知らないということだ」

「そう……ですか」

「落胆することはない。教会に入れば当然異教徒と戦うことも増える。情報などいくらでも入ってくるさ」

重松さんは相当強いと言った。

戦ったことがあるのだろう。

「ふん。まだ異教について知っていることがありそうだな?答えろ」

「……他には何も知りません」

この人ほんとに心が読めるのか?

ん?

いや、翔子が話したということも考えられるな。

「まあ、いい。いずれ聞かせてもらうさ。さて次の質問だ」

重松さんとの問答は終わらない。

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