048.合格者と試験官
13時10分。
受験者全員をゲーム空間へ送り終えた後、俺は一人体育館に残っていた。
そこへ、ある人物がやってきた。
「重松先生、今回の受験者はどうだ?」
「おや、小室先生、いらっしゃったんですね」
「ああ、気になる奴が受験者にいるからな」
「小室先生もですか。まあ「気になる」の意味は違うと思いますが」
「それで受験者はどうなんだ?」
「全員、別の空間へ飛ばしました。2体2で戦っています。早いところはそろそろここへ戻ってくることでしょう」
と、淡い光を放って、4人が体育館へ帰ってきた。
「おめでとう!君たち2人は最初の一次試験合格者だ!負けた2人は残念だったな、また来年受けてくれたまえ」
「よっしゃぁ、俺ら余裕っしょ!」
「君はいつもせっかちだね」
「菅原に二谷か。早かったな」
「お、小室先生!きてたんですね!俺と二谷にかかれば楽勝っしょ!」
「僕たちに負けて不合格になった人の前でそんなこと言わないでよ。僕まで酷いやつだと思われるだろ」
「悪い悪い、つい。でもペアが二谷で驚いたっしょ。二谷も教会試験に来てたんだな?」
「ああ、個人的に興味があってね」
「小室先生、この2人はあなたの教え子ですか?」
「その通りだ、なかなか面白い奴らだろ?
「そう……ですね」
と、次々と光が差し込み、受験者が帰ってくる。
さて、仕事を全うするか。
「ゲームクリアしたペアは右側へ、クリアできなかったペアは左側へ、それぞれ移動してくれ。言っておくが、俺はゲーム空間でも出来事は全て把握している。俺が作った空間だからな。冗談でもクリアしていないものが右側へは行かないように」
俺の言葉で、勝ったペアが意気揚々と移動する。
ゲームの空間には監視カメラ(のようなもの)をつけているから全員の行動は把握できた。
さっきの小室先生が声をかけていたペアのように協力した戦っているものもいれば、味方もろとも倒してゲームをクリアしたものも数人いる。
俺の言ったルールだと味方がゲームクリアしているのだから、味方に倒されたものもゲームクリアだ。
とはいえ、味方に倒されたものはそいつに裏切りという恐怖を刻み込まれたわけだが。
一次試験を合格した受験生たちの顔ぶれを見ていると、
「……!?」
ボンッ
煙とともに小気味いい音がして誰が体育館に戻ってきた。
これは……俺の作った空間が……破壊されている!?
一体何が起きた!?
音のした方を向く。
煙が晴れていく。
「……また君か。何をやらかしてくれたんだ?」
「それよりも重松さん、脱出してここに戻ってこれたんだから、一次試験は合格でいいですよね?」
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